日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

政府が子育て世帯に現金給付案:子育て特例給付金を3兆円、簡素な給付措置を2兆円、所得税・住民税の定率減税による還付5兆円を行うべき。

政府が、経済対策で子育て世帯への現金給付案と報道。やるなら、2014年増税時と全く同じ「子育て世帯臨時特例給付金」を3兆円、「簡易な給付措置(臨時福祉給付金)」を2兆円行い、減税は所得税・住民税の定率減税による5兆円の還付を、まずやるべきです。

安倍政権も言い出した子育て世帯への給付金

政府は景気減速に対応し、4月の緊急経済対策を子育て世帯への支援を中心にして、現金給付案を検討し始めました。小学校などの臨時休校や工場の休業に伴い、仕事を長く休まなければならない人が増加する可能性があり、とりわけ子育て世帯は収入減にとどまらない様々な負担が増すからです。

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自民、公明両党も昨日3月11日、幹事長、国対委員長、両党政調会長で会談、しかも、政府から菅義偉官房長官と内政担当の古谷一之官房副長官補がこの会合に出席。その場での話かどうか分かりませんが、自公両党等で、第3弾の経済対策として、子育て世帯に3万円を給付する案を「水面下で検討」、補正予算の規模は「10兆~20兆円とする案が取りざた」と、時事通信が報じています。

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政策の重点も、予算規模も、極めて的確で、素晴らしい対応です。

本ブログでは、3月3日に、緊急経済対策として、家計向きの臨時給付金で10兆円の対策をやるべきだ、と書きました。具体的には、2014年の消費税増税時に実施した「子育て特例給付」と、低所得者向きの「簡素な給付措置」をやるべきだ、と主張しました。上記報道が事実なら、政府も自公も、方向としては同じです。

私は、法人税減税もやるべきと考えますが、なかなか難しいようなので、まずは、家計向き給付金という政策に賛成です。

ついに雇用も悪化、ピンチをチャンスに変える成長戦略が必要:トランプ減税にならって、法人税減税による企業の国内回帰を。 - 日本の改革

玉木雄一郎議員も、3月4日には所得税・消費税減税で家計向きに10~15兆円の対策と言っていましたが、

3月9日には、政府の第2弾の対策が小さすぎるとして、簡素な給付措置で1人10万円、と言い出しました。規模から言って、家計向き給付金を対策の中心にしました。

これも歓迎すべき動きです。枝野幸男氏も、一応、家計向き直接支援は賛成です。

こうして、政府、自公、野党第一党を含む旧民主の二党が、10~20兆円超の規模で、家計向き給付金を主とする方向で、足並みを揃えつつあります。あとは規模の勝負です。

私は、3月3日に10兆円規模の対策にすべき、と書きましたが、自公も国民民主党も15兆円、更には20兆円と言う数字を主張・検討しています。それなら、10兆円というのは比較的堅い数字で、実現の可能性は十分にあります。東京オリンピックも、いよいよ延期や中止の議論が現実化してきました。このインパクトを考えれば、10兆円という規模は、決して大きすぎるものではありません。

子育て世帯支援に3兆、低所得家計に2兆、中低所得層に所得税・住民税減税を5兆

10兆円の内訳ですが、子育て世帯給付金に3兆円、低所得層向けの簡素な給付措置に2兆円、中低所得層向けの所得税・住民税減税に5兆円、とすべきです。

まず、家計向きの二つの給付金の具体的な制度については、以前のブログにも書いた通り、2014年消費税増税時に実施した二つの制度をそのまま利用すべきです。

株価が過去最高の上げ幅の一方、米議会は今週中に75億ドルの緊急対策:日本は与野党で家計向き臨時給付金を打ち出すべき。 - 日本の改革

この制度ならば、ごく最近に実施したことのある制度で、対象世帯もはっきりしており、国も自治体も事務手続きにも比較的慣れていて、すぐに実施できます。

効果も十分に期待できます。

これも3月3日のブログに書いたことですが、この政策の効果は、内閣府の実証研究によって確かめられています。

子育て給付金の効果は(ものすごくおおざっぱに言って)、1万円の給付で1万円の消費があった、ということで、貯金には全然回らず、ちゃんと全額が消費に使われたようです。
簡素な給付措置については、効果が表れなかったようですが、これには理由があります。この研究では、2014年中に給付金が支給されて、2015年1月の消費に変化があったかを計測しているのですが、対象となった世帯は低所得層だったので、2014年中に消費してしまった、ということのようです。つまり、おそらくは、1万5000円支給した分がすぐに全て消費されたと思われます。

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je16/pdf/p01023.pdf#search=%27%E8%87%A8%E6%99%82%E7%B5%A6%E4%BB%98%E9%87%91+%E5%8A%B9%E6%9E%9C%27

以下、2014年度当時の制度を具体的に概観します。

2014年度の子育て特例給付金は、2014年1月分の児童手当の受給者を対象に、児童一人当たり1万円が 支給される制度です。支給対象児童数は1,271万人でした。ただし、このうち、簡素な給付措置の対象者と生活保護制度の被保護者等は除きます。 また、簡素な給付措置は、市町村民税(均等割)が課税されていない者、2,400万人を対象 に、一人当たり1万5000円を支給しました。どちらも、複数年度にわたって実施しています。

