日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

政府・国会は、経済対策追加のうえ、「出勤」7割減を。サイバー空間でも生き残るエストニアを見習うべき。

政府・国会の感染症対策への評価は極めて厳しいものです。国民の信頼回復のため、国民の生活保障を充実させた追加経済対策を、4月中に補正予算(第一次、第二次どちらでも)で実現すべきです。また、政府、国会とも、仕事の水準は維持しつつ、「出勤」を7割削減すべきです。国土を失ってもサイバー空間で生き残ろうとするエストニアの決意に、あらためて学ぶべきです。

政府と国会への国民不信は深刻

厚労省クラスター班の西浦博氏が、昨日4月15日、人と人との接触を減らすなどの対策を全く取らない場合、国内で約85万人が重篤になり、うち約42万人が死亡する恐れがある、という試算を発表しました。

medical.jiji.com

あらためて、人同士の接触を8割減らす必要性を強く訴える意図です。西浦氏には、一国民として、敬意と感謝の念しかありません。

問題は、こうした試算による被害想定を、総理大臣が発表せずに、相変わらず専門家にしかやらせていないことです。

緊急事態宣言当日、安倍総理は専門家会議の尾身茂氏を陪席させる異例の対応の上で、東京都の感染者数が8万人にのぼる可能性がある、という試算を公表し、国民に厳しい現実を示す姿勢を見せました。しかも、2週間で感染を抑えるという目標さえ掲げるという極めて異例の姿勢を見せました。私はこれを高く評価し、満点と言いました。

緊急事態宣言を発令:安倍総理の記者会見は満点。今後、東京の病床を10万に増やし、給付金の欠陥を是正し、東京都への不当な介入をやめるべき - 日本の改革

しかし、残念ながら、今となっては、この評価を変えざるを得ません。政府の感染症対策を基本的には支持しますが、総理はまだ腰が引けており、国民の信頼を得ようとする努力が足りません。

全国での死者数の予測という、最も厳しい現実を国民に伝えるのを、厚労省の(ほぼボランティアの)担当者である西浦氏だけが行っているのを見ると、安倍総理による国民への訴えは、やはり不十分です。トランプ大統領も、ジョンソン首相も、メルケル首相も、多くの死者が出る可能性があることを、国民に直接伝えています。

腰が引けているのは、死者数の予測を国民に伝えないことだけではありません。

厳しい外出自粛と営業停止の「要請」を行うにあたって、国民と企業への生活保障や経済的支援が、やはり不十分です。

先週末の各社世論調査では、政府の感染症対策全体への国民の強い不満が示され、経済対策も大変不人気です。事業規模は大きくても、中身は融資中心で、給付金には実務的でない条件が付されていることが響いています。

2020年4月 電話全国世論調査結果 質問と回答 : 世論調査 : 選挙・世論調査 : 読売新聞オンライン

【産経・FNN合同世論調査】質問と回答(4月) - 産経ニュース

内閣支持率5ポイント減 共同通信世論調査 :日本経済新聞

内閣支持率も、読売、産経、共同全てで不支持が支持を上回りました。では、野党の支持率が上がっているかと言えば、そんなことはなくて、立民などの支持率は相変わらず低迷です。立民の議員が、あろうことか緊急事態宣言後に歌舞伎町の風俗店に出かけるという重大な裏切りまでありました。政府も支持されず、国会も支持されていません。

いま国民が支持しているのは、自治体の首長です。今回の緊急事態の局面を終始リードした小池知事は、迅速で厳しい休業要請と協力金の実現によって、世論調査でも高く評価されていますし、大阪府の吉村知事の大活躍で、維新の支持率も上がっています。

残念ながら、小池知事は、官邸・自民党と戦って都政を進めることは出来ても、国政政党を持たないので、国の政策まで変えられません。維新は数が少なすぎます。国の感染症対策と経済対策を直ちに改善するため、まずは、政府と与党が、直ちに国民の信頼回復に動くべきです。

