日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

世界中でリーマン・ショック以来の株価下落:維新は消費税減税を主張するなら、財源を示すべき。

世界的にリーマン・ショック以来の株価下落。日本は消費税増税とのダブルショックです。維新がこれを理由に、消費税減税を主張していますが、行革による歳出削減などの財源を明確に示すべきです。

今回の景気減速は、かつての感染症流行時より長引く

史上最高値をつけていたアメリカの株価が、逆に史上まれに見る暴落となっています。

ダウは1週間で12%下落、これはリーマン・ショック直後の2008年10月以来の大きさで、日経は、今週(2月24~28日)の米国金融市場を「記録ずくめの1週間」と報じています。

これにつられて、昨日2月28日の東京株式市場でも、日経平均株価が前日比800円超の大幅に下落しました。

www.nikkei.com

売りの悪循環止まらず 日経平均 一時2万1000円割れ :日本経済新聞

アメリカと日本だけではありません。

フィナンシャル・タイムズによれば、世界全体の株式市場の指標のFTSE All-Worldも、1週間でほぼ13%を失い、6か月間の利益を一掃し、世界株式の価値を6兆ドル近く下げました。これまでで最悪の事態で、2000年から2002年にかけてのドットコムポストバブル崩壊でのナスダックの損失は4.6兆ドルでした。世界同時株安です。

bit.ly

最近の株価は上がり過ぎでしたし、市場は新型コロナウイルスの影響を軽視というより無視に近いように見えましたから、いつかはこうなる、というのは、誰の目にも明らかでした。素人の私さえ、2月17日のブログで、フィナンシャル・タイムズと日経の報道を紹介して、株式市場は楽観主義が過ぎるので注意が必要、と書いたくらいです。 

2019年10~12月GDP最悪+新型肺炎の経済への悪影響は、政策次第で長引く。株式市場に注意。 - 日本の改革

 そのときにも書いたのですが、このウイルスの封じ込めは不可能で、感染防止のための対応が経済に与える悪影響は、長引くと思います。健康被害はそれほどでなくても感染力が強いので、国の内外での人の移動を減らし、消費の自粛が生産、投資を下落させる状態は、比較的長く続くでしょう。これを、各国の感染防止策(それ自体はもちろん絶対必要です)が後押しします。

最終的には、風邪やインフルエンザのように世界中に広まって、いずれは平時には誰も意識しないような普通の病気になるとは思いますが、そうなるまでの間に、経済は世界的に相当減速するでしょう。

ウォールストリート・ジャーナル(日本語版<(_ _)>)のコメンテーターも、中国等による強力な感染防止策の効果は疑わしい一方、こうした政策や、ウイルスに関するニュースへの不安から、消費者のリスク回避志向が高まり、世界的に消費を減らすだろうと言っています。

jp.wsj.com

既にIMFは、2020年の中国の成長率が5.6%になるとして、1月の予想を0.4%ポイント下方修正、世界経済の成長率は0.1%ポイント下押しとしていますが、4月に発表する世界経済見通しでは、もっと下げるかもしれない、と言っています。

IMF、世界経済見通し下方修正へ 新型ウイルス流行で - ロイター

政策対応は財政が中心、消費税減税を主張するなら、財源を示す必要あり

そうなると、日本に限らず、金融政策や財政政策が必要、ということになります。

まず金融政策ですが、FRBが3月に利下げするのは確実と見られていますが、日銀もECBも、まだ様子見なようです。

FRB、3月利下げ検討 「新型コロナに適切対応」 (写真=AP) :日本経済新聞

新型コロナで追加緩和「まだ考えず」 日銀・片岡委員 :日本経済新聞

ECB、新型ウイルスで直ちに行動せず 必要なら臨時会合も - ロイター

既に動き始めているのが、日本の財政政策です。

既に自公で補正予算の議論をこれから始めることは既定路線でしたが、昨日、来年度予算案が衆議院を通ったので、政府も大っぴらに言えるようになってきました。

経済打撃回避に「ちゅうちょなく措置」官房長官 (写真=共同) :日本経済新聞

国民民主党の玉木代表が安倍総理に電話をかけて、玉木氏の主張する大規模な緊急経済対策に、総理が「やらせてもらう」と答えた、というニュースもありました。

その玉木氏は、消費税減税を主張しています。10兆円規模の消費税減税、税率で4~5%ということです。

首相、緊急経済対策に意欲 国民民主・玉木氏と電話協議に :日本経済新聞

www.sankei.com

私は、国民民主党の消費税減税の主張は冷ややかに見ています。共産党との選挙協力のためなのが見え見えだからです。5%の減税というのまで、共産党と同じです。

そもそも、5%消費税減税というのは、わいわ新選組の主張です。山本太郎は、この政策でなければ、野党共闘しない、共倒れ覚悟で候補立てる、というので、共産党がそれにしたがっただけです。国民民主党もこれになびきました。

