日本の改革

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都知事が政府に促す緊急事態宣言、首都圏全域の協力とセットにして、晴海の選手村に強制使用規定の適用を

改正インフル特措法の緊急事態宣言、私権制限を伴うので謙抑的であるべきですが、東京等での感染急増のため、やむを得ません。自粛要請では隣接他県の更なる協力も要請したうえ、医療体制確保のための強制使用の規定を、晴海の選手村に適用すべきです。

都知事が緊急事態宣言の地ならし

小池都知事は、政府に対し、緊急事態宣言を促しているように見えます。

3月21日に厚労省から感染拡大の厳しい予測を聞いてから、23日には都市封鎖、「ロックダウン」に言及して都イベント自粛延期等を発表、25日に感染者数が41名になったのを見て、同日に現状を「感染爆発重大局面」と表現して、「国の方にも対策について検討をいただくようにお願い」しました。ロックダウンも想定した重大局面での「国の対策」と言えば、緊急事態宣言です。

25日の記者会見では更に、記者からの質問で、都市封鎖は都知事の発令によるのか、国による緊急事態宣言での知事権限でやるのか、と聞かれて、このまま何もしなければロックダウンを招いてしまう、今まさに重大局面、と曖昧にかわしました。どちらもあり得るという答え方です。

小池知事「知事の部屋」/記者会見(令和2年3月25日)|東京都

その後、26日に1都4県の知事会議を開いて、東京や外出自粛要請で足並みを揃えることとなりました。これも、緊急事態宣言のためには、重要なステップです。首都圏は経済・社会的に一体なので、実効性のある宣言にするためには、近接する県の準備が必要だからです。

更に、同日夜に安倍首相に、政府に支援を要請していますが、緊急事態宣言となれば、政府は対象地域に支援をすることになります。 

都知事は27日の記者会見では、現時点で緊急事態宣言に値するか否か、「まさにぎりぎりのところではないか、だからこそ重大局面と申し上げている」と答えています。

小池知事「知事の部屋」/記者会見(令和2年3月27日)|東京都

このように、小池知事は、インフル特措法の緊急事態宣言を想定しているだけではなく、政府にそれを促しているように見えます。

これに対し、安倍総理も西村担当大臣も、「現時点はない」、「まだその状況にない」と言っています。

政府がこの段階でも、緊急事態宣言を発することに抑制的な姿勢は十分理解できます。私は、現行法上の緊急事態宣言の制度自体に欠陥があるので、本来はなるべく避けるべきだと考えています。都道府県単位の宣言が混乱を起こす可能性がありますし、後に撤回したとはいえ、政府がテレビ局の報道の自由の制約にまで言及したのは、やり過ぎだと思うからです。

しかし、東京都でこれだけ急速に感染が拡大して、しかも今ならそれを抑えられる可能性が十分あるというなら、報道の自由を十分保障したうえなら、緊急事態宣言もやむを得ません。

感染防止のためには、強制的な行動制限ではなく、国民の自由が保障される行動変容によるべきですが、都知事が、ロックダウンと言い、重大局面と言って、都民に自粛要請をしても、現時点では限界があります。先月、北海道知事が道として緊急事態宣言を出したのは、相当の効果が上がりましたが、自粛疲れもあります。自治体ではなく、政府が緊急事態宣言を出すことが強いメッセージになるはずです。

また、対象地域は、可能ならば1都4県にすべきですが、東京都だけに宣言を出す際にも、近隣4県や関東全域の自治体知事に、自粛要請等での更なる協力を得ることとセットにすべきです。先にも書いた通り、感染防止のためには、生活圏として一体化した首都圏全域を対象にしなければ、効果が薄いからです。

立法時にも、専門家の中には、地域ごとの宣言ではなく、全国的な宣言にすべき、との意見もありました。2012年のインフル特措法有識者会議で、押谷仁委員が、2009年に大阪、神戸で大きな風評被害が起きたとして、地域ごとではなく、全国への宣言にすべきではないか、と主張しています。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/yusikisyakaigi/dai3/gijiroku3.pdf

 私も、この制度はむしろ全国的な宣言にして、地域ごとに強弱をつける形にした方が、実効性もあがり、風評被害を防ぐことで平等権の保障がされるという点で、国民の権利保護にもつながると思います。

現行法を前提にすれば、たとえば、東京都だけではなく、1都4県や、それに栃木、茨城も含めた関東全域等への宣言にするか、それが無理なら、東京都対象の宣言を行うと同時に、政府から感染棒強化の要請を行えば、実効性も上がり、宣言に伴うデメリットも小さくできるでしょう。

医療体制強化に緊急事態宣言は役に立つ

緊急事態宣言は、自粛要請等については罰則等がありませんが、医療体制整備等については、私権制限が出来ます。新型インフル特措法は49条2項で、臨時の医療施設の解説のために、所有者・占有者が同意しなくても、土地・家屋・物資等を使用することが出来ると言う、強制使用制度があるからです。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?openerCode=1&lawId=424AC0000000031_20190625_430AC0000000067#317

