日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

株価が過去最高の上げ幅の一方、米議会は今週中に75億ドルの緊急対策:日本は与野党で家計向き臨時給付金を打ち出すべき。

米欧中銀の協調利下げ観測で、米株が史上最高の上げ幅。ただ、景気減速は長引くと見られており、米議会は超党派で75億ドルの緊急対策を議論。アメリカ同様、日本も、動きの遅い政府を急かして、家計を直接直接温める政策を上積み、前倒しすべきです。具体的には、2014年の増税時の子育て特例給付と簡易な給付措置を10兆円規模でやるべきです。

協調利下げで株価は一気に回復も、金融政策だけでは不十分

昨日3月2日、ダウは前日比1293ドル高の2万6703ドルになり、1日の上げ幅は過去最大となりました。各国の中央銀行が協調して金融緩和に踏み切るという見方によります。

www.nikkei.com

一昨日まで慎重に見えた日欧の中央銀行が態度を一変したのが効いています。

日本銀行は当初は様子見でしたが、昨日、異例の談話を発表して早速、ETFを1000億円買い入れ、5000億円の国債買いオペもやると発表しました。FRBの2月28日の緊急声明を受けて、アメリカの利下げで円高が進む恐れがあると見たようです。ECBも態度を変えて適切、的確な対応をとると発表しました。

更に、G7の財務相・中銀総裁は、今日3月3日にも緊急の電話会議を開く予定です。こうしたニュースが株価の急回復につながりました。

日銀総裁「潤沢な資金供給に努める」 異例の談話 :日本経済新聞

日銀、過去最大のETF購入 円高・株安に警戒強める :日本経済新聞

米欧中銀、協調緩和を検討 ECBも「的確な措置用意」 (写真=ロイター) :日本経済新聞

各国の金融当局が迅速に動いたのは大変素晴らしいことで、記録ずくめの暴落のかなりの部分を帳消しにしました。

ただ、やはり金融緩和だけでは不十分です。米株の上昇は、公益企業、生活必需品関連、不動産が主導されたようで、これらは投資家が神経質なときに上がる業種だそうです。実体経済への不安は払しょくされておらず、実需がダメージを受けた旅行関連等はもちろん下がり続けていますし、サプライチェーンへの影響はまだ長引くと見られています。欧州株も上がりましたが、イタリアの財政政策の実施に反応した面もあり、更なる財政政策を求める声が上がっています。

実体経済についてのニュースでは、OECDが、世界経済の成長予測を2.9%から2.4%に引き下げ、新型コロナウイルスの感染が長引けば、1.5%に下がる可能性がある、としています。

Dow Industrials Rally 5.1% on Central-Bank Stimulus Hopes - WSJ

Wall Street closes sharply higher on hopes of central bank action | Financial Times

OECD warns coronavirus could halve global growth | Financial Times

要するに、先週までの株価急落は、金融当局の適切で迅速なアナウンスでいったん回復したけれど、これはあくまで応急処置ですし、金融政策はもう織り込み済みとなりました。

金融政策でうまく出血は止めたので、これからは、財政政策を機動的に、大規模に行うことが必要です。

政府は、感染防止策だけでなく、財政政策で野党が驚く規模を前倒しでやるべき

欧米諸国はまだ日本ほど感染が広がっておらず、これから感染防止策を強化するでしょう。日本も先週、場当たり式ながらも相当強力な自粛要請を全国的に行い、世界経済も日本経済も、経済活動の停滞が避けられません。各国は感染防止策だけでなく、財政政策による下支えをするべき局面です。

アメリカ政府の動きは大変鈍く、CDCが感染拡大は避けられないという現実的な見方を示しているのに、トランプ大統領が選挙戦への影響を考えて認めたがらずにいます。

このため、政府の感染症対策も含めて、経済対策が遅れています。予算措置として用意したのは12.5億ドルだけ、しかもその半分は既存の支出の衣替えです。

これに議会が業を煮やし、超党派で、一気に75億ドルの対策を検討しており、今週中に法案にして議会を通そうとしています。アメリカ議会の迅速な動きはさすがです。

thehill.com

https://www.washingtonpost.com/us-policy/2020/03/02/congress-coronavirus-emergency-spending/

