日本の改革

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緊急事態宣言を発令:安倍総理の記者会見は満点。今後、東京の病床を10万に増やし、給付金の欠陥を是正し、東京都への不当な介入をやめるべき

緊急事態宣言に関する安倍総理の記者会見は素晴らしいもので、国難での国民への訴えにふさわしいものでした。今後、経済対策での給付金制度の欠陥と、自粛要請等に関する東京都への不当な介入につき、是正すべきです。

素晴らしかった総理記者会見

安倍総理の緊急事態宣言に関する記者会見は、現在の最優先課題を明確に示し、国民に厳しい現実を率直に伝え、科学的根拠をもって国民に必要な協力を訴える内容で、素晴らしいものでした。

令和2年4月7日 安倍内閣総理大臣記者会見 | 令和2年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ

まず、最前線で戦う医療従事者への感謝の言葉から始めることで、医療体制の迅速な整備こそが最重要課題であることを、国民に強く印象付けました。

そして、当面、関東で1万室、関西で3000室を確保したことを伝えて、逼迫する病床の問題につき、まず国民を安心させました。

そのうえで、東京都の感染状況について、厳しい現実を科学的根拠に基づいて率直に示し、厳しい自粛への協力を求めました。感染者数が2倍になる時間が欧州の半分程度としたうえで、それでも1か月後に8万人の感染者になるとして、西浦博教授の試算により、8割の接触削減を求めました。

専門家会議・諮問委員会の尾身茂氏も同席の下、厚労省クラスター班の西浦氏が求める対策を採用することにより、やっと専門家と総理大臣の足並みがしっかり揃いました。しかも、2週間でピークアウトできるはずだ、と発言することで、科学者の提言に自分が政治責任を持つ姿勢を示しました。これこそ、政治と科学の協力のあるべき姿です。

「8割」の根拠を、西浦氏は以下のように分かりやすく説明しています。科学的には批判は当然あるでしょうし、メディアでも様々な異論が科学者から出ていますが、一応の合理性は国民にも十分理解できるので、当面はこの考え方で国を動かすべきです。

 単なる目標ではなく、総理は、通勤者を7割減らすよう求めました。これにより、最近至るところで広がる職場での感染を防ぎ、満員電車ゼロを本気で目指す姿勢を見せました。これは感染症対策として実効性があるのはもちろん、都民、国民の不安の解消につながるものです。夜の街だけを分かりやすいスケープゴートにして満員電車がそのままだ、という不満にも応えるものです。

総理の会見は、その他にも、様々な国民生活の変化へも幅広く目配りしており、治療薬の開発を含めて今後の目標や希望も示していました。

感染症対策については、国難で国民への協力を求めるにふさわしい、素晴らしい会見でした。

以上のように、全体としては素晴らしかったので、各論で、三点の改善を提案したいと思います。

東京で10万床用意すべき

まず、東京の病床は、東京都と政府が協力して、10万は用意すべきです。

東京都も綱渡りながら当面の病床は確保しましたし、軽症者・無症状者がホテルに移れば、重症者は現状で30人程度ですから、一息ついているのは事実です。東京都医師会も、緊急事態としつつ、ただちに医療崩壊する状況ではない、と会見で言っています。

緊急記者会見(令和2年4月6日開催)

一方で、総理が会見で、あと1か月で8万人の感染者が出る可能性があると言った以上、最悪に備える方針を見せる必要があります。都民・国民に対し、「そこまでやらないといけないのか」と感じさせて、意識を引き締めるとともに、最悪の場合にも受け皿はあるという安心感を与えるべきです。

3月6日、厚労省都道府県に求めた病床数によると、ピーク時には、東京都の入院患者(軽症者等含め)約2万、一都三県で約5万5千です。これは、3月6日時点の、まだ今ほど再生産数が高くなかったときの予測による数字です。なお、ピーク時の「外来」の予測は、東京都で約4万5千、一都三県で約12万でした。

www.nikkei.com

首都・東京に10万のベッドというのは、東京での感染防止が失敗して1か月が経過した最悪のケースを想定したもので、3月6日時点の予測から言っても、一定の合理性があります。

今回の対策が成功するかは不明ですし、感染者数が増えている状態でも、自粛要請は解除せざるを得ないことが十分考えられます。中長期的に見ても、対策は緩めたり強めたりの繰り返しになるでしょうから、まずは、最悪を想定した医療体制を確保しておくべきです。

隣接三県はそれぞれが病床を確保する責任があるのはもちろんです。が、東京都は首都であり、全自治体に範を示し支援を行うべき立場です。東京都と政府は、周辺自治体と連携もしながら、8割を占める軽症者等についてのベッドも、ホテルや各種施設で確保する必要があります。

給付金制度は線引きに無理があり過ぎる

経済対策については、色々と改善点はありますが、とりあえず企業等への給付金制度が不合理すぎます。

営業自粛で損失を受ける中小零細事業者への給付金について、政府は、事業収入が前年同月比で半減という要件を設けています。このため、真面目に自粛して業態を変える等の工夫(飲食店なら宅配・持ち帰り実施など)に移行して収入を維持したら対象外になります。一方、自粛要請に応じないで店舗を空け続けて収入が減ったら、給付金の対象になります。

産経が具体例を挙げて、これを批判する記事を載せています。

www.sankei.com

そもそも、自粛をしたかどうかを問題にせず、収入減を線引きの基準にした制度設計がおかしいことになります。理屈で言えば自粛をしたかどうかも基準にすべきところですが、政府や自治体には、とてもそこまでは分かりません。

結局、今回のコロナ危機を原因とした変化(収入減や自粛の有無)を問題にしたら、線引きは不合理・不公平、または不可能です。ここは、危機を乗り切れる体力があるかどうか、企業規模等の既知の指標で線引きをする割り切りが必要です。

最大の問題は東京都への妨害

政府の対応で一番大きな問題は、東京都の緊急事態措置に対し、不当な介入を行っていることです。

東京都は緊急事態宣言の発令に先立って、広範な業種に対する自粛要請を行う方針を既に発表していました。ところが政府は、百貨店や居酒屋などの自粛要請はするなと言ってきました。

digital.asahi.com

居酒屋は3密の典型的な場所で、感染者が発生した例もあるのに自粛をさせないのはとんでもない大間違いであり、東京都の方針通りの自粛要請を可能にすべきです。既に東京都は独自の協力金制度を準備しており、企業の協力を得やすい環境も整えています。

特措法上は具体的な措置は知事が決めるのに、対処方針は政府が決めるので整合性が必要にはなりますが、このような緊急時でさえ、地方分権の不十分さが露呈した形です。こうした点は、今後の感染症対策全体で改善していくべきです。

以上のような改善点は他にも色々とありますし、感染状況や経済情勢、更に世論を見ながら、政府は柔軟に対応すべきです。色々と注文はつけたいところではありますが、全体として見れば、政府の感染症対策の方向は支持しますし、私も出来る限りの協力をしていきます。