いま東京都に緊急事態宣言を出すことの最大のメリットはここにあるでしょう。感染者の爆発的増加、オーバーシュートが起きる可能性が現実にあるうえ、ピーク時に備えた医療体制の整備が間に合っていないからです。これについては、以前のブログでも書きました。

自民都連も白旗?の小池都知事、「首都封鎖」を発信、若者向けに合理的対策。医療体制整備は一層の加速を。 - 日本の改革

これは東京都に限ったことではありません。NHKの取材によると、大都市圏を抱える都道府県で、ベッドだけでも確保できた自治体は、「神奈川県を除いて(※3月29日加筆)」一つもありません。NHKのサイトから引用します。

厚生労働省が示した計算式をもとに、感染がピークを迎えた時に各都道府県で入院が想定される患者の数をすべて足し上げると、約22万9500人となりますが、各都道府県に対し、計算式に基づく病床数を確保できる見通しがあるか聞いたところ、「確保できる見通し」と答えたのは神奈川県と岡山県の2県で、18都府県が「確保できない見通し」、27道府県が「確保できるかわからない」と回答し、対応できる病床の確保に課題があることが明らかになりました。

「確保できない」、「確保できるかわからない」とした理由について、「多すぎて物理的に不可能」、「試算の根拠が不明確」、「実際には対策を講じるため必要な数はより少なくなるとみられる」などと回答しています。

新型コロナ感染ピーク時 目安の病床数確保難しい現状明らかに | NHKニュース

どこも整備できていないということは、東京や首都圏で医療資源が足りなくなっても、他地域に頼れないということです。ましてや、東京都は、首都として国全体を守る責務を負っているのであり、自前で全てを調達するとともに、他地域への支援にも備えるような、十分な余裕を持てるくらいの医療体制整備をすべき自治体です。現下の東京での医療体制整備はただちに行い、来週にもメドをつけるスピード感が必要です。

そう考えれば、都知事が提案している、晴海の選手村の医療施設への転用は、是非やるべきです。課題としては、施設がまだ全部できていないこと、組織委が管理していること、開発した特定建築者である三井不動産住友不動産等の業者との調整、購入者への補償等でしょうが、どれもクリア可能なはずです。

未完成とはいえ、完成時に2万人超が生活できるスペースですし、必要な臨時施設は特定建築者に協力を要請し、仮の施設を大至急建設させることも出来ます。必要なら自衛隊に補完してもらうことも出来ます。特定建築者の企業は断れる立場ではないはずですし、組織委も当然協力するはずです。万一ごねたりするなら、強制使用規定を利用すると言っておどせばいいので、業者や組織委は、結局は同意せざるを得ません。

購入者への補償については、既に分譲マンションを購入した人が900人弱いるようですが、一番高くても2億円、仮にこの価格で全額補償しても1800億円足らずです。実際には、多くが1億円いくかどうかのようで、仮に1億なら900億円です。報道によると、新型コロナ対応施設として使われた場合の資産価格の下落は1割程度という見方もあるようで、それが事実なら、実際には一桁小さいくらいの補償額でしょう。

再開発して売る方の業者は、もともと有利な条件で事業に参加できたとの指摘もある中、このような事態で巨額の補償を請求できる立場ではないはずです。あえて赤旗のリンクを貼りますが、業者への売却価格の批判等がされています。関連会社に都から天下りをしているとの指摘もあるようで、事実なら、この機会に知事は大掃除をすべきでしょう。

都有地、破格値で売却へ/東京都 五輪選手村 建設大手に

都OB22人 天下り/五輪選手村開発関連10社/都有地9割引き 関与か

都知事さえ決断すれば、都議会でも、都民ファースト公明党等はもちろん賛成しますし、今では自民党も賛成します。

市街地再開発事業 | 選手村の整備(大会後のまちづくり) | 東京都都市整備局

晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業の特定建築者予定者を決定しました | 東京都都市整備局

選手村、コロナ患者の一時滞在施設に 小池知事が提案 [新型肺炎・コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

“選手村マンション”に衝撃発言 都知事アイデアに購入者は... - FNN.jpプライムオンライン

東京新聞:<東京2020>東京五輪延期なら… ポスト選手村、補償問題に? 分譲・入居遅れ懸念:社会(TOKYO Web)

こうして課題をクリアすれば、厚労省が求める2万人の病床に匹敵するくらいのスペース、施設が一気に確保できます。既に都は重症者向けの700床、中等症向けの3000床くらいは見通しを立てているので、20000床は十分準備できます。選手村は交通の便もよく、隔離もやりやすいので、これから感染者が爆発的に増えたときに、一番円滑に利用できます。軽症者は自宅に戻すプランでしたが、晴海に集められれば、家族間の感染を防げます。

緊急事態宣言の最大のメリットを、晴海について生かすべきです。