日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

300万人超の失業が報じられたときには、既に失業対策入りの2兆ドル法案合意のアメリカ:日本は4月を待たずに経済対策決定を

アメリカで300万人超の失業保険の新規申請、大恐慌以来の失業のおそれがありますが、与野党合意済の2兆ドル経済対策に既に失業対策も入っており、株価は上がっています。日本は来年度予算案が決まる今日になっても経済対策が決まらず、4月にまとめると言っているのは遅すぎます。

史上最悪の雇用情勢で、逆に株価上昇のアメリ

アメリカで、21日まで1週間の失業保険の新規申請件数は328万3千件となり、リーマン危機時の66万件の約5倍になりました。市場予測の150万件も大幅に超過、今後、失業率は30%になって世界大恐慌以来になるおそれさえ指摘されています。

www.nikkei.com

にもかかわらず、アメリカの株価は大きく上がりました。

雇用に関する史上最悪レベルのニュースが、2兆ドル規模の大型経済対策の成立を確実にさせるだろう、という安心感が広がったからです。市場には、直近の数字が悪ければ悪いほど、経済対策は大規模になって、株価はリバウンドする、という声まであります。

www.wsj.com

もちろん、これで安心というわけでは全然ありません。雇用の悪化はこれから本格化します。感染防止の先行きが見えない以上、雇用含めた経済の更なる悪化は必至ですし、経済対策も間に合うかどうか、効果的かどうかは分かりません。

しかし、現時点のアメリカの対策を見るときに肝心なことは、大恐慌時並みの失業という最悪のニュースが報じられたときには、既に史上最大規模の経済対策が決定しており、その中に大規模失業対策も入っていた、というスピード感です。今後、事態が悪くなった時に備えて、今後も、このように先手先手を打つことが大事ですし、日本が見習うべき迅速な意思決定をしています。

米上院は25日、2兆ドル規模の大型経済対策法案を賛成多数で可決しました。法案は27日に下院でも採決しますし、大統領もすぐ署名すると言っています。

この経済対策、実は、成立のハードルは相当高いものでした。大雑把に言えば、家計への現金給付と企業支援を主とする共和党案1兆ドル弱に対し、民主党一時帰休対策の支給金や失業給付の拡大等の1兆ドル弱を主張して、両党は対立していました。大統領選の真っ最中でもあり、両方とも独自色を出す必要もあります。民主党は、トランプ関連企業への補助金が出しにくくなるような、けっこう嫌らしい修正も迫りました。

しかし、本ブログでも紹介した通り、上院共和党リーダーのマコネル議員が、「ワープのスピードで」作ると3月18日に表明していた通り、色々と経緯はありつつ、共和党民主党の主張もおおむね丸飲みして、規模も両方の案を足して更に膨らませたような2兆ドル対策で合意しました。

米2兆ドル景気対策が成立へ FRB、一般企業にも資金 (写真=ロイター) :日本経済新聞

How the $2 trillion deal came together — and nearly fell apart - POLITICO

米上院共和党「財政政策をワープのスピードで作る」、アメリカの対策は1兆ドル:GDP比で同じ規模なら、日本は25兆円。 - 日本の改革

日本は経済対策の「決め方」も有事モードにすべき

これに対して、日本の経済対策のスピードは遅すぎます。政府・与党が緊急経済対策をまとめるのは4月です。今日、参議院で来年度予算案が成立しますが、まだ議論しています。来年度補正予算を来年度予算案の議論中に決められない、という理由でさえなく、単にぐずぐずているだけです。

目玉の家計への直接支援策についても、所得制限をするならするで、簡単なやり方をすぐ決めるべきです。一昨日の段階で、「所得が大幅に減少した世帯」を対象とするなどと、線引きが大変難しい案を検討しはじめて、制度設計はこれから、フリーランス等の所得把握が難しい層はどうするか分かりません、などと呑気なことを言っています。アメリカほど単純に大人1人に最大1200ドル、子供には500ドルとするのが難しいなら、既に政府・自治体が把握済の所得に基づいた線引きをやるべきです。

たとえば、本ブログでは、児童手当対象世帯、住民税非課税世帯、昨年の確定申告に基づいて、1999年時の定率減税と同じ基準で、昨年の確定申告に基づいた給付を主張しましたが、中身はどうあれ、明確で分かりやすい基準ですぐ給付が可能な制度を、一日も早く決めるきです。

20万円給付、商品券…緊急経済対策「大きいほどいい」:朝日新聞デジタル

現金給付は所得減少世帯に 経済対策、GDPの1割 :日本経済新聞

政府が子育て世帯に現金給付案:子育て特例給付金を3兆円、簡素な給付措置を2兆円、所得税・住民税の定率減税による還付5兆円を行うべき。 - 日本の改革

日本の意思決定がここまで遅い理由の一つは、こんな緊急時でさえ、自民党の政調部会を通すプロセスをいちいち踏んでいるからです。農林部会で和牛購入の商品券という案が出たことが批判されていますが、中身以上に問題なのは決め方です。和牛商品券が良いとは言いませんが、補償もなしに外食も旅行もするなと政府が言うのだから、打撃を受ける特定の業界への支援は止むを得ません。既得権への支出、というのではなく、当然の損失補償の代わりとして迅速な支出が必要です。

問題は、それをいちいち平時と同じ決め方で、時間をかけたボトムアップのやり方をしていることです。このために、特定業界と族議員の非常識さが、一層反映されやすくなっています。いまの緊急時には、官邸の一部と自公幹事長・政調会長だけで、トップダウンで決めてしまうくらいの対応が必要です。

税制改正についてはさすがに非常時の対応ということで、幹部会合で急きょ納税猶予や減税を決めるようですが、肝心の経済対策全体のパッケージを決めるのが遅すぎます。

日本農業新聞 - [新型コロナ] 和牛消費へ商品券 経済対策自民が検討

新型コロナ対策、企業支援へ3段構え 自民税調が異例の開催 :日本経済新聞

東京都の自粛要請は首都圏全体に広げられ、現状では、むしろ知事たちが緊急事態宣言を催促するような様子さえ見られます。オリンピックの需要が消えた状態で、更なる自粛が加わるのですから、経済については、ふつうの「緊急対策」の決め方ではいけません。いま検討中の経済対策は、4月を待たず今月中に、1日も早く決めるべきですし、今後の経済情勢の悪化時には、自民党の政調部会を飛ばした決め方をするべきです。