日本の改革

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厚労省クラスター班「東京都で感染爆発の証拠はない。夜の街を止めれば大丈夫」と報告。都は夜の街対策と、臨時医療施設整備を。

小池都知事が政府クラスター班の西浦氏らと緊急記者会見。東京都で感染者の爆発的増の証拠はなく、夜の街で生じた感染を抑えれば食い止められる、という明るいニュースです。病床は500床確保、残り3500は逐次確保する見通しということですが、こちらはもっと有事モードの対応が必要でしょう。

感染拡大についてはとりあえず希望見えた、医療体制確保は課題

小池知事が、政府の新型コロナウイルス対策本部の専門家会議クラスター班の西浦博氏らと、記者会見しました。

今日の東京都の対策本部に、西浦氏が、最近の東京での感染者増加に関する分析を報告し、それに基づいて、都の方針を発表するという場でした。

まず、現状分析です。

小池知事は、「感染爆発の重大局面に変わりはない」、つまり、政府同様、油断すれば感染爆発だが、ぎりぎりもちこたえている、という認識は変えない、と冒頭に発言しています。

しかし、最近は感染者が急増しているだけでなく、経路不明の感染者が増えて、クラスターつぶしが追い付いていない恐れが指摘されていましたので、本ブログでも昨日、もう従来のクラスターという小集団を突き止めて、そこで感染拡大をストップさせるのはもう無理だ、と書きました。

感染経路不明の感染者増加、クラスター潰しはもう限界:医療体制の整備を最優先で至急行うべき。特に東京都! - 日本の改革

これに対し、西浦氏は、まだ感染者の爆発的増加は起きていないとして、感染のリンクが追えなくなった感染者について、夜の繁華街で特定の業種での感染が起きているから、そこに積極的介入をすれば大丈夫だ、という説明をしました。

そして、都知事がこの分析に基づいて、若年層については、カラオケとライブハウス、中高年については、バー、ナイトクラブ等の接待を伴う飲食店の利用を、当面自粛するよう、要請しました。

「夜の街クラスター」は数日前から報道も出ていましたし、専門家会議メンバーの発言もありましたが、それを正式に都の会議に上げて、対策を打った形です。

銀座や六本木、高級クラブで「夜の街クラスター」発生か : 国内 : ニュース : 読売新聞オンライン

要は、クラスター分析でリンクは追えなくなった部分があるが、その部分は特定業種に集中しており、そこの動きを止めてしまえば、感染爆発は止められる、まだコミュニティ・レベルで広がっていないからだ、ということです。西浦氏によれば、まだ制御できる、ということなので、専門家による明るいニュースです。

私は、西村氏ら政府専門家会議の知見には、全幅の信頼を置いていますので、この明るいニュースを基本的には信じます。

ただ、専門家会議も政府の機関ですから、一定の政治的与件の下での結論ではあろうと思います。

それは、政府が緊急事態宣言を出さない、という与件です。

ネットで4月1日にも緊急事態宣言というデマが流れたということで、安倍総理も菅官房長官もこれを「明確に否定」しました。

www.nikkei.com

緊急事態宣言、4月1日に出すという事実ない=菅官房長官 - ロイター

一方、日本医師会は、むしろ緊急事態宣言を出すべきだ、と主張しています。新型インフル特措法上の諮問委員会のメンバーの多くは宣言発出に賛成だとして、爆発的感染が起きたら手遅れだから、今のうちに出すべきだ、と主張しています。

digital.asahi.com

小池知事はこのところ、都民への自粛要請を強化し、「ロックダウン」に言及し、近接4県をまとめて感染防止策で足並みをそろえて、総理に支援要請と、一気に緊急事態宣言を出させる方向で総理に働きかけていました。

緊急事態宣言を出すためには、諮問委員会と対象地域の知事に仁義を切る必要がありますが、首都圏の知事はもう小池知事がまとめて臨戦状態、諮問委員会メンバーはフライングで自分達から宣言を催促しています。

法律の要件は一応ありますが、そんなものはどうとでも解釈できるのですから、あとは総理の決断を待つだけの状態です。

が、総理にその意思はないのでしょう。政府は、4月頭に緊急事態宣言を出すことを、言下に完全否定しました。デマを打ち消すことと、宣言を近日中に出す可能性があることを両立させる言い方も出来たはずです。明日3月31日と明後日4月1日の感染者数次第で、状況が変わる可能性もあるのに、それを否定しています。

