日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

アメリカの死者、10万人以上の予測で株価急落:医療崩壊近い日本は、経済のためにも医療最優先にすべき。

アメリカの死者数が少なくとも10万人という政府発表で米株価が急落。医療崩壊前後には、経済か感染防止か、ではなく、経済のためにも医療体制維持と感染防止を最優先すべきです。経済対策は、全国的な災害支援モードで、政府主導の生活保障が一定期間必要です。

死者10万人超の予測が2兆ドルの経済対策の効果を帳消しに

昨日4月1日の米株式相場は大幅に続落し、下げ幅は一時1000ドルを超えました。この程度の上げ下げは普通になった株式市場ですが、今回の下落の理由は、新型コロナウイルスの感染者数の増加、特に死者数の予測が発表されたことが大きかったようです。

ホワイトハウスは、アメリカがこれから外出自粛等の政府ガイドラインを今後も続けたとしても、10万人から20万人もの死者が出る可能性があると警告しました。トランプ大統領アメリカ人に、これからの前例のない危機に立ち向かうよう求めました。全米の感染者数は昨日で20万人を超え、ニューヨーク州の感染者が前日から10%以上増え8万3712人になったと発表、致死率も上昇しました。

www.jiji.com

株式市場の反応は、こうした厳しい現状によって、感染防止政策が続くことを予測してのことです。市場全体が悲観的になっていて、とにかく流動性の高い資産を持とうとしています。

アメリカは既に2兆ドルの財政支出超党派で決定し、FRBが無制限に株を買うと発表して、それでも株価は下がっています。FRBは更に、日本同様に、10年物国債など長期金利に誘導目標をもうけ、国債を購入する策も検討しています。事実上、中央銀行が財政を支えることになるわけで、そうせざるを得ないでしょう。市場関係者は既に、まだ数兆ドルの財政支出が必要、と言い出しています。

米国株、大幅続落しダウ973ドル安 コロナ感染拡大で景気悪化懸念 :日本経済新聞

FRBがもくろむ次の一手(NY特急便) (写真=ロイター) :日本経済新聞

あれだけ巨額の財政政策を決めても、株価も経済も上向きになりません。米GDPは4月から6月はマイナス30%という異次元の落ち込みになると予測されています。リバウンドすれば逆にV字回復で二桁の成長になる、と言われていますが、現状では底が見えない状態で、コロナ不況は長びきそうです。

「感染防止か経済か」ではなく、「経済のために医療最優先」に

どうすれば底を打つか、というと、やはり、現在のような急激な感染拡大が止まって、死者数も減ってくる見通しが立つ必要があります。市場の悲観主義や、米国民の消費(巣ごもり消費でしょうが)マインドも上向かないでしょう。

これまでは、感染防止のための自粛継続と経済のための自粛緩和と、バランスをどう取るか、という問題設定がされてきました。しかし、いったん医療崩壊が起きてしまえば、あるいは、それが近づいて、死者数が増え始めたら、民主主義国家では、医療体制維持と感染防止を最優先にせざるを得ません。健康被害を軽視して生産再開を出来るのは中国のような国だけです。

自粛継続による不況で増える自殺者の方が、新型肺炎の死者より多いかもしれない、経済を重視して自粛解除をすべきだ、というのも正論です。トランプ大統領も、当初は早めに自粛解除をしようとしました。しかし、死者数に関する厳しい予測を知って、態度を一変させ、今月30日まで自粛を継続する、と発表せざるを得ませんでした。やはり、自由民主主義国家では、目に見える人の死を重視せざるを得なくなります。そして、目に見えにくい経済的な事情での死も、何としても食い止めるべきです。

後に紹介するクルーグマンの考え方にならって言えば、医療崩壊が起きている今のアメリカでは、経済を不要不急部門と、そうでない部門の二つに分けた運営にせざるを得なくなりつつあります。不要不急部門で働く人は、外出どころか仕事さえ出来ないようになる一方、社会機能の維持に必要な部門には、資金、人員等をシフトさせています。人工呼吸器やマスク等の自国生産で、部分的な統制経済にせざるを得なくなっています。もちろん、医療崩壊を食い止め、感染がおさまるまで、不要不急部門の国民の生活も維持しなければいけません。

