日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

311から9年:復興増税の住民税分は「森林環境税」と衣替えして恒久化。復興所得税の衣替えに注意。

東日本大震災から9年、復興予算は大幅に減額されます。一方、復興増税された住民税が「森林環境税」に衣替えするなど、役所の焼け太りが見られます。復興所得税について同じことが起きないよう、注意が必要です。

 再来年から復興予算は9割減

東日本大震災から9年が経ち、政府の決めた復興・創生期間もあと1年少しです。これまで使った復興予算は29兆8300億円、10年間全体の関連予算は32兆円程度です。

一番多いのが住宅や道路などのインフラ再建で12兆1306億円、全体の約41%、次いで原発事故の汚染土壌処理費等が6兆550億円で約20%、ソフト面のコミュニティー支援等が2兆1669億円で、約7%、等となっています。災害公営住宅の整備は99%終わるなど、インフラ再建はほぼ完了してたので、今後はソフト面の対策が重要、とされています。

政府は毎年の復興予算を段々減らし、最近は年2兆円ほど計上してきましたが、21年度以降の5年間は、年平均2千億円ほどになり、9割カットとなります。

復興予算、インフラ再建4割 ソフト面の支援重要に :日本経済新聞

復興予算については、色々ムダはあったにせよ、最初の3年間程度は、被災地の経済復興には確かに役立ちました。もともと復興のための公共事業は必要でしたし、壊滅的な打撃を受けた経済をマイナスから立て直すために、公共事業が貢献したのは確かで、2012年度の福島県の実質成長率は7%に達しました。しかし、その後が続かず、同県の実質成長率は2015年、2016年には早くもマイナスになってしまいました。残念ながら、一時的に公共事業の復興バブルが起きただけだったことが分かります。これは昨年の3月11日に、本ブログで取り上げました。

311から8年。福島県の経済成長率は2012年からずっと右肩下がり。国主導、住民軽視をやめるべき。 - 日本の改革

2021年度からは、その公共事業も含めて、予算は9割カットです。被災地も自律的な成長を目指した経済運営が必要にはなりますが、未だに見通しの立たない廃炉作業をはじめ、国の関与はまだまだ必要です。

www.nikkei.com

福島第一のデブリ全量回収は見通しゼロ。住民への賠償が必要になっても一度停止して、石棺方式等も含め、科学的見地から再検討を。 - 日本の改革

復興のための増税が、いつの間にか他の目的に流用?

このように、政府は復興予算の支出を減らそうとしていますが、収入についても、復興増税がそろそろ期限を迎えることになります。政府は、復興目的の支出を減らしているのに、復興目的の増税は目的外流用で残した例があり、警戒が必要です。

2013年から2027年まで15年間にわたり、2.1%の税率をかけられる税金で、現在の税収は毎年4000億円にもなります。政府が2021年度からの復興財源についてあてにしているのは、この復興所得税です。東京新聞によると、財務省関係者は「増税分が想定より上振れしている。事業規模に違和感はなく、新たな財源は必要ない」と言っているそうです。

個人の方に係る復興特別所得税のあらまし|国税庁

https://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat8/sub-cat8-3/2019_fukkochougaisansainyuu.pdf

東京新聞:復興道半ば 将来へ不安 21〜25年度事業費、1兆円台に大幅減:経済(TOKYO Web)

そもそも、復興・創生期間が10年なのに、復興所得税が15年間にわたって続くのも、本来はおかしなことです。政府が復興・創生期間後も5年間支援を延長したので、そこは後付けでつじつまを合わせたとしても、報道で見る限り、税収と支出がつりあいません。復興のための予算を毎年2000億円程度に減らす一方、復興所得税は毎年4000億円を超えるのですから、2000億円も余ることになるからです。再来年度以降の予算の話とは言え、政府には今から説明を求めるべきです。東京新聞が言う通り、財務省の人間が本当に「増税分が想定より上振れしている」などと言っているなら、上振れ分の減税も迫るべきでしょう。

そして何より、復興所得税が現行法で期限切れとなる2028年度以降、確実にこの増税が終わって、上乗せされた2.1%の税率がなくなって元に戻ることを政府に確約させ、他の目的に流用させないよう見張ることが重要です。

これには、前例があります。

復興増税の一環として、住民税も増税されました。その趣旨は、「東日本大震災からの復興を図ることを目的として東日本大震災復興基本法第 2条に定める基本理念に基づき平成23年度から平成27年度までの間において実 施する施策のうち全国的に、かつ、緊急に地方公共団体が実施する防災のため の施策に要する費用の財源を確保するため」という、長ったらしいものです。

要は、復興目的という名前だけ掲げて、実は全国の自治体が防災費用に使えるような、住民税の増税を行ったということです。震災の翌年に大問題になった数多くの復興財源流用の、増税版と言っていいでしょう。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000174595.pdf

個人住民税の均等割りが1000円上がるので、一人年間1000円の負担増で、それだけ見ると小さいですが、対象者は6200万人、チリも積もれば620億円です。そもそも、復興目的を詐称した増税など、1円も許すべきではありません。

森林環境税24年度に 自民税調方針、対象6200万人 :日本経済新聞

この復興増税まがいの増税分は、本来は、2023年で終了するはずで、住民税も1000円下がるはずでした。ところが、そうはならず、2018年度税制改正で「森林環境税」という別の税金に衣替えしてしまいました。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000616122.pdf#search=%27%E4%BD%8F%E6%B0%91%E7%A8%8E+%E5%BE%A9%E8%88%88%E7%89%B9%E5%88%A5%E7%A8%8E+%E7%B7%8F%E5%8B%99%E7%9C%81%27

森林環境税は、森林整備のための目的税で、都道府県に1~2割、市町村に残りを配分します。配分額は、私有林の人工林面積、林業就業者数、人口の3つの基準をもとに算定、税収のほとんどが結局は、林業界に回るようです。

この税金、そもそも既に37府県が独自に導入しており、二重課税だという批判を受けてきました。それらの元からある森林環境税でさえ、使いきれずに余るケースさえあるようで、そのうえに国税が追加されるのですから、新たなムダが生じるのは目に見えています。

国税の配分基準にも、上に見た通り、人口が入っているため、森林が少ない大都市の自治体にもかなりの税収が回るという、不公平どころか意味不明な税金です。

webronza.asahi.com

森林整備の新制度が始動 譲与税の配分巡り異論 :日本経済新聞

森林環境税は、復興目的といって国民をだまして行った増税につき、総務省自治体が自分達のために流用を決め込んでしまいました。役所の焼け太りです。

同じことを、復興所得税について許してはいけません。今のうちに、復興所得税は2028年度には確実に終わるということを政府に確約させ、復興目的以外には絶対にこの増税分が使われないようにすべきです。