子育て世帯臨時特例給付金 |厚生労働省

臨時福祉給付金及び子育て世帯臨時特例給付金支給業務に関する全国説明会 資料 【子育て世帯臨時特例給付金関係】

臨時福祉給付金(簡素な給付措置)|厚生労働省

2014年度には、子育て特例給付金は1271万人の子どもを対象に所要額が1473億円(給付費は1271億円、事務費が202億円)で、簡素な給付措置は2400万人が対象で所要額が3420億円(1年半分、給付費が3000億円で事務費が420億円)でした。

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dl/kosodatesetai_06.pdf

https://www.mhlw.go.jp/topics/2016/01/dl/tp0115-1-13-13d.pdf#search=%27%E8%87%A8%E6%99%82%E7%A6%8F%E7%A5%89%E7%B5%A6%E4%BB%98%E9%87%91+%E7%B5%A6%E4%BB%98%E8%B2%BB+%E4%BA%8B%E5%8B%99%E8%B2%BB%27

以上が、過去の制度の概要です。

今回、子育て特例給付金に3兆円、簡易な給付措置に2兆円を使うとします。すると、子育て特例給付金の対象は約1200万人、簡易な給付措置の対象は約2400万人だとして、子ども一人当たりに30万円弱、低所得世帯(住民税非課税世帯)に一人当たり20万円強となります。これなら、子育て世帯の急激な収入減少をだいぶカバーできますし、低所得世帯への消費下支えとしても十二分でしょう。

今回は、2014年当時のように消費税増税分を補うだけではなく、学校休校と急激な景気減退による収入補填を行うべきなので、数十万円規模の家計支援を一時的に行うことは必要です。

所得税・住民税の減税も給付金で:「給付付き税額控除」に近い政策

ただ、これだけでは、子育て世帯と低所得層への支援ばかりなので、中所得層への対策が足りません。子育て世帯でなくとも中間層をしっかり支えないと、消費税増税と新型コロナ不況による景気減速は下支えできません。

こうした中間層も含む対策として、所得税と住民税の定率減税を、還付金の方式で行うべきです。緊急対策として、昨年度の課税額をもとにして、1999年から2006年まで行っていた所得税・住民税の定率減税を行うべきです。

1999年度には、金融危機対応ということで、所得税と住民税の大幅減税が恒久減税として行われました。1990年代には、それまでも特別措置法での減税が繰り返されていたのを、恒久減税としたものです。減税は2005年度まで続き、2006年度に半減され、2007年度には廃止されました。

が、やるべきことは、1999年度の減税と同様のことをやるべきです。具体的には、当時と同様の、定率減税所得税で 20%の定率減税、上限は25万円。個人住民税で15%の定率減税、上限は4万円)を行うべきです。当時、この減税は、税額控除の形で行われ、効果が高いとされていました。

今回の減税規模は、子育て支援低所得者対策の合計の規模、5兆円とすべきです。子育て世帯との重複も、出来れば認めるべきです。当時の減税規模(旧大蔵省試算)は、平年度ベース4.1 兆円(国税3兆円、地方税1.1兆円)なので、当時と同程度です。

https://www.apir.or.jp/wp/wp-content/uploads/211.pdf#search=%271999%E5%B9%B4+%E6%B8%9B%E7%A8%8E%E8%A6%8F%E6%A8%A1%27

平成19年から所得税が変わりました : 財務省

https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy1999/seifuan11/ys001.PDF

1999年度の最初の減税は、最高限界税率の引き下げも含みますし、2007年度には所得税から住民税への税源移譲も行われたので、今と前提は違います。が、今回5兆円の減税を行えば、全体としては、だいたい当時と同様の規模の減税となります。

減税の方法ですが、昨年度の納税額をもとにして、上記の計算方法で、税務署を通じて還付金を支払う形にすべきです。

この形なら、税額控除で減税分を個人向きに支払うものなので、家計を直接支援するものになります。

 子育て特例給付金も、簡素な給付措置も、還付金方式での所得税・住民税も、「給付付き税額控除」の制度に近いものにもなります。

家計向きの直接給付は、給付付き税額控除の簡易版なのですから、消費税増税の逆進性解消政策として、軽減税率と並ぶ王道の制度です。社会保障と税の一体改革のとき、消費税率を上げるかわりに、軽減税率か給付付き税額控除かどちらかをやるということになり、2014年の増税時には、給付付き税額控除の簡易版として二つの給付金(子育て世帯臨時特例給付金と簡易な給付措置)を行い、2019年の増税時には、軽減税率を導入したため、この給付金をやめました。このように、もともと、この二つの制度は、消費税増税対策として設計されたものです。

そして、昨年10~12月のGDPがマイナス7%という、あり得ない数字になったことを見れば、軽減税率では全然足りなかったことが分かります。それなら、もう一つの制度である家計向き給付金をやるべきです。

所得税・住民税減税による還付金も、税額控除での減税を給付金で行うのですから、まさに給付付き税額控除同様の制度です。

以上のような制度設計で、子育て3兆、低所得者向き2兆、中間層5兆の家計向き給付金を実現すべきです。