日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

太陽光パネルの7割超が中国産、感染症の影響で調達に不安:再エネ産業の中国依存は、見直しが必要。

新型コロナウイルス感染拡大で、太陽光パネル風力発電機機器の調達に懸念。太陽光パネルの7割が中国産など、再エネ産業は中国に強く依存しています。感染症対策や安全保障上の理由から、特に太陽光発電に関する脱・中国を図る必要があります。

中国に依存していた再エネ発電の価格低下

新型コロナウイルスの感染拡大で、太陽光や風力などの再エネ設備の調達に懸念が生じています。太陽光も風力も、設備等の生産を中国に依存してきたからです。

再エネの価格低下は進んでおり、間もなく、安さが取り柄の石炭火力よりも安くなるだろうとも言われています。

石炭火力、崩れる価格優位 ESG・再生エネ安で逆風 :日本経済新聞

 再エネは2050年までに世界の電力供給量の5割になるとの推計もあります。環境政策上も、経済政策上も、再エネの重要さはますます高まっており、日本はEUアメリカの一部の州のように再エネ重視を進めるべきです。

しかし、再生エネルギー産業が、中国での発電機器等の生産に依存してきたのは大きな問題です。太陽光パネルの7割超が中国産ですし、

日本経済新聞2020年2月28日

再生エネ設備納入に遅れも 中国メーカーの稼働低下 :日本経済新聞

風力発電機は欧米企業が健闘していますが、中国が伸びてシェアは3割になりました。何より、欧米企業も中国で生産しています。

日本経済新聞2019年8月13日

中国席巻、風力も太陽光も 技術でも先行 :日本経済新聞

再エネ産業のこうした中国依存が、新型コロナウイルスの流行で、問題になっています。現在、太陽光パネルは操業率も工場の従業員も通常の6割程度で、海外での発電機器等の調達に遅れなどが出ており、このままでは、各国での再エネ促進の障害になります。

再生エネ設備納入に遅れも 中国メーカーの稼働低下 :日本経済新聞

How coronavirus is impacting China’s wind energy industry - Renewable Energy World

中国が再エネ産業、特に太陽光パネルでこれほど独占的な地位を占めるようになったのは、不公正な産業補助金によるものです。既に2000年代初めから、中国政府が、欧米への輸出のために、巨額の補助金太陽光パネル製造企業に支出して、2010年代初頭には、貿易摩擦問題を起こしました。その後、中国は、欧米とのトラブルを嫌って、日本やインドへの輸出も増やし、今では、この分野で圧倒的なシェアを握っています。トランプ政権が高関税の対象にもしましたが、それだけでは太陽光パネルでの中国の優位は動きそうにありません。

thediplomat.com

問題点はそれだけではありません。電池セルの原料となるシリコンウエハーの生産拠点は、中西部の新疆ウイグル自治区などに多いそうです。新疆ウイグル地区は、中国がウイグル人に対する残虐な民族浄化政策を進めており、最近では、同地区で、先進国企業の工場でウイグル人の強制労働が行われていると報じられており、大問題になっています。

再生エネ設備納入に遅れも 中国メーカーの稼働低下 :日本経済新聞

アップル・ソニーなど大企業、ウイグル人強制労働の工場から部品供給か 豪報告書 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News

www.aspi.org.au

新疆ウイグル地区に多い、太陽光発電に係るシリコンウエハー工場でも、同様のことが起きていることは考えられます。そもそも、このような人権問題を無視して、サプライチェーンを中国に依存すべきではありません。

日米欧は再エネ産業で、脱・中国を進めるべき

今回のような感染症対策等でのリスク回避、エネルギー安全保障、人権という普遍的な価値を守ると言う価値観外交、こうした視点から、再エネ産業での中国依存はあらためるべきです。

再エネでの脱・中国は、政府が進めようとしてるサプライチェーン改革で、国内生産を促進するための重点分野とすべきです。ただ、それだけではとても足りません。

現在、日本企業は、太陽光パネル等では中国製に価格面で全く太刀打ちできません。風力発電機器も、再生エネの買い取り制度(FIT)で太陽光に高い価格がついたことから、日本企業はこの分野からほとんど撤退してしまいました。そもそも、日本政府が欧米や中国と違って、再エネ分野をほぼ無視するという誤りをしたため、この分野で日本企業に競争力がないのが現状です。

www.nikkei.com

このため、単に日本企業を中国から戻すと言うサプライチェーン改革だけでは足りませんし、法人税減税でも足りません。そもそも中国から戻すべき日本の再エネ産業というものが、ほとんどないからです。

再エネの中国依存をやめるための対策としては、短期的には、中国企業以外からの調達を増やすしかありません。WTOのルールに反しないようにこれを行うには、安全保障を理由にする必要があります。事実、これは感染症対策とエネルギー政策という安全保障上の問題です。

政府の国家安全保障局は、来月4月以降に、経済班を設置し、経済と軍事の両面で、米国と連携して中国に対抗する体制を作ります。当面、先端技術の国外への流出防止や海洋権益保護を想定し、感染症の水際対策も担わせるということです。

〈独自〉政府の国家安全保障局、4月新設の経済班が感染症対策に対応 - 産経ニュース

経済安保、官邸主導で体制強化 中国念頭に米と連携 :日本経済新聞

この経済安保政策の一つとして、「再エネでの脱・中国」を掲げ、短期的には中国企業や中国で生産をしている企業からの発電機器類の輸入に関税をかけるべきです。

出来れば、中国企業だけを対象にして、中国で生産をしている欧米企業とは貿易摩擦問題にならないようにすべきです。ただ、今回の新型コロナウイルス対策で、欧米の再エネ企業の脱・中国がある程度進む可能性があります。既に、ジーメンスガメサ(スペイン・ドイツ)が、風力発電機器の生産を中国からインドに移すと報じられています。

www.rechargenews.com

こうした動きがさらに進めば、中国で生産をしている他国企業への関税もやりやすくなるでしょう。日本が単独で行うのではなく、欧米諸国やインド等とも協調しながら、あくまで、太陽光パネル等で独占的になり過ぎた中国のシェアを是正する、という目的でなら、国際社会に通る可能性はあります。

短期的にはこのようにして、中国で生産された再エネ機器の価格上の有利さを失わせて、他国の製品を買うようにすべきです。

そして何より、中長期的にエネルギー政策を見直し、エネルギー基本計画での再エネ比率を大幅に引き上げ、太陽光や風力発電の用地確保の規制(農地法等)等を見直すべきです。日本の再エネが他国に比べて不利なのは、土地の確保にコストがかかり過ぎるもの一因なので、用地買収のための補助金もすべきです。

論点:再生エネの足かせ - 毎日新聞

これまで原発の地元対策に使われてきた巨額の資金を考えれば、はるかに安い投資で、クリーンで経済性があって、国民の理解も得やすい支出であり、エネルギーの地産地消は何よりの地方創生政策です。

このように、短期的には発電機器の調達を中国から欧米に切り替え、中長期的には、国内産業を育てる、という方針で、再エネ産業の脱・中国化を進めるべきです。