日本の改革

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感染経路不明の感染者増加、クラスター潰しはもう限界:医療体制の整備を最優先で至急行うべき。特に東京都!

東京で感染経路不明の感染者が急増し、クラスター潰しから、次のフェーズに移るべきです。東京・大阪の自粛要請への市民の対応を見て、今なら国民の理解があるので、専門家の意見を公表のうえ、緊急事態宣言を出すべきです。ただし、自粛要請は長く続けられないので、感染爆発でも対応可能な医療体制の整備を大至急行うべきです。

クラスター潰しはもう無理か

安倍総理が昨夜会見、まだ緊急事態宣言を出す状況ではないとの認識を示しました。

しかし、これまで一定の成果をおさめてきた日本の感染症対策が、残念ながら、限界を見せています。感染リンクを丹念に特定してクラスター潰しを行ってきましたが、感染経路不明の感染者数が急増しています。

毎日新聞が、クラスター潰し作戦の現状を報じているので引用します。

政府の諮問委員会で、ある感染症の専門家は「パブやクラブでクラスターが出ているが、みんな正直に言わないから(感染経路が)追えない」と述べた。小池知事が「夜間の外出自粛」を求めているのは、飲食店やクラブに通う若者らの行動を念頭に置いたものだ。  

(略)

1回の聞き取りで患者が全てを話すとは限らないことや、行動範囲が広い場合があるなど聞き取りの作業には手間がかかる。感染者は高齢者も多く、記憶が曖昧なケースもある。

マンパワーの不足は深刻化しつつある。都の担当幹部は「一つの保健所の管轄内で1日当たり5、6人の患者が出ると、感染経路が追えなくなってくる。逼迫(ひっぱく)している状況だ」と明かす。厚生労働省は、保健所の体制強化を指示しているが、医師や保健師が担う調査には高いスキルが必要という。

毎日新聞電子版2020年3月28日

mainichi.jp

東京では、平たく言えば、夜遊びが感染急増の大きな原因だということです。現在は夜間の外出自粛と言っていますが、夜間の営業自粛要請までは、踏み切れずにいます。それなら感染リンクを追うということでクラスター作戦をやっていますが、人手不足でもう無理なようです。

保健所等のマンパワーを増やすことについては、専門家会議は最初からずっと言い続けているのに、未だに実現していません。感染急増で追いつかなくなったのでしょうし、政府がやる気になっても、能力のある人がそもそも足りないのでしょう。

ここ数日の東京、昨日の千葉については、病院や福祉施設での集団感染がかなりの割合を占めるので、そこはクラスター潰し作戦のコントロール下にあるとは言えます。ただ、台東区の中核的な病院での集団感染や、千葉等で高齢者の多い福祉施設の集団感染が起きているのは、医療・介護のマンパワーを大きく削ります。

専門家の意見は割れてきたが、収束してきた

緊急事態宣言を発することには、デメリットもあります。自粛が強すぎて期間も長過ぎると、国民が疲弊してしまい、自粛への協力も得られなくなり、結局は感染防止が出来なくなります。

この考え方をとってきた専門家が、専門家会議の岡部信彦氏です。2月末からの全国イベント自粛と一斉休校を解除するかについて、3月19日、専門家会議が示した分析と提言で、結局は両方解除しましたが、イベントについては専門家の意見が割れていました。岡部信彦氏らが賛成、西浦博氏らは反対(最悪を想定して備える、という考え方)だったようです。

https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-okabe-3

私も、基本的には、岡部氏に近い考え方です。自粛をやたらに続けても、国民の理解や協力は得られませんし、かえって感染防止にならないでしょう。

ただ、3月下旬、学校一斉休校は解除され、イベント自粛も一応は解除、花見にも出かけるくらいの余裕は出来て、いったんは国民の緊張を緩めることが出来ました。そのタイミングで、2週間前の感染拡大の実態が、東京などではっきりデータで出てきました。今なら、更なる自粛要請の強化や、緊急事態宣言さえ、国民の理解が得られるでしょう。

岡部氏も、緊急事態宣言について、必ずしも全否定ではなくなってきました。

今なら日本の「医療崩壊」は食い止められる 岡部信彦・川崎市健康安全研究所長の提言

政府は、専門家がまだ緊急事態と見ていないから宣言も出さない、と言っていますが、まずは、諮問委員会の見解を国民に公表すべきですし、現状のクラスター潰しが限界に来ていることを認識し、次のフェーズの対策に移るべきです。