可能性としては、経済的な打撃が大きすぎるからためらっているか、それとも、クラスター班による分析に基づいて、「夜の繁華街壊滅作戦」(カラオケ、ライブハウス、バー、ナイトクラブ利用自粛)をやれば、本当に感染爆発を止められる見通しがついたかの、どちらか、または両方でしょう。

私は、おそらく両方あるのだろうと思います。政府の経済対策の作成は遅れに遅れています。私も政府の動きが遅いことを批判しましたが、既にリーマンと大震災を合わせたようなひどい経済状況なのだから、色々難しいのも確かなのでしょう。このうえ、緊急事態宣言を出したら、どれほどの打撃になるか、計り知れないのも確かです。そもそも、国民の自由を制限する緊急事態宣言は、それ自体は決して好ましいものではないので、政府がためらいを見せることは、私は理解できます。

そのうえ、東京都の感染状況について、やり方次第で抑え込める可能性が本当にあるなら、まずはそちらに賭けてみるのは、正しいやり方だと思います。西浦氏の会見を聞くと、官邸に政治的に押し切られたと言うより、科学者として自信をもって発言しているように感じられましたし、作戦も合理的に見えます。

現状では、私は、専門家会議クラスター班の分析を信頼しますし、政府が当面は緊急事態宣言を出さない(と決めているらしい)ことも、東京都が今日発表した感染防止策も、支持します。

医療体制は、有事モードの整備を

ただ、それならそれで、東京都の責任は極めて重大です。特に、医療体制の整備については、急ぐ必要があります。

これについては、一点、やや安心できる材料がありました。

昨日の日経で、東京都が確保したベッドがまだ140しかないと報じていましたし、私も大変驚いて、昨日のブログで、東京都を批判しました。

www.nikkei.com

感染経路不明の感染者増加、クラスター潰しはもう限界:医療体制の整備を最優先で至急行うべき。特に東京都! - 日本の改革

しかし、今日の会見によれば、この日経の報道は誤報だったようです。既に500床を確保済みである、と都は明言していました。これには少し安心しましたし、日経はしっかりしてほしいところです。私も報道を鵜呑みにしたことを反省しています。

それでも、厚労省が求めるのは20500床、東京都は軽症者・無症状者は自宅か宿泊施設にするという方針で、中等症は3300、重症は700、合計4000を整備する予定ですが、まだあと3500必要という状態のはずです。

これについて確保の見通しは、既存の病院との調整をするが、一気に数十、数百の病床を確保は出来ないので、調整しながら徐々に整備するし、国の支援も受ける、と言っています。指定医療機関も一般病床も突貫工事で必死でやっている、というのが、現状のようです。まあ、この点は、日経が「自転車操業」と言うのも分かるところです。

とりあえず、日経が書いたような140床などということはなくて、500床は確保ということで、後も大変だけどベストは尽くしているようです。平時なら、これで全く問題ないでしょう。

ただ、小池知事も繰り返し強調する通り、国難と言っていい事態です。普通のやり方では一桁、二桁足りないような患者が短期間に押し寄せる可能性を完全には捨てられないからこそ、医師会も本気で心配しています。当面はクラスター班の分析を信用するとしても、一方で、有事モードで、普通の病院ではなく、臨時医療施設での大量のベッドをあらかじめ数百、数千、数万を確保する、というやり方も、同時に進めるべきです。

そこで期待されたのが、晴海の選手村の利用でしたが、今日の会見を聞く限り、残念ながら、それはなくなったようです。明言はしませんが、アイディアの一つに過ぎない、というトーンに、大幅に後退しました。

察するに、緊急事態宣言での強制使用で脅さないと、組織委や業者が動かないのかもしれません。少なくとも、宣言が出されることが相当の現実味を持っていれば、都は業者等に、言うことを聞かなければ強制する、と脅すことは出来たはずです。それが出来ないならとても残念ですし、緊急事態宣言が出されないことの最大のデメリットもそこにあると思います。

ということで、医療体制整備は、昨日の報道の3倍超のベッド確保は出来ているけれど、有事モードの手段がいったんなくなっているようです。ただ、素晴らしいプランですし、世論の後押しもありそうなので、是非、選手村利用は引き続き検討してほしいところです。無理そうなら、他の場所で、それこそ新国立競技場でも東京ドームでもいいので、何とか大規模臨時医療施設の目鼻立ちを大至急つけるべきです。