これに対し、日本では、緊急事態宣言を可能にするため、新型インフルエンザ対策特措法を改正して新法を作る議論が先行しています。感染防止策は、場当たり的ながら、先週既に全国規模の強力な自粛要請等を行いました。間髪おかずに、経済対策を議論すべきなのに、更に感染防止策を深掘りするよう、与野党党首会談を呼びかけています。総理は自分の場当たり的な感染防止策の批判をかわすことを優先させているようにさえ見えます。

安倍首相、「緊急事態」法整備を推進 週内の与野党党首会談調整―協力要請へ:時事ドットコム

感染防止策については、強制を伴わない2つの自粛要請だけでも、経済・社会に甚大な悪影響が及んでいます。感染防止についても、経済対策でも、いま緊急に必要なのはむしろ予算です。来年度予算案は衆院を通過したのですから、予算審議での参院への忖度は最小限にして、早速、予備費2700億円の具体化だけでなく、来年度補正予算案の作成を明言して、方向性だけでも示すべきです。

政府のこれまでの経済対策で良かったのは、全国的な信用保証、休校による休業補償を迅速に打ち出したことです。ただ、これは、日銀の金融政策同様、当面の出血を止める応急措置にすぎません。中小企業への信用保証の枠は数兆円規模に拡大すべきですし、休業補償も上積みは必要ですが、それだけでは足りません。自粛で急速に縮小する経済を立て直すには、家計向きに、即効性のある消費刺激策が求められます。

政府は消費税増税の悪影響を頑として認めませんが、それならそれで仕方ありません。新型コロナウイルス対策を口実に、実は消費税増税の影響緩和策も行う、というやり方でもいいので、消費税と感染症のダブルショックから、国民生活を救うべきです。

家計向き対策として、消費税減税は非現実的なのですから、過去に実施した対策として、臨時給付金の交付を幅広く実施すべきです。2014年の消費税増税時には、「子育て特例給付」と、低所得者向きの「簡素な給付措置」が導入されました。これは、当時、軽減税率制度がない中で、給付付き税額控除が複雑すぎて導入できないことも踏まえて、子育て世帯支援と消費税増税の逆進性緩和のために行ったものです。複雑な給付付き税額控除に対して、「簡素な」給付措置という名称です。

バラマキと言えばバラマキですが、効果としては給付付き税額控除と同じ狙いで行われたもので、実は相当の効果が上がったことが分かっています。特に、簡素な給付措置以上に、子育て特例給付の効果は大きく出ました。

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je16/pdf/p01023.pdf#search=%27%E8%87%A8%E6%99%82%E7%B5%A6%E4%BB%98%E9%87%91+%E5%8A%B9%E6%9E%9C%27

政府は、来年度補正予算案をやる、子育て給付と簡素な給付を兆円規模で実施する、と、ただちに発表すべきです。規模は消費税増税分5兆円強をはるかに上回る10兆円として、対象は2014年当時よりも大幅に広げて、中所得層も出来るだけ含めば、かなりの景気刺激効果が出るでしょう。財源は、労働保険特別会計のストック等の埋蔵金を使うべきですが、不足分は、赤字国債発行もやむを得ません。

野党も、政局目的で、これを蹴るべきではありません。予算組み替えなど、どのみち無理なのですから、「補正予算案が必要になるような当初予算案の審議に応じない」などという屁理屈をつけるのは間違っています。

国会はむしろ、アメリカ議会と同様、与党、野党が超党派で合意して、緊急経済対策について今週中の合意・決定を目指して、動きの遅い政府を急がせるべきです。休校措置で苦しむ子育て家計と、需要が蒸発して苦しむ企業に、ただちに目に見える対策を示すべきです。