日本の改革

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小池都知事が外堀を埋めた緊急事態宣言。安倍総理は経済対策発表と同時に発令すべき。

小池都知事が「ロックダウン」の一言で国民を締め直し、厚労省を動かして医療体制を整え、発令時の都の対応を公表し、あとは総理の決定を待つばかりの緊急事態宣言。国民各層の反応は色々ですが、感染爆発の可能性がある以上、経済対策と同時に発令すべきです。

国難でリーダーシップを見せる小池都知事

小池知事が、緊急事態宣言の発令を安倍総理に迫っています。直接、発令すべきとは言わないものの、対象地域の知事として、着々と政府と連携し、総理の政治判断に向けた外堀を埋めています。

今になって振り返れば、小池氏は、着々と緊急事態宣言への布石を打ってきました。あらためて、先月からの動きを振り返ります。

小池知事がまず手を付けたのは、五輪延期です。これを決めなければ、都民・国民の意識が変わらず、関連行事がずるずる続いて自粛要請が効かず、五輪関連施設の使用も出来ません。東京都にとって、感染症対策を進めるためには、五輪延期が最優先でした。そこで、聖火リレーをやりたがっていた森喜朗氏抜きで、安倍総理と3月12日に会談して五輪延期の方向を決め、3月24日のIOCの延期決定につなげ、聖火リレー等も中止となりました。

東京五輪延期決定:日本はIOCに言いたいこと言うべき。東京都は2日間で感染急増、緊急事態宣言やむなし。 - 日本の改革

並行して、五輪延期が決まる前から、3月21日以降、政府クラスター班の分析を踏まえて、自粛要請を強化。「ロックダウン」という言葉で、強く緊急事態宣言を示唆し、都民・国民の意識をはっきり変えました。近隣4県へのテレビ会議を呼びかけて、首都圏一丸の自粛要請も実現しました。

都知事が政府に促す緊急事態宣言、首都圏全域の協力とセットにして、晴海の選手村に強制使用規定の適用を - 日本の改革

同時に、医療体制の強化に向けて、厚生労働省には、軽症者・無症状者を自宅や宿泊施設に移転させるよう、要請を続けるだけでなく、ホテルとも独自に交渉してアパホテルから内諾を得るなど、東京都主導で既成事実化。昨日4月3日に、厚労省規制緩和と、東京都が来週から軽症者・無症状者をホテルに移す方針とが、同時に発表されるというインパクトのある打ち出しを実現しました。

政府と東京都、新型コロナの医療体制整備で大きく前進:厚労省のルール変更とホテル借り上げを同時決定、五輪施設利用も。 - 日本の改革

病床確保については、こうした水面下の調整が見えず、私も随分やきもきしましたが、決まって見れば、納得の根回しをやっていました。

今朝の日経は、厚労省が感染者の原則入院にこだわって、今に至るまで基準が緩和されなかったことを批判しています。厚労省は3月1日に、軽症者等は自宅に移してよいという通知を出しましたが、実は形だけでした。実際にこれをやるには、厚労省と「相談」が必要という、ふざけた一言で、事実上、ストップをかけていました。

厚労省「原則入院」に固執 自治体に基準提示遅れ :日本経済新聞

そこで都知事は、もう厚労省の判断を待たずに、独自に軽症者の受け入れ先の確保に動きました。メディア向けに「軽症者は五輪選手村へ」と派手に空中戦でぶち上げるとともに、水面下でホテル等にも打診し、実現の流れを作っていました。大阪府が独自に「入院フォローアップセンター」を使った大阪方式を決めたことも、厚労省を変える大きな一撃となったことでしょう。そして、4月1日に専門家会議が、東京都や大阪府等を名指しして、軽症者等の病院外での受け入れを打ち出したことで、厚労省も白旗を挙げました。

東京都の病床について、140しかないと日経に叩かれた3月末には既に500を確保、2日後の4月1日には750、来週4月6日には900と自転車操業ながらどんどん増やし、しかも軽症者・無症状者はアパホテルなどに移転で、重症者向けのベッドは大きく余裕が出来ます。とりあえず、重症者床700の目標達成はメドがつきました。そのうえ、東京財団が4月末には品川に1200床を用意、現在、五輪で警察官が宿泊予定だった施設について国と調整中、数千が加わりそうです。