最優先すべきは医療体制の整備

緊急事態宣言より先に、真っ先にやるべきは、医療体制の整備です。

現状では、都道府県知事による自粛要請強化の効果を見ていて、更なる感染拡大があれば緊急事態宣言、それでも効果が不十分なら、新法を作るか超法規的な方法で、いわゆるロックダウン、ということでしょう。しかし、こうした各段階を待たず、直ちに、感染爆発に対応可能な医療体制の整備を行うべきです。

国民に何をどれほど要請しても、感染爆発は起きる可能性があります。そして、経済への深刻な影響を考えれば、今のレベルの自粛要請さえ、長くは続けられません。緊急事態宣言も、たった3週間さえ続けらるかどうか分からないようです。自粛要請は、国民が我慢できるかどうかを見ながら、やったりやめたりの繰り返ししか出来ない方法です。

だとすると、感染爆発がいつ起きてもいいように備えることを、一番最初にやるべきです。

自粛要請を強めるほど、経済対策も必要になります。日本政府は信じられないほど経済対策を作るのに時間がかかっていますが、「ワープのスピードで」2兆ドルの対策を作ったアメリカでさえ、早くも、これでは足りない、という声が上がっています。ロックダウンが厳し過ぎて、経済がすさまじいダメージを受けているからです。ニューヨーク州知事はこれでは足りないと言い、ペロシ下院議長はこれで終わりではないと言い、ある議員はこれは頭金にすぎないと言っています。

Struggling states warn coronavirus stimulus falls short | TheHill

Trump signs historic $2 trillion coronavirus stimulus bill - Axios

だから日本もアメリカ以上の対策を、と言うのではありません。自粛要請等の強化とそれに応じた経済対策にも、限界があるということです。自粛要請を強めて経済対策を上積みするのも、いつまでも出来ません。自粛要請もいずれ緩めざるを得ないのですから、感染者の急増も、どこかの段階では避けられません。この感染症では、「ピークカット」が出来るかどうかさえ、よく分かりません。

このため、何がどうなってもいいように、感染がピークに達した時の医療体制整備を、何よりも最初にやるべきです。

ところが、大都市の医療体制の整備は相変わらず進んでいません。特にひどいのが、東京都です。国が3月6日に、2万人分の病床を揃えろと求めて、一応の方針は示しました。重症者分の700床と中等症までの4000床は揃えるとして、軽症者は自宅等にするというようです。が、実際に確保は進んでいないようなので、本ブログでは、方針には賛成だし、これなら何とかなるだろうから、とにかく急いでほしいと書きました。

自民都連も白旗?の小池都知事、「首都封鎖」を発信、若者向けに合理的対策。医療体制整備は一層の加速を。 - 日本の改革

ところが、今朝の日経を見ると、東京都の病床等の確保は全然進んでいないようです。日経から引用します。

東京都は感染症指定医療機関の118床に22床を上乗せした140床を確保したと回答。だが多数の感染確認が続いており、「受け入れに協力してくれる一般病院を探しながら対応している」という。入院患者は223人に上っており、"自転車操業"状態だ。
東京以外の4道府県は確保した病床で対応できていた。
都は民間病院も加え計4千床の病床確保を目指している。軽症者は自宅や宿泊施設での療養を検討するが、病床確保の前に感染者が急増し、厳しい状況が続いている。

(略)

このほか東京、愛知、兵庫の3都県は専用のICUの病床数を把握していなかった。東京、愛知は人工呼吸器の台数も調査中だった。

出所:日本経済新聞2020年3月29日 

出所:日本経済新聞2020年3月29日

東京、コロナ用の病床逼迫 自治体の体制把握は不十分 :日本経済新聞

いくら人口が多いとはいえ、東京都の準備状況は、他の自治体と比べても「全然ダメ」というレベルなのが分かります。もともとの医療体制の違いがあるとは言え、財政的に恵まれた首都が言い訳などできません。財政的に厳しい中での大阪府のスピードは素晴らしいし、東京都は見習うべきです。東京都は、医療体制整備の方針としては正しいものを示しているのですから、それを一刻も早く実現すべきです。

小池知事が、選手村の医療施設転用を打ち出したのは、こうした遅れに危機感を持ってのことでしょう。これは素晴らしい方法です。東京都では、平時から医療崩壊寸前の状態で回しているから、常識的なやり方でベッド等確保できるわけがないのですから、有事モードでの対策を明日から行うべきです。