日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

欧米諸国が入国制限やり過ぎ、トランプは流行長期化を示唆:どうせ長引くので、日本は行動制限を緩めて、状況ごとに対策調整を。

欧米諸国が入国制限を強化、トランプが感染症流行の長期化や米経済の不況入りを示唆、ダウが大暴落。感染症拡大は治療薬のメドがつく秋までは続くでしょうから、日本は冷静に、感染症対策を緩めつつ、財政金融政策は大胆に行うべきです。

欧米諸国の入国管理強化はやり過ぎ

欧米諸国が国境封鎖や国内の外出制限等、次々に強力な感染症対策を始めています。アメリカが欧州からの入国禁止を発表した時には批判したはずの欧州首脳も、次々と自国や欧州圏への入国・入域を制限する措置を発表しています。外出禁止令も広がっており、フランス等が罰則付きの厳しい対応を始めています。

欧米、一斉に入国制限に動く 欧州委は入域制限提案 (写真=ロイター) :日本経済新聞

フランスが外出禁止令、違反者には罰則 新型コロナとの「戦争」状態とマクロン氏 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News

これに加えて、トランプ大統領が、感染症の流行は8月くらいまで続く可能性も示唆、さすがに景気後退も認める発言もしました。更に、10人以上の集会は控え、不要不急の旅行や外食もしないように、仕事や学校は出来る限りリモートで、という新たなガイドラインも発表しました。こうした行動制限自体は15日間のみですが、流行自体は夏かそれ以降まで続く可能性を認めた形です。

そのうえ、G7の電話会議でも、特段具体的なことは決まりませんでした。もともと、マクロン大統領がトランプ氏に強く求めて実現したとかで、象徴的な意味しか見えません。皮肉に見れば、入国制限の強化で、最初アメリカに反対した欧州も足並みをそろえたとは言えます。

以上のような、欧米諸国の厳しい入国制限と国内の行動制限、トランプによる流行長期化と景気後退の見通し表明、G7の空振り等で、ダウは3000ドルの暴落です。

「10人超の集まり回避を」 米、新型コロナで行動指針 (写真=AP) :日本経済新聞

見えぬ危機 政策協調の真剣度問う (写真=AP) :日本経済新聞

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100021632.pdf

 NYダウ急落、過去最大の下げ幅 2997ドル安 (写真=ロイター) :日本経済新聞

私は、欧米諸国の現在の対応は、やり過ぎだと思います。特に、入国管理については、既に国内で多数の感染が出ている国まで、新たな入国制限を課しており、意味はほとんどないでしょう。これは、アメリカが欧州からの入国管理を禁止した際に、あらためて多くの専門家も言っています。

WHOは中国の言いなりで全くあてにならない機関ですが、いま、中国が欧州からの入国を制限し始めているのに、それでも入国制限は「包括的な感染拡大防止策の一つにすぎない」として、乱用は避けるよう訴えています。

Why travel bans won’t prevent the spread of coronavirus - Vox

WHOが入国制限の乱用戒め 感染拡大防止の取り組みがおろそかになるのを懸念 - 毎日新聞

行動制限についても、感染者数・死者数とも急増している国ではやむを得ないでしょうが、国民の納得感と協力がどれくらい得られるかは、少し心配です。フランスでは、外出自粛措置にも関わらず、大勢の市民が都市に出て、店には入らないで路上で集団で騒いでいる様子がネットに出たりしています。

欧米の民主主義諸国で、日本のように国民の自発的な行動を変えるよう働きかける「行動変容」を目指すのではなく、いきなり強制的な「行動制限」を始めているのは、残念な事態です。日米欧で習慣や医療制度等は違うとはいえ、もっと国民の自由を尊重し、国民の賢明さを信頼するやり方の方が効果的ではないか、と思います。

流行が長引きそうな二つの理由

このように、欧米諸国の現在の感染防止策については、私はやり過ぎだと思います。

が、トランプ大統領が言う、感染症の流行が8月かそれ以降くらいまでは続くのでは、という認識は、正しいだろうと思います。

理由の一つは、新型コロナウイルスとインフルエンザの性質の違いです。

現在の日本の自粛要請については、3月19日頃に、専門者会議の判断を見て決める、と安倍総理は言っています。専門家が決めたわけではない全国的な自粛要請につき、いつやめるかの難しい判断を専門家会議に任せているような状態ですが、下駄を預けられた専門家会議のメンバーは、案の定、そう簡単に決められないと言い出しました。