小池都知事、新型コロナ病床 「6日までに900床確保」 :日本経済新聞

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それでも、ベッドも、医療従事者も、医療機器やマスクも防護服も、まだまだ足りません。ベッドは、厚労省の言う2万ではなく、5万は必要で、最終的には10万は準備したいところです。日本財団の支援はありがたいですが、品川の1200床は4月末までの準備、つくばの9000床は7月以降で、間に合うかどうか分かりません。五輪施設の使用についても、国立競技場はもちろん、おそらく選手村についても、風評被害をおそれる民間宿泊施設についても、国が緊急事態宣言の強制使用等で後押しする必要があります。

人手についても、都知事は医療従事者OBへの要請も進めていますが、恐らくそれだけでは足りず、自衛隊災害派遣が必要なので、やはり政府の強力な後押しとして、緊急事態宣言を出すべきです。

医療従事者OBの復帰促す 小池都知事一問一答 都市封鎖、法的に困難 :日本経済新聞

 こうして、先月以来、地ならしをしてきた小池知事は、本当に事態が切迫した今、総理に、かなり明確に宣言の発令を促しました。

昨日4月3日の記者会見で、小池都知事が、緊急事態宣言が発令された場合、東京都がどのように対応するか、先回りして方針を発表しました。そして、国には「構えはもうできておられるのではないか」として、宣言は「経済対策とセットで」出すべきだ、それは、東京都にとって非常に大きなパワーになる、と発言しました。

小池知事「知事の部屋」/記者会見(令和2年4月3日)|東京都

こちらはお膳立ては全て整えましたよ、後はあなたが決めるだけですよ、と総理に突き付けた形です。

安倍総理は、経済対策発表と同時に、緊急事態宣言を発令すべき

総理は、昨日の参議院本会議で、「全国的かつ急速なまん延という状況には至っていないとして、緊急事態宣言発令の要件は満たしていないとしましたが、一方で、「必要な状況になればちゅうちょなく行う」とも語りました。

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このところ、安倍総理と小池知事は、五輪延期決定で協力し、自民都連が都知事選での小池支持を事実上打ち出すなど、連携の動きを見せてきました。ひょっとしたら、安倍・小池間で、緊急事態宣言についても、何らかの合意はあるのかもしれません。いずれにせよ、後は本当に、総理一人の判断によることです。

私は、これまで主張してきた通り、緊急事態宣言を発令すべきだと思います。ただし、経済への影響を小さくするため、より充実した経済対策とセットにして、4月7日にも発表すべきです。

総理が宣言を発令すべき理由は以下の通りです。

第一に、対象地域の知事の賛成です。大阪府の吉村知事は正面から明確に宣言発令を求めています。一方、東京都の小池知事は、上述のように、政府も自民党も取り込んではるかに政治的に動いて、メディアでの空中戦を織り交ぜて世論にも影響を及ぼして、総理が宣言せざるを得ない状況作りを固めたうえで、発令を強く促しています。

第二に、新型インフル特措法の諮問委員会、及び、メンバーの重なりの多い専門家会議のメンバーは、大変な危機感を持っています。専門家会議の西浦博氏は、もう欧米並みの厳しい外出制限をしないと、感染爆発は抑えられない、と主張しています。

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第三に、医療崩壊を防ぐために、すぐに宣言が必要です。医療崩壊を恐れる日本医師会は、すぐに宣言を出せと言って、独自に「医療危機的状況宣言」まで出しました。更に、医師免許を持つ衆参両院議員でつくる超党派議員連盟は昨日、国会内で会合を開き、宣言を早期に出すよう政府に求める決議をまとめました。

医師会、危機的状況を宣言 医療提供できなくなる恐れ :日本経済新聞

東京新聞:早期の緊急事態宣言を要請 医師出身の議員連盟が決議:政治(TOKYO Web)

第四に、大企業の経済団体も、宣言に賛成です。経団連は、宣言が発令されたらもちろん協力するという前提で、発令時の要望や対応を既にまとめています。経済同友会の代表幹事は、個人的見解と断りつつ、だらだら自粛要請を続けるよりは、期間を区切って宣言を出した方が良い、と言っています。大企業は乗り切る自信がありそうです。

経団連:新型コロナウイルス対策に関する緊急提言 (2020-03-30)

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第五に、法的に見ても、問題はありません。もともと、宣言の要件は曖昧で、総理(対策本部長)の裁量が大きくなっています。理屈についても、新型インフル特措法の立法時の元事務方(伊藤哲朗・元内閣危機管理監)も、要件を満たしたと言えるから、発令はいま必要だ、と言っています。まあ、これだけ切迫していれば、理屈は後から貨車でついてきますが。

