日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

世論調査で賛成が8割、民意が実現する緊急事態宣言:自由と民主主義を守る感染症対策を

TBSの世論調査で、緊急事態宣言に賛成が8割。世論に押されて、総理が宣言を出す見込みです。国民の生命・身体を守るために、民意により実現する宣言の発出を支持します。政府と自治体は今後も、自由と民主主義の原則を守った感染症対策を徹底すべきです。

3週間で一変した民意

安倍総理が、緊急事態宣言を発出する意向を固めた、と報じられています。

理由は、東京などでの医療崩壊と感染爆発の恐れのためで、読売は特に、医療崩壊への懸念が大きいという書き方です。宣言で出来る医療体制の整備につき、読売から引用します。

首相が緊急事態宣言を発出すれば、病床確保が容易になる。知事がホテルなどの宿泊施設を転用したり、プレハブ小屋を応急的に建設したりすることで臨時の医療施設を設置できるようになるためだ。医療法や建築基準法などの制限を受けないため、即座に重症者を受け入れて本格的な治療を行うことが可能だ。必要な場合は所有者の同意がなくても、建物や土地を使用することも認められている。

【独自】緊急宣言着手 「医療崩壊恐れ」で判断 自治体要望相次ぐ : 政治 : ニュース : 読売新聞オンライン

私も、宣言の最大のメリットは、臨時医療施設のための強制使用が可能になること、と言ってきたので、総理がそこを重視したのなら、歓迎すべきことです。

ただ、総理が決断した一番大きな理由は、世論の変化だと思います。

一昨日のブログでも紹介しましたが、共同通信社が3月14~16日に実施した全国電世論調査によると、緊急事態宣言の発令について「慎重にするべきだ」との回答が73.5%にものぼり、「積極的にするべきだ」は24.3%しかありませんでした。

緊急事態宣言「慎重に」73% 内閣支持49%、共同調査

小池都知事が外堀を埋めた緊急事態宣言。安倍総理は経済対策発表と同時に発令すべき。 - 日本の改革

ところが、昨日と一昨日、4月4~5日にTBSが行った世論調査では、緊急事態宣言について、「出すべき」と答えた人が80%に達し、「出す必要はない」の12%を大きく上回りました。大都市での感染拡大等が、民意を180度変えました。

安倍内閣の支持率は、先月の調査結果より5.7ポイント減って43.2%で2018年10月以降で最低、不支持は5.2ポイント増えて52.7%で、政府の感染症対策は、「評価する」が31%、「評価しない」は55%と散々です。世論は緊急事態宣言には賛成なのですから、それを出さない安倍総理への不満が極めて強くなっていることが分かります。マスク2枚の配布に至っては、75%が評価しないと答えています。総理は、政治的理由からも、宣言を出さざるを得ない状況でした。

TBS「世論調査」

総理が、感染症対策を考えればもっと早めに出すべきだった緊急事態宣言を今まで躊躇したのも、このタイミングで最終的な決断をしたのも、こうした民意を恐れた結果でしょう。

感染防止だけを考えれば、確かに遅きに失したかもしれません。民意を尊重するにしても、世論が反対する中、あえて早めに決断して、誠実に国民に説明し、結果を出して事後的に納得してもらう、というやり方もありました。

しかし、私は、世論がしっかり支持していると分かったところで決断する今回のやり方の方が良かった、と思います。

なぜなら、感染症対策では、国民が自ら行動を変えることが何より重要だからであり、世論の7割超が反対している状態で緊急事態宣言を発しても、いたずらに反発や混乱を招いてしまい、感染予防の効果が薄いからです。

また、たとえ多くの国民の生命や健康に関わる緊急事態だとしても、対策は自由と民主主義を守る形で行うべきだからです。今回、国民の生命と健康という大切な権利・自由を守るための政策を、民意に応じて決める姿勢を安倍総理が見せたことを、私は支持します。

強いて難を言えば、今回のTBSの世論調査の結果を待たずとも民意の変化は明らかだったので、国民の支持を1週間早く確かめてほしかったとは思います。ただ、それも、政府がこれから迅速に施策を進めて、埋め合わせてもらえばいいことです。

小泉純一郎氏は、なぜ在任中に消費税率を上げなかったか

今回、安倍総理がずっと躊躇し続けたうえで、民意を見て、やっと緊急事態宣言を決断したのは、総理時代の小泉純一郎氏の消費税増税に対する姿勢を思わせます。

小泉氏は総理在任中、俺が総理の間は消費是増税はやらない、と言い続けて、本当にやりませんでした。当時は、小泉氏だけでなく、世論もほとんどの専門家も、財政再建が重要だと思い込んでいたにも関わらず、消費税を上げませんでした。

