日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

想像以上にふわっとした新型コロナウイルス対策基本方針。出口と予算措置と責任感が見えない。

新型コロナウイルス対策の基本方針、方向は良いのですが、随分と曖昧な内容です。対策の出口、予算措置について、抽象的にでも入れるべきでした。責任を取る姿勢は更に見えません。

矢面に立つのは専門家会議?

政府が、新型コロナウイルス感染症対策の基本方針を決定しました。

既に一昨日のNHKの報道で発表された素案と同様です。重症者対応への重点化や、国が要請する形での地域ごとの自粛要請などは、本ブログは賛成してきましたし、そこは素晴らしいと思います。

事前に未発表だったことの中で、良い点としては、電話診療での処方箋発行を認めたことです。基本方針では、

風邪症状がない高齢者や基礎疾患を有する者等に 対する継続的な医療・投薬等については、感染防止の 観点から、電話による診療等により処方箋を発行 するなど、極力、医療機関を受診しなくてもよい体 制をあらかじめ構築する。

https://www.kantei.go.jp/jp/content/kanren.pdf

とあり、これから具体的に体制を決めるようですが、出来るだけ広く認めて、今後は、オンライン診療の要件緩和(とりわけ緊急時に30分以内に対面診療できる医療機関でないとダメだという要件の緩和)にも、つながってほしいところです。

衆議院予算委員会、オンライン診療での徹底した規制改革求めた公明党の質問が白眉。立民等の野党は見習うべき。 - 日本の改革

もう一つ良かったのは、専門家会議のメンバーが前面に出て、基本方針の趣旨を分かりやすく、厳しいことも含めて率直に、国民目線で発信していることです。

たとえば、東北大学の押谷仁教授は昨夜のNHKで、キャスターから、軽症者が自宅療養では心配では、という質問があったのに対し、心配だからと言って病院に行ったら、かえって病院で感染する可能性がある、と、患者目線で答えていました。そのうえで、軽症者に対して病院はなすすべがない、検査は重症者のみにすることも考えられる、病院の外来で大クラスターを生まないための対策だ、と率直に伝え、2009年に外来が大混雑した失敗を踏まえた対応であることも話しています。こうした発信が続けば、国民の理解も段々と得られて、医療崩壊を防止できる可能性が高まるでしょう。

専門家会議のメンバーは、このようにして、メディアの質問の矢面に立っていますが、もっと政治家が前面に出てほしいところです。国会対応で難しいところもあるでしょうが、どうも丸投げに見えます。

今後どうなるか、予算はどうするか

 

残念なのは、基本方針通りの対処をしたら、今後どうなるのか、出口が見えないことです。

これも、はっきり言っているのは、政治家というより専門家会議の方に見えます。ここ1~2週間が勝負だと言っているので、期間はある程度分かります。

しかし、基本方針には、終期についての見通しがありません。東京都は3月15日まで、と明確な終期を設けたのとは対照的です。

押谷教授は、この時期に押さえこめなければ、更に強力な措置が必要になる、と言っています。強力な措置の先にどうなるかを示していません。これは押谷氏の責任ではなく、政治家が基本方針で終期を曖昧にしているから、自分の所見を述べていることになります。

いずれにせよ、現在の対応がいつまで続くか、対応が成功・失敗の後にはどうなるのか、基本方針にも、政府の発信にも見えません。この曖昧さは、厳しい自粛要請以上に、強力な自粛効果を、しかも長期間、民間にもたらしてしまう可能性があります。民間の経済・社会への影響を小さくしようとしてソフトな措置にするのは賛成ですが、出口についての曖昧さは、民間への悪影響をかえって大きくします。

予算措置も見えません。これだけ時間があったのですから、たった一行でいいから、予算措置の追加の方向性だけでも、ちゃんと示すべきでした。

公明党の対策本部が、3月上旬をめどに新たな経済対策の提言を打ち出す考えも示しているということです。同党との調整を待っているなら、ちょっとタイミングが遅すぎます。まずは公明党の山口代表と安倍総理、二階幹事長あたりだけで、政治決断で、たとえば、財政支出なり、信用保証枠なりを、現在出している対策よりも大幅に拡充する、と一言だけでも書くことで、行動制限に対する国民の協力も得やすかったでしょう。

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一番まずいのは責任をとる姿勢が見えないこと

基本方針で一番問題なのは、政府が自分で責任をもって決定する姿勢が見えないことです。

学校休校を例にとると、基本方針にはこうあります。

学校等における感染対策の方針の提示及び学校 等の臨時休業等の適切な実施に関して都道府県等 から設置者等に要請する。

https://www.kantei.go.jp/jp/content/kanren.pdf

設置者等に要請するのは、あくまで都道府県等です。

基本方針に沿って昨日出された文科省の通達にはこうあります。

感染者がいない学校も含む積極的な臨時休業を行うことも考えられる。この場合には、対外的な交流イベントなど地域の児童生徒等が集まる行事なども含めて幅広く対策を検討する必要がある。 

https://www.mext.go.jp/content/20200225-mxt_kouhou02-000004520_01.pdf

昨日も書いた通り、萩生田大臣の昨日の発信も含めて、国自身が要請する、という姿勢ではなくて、こんな選択肢もありますよね、それを踏まえて、自治体で判断してください、ということです。

新型コロナウイルス対策、専門家会議も重症者優先を強調、萩生田文科大臣は地域ごとに患者なしでも休校検討:両方おおむね支持。 - 日本の改革

これを受けて、ちゃんとリスクを取って早速判断する自治体もあります。北海道知事の決断で、道教育委員会が道内の全公立小中校に休校要請をしました。これは、踏み込んだ良い例ですが、いずれにせよ、国に丸投げされた決定をした形です。リスクをとるのは知事なので、及び腰になる知事もいるでしょう。

www.nikkei.com

イベントの自粛要請についても、「現時点で全国一律の自粛 要請を行うものではないが、専門家会議からの見解も 踏まえ」、感染の広がり、会場の 状況等を踏まえ、開催の必要性を改めて検討するよう 要請する、となっています。ここでさえ、「専門家会議からの見解を踏まえ」となっています。

ここでも、専門家会議が言うから、やむを得ずこうします、という書き方に見えます。

私は、小出しにソフトな規制にすることには賛成ですが、終期や今後の見通しなどの内容が曖昧過ぎるし、予算措置はないし、政府の責任感も見えません。ソフトな政策でも、後で大流行して死者が増えれば、批判されるリスクはあります。それをしっかりとる覚悟を総理は見せるべきです。

国民は政府の対応を評価しておらず、今からでも安倍総理がしっかり責任をもって決める姿勢を見せるべきです。