日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

WHOと中国の合同報告書、中国の感染症対策の失敗を他国に広げるおそれあり:日本は敬して遠ざけるべき。

WHOと中国の合同報告書は、新型コロナウイルス対策で、各国政府に最大級の措置と、積極的で網羅的な感染経路の追跡等を提言していますが、中国のプロパガンダに協力している可能性があり、日本は慎重に接するべきです。

中国のプロパガンダと歩調を合わせるWHO

WHOの事務局長が、新型コロナウイルスはまだパンデミックではなく、封じ込めは可能であり、各国は最大限の努力を行い、感染経路の特定を徹底しろと言っています。

また、日本や韓国を名指しして「最大の懸念」があるとまで言い、安倍総理は国会で「真剣に受け止める」と言ってしまいました。

新型肺炎まだパンデミックに至らず、協調で封じ込め可能=WHO - ロイター

東京新聞:封じ込め依然可能とWHO 感染経路特定の重要性訴え:社会(TOKYO Web)

mainichi.jp

しかし、WHOの現状認識には疑問が残ります。各国に最大限の措置を取り、検査と追跡調査を徹底しろという提言も、それが適当な国もあるでしょうが、日本は言葉通りに受け止めるべきではなく、これ以上の対策強化は避け、現状の政策を継続すべきです。

まず、WHOの現状認識ですが、同機関は未だにこの感染症パンデミックになっていることを認めず、封じ込めも可能であるという認識です。

この感染症の封じ込め可能性については賛否両論あり、アメリカのCDC元所長等は否定的です。封じ込めがそもそも難しく、致死率も比較的低いなら、対策も感染速度を緩めて医療崩壊を避ける合理的な範囲に留めるべきで、本ブログでもそう主張してきました。

新型コロナウイルス対策の基本方針、国が地方ごとに自粛させる方向(NHK):封じ込め不可能でもやる価値はあり、現状では支持。 - 日本の改革

日本政府は、この1~2週間が「封じ込め」の勝負だと言っており、一定期間は封じ込めを目指すが、その後は別の対応、という方向です。専門家会議が2月24日に「あと1~2週間」と発表してから、そろそろ2週間ですし、もう少し経てば、段々と対策を解除すべき段階に入ります。検査や医療アクセスも、最初から合理的範囲に留めようとしていますし、現在検討されている新法の「緊急事態宣言」にも該当しない、というのが日本政府の判断です。

しかし、WHOは、既に世界的に大流行をし始めてもパンデミックでないと言い、封じ込め可能だとして、各国がとりうる最大限のことをやれ、と勧告しています。全く何もしていない国に対してならともかく、一定の合理的な対応をとっている日本や、日本よりもはるかに厳しい感染防止策をとっている韓国を、わざわざ「最大の懸念」と呼んでいます。

WHOの認識と主張は、科学的に裏付けられる部分も当然あるでしょう。しかし、中国のプロパガンダ通りのことをしている、と考えると、より自然に理解できます。

昨日も本ブログで紹介しましたが、中国は既に2月末の段階で、国内の封じ込めは既に成功裡に終わりつつある、ということにしており、各国も中国の対策を見習えという宣伝を始めています。

chinamediaproject.org

安倍総理、対中政策転換の可能性:サプライチェーン改革、中国からの検疫強化、習近平来日延期を同時発表 - 日本の改革

これが外国向けの宣伝でありプロパガンダだというのは、中国が既に感染症押さえ込みに成功したとは、とても言えないからです。未だに中国の国内では、湖北省と北京周辺で、最大限の警戒態勢が取られています。更に言えば、この二つの地域以外で感染が収まっていると言うのも疑問です。経済活動再開を命令して職場での集団感染も起きているからです。

jp.wsj.com

中国の新型コロナ感染防止、最後の山場は「職場」 :日本経済新聞

仮に、WHOが中国の言いなりだとすれば、中国が既に封じ込めに成功していると言う以上、この感染症の封じ込めは可能でなければならず、そのためには、中国のような強権的な政策は全く正しいと言わざるを得ない、ということになります。