これは以前のブログに書きましたが、当時、小泉氏はこう言っていました。

「ギリギリまで歳出削減をやって、これ以上やるなら増税してくれと言うまでやらなきゃダメだ。それくらい歳出削減は大事だ。俺が消費税は上げないと決めたから、小泉改革で歳出削減も進んだんだ」(清水真人『経済財政戦記』日本経済新聞社p225)

消費税増税の是非:安倍政権は、小泉政権の改革の原点に立ち返れ。 - 日本の改革

今回の安倍総理の決断は、小泉氏ほどの強烈な信念や豪胆さに裏付けられているようには見えません。悪く言えば、世論を見て右顧左眄した、とも見られかねないでしょう。

しかし、形としては、小泉氏の消費税に関する主張と、共通点があります。

今回、安倍総理は、ギリギリまで国民の自由を制約せず、あくまで国民の自律を重んじて、医療機関や企業等にも自発的な協力を求めました。そして、これ以上、自粛を求めるだけの政策を続けるくらいなら、いっそ緊急事態宣言で規制すべき人や企業等を規制してくれ、と、国民が自ら言い出したので、やっと決断しました。

これは、自由民主主義国家の総理として、あるべき一つの姿であり、私は総理の決め方を支持します。

感染症対策でも自由民主義体制の正しさを示そう

今回の感染症対策は、独裁国家である中国が、情報隠蔽から一転して強権的な感染防止策を行い、景気減速で政府・共産党が危ないと見たら、感染が収まっていないのに経済活動を再開、国民無視の感染症対策を進めました。

最近では、ハンガリーが無期限の非常事態宣言を出して報道の自由を制限し、EUから強く批判されています。

mainichi.jp

アジアの成功例と目される韓国、台湾、シンガポールは、国民のプライバシーを侵害して、携帯電話の位置情報で国民の行動を監視する規制を行いました。

こうしたやり方に対して、日本は、可能な限り、自由と民主主義を重んじるやり方で、感染症対策を進めるべきであり、緊急事態宣言はそのために有効活用すべきです。

新型インフル特措法は使い勝手が悪いところはありますが、それでも、民主党時代に国会で成立したルールですし、第二次安倍政権になってからも、今回のパンデミック以前から、内閣官房有識者会議で一定の時間をかけて、具体的な中身を詰めてきたものです。その意味で、特措法とそれに基づく行動計画などは、民主的な正当性に裏付けられています。緊急事態宣言が出れば、民主的な正当性が十分あるルールによる規制が可能になります。

この意味で、政府のこれまでの恣意的な自粛要請よりも、緊急事態宣言による方が、民主的な規制となります。

また、今回のパンデミック対策は、長くかかりそうです。結局は、治療方法とワクチンが確立するまで、どの国の政府も、規制を強めたり緩めたりの繰り返しをせざるを得ないでしょう。既に世界的に蔓延し、絶滅させることなど不可能な感染症なのですから、自粛要請や指示も、長くは続けられません。

このため、何よりも医療体制の整備を最優先にして、仮に感染爆発が起きて最悪の事態になっても、相当程度の患者に対応できる体制をまず作って、そのうえで、自粛要請の強弱を調整する政策にすべきです。たとえ緩め過ぎて患者が増えても大丈夫な医療体制があれば、経済的・社会的な自由をある程度確保できるからです。そのためにも、緊急事態宣言では、まず医療体制の整備を十二分に行うべきです。自粛要請を緩めるときにも、ワクチン等が出来るまでは、医療最優先の経済体制は続けるべきでしょう。

政府も、対象地域の知事も、今後、詳細を決定して実行するにあたり、法令の定める強力な規定を十分に、迅速に活用して感染拡大を防止し、同時に、当たり前ですが、報道の自由言論の自由は引き続き完全に保障し、自由と民主主義の原則を守って、感染症対策を進めるべきです。

中国は、独裁国家である自分達の感染症対策が、国民の自由を信頼した民主主義国家の政策より効果的だ、欧米も中国のやり方を見習え、というプロパガンダを行っています。自由民主義体制を堅持した方が、むしろ感染症対策にも効果的だということを日本が示すためには、政府と都道府県の政策だけではなく、国民一人一人の自律が必要であり、私も、一国民として最大限の協力をいたします。