先週末の世論調査の結果にあわてたのか、自民党公明党が一律10万円の給付金をやれと言い出し、政府も第二次補正予算案に入れる検討を始めるようです。ようやく少し、国民の声を聞くようになったのは歓迎すべきですが、自公で方針が違う等、相変わらずまだもめそうです。

www.yomiuri.co.jp

政府、自民、公明は、第一次か第二次の補正予算のどちらに入れるにせよ、とにかく、迅速にある程度幅広い給付を実現する、という一点のみを目標に、形にこだわらない政策実現を目指すべきです。公明が言うように第一次補正の組み替えが早いならそうすれば良いですし、第一次補正に入れるための調整に時間がかかるなら、新たな給付金は第二次補正に入れて、第一次と第二次の同時成立を目指すべきです。また、公明は「所得制なし」にこだわっては時間がかかるので、自民の言う所得制限を飲むべきでしょう。

とにかく、経済対策での国民の信頼回復には、スピードが何より大事です。政府と与党の両方を黙らせることが出来るのは、やはり安倍総理です。抵抗に負けずに断固とした感染症対策と協力金を実現した小池知事が支持率を上げていることに倣うべきです。

政府と国会は、自ら接触を7割以上減らすべき

国民の信頼回復が必要なのは、経済対策以上に感染症対策です。西浦博教授が危機感を持つ通り、現状では、人同士の接触を8割減らすのは難しいようです。

宣言1週間、接触8割減の目標届かず 政府に危機感 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

総理はこれに対し、民間は通勤を7割減らせ、と言い出しました。これを実現するために大事なのは率先垂範で、まずは政府と国会が、その機能は今まで通りに維持しながら、最低でも7割は「出勤」を減らすべきです。

まず政府ですが、緊急事態宣言発令後、一応の対策は取り始めました。職員を複数のチームに分け、交代で在宅勤務に就かせるやり方が主流のようです。既に官僚への感染も相次いでおり、政府機能を絶対に止めないために徹底した対策が必要です。

www.nikkei.com

ところが、出勤の「7割減」は出来ていないようです。検察庁や刑務所などの矯正施設等、将来的にはともかく今すぐ人手を削れない業務は当然あります。

が、問題は国会対応です。すぐにでもメールやテレビ会議等に切り替えれば良いようなことについて、全然やり方を変えていません。毎日新聞から引用します。

局長・審議官級は「国会答弁が当てられると、テレワークの予定でも出てこないといけない」ほか、課長級も「外部との接触は減らしたいが、国会議員から資料提供や説明のために呼ばれれば、対応せざるを得ない」。緊急事態宣言後、原則テレワークに切り替えたはずの厚生労働省の職員も「部局によってはほとんどの職員が出勤している場合もある」と漏らした。

出所:毎日新聞2020年4月13日

お膝元の霞が関官公庁、難しい「出勤者7割削減」 代替「交代制」勤務、10府省以上で - 毎日新聞

国会議員への対応をいちいち対面で行う非効率的なやり方は、国会の方が変えると言わなければ変わりません。

国会対応だけでなく、民間への対応についても、政府は人との接触を減らす努力が全然足りません。

こんなときにこそ、行政低続きのIT化を一挙に進めなければいけないのに、竹本IT担当大臣は、役所の届け出に未だにハンコが必要な場合が多い(制度がどうあれ実態としてそうなっている)ことを把握していません。ハンコの存在がテレワークの妨げになるという指摘につき、「役所との関係ではそういう問題は起きない」と説明し、「しょせんは民・民の話だ」と発言。この発言がまた国民の怒りを買っています。はんこ議連会長の竹本氏が業界保護のためにテレワーク推進を妨げている、と言われても仕方ありません。

digital.asahi.com

国会での接触の減らし方については、与野党が、1日あたりの国会議員の出席者数を「約3割」まで絞り込むことで合意しました。

新型コロナ 国会出席者7割減へ 来月6日まで 与野党が合意 - 毎日新聞

開催する委員会を限定して議員同士の接触頻度を減らす、というもので、欠席した議員は審議に参加するわけではありません。テレビやネットでぼーっと審議を眺めている姿が報じられています。委員会も本会議もすぐにテレビ会議に移行し、今までと同じ審議内容を確保し、ついでに委員会配布の資料等もネットに上げる改善を行うくらいのことは、すぐに実施すべきです。