今の状況は、3月19日の時点で、感染者の増加のスピードが落ちていれば、自粛は解除、急激なままなら緊急事態宣言等で対策強化、ということです。ところが、その見分けがつかない、と専門家が言い出しました。日経から引用します。

しかし、実際は「どちらとも言い切れない状況が十分にあり得る」と専門家会議委員で日本環境感染学会理事長の舘田一博・東邦大教授は指摘する。第1の理由は、2つのケースを想定したグラフが新型インフルエンザ対策を念頭に置いたもので、性質の異なる新型コロナに当てはまらない可能性があるからだ。

舘田教授によると、インフルエンザは短期間のうちに一気に患者が増えてピークが鋭い。一方、通常のコロナウイルスによる風邪などから推定すると、新型コロナのピークは不明瞭で、感染者数が多い状態が比較的長いとみられるという。対策によってなだらかになったかを判別しにくい。

日本経済新聞2020年3月16日

www.nikkei.com

ということで、感染の分かりやすいピークなどないまま、感染力が高い新型コロナウイルスの流行がだらだらと続く、というのは、ありそうなシナリオです。

流行が夏頃まで続くと思われるもう一つの理由は、治療薬の開発です。いくつか、個別に効果がありそうな既存治療薬はあるようですが、承認手続を考えれば、だいぶ時間がかかりそうです。毎日新聞から引用します。

厚労省の関係者は「4月中に臨床研究の結果がまとまるものがあるかもしれない。承認は早くて5月ぐらい。ただし、研究結果が遅れれば、承認はさらに遅れる」と話す。感染研の脇田隆字所長は「国内の流行を抑えている間に、半年くらいで治療薬にめどがついてくる」との見通しを示す。

毎日新聞2020年3月17日

mainichi.jp

ということで、流行を抑えるための恐らく一番良い手段の治療薬の開発が、半年は必要ということで、今年9月まではかかりそうです。

なお、昨日導入された日銀の新しいオペ、9月までの時限措置です。要路の人達のスケジュール感はそんなところかもしれません。

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200316e.pdf

アメリカが1%も金利を下げたのに、日銀の「利下げなし」はダメ、「企業金融支援特別オペの導入」は予想外の良い方向。 - 日本の改革

つまり、この新型コロナウイルスの性質と、治療薬開発の時間を考えれば、9月くらいまでは結局、流行は続くでしょう。少なくとも今のところ、このシナリオを前提にした方が無難です。

これだけ期間が長いなら、日本の感染症対策も、現在のような全国的な自粛や、ましてや更に強化した政策は、ちょっと難しそうです。緊急事態宣言を出して、半ば無理やり自粛要請と一部強制を行うのも手ですが、2~3週間の緩めの自粛要請でこれほど経済が大打撃を受けているのに、夏や秋まで緊急事態宣言を続けるのは現実的ではありません。地域ごとに出すものだと言っても、現状では、全国的にあちこちで出さないといけないでしょう。最長2年間も続けると言うのは、よほど致死率が高い感染症でなければ、この制度を適用する価値はありません。

この意味で、大阪府が、当初の予定通りに、府主催のイベントの延期・中止を解除しているのは、大変賢明なことだと思います。府の方針は、インフルエンザのような鋭いピークを想定しているように見えますが、新型コロナはもっとだらだらと続く可能性があるので、そのたびごとにまた対策を締めるべきでしょうし、もとよりその方針のようです。

大阪府/第8回大阪府新型コロナウイルス対策本部会議

結局、日本は、感染拡大が3月19日の時点で一定程度抑えられているならば、自粛要請は原則解除、その後は、感染拡大しそうならまた少し強める、という制御の仕方を進めていくべきです。そして、それがかなり長く続きそうだという心づもりをして、患者の急増はいつでもあり得るので、医療体制の整備を急ぐべきでしょう。