どいつもこいつも、れいわ新選組におもねって、共産党は消費税廃止を消費税減税に変節、玉木氏は消費税増税論を封印して、こちらも変節です。

消費税廃止をめざし緊急に5%に減税を/日本共産党、「よびかけ」発表/志位委員長が会見

消費税5%「唯一の条件」 れいわ山本氏、野党共闘で :日本経済新聞

こういう構図があるから、私は、維新が消費税減税と言い出したのに、反対しました。今まで一度も行ったことのない消費税減税を今さら、このタイミングで言い出すのは、れいわ・共産などの主張に合わせたとした見えないからです。

最初、馬場幹事長が言い出したときはびっくりしましたが、松井代表も浅田政調会長も言っているので、もう党として決定したのでしょう。

維新の馬場幹事長、NHK日曜討論で、消費税「減税」発言。れいわ・共産に同調と見られかねないので再考か撤回を。 - 日本の改革

https://www4.nhk.or.jp/touron/x/2020-02-23/21/5034/1543631/

そんなにれいわ新選組が怖いのか、大阪での自民党共産党選挙協力を10年以上徹底的に批判してきた政党が、随分と物分かりがよくなったものだ、と、言いたくもなります。

政府が消費税減税を本当にやる可能性があるなら、維新はれいわ・共産ではなくて、むしろ政権に一定の協力をするんだ、ということにはなるでしょう。しかし、今のところそんな目はありません。自民党の中には消費税減税を主張している議員もいますが、政府はまともに取り合っていません。

消費税5%へ減税望ましい、補正予算最大15兆円必要=自民安藤氏ら提言 - ロイター

維新の消費税減税の主張を、政局でなく政策として見るなら、一定の合理性はあるのは確かです。

もともと消費税増税は、リーマンショック級のショックがあればやらないという話だったのですから、新型コロナウイルスの世界経済への影響がリーマンショック級になりつつあると見て、半年遅れで消費税増税を撤回、形式としては、全品目に軽減税率、という理屈になります。これなら、増税前の政府の理屈とも整合性はとれますが、実態としては、消費税増税が予想をはるかに上回るマイナス要因になっているので、それを除去する、ということです。

高橋洋一氏が、こうした主張を以前からしていて、維新はそれを取り入れたのでしょう。

headlines.yahoo.co.jp

しかし、それならそれで、消費税減税の財源はどうするのか、明確にすべきです。2%で5兆円超の消費税減税分を、2~3兆円程度の教育全課程無償化の財源とは別に主張すべきことになります。

大阪でやったような行政改革で大丈夫だ、と言うなら、具体的にどこを切るのか、示すべきです。公務員人件費5兆円のうちの、4兆円が地方公務員人件費、それを「国が」どう削減するのか、説得力をもって示すのが第一の課題でしょう。それでも、消費税減税、教育無償化の財源には、だいぶ足りませんが。

日本はこれから、既得権者へのムダな支出は全部カットしつつ、将来世代・安全保障・科学技術・環境への投資を増やす必要があります。維新の言い方で言えば、目指すべきは「小さな政府」というよりも「小さな行政機構」です。政府のすることは中くらいか、項目によってはそこそこ大きいかもしれないけれど、それを実現する行政機構は、出来る限り効率的であるべき、ということです。

教育無償化を含めて将来世代への大胆な投資を行い、米中冷戦のさ中、中国に対抗するためにも投資を行うためには、やはり相当の支出が必要で、財源が必要です。行政改革を徹底的にやるのは当然ですが、それだけでは到底足りないのであって、既に上げてしまった消費税率を下げることまですべきではないと思います。

今の状況で経済対策を主張するなら、消費税減税よりも、2021年度から当初予算にすることを見込む形で、教育国債発行による教育無償化を柱にすべきです。