既に下院民主党は、新たな大規模経済対策を立案中です。今回は、巨大な雇用創出パッケージで、7600億ドルのインフラ投資等で雇用を創出することが柱になっています。対策の重点は、中長期的な雇用の受け皿を作ることであり、不要不急とされてしまった部門である飲食や旅行業等で生じる数百万人の失業者を食わせることが目的です。

thehill.com

この対策、現状では共和党が全然聞く耳を持ちません。2兆ドルの対策を作ったばかりなので当然ですが、先に見たように、市場は早くも次を催促しています。コロナ不況は長引くと見ているからです。

民主党が強気なのは、そもそもトランプ大統領が、大規模で大胆な追加経済対策が必要だ、ゼロ金利なんだから、2兆ドルの公共投資をやるべきだ、とツイートしているからです。実はこれは正論で、既に共和党民主党は去年、その規模でのインフラ投資でいったん合意していたからです。不況が長引けば、共和党も同意せざるを得ないはずです。

 反トランプの経済学者のクルーグマンも(民主党案を支持してのことでしょうが)、不況は長期化するので、不要不急部門の労働者の生活を支えるため、国債発行で財政支出を続けるべきだ、と言っています。これは、景気刺激ではなくて生活を支えるためのもので、災害支援同様のものと考えるべきだ、としています。財源については、金利がゼロまたはマイナスにすれば、借りれば借りるほど財政再建が進むので問題ない、と、高橋洋一氏らと同様の考え方です。クルーグマンは、いまの経済は昏睡状態に陥った患者のようなもので、その生命維持のための経済政策を政府がするべきだ、という比喩を使っています。

www.nytimes.com

医療崩壊の近い日本でも、感染防止最優先+生活保障の政策が必要

日本でも、医療崩壊やそれが近くなってきた現状を有事ととらえた経済政策が必要であり、まずは医療体制維持と感染防止を最優先として、それに応じて、不要不急部門の人の生活を支えるための経済政策を、政府が行うべきです。

自民党鴨下一郎氏が、全ての資源と人、医療態勢整備に集中すべきだ、と言っているのは、その意味で正しい主張です。鴨下氏は、政策の議論が、中小企業対策やフリーランス救済に重点が置かれているのを、まず最優先課題として医療崩壊防止にすべきだ、それに資源と人をどう集中するかを決めて実行すべきだ、と言っています。

digital.asahi.com

私も、現在の議論の優先順位という点で、鴨下氏に賛成です。まずは、大規模な臨時医療施設や隔離所を用意して、物資も人も政府主導で医療体制を準備して、最悪の場合での死者数を最小に抑えられる見通しをつければ、長期戦で自粛を緩めたり締めたりすることも出来ます。

今の逼迫した医療体制では、自粛緩和がとても出来ません。あと2~3週間は厳しくせざるを得ませんし、緊急事態宣言も必要です。医療体制が崩壊して死者数が増えれば、更に自粛継続で経済が縮小という悪循環になります。経済のためにこそ、今は医療体制に全ての資源と人を政府主導で大至急投入すべきです。

そして、国内の感染拡大はこれからが本番なのですし、世界的な感染拡大は更に続きますから、この状態は長期化が予想されます。このため、医療最優先経済を続ける間、政府の財政支出は、単に一時的な補償・補填だけでなく、国民の一定の生活保障のためにも必要です。雇用については、自粛を強いられるサービス業の不要不急部門から、社会機能や医療体制を維持する部門への移転も必要です。財源はもちろん国債で、日銀が長期金利をマイナス金利に誘導して、政府債務を減らすようにすべきです。このやり方は国際的なスタンダードにならざるを得ないので、何のデメリットもありません。

政府が、マスクを全家計に配布するという対策は、それ自体はバカバカしいもので、昨日のブログでは私も批判しました。しかし、政府が自ら、全家計に物資を届ける手段がある、というのは、逆に明るいニュースです。

www.jiji.com

具体的には、全国すべての世帯を対象に日本郵政のシステムを活用する、ということです。恥ずかしながら私も知らなかったのですが、郵政のシステムでそれが可能なら、他の分野にも当然使えるはずです。当面は医療最優先の有事経済で、現金や小切手あるいは生活物資等を、政府が国民に届けられるなら、国民の当座の生活保障のために利用すべきです。

残念ながら、医療崩壊が現実に起こる可能性が大きくなってきました。まずは現実に医療供給体制を維持することを最優先です。患者急増に備えて、大規模医療施設・隔離所を大都市に数千・数万床規模で確保し、それを維持する物資・人の調達を政府が最優先で行い、医療体制と社会機能維持以外の部門は当面活動を縮小させ、縮小させられた部門の労働者等の生活・雇用のための大規模で持続的な財政支出を行うべきです。