国会議員達は、こんな緊急事態に、民間に8割の接触減と最低7割の出勤減を「要請」する立場でありながら、しかも、省庁でも議員会館でも感染者が続出している現状で、官僚に相変わらず対面の非効率な仕事を強要し、業界に忖度して行政手続きのIT化も担当大臣(はんこ議連会長の国会議員)が進めさせず、国会の審議へのテレワーク導入もしていません。

政府と国会、特に国会議員のこうした姿を見て、民間が本気で7割の出勤削減に取り組むはずがありません。

あらためて、日本の政府・国会がエストニアに学ぶべきこと

政府と国会、特に国会が今、今あらためて真摯に学ぶべきは、エストニアの方針です。

本ブログでは、ちょうど1年ほど前、電子政府化を進めるエストニアが、国全体でサイバー防衛をしており、たとえ領土を失っても、サイバー空間上で国家が機能できる方針を掲げていることを取り上げ、日本はこれを見習うべきだと主張しました。

エストニアの「国土破れてもデータあり」:領土を失ってもサイバー空間で国家が生き残るために必要なのは、IT技術とともに、国民の信頼。 - 日本の改革

領土を失うような国家存亡の危機であっても、イェリネックの言う国家の三要素の一つを失うようなことになっても、それでも、サイバー空間上で国を存続させるんだ、という固い決心の下に進められているのが、エストニア電子政府化です。

その基本哲学を定めた、National Security Concept of the Republic of Estonia (NSC)にのイントロダクションには、民主主義の原則を尊重することが、社会の発展につながり、エストニアを守るという国民の意思も強化される、と書かれています。そして、

エストニアの安全は、統合された市民社会によって強められ、そこでは市民の自覚と活動が安全保障のために重要な役割を果たす。寛容で、思いやりがあって、誰でも参加できる社会において、エストニアの安全保障は最強となる」(p3)

としたうえで、

エストニアは、領土についてのコントロールを失ったとき、国家のデジタル上の存続を確保する措置を取る」(p16)

という方針を掲げています。

http://www.kaitseministeerium.ee/sites/default/files/elfinder/article_files/national_security_concept_2017.pdf

つまり、エストニアは、自由と民主主義を守り、思いやりのある市民社会の統合と発展を目指すことで、国民の安全保障への協力を確保し、たとえ領土を失っても、デジタル上の世界だけでも国家機能を存続させ、国の存続を決して捨てないのだ、という決意をしています。自由と、民主主義と、愛国心の結合です。

いま、日本の政府と国会が見習うべきは、この決意です。

今回のパンデミック第二次世界大戦以来の危機と呼び、国難と呼ぶならば、人同士の接触を減らすことに、国家の存続がかかっているという覚悟で臨むべきです。いつまでも8割減は続けられないにしても、緩めたり締めたりをしばらくは続けることになるでしょう。それならば、人との接触がなくても、政府・立法府の機能を完全に維持できるような国家にすべきです。エストニアほどの徹底した電子政府化が直ちにはできなくても、今すぐ出来るような、役所の国会対応・行政手続き・国会審議のデジタル化程度は、すぐにやるべきです。

そうしてこそ初めて、国民に対しても、このウイルスとの戦いに本気で参加してもらうことが出来ます。既に、国会議員よりも国民と都道府県知事の方が、はるかに真剣に戦っていますが、もう一段、厳しい感染予防を実現するためには、政府・国会が率先垂範して、国民の信頼を得ることが何より大事です。

国民の信頼を得るためには、政府・国会が自ら業務のデジタル化を徹底させるとともに、経済対策も更に充実させて、国民の営業の自由や財産権も尊重するとともに、民意に柔軟に迅速に答える対応を行って民主主義を実践し、どの国民も置き去りにしないと国民に実感させる姿勢を示して、国と国民の統合を守るべきです。

エストニアは、領土を失ってもサイバー空間で生き残る決意を示しています。日本は、今回の危機にあたり、人との物理的な接触がなくても生き残れる国家を目指すべきであり、そのためには、政府と国会のデジタル化が必要です。経済対策とともに、ただちに行うべきです。