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第六に、人権保障の点でも、やむを得ません。宣言を出しても、基本的人権の保障は絶対に揺るがせにすべきでありませんし、特に報道の自由は保障すべきです。が、集会の自由を感染防止のために制限したとしても、合理的な範囲なら、やむを得ません。これは緊急事態の性質によるものであり、政治的な理由によるものではないからです。

左翼系の団体が、宣言による集会の自由制限に反対する集会をやろうとしているようですが、世話人の一人で憲法学者の志田陽子氏が、この時期の集会に反対して当該団体から退会しました。政治的立場を超えた尊い決断です。抗議集会ができない、という反対理由も、少数意見として当然尊重はされるべきですが、感染防止のためのやむを得ない範囲の権利制限なら、リベラルの中にも理解してくれる方はいるはずです。

https://twitter.com/YoksidSinger/status/1245906380277481478

東京新聞:<新型コロナ>改正特措法「緊急事態宣言」なら 抗議集会、できなくなる:政治(TOKYO Web)

http://www.labornetjp.org/news/2020/0419shukai

第七に、経済への悪影響が最大の問題ですが、これは十分な経済対策を打てば、緩和できます。特に重要なのが、不安や反発の大きそうな中小企業への対策です。

先に見たように、経団連経済同友会など、大企業の経済団体は宣言に賛成です。しかし、中小企業を代表する日本商工会議所は、より慎重な姿勢です。日本商工会議所の三村明夫会頭は3月30日、「(中小企業にとって)痛手となる。発動は想定していない」と発言していました。ただ、4月2日には、発令した場合に市民生活にどのような影響が出るのか、政府はその想定をあらかじめ示しておくべきだ、という言い方になって、一定の理解を示しています。

東京新聞:<新型コロナ>緊急事態宣言 経団連、発令容認の意向 日商は慎重「中小、危機的」:経済(TOKYO Web)

日商会頭 緊急事態宣言の前に「プロセス示すべき」 - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト

日商 三村会頭「緊急事態宣言 影響の想定 事前に示すべき」 | NHKニュース

労働組合では、連合はやや慎重なようですが、流通・小売り等の組合であるUAゼンセンは、既に小池知事に、宣言が出た場合に店頭での混乱防止を要望、既に宣言を前提に実務的に動いています。

UAゼンセン 店頭などの混乱防止を小池都知事に要請 :日本経済新聞

経済界は、大企業は宣言に賛成、中小企業は理解を示しそうだがもともと反対、労働組合も受け入れるところは出ている状態です。

やはり、最大の課題は、中小企業と家計への支援ですから、そこについて、今週末から明後日月曜日にかけて、出来るだけ規模を大きく要件も緩くして、4月7日に経済対策を発表すると同時に、緊急事態宣言を出すべきです。

最後に、世論の反応は非常に大きな問題です。社会的距離をとらせると言っても、強制力はないのだから、国民の理解や共感が最も重要だからです。共同通信社が3月14~16日に実施した全国電世論調査によると、緊急事態宣言の発令について「慎重にするべきだ」との回答が73.5%にものぼり、「積極的にするべきだ」は24.3%しかありませんでした。今でもこの数字なら、総理が出しにくいのは理解できます。

緊急事態宣言「慎重に」73% 内閣支持49%、共同調査

しかしこれは、3月14~16日の調査で、東京などでの感染拡大がまだ分かっていない頃の調査です。3月後半に、一気に感染が広がって東京では感染爆発の可能性が強く疑われるようになり、志村けん氏がなくなり、海外からは若年層の死亡のニュースが伝わり、感染を広げているのは中年も含めた全世代だという認識が広がりました。この2,3週間で、国民の意識は大きく変わりました。この週末に調査すれば、全く違った結果になるでしょう。

ここで決然として緊急事態宣言に突っ走る小池知事に対して、左右を問わず国民から支持が集まっており、「小池は嫌いだがこれは支持」という著名人の声もネットにちらほら出てきています。田崎史郎氏がテレビで、緊急事態宣言を求める小池氏と吉村氏をくさしたのは、それに比べたときの安倍総理自民党の支持率を心配した忖度でしょう。

安倍総理は、マスク2枚で失った国民の信頼を取り戻し、この国難で国民を再び統合して、医療崩壊と感染爆発による死者を少しでも減らすために、十分な経済対策とセットで、緊急事態宣言を出すべきです。今なら、国民は必ず支持します。