WHOが中国にそった主張をする理由は、色々と言われています。ウォールストリート・ジャーナルの記事は、中国が14年前にWHO事務局長として元香港政府衛生局長のマーガレット・チャン氏を送り込んで以来のことだ、と言っています。

jp.wsj.com

また、現在のテドロス・アダノム事務局長については、出身国のエチオピアが中国の経済的支援を受けているのはよく知られていますが、「選択」の3月号は、そもそもテドロスは、エチオピア保健相に就任する前は、中国の支援を受けた毛沢東思想のエチオピア人民革命民主戦線に加わっていて、バリバリの共産主義者だ、と書いています。

www.sentaku.co.jp

中国の感染症対策の問題点

WHOの現在の立場は、2月28日に発表された、WHOと中国の新型コロナウイルスに関する合同報告書に基づいたものです。

同報告書は、中国の対応を、「おそらく歴史的に最も野心的で迅速かつ積極的な封じ込め対策」と高く評価しています。初期の対応についてこそ、早期警戒の必要性などの問題点を挙げていますが、ここも地方政府に全責任を押し付けている中国政府と立場は一致しています。

そのうえで、感染が広がっている各国に対して、「最高レベルの国家対応管理」を直ちに行い、積極的かつ網羅的な症例発見、即時のテストと隔離、骨の折れる感染経路の追跡、徹底した隔離をやれ、と言っています。

https://reliefweb.int/sites/reliefweb.int/files/resources/who-china-joint-mission-on-covid-19-final-report.pdf

中国の対応は「歴史的に最も野心的だ」…WHO報告書 : 国際 : ニュース : 読売新聞オンライン

基本的には、中国の対策を正当化し、他国も中国に習うべきだ、という主張です。中国政府も共同で執筆しているのだから当然と言えば当然ですが、問題は、WHOが単体でもこの報告書の立場によっていることです。

先に書いた通り、そもそも、この感染症について、完全な封じ込めを目指すのが合理的と言えるかは疑問です。封じ込めが難しいという認識に立てば、現在の日本程度の政策はむしろ合理的です。

また、中国の人権無視の強権政策は、もちろん民主主義国家でとるべきではありません。専門家も、この報告書が、中国の政策を、社会的なコストや人権問題を考えずに他国に適用できるように言っているとして、批判しています。感染症対策も、感染防止という社会的価値だけでなく、経済や人権保護と言う社会的価値とバランスを取りながら行う必要があります。

何よりも、中国流の人権無視政策は、感染症防止のためにさえ、間違っています。

私は本ブログで、武漢であれほど致死率が高いのは、強権的な封鎖政策によるパニックで、医療崩壊が起きたからだ、と主張してきました。川口浩医師(感染症は御専門ではないようですが)も、武漢での致死率の高さはおそらく医療崩壊が原因で、この感染症の致死率も武漢の数値に引きずられて、高く考えられているのでは、と示唆しています。

厚労省や内閣官房は隔離等の前線から撤退させ、医療崩壊と「霞が関崩壊」防止を徹底し、自衛隊活用と迅速な予算措置を。 - 日本の改革

webronza.asahi.com

もし、この感染症が実際にはインフルエンザ並みの1%未満の致死率しかないならば、感染症対策では、経済・社会への影響をより重視して行うべきです。仮に、致死率の高さが中国の強権政策による武漢での医療崩壊が原因だったならば、中国の感染症対策の誤りが、この感染症に対する国際社会の理解を狂わせ、各国が必要以上の対策をとる要因を作ったことになります。

中国の隔離政策が、感染防止の効果さえ、あまりなかった、という専門家もいます。

先に挙げたツイッターでも紹介した、英エディンバラ大学のデビ・スリンダル(Devi Sridhar)氏は、中国での今回の隔離規模について、「非常に極端であり、隔離の効果は限定的なものでしかなかった」、「彼らの今回のやり方は実際に政府に対する市民の信頼感の低下を引き起こすもので極めて危険だ」、「市民が率先して『体調が良くない』と言うことができるようにすべきだ」として、そもそも感染防止のためにさえ、中国の政策は問題がある、と批判しています。

新型ウイルス対応で遅れか、批判浴びるWHO - WSJ

 エコノミスト誌は、感染症による死亡率の国際比較を行い、同じ所得水準なら、民主主義国は非民主主義国よりも死亡率が低い、と主張しています。感染症対策は国民の命を救うためにやるものなのですから、強硬策だろうと緩い政策だろうと、独裁者最優先の国家では、感染症対策がうまくいかないのは道理でしょう。

www.economist.com

以上のように、WHOが評価する中国の感染症対策は、他国、特に民主主義国が採用するには問題があります。むしろ、中国の感染症対策は失敗している、という評価に基づいて、各国は対策をうつべきです。

ごく控えめに言って、WHOが主張するような、各国が取り得る最大限の措置を取り、徹底的に検査・経路調査・隔離を行え、という主張は、少なくとも、現段階の日本について言えば、全く不適当です。この機関の主張が中国のプロパガンダに利用されている実態も踏まえて、日本は日本の判断で合理的な感染症対策を進めるべきです。