日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

「急がないと、この戦いに勝てない」(尾身茂氏):急がせることが出来るのは、総理大臣しかいない。

東京都の感染者急増、当面は対応できそうですが、戦いはこれから。全国での感染者増への備えも必要です。大事なのはスピードですが、厚労省の動きが遅く、司令塔も現状では総理一人です。緊急事態宣言を出した総理大臣の政治決断で、医療最優先の政策を急がせるべきです。

感染のスピードを上回るスピードの政治決断が必要

東京での1日の感染者数が初めて100を超え、入院が817になりましたが、とりあえず、受け入れは出来ている様子です。明日4月6日までに900を確保する予定を昨日4月4日に前倒しで準備できたようで、何とか間に合っています。今週にはアパホテルに軽症者・無症状者を移すとは言え、防疫体制の準備にも時間はかかりますし、一時的にはどうなるか分かりません。

こんなギリギリの綱渡りを、東京都はずっと続けていたので、厚労省に軽症者・無症状者の施設や自宅への移動を可能にするよう求めてきたのに、4月3日までそれが実現しなかったのは、昨日書いた通りです。

小池都知事が外堀を埋めた緊急事態宣言。安倍総理は経済対策発表と同時に発令すべき。 - 日本の改革

これがいよいよ間に合わなくなる可能性も出てきました。確かに、もう少し先の見通しまで見れば、準備は出来ています。アパホテルだけでなく、日本財団の1200床があるとか、国の施設も使えるとか、今朝のフジテレビで西村担当大臣が言っていましたが、問題は間に合うかどうか、です。

1か月先の医療体制は大丈夫でも、明日、明後日のベッドや人手が足りなくて破綻する可能性を重視すべきです。企業の純資産が大きくても、資金繰りで倒産するような事態を、医療で起こしてはいけません。今後の感染拡大を考えれば、純資産もマイナスにならないよう、さらに巨額の資産(ベッド、人手、医療機器)を、今週中にもドンと用意すべきです。

この局面で大事なのはスピードです。感染爆発が起きている可能性も否定できない状態で、感染のスピードを上回る先回りの対応が必要です。昨日のNHKの番組で、政府専門家会議の尾身茂氏が、急がないと、この戦いに勝てない、と言う通りです。

今朝の産経で、韓国、シンガポール、台湾の対策を取り上げていました。欧米諸国が成功例としてあらためて注目している、という内容でしたが、国情が違うとはいえ、やはり決定と実行のスピードが大事なことは分かります。

韓国の例では、検査キットの許可を、通常は1年半かかるところを2週間に短縮し、日本では議論がある大規模検査を実施しました。大規模検査で軽症者の確認が増え過ぎて、大邱で病床不足となり、自宅に待機させたら死亡例も出たので、公的施設や民間の研修施設を一部改装した「生活治療センター」に軽症者を移しました。

www.sankei.com

軽症者の扱いについては、日本もホテルを使い始めるので方向性は同じですが、検査についての方針が異なります。韓国等は、携帯電話の個人情報を追跡して個人にアラートを発したり、プライバシーを犠牲にしている面もあります。シンガポール、台湾含め、強権政治やその名残があってこそできる部分はあるので、単純に日本と同列にお手本とは出来ません。

ただ、日本に比べて圧倒的にスピードが速いのは確かで、日本の統治機構で出来る範囲で、意思決定と実行の迅速さは見習うべきです。

国全体を急がせるのは、総理大臣にしか出来ない

誰がどう急がせるか、ですが、いまの局面では、総理大臣がやるしかありません。

先に挙げた軽症者等の扱いについて、2月25日に政府の対策本部が自宅等での療養も可能にする方針を示し、3月1日に厚労省も形だけ許す通知を出していたのに、いくら都道府県が実際に認めろと言っても、厚労省は1か月以上も頑として姿勢を変えませんでした。

こうした抵抗は、厚労省も他の役所も、あらゆる場面で行って、医療体制の確保が進んでいないのでしょう。軽症者等の扱いは、総理大臣が厚労大臣に強く指示すれば、すぐにも出来たことです。

検査についても、未だに、現在の政府方針でやるべき検査さえ出来ていません。政府は今さら、PCR検査の必要性が都道府県で適切に判断されているか調査する、などと言っています。これも、遅くとも1か月くらい前には、やっておくべき調査だったはずで、総理が強く指示すれば出来たことです。もう、今の段階で必要なのは調査ではなくて、検査数を増やす(あるいは方針を揃える)、それが出来ないなら別の対策をする、と言う形で、とにかく感染把握を迅速化することです。

東京新聞:政府、PCR要否判断を全国調査 状況にばらつき、過少批判も意識:社会(TOKYO Web)

経路不明の感染が増え過ぎているなら、クラスター対策がもう限界に来ているかどうかも見極めるべきです。検査方針を大きく変えるなら、それも総理大臣が決めないと動きません。

司令塔は総理大臣一人のコロナ対策

そもそも、政府の感染症対策全体について、本当の司令塔は今のところ、総理大臣一人で、それに補佐官や秘書官が少し加わっている程度です。

政府の新型コロナ対策本部は、議論する場ではなくて、官邸で決めた方針を総理が頭撮りで発表する場のようになっています。

自衛隊を含めて国全体を動かすには、国家安全保障会議NSC)での決定が重要ですが、新設の経済班にコロナ対策をやらせることになったものの、何の存在感もありません。選択の4月号によれば、経済班は米中冷戦での経済安全保障を想定しており、そもそもNSC自体も感染症対策を十分に想定していなかったようです。ここも司令塔になっていません。

www.sentaku.co.jp

対策本部の専門家会議は、出来た当初から独断専行気味です。最初のうちは官邸に危機感がなかったので、それが非常に良い効果をもたらしましたが、今では、各メンバーがそれぞれにメディアで発信をはじめ、政府のメッセージが分散化しています。これに厚労省クラスター班の専門家が、クラスター班として発信を始めて、国民向けのメッセージをめいめいに発しています。

私は専門家会議もクラスター班も素晴らしい仕事をしてきたし、していると思いますが、感染爆発の可能性があるこの局面では、緊急事態宣言発令の判断はもちろん、国民への統一したメッセージの発信も含めて、総理大臣が一人で決断し、実行すべきです。

本来は、有事に備えて、もう少しまともに機能する合議体や専門家組織を用意しておくべきでしたが、それは今後の課題です。現状は、良くも悪くも、総理大臣が全てを決める仕組みで動いているのだから、それを良い方向に生かすべきです。

総理大臣の力を最も強めるのは、やはり緊急事態宣言です。今週末さえ外出する人たち、危機感の薄い県知事、言うことを聞かない私立・公立の病院、未だに平時の規制にこだわる厚労省等の役所、経済支援のやり方で何日でも議論しそうな与党、これらを医療最優先で急がせることが出来るのは、緊急事態を宣言した総理大臣です。

宣言の発令で法的に変わらない部分が多くても、いくつかの強制的な規定の存在や、国のリーダーが本気で権力をふるう姿勢を見せるという圧力で、官民を両方とも、医療最背優先で急がせることが必要です。