日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

厚労省や内閣官房は隔離等の前線から撤退させ、医療崩壊と「霞が関崩壊」防止を徹底し、自衛隊活用と迅速な予算措置を。

ダイヤモンド・プリンセス号での水際対策のずさんさが次々に明らかになっています。効果の薄い水際対策の体制はできるだけ縮小し、国内感染症対策についても、厚労省内閣官房の職員は出来るだけ現場から離し、自衛隊が管理すべきです。医療崩壊の防止も直ちに開始すべきで、ベッド、人、モノ、カネのための予算措置を早急に行うべきです。

ずさんだったダイヤモンド・プリンセスの管理

 ダイヤモンド・プリンセス船内での感染防止対策、結局、岩田健太郎氏の言う通り、まともな防疫体制ではありませんでした。厚労大臣は、国立感染研究所の判断で、乗客を公共交通機関で自宅に帰した、と発言しましたが、その正当性が問われますし、感染研究所の中立性にも疑問が呈されています。そのうえ、乗客23人について、検査漏れがあることも分かりました。感染研究所によれば、室内隔離後に症例が減ったのですから、隔離に効果があったのは確かでしょう。しかし、こうも実態がずさんでは、信頼されないのは当然です。

本ブログでは、感染研究所の判断があるのだから、下船も公共交通機関利用も賛成、自宅での経過観察は可能ならやるべき、と書きましたが、今となっては、公共交通機関利用は間違いだったと思います。 厚労省が保健所を通じた経過観察をやっているのは朗報ですが。

橋本岳・厚労副大臣が「清潔ルート」「不潔ルート」の写真を投稿。まもなく削除(ダイヤモンド・プリンセス号) | ハフポスト

岩田教授の告発が暴いた…新型コロナを「人災」にした厚労省の大失態(長谷川 幸洋) | 現代ビジネス | 講談社(4/5)

クルーズ船の客23人、検査漏れのまま下船 厚労相陳謝 [新型肺炎・コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

更に深刻なのは、厚労省内閣官房の職員も感染していたことです。厚労省職員はウイルス検査をせずに通常業務に復帰していたとして、あらためて検査をすることになりました。

 厚労省と内閣官房の職員が新たに感染 クルーズ船で業務 [新型肺炎・コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

 クルーズ船で業務 厚労省職員 多くがウイルス検査せず職場復帰 | NHKニュース

厚労省職員41人のウイルス検査実施へ クルーズ船で作業 - 産経ニュース

クルーズ船については、前例のない事態への難しい対応でしたが、それにしても、政府の水際対策はひどすぎました。批判は当然ですが、国内で感染がこれほど広がっている今から水際対策を強化しても、効果はほとんどないでしょう。

2009年には、一人も入れてはいけないという建前で水際対策を徹底的に厳しくやったつもりが、大勢を使って機内検疫等の全然見当違いのことをやった末に、海外渡航歴のない人が第一感染者でした。今回のクルーズ船対応では、素人でさえおかしいと思っていたことが、専門家によって、やはり大間違いだったと確認されました。

私は感染研究所の主張も全否定はしませんし、乗客についてだけは、隔離に一定の効果があったろうと思います。しかし、今の日本政府には、厳格な水際対策をする能力が乏し過ぎます。これを正すのは、すぐには出来ません。今回の新型コロナウイルスの流行が一定の落ち着きを見せたとき(それでも根絶とは程遠い状態と思いますが安定したとき)、あらためて、法改正も含めた感染症対策の改善を行うべきです。

厚労省等の官僚は防疫の現場から撤退させ、自衛隊に任せるべき

今すぐ出来ることの第一は、厚労省内閣官房等の中央省庁の職員を、こうした隔離関連の現場から撤退させることです。

今回のクルーズ船対応で、私が特に問題だと感じたのは、効果の薄い水際対策に医療スタッフや専門家を多数貼り付けたことに加え、中央省庁の官僚が船内にまで入って業務をしていたことです。責任をもった決定を行うことに集中すべき立場の人達が、現場仕事に駆り出されているかのような状態です。検査体制の充実から医療体制の整備に至るまで、行政の動きが遅いのも当然ではないでしょうか。今やるべきことを役所がやれていません。

政府は、既に同じ過ちを犯して、犠牲者まで出しています。

2月1日、武漢市からの帰国者が滞在する、埼玉県和光市国立保健医療科学院で、滞在者の受け入れ業務をしていた内閣官房の男性職員が自殺しました。

内閣官房の職員飛び降りか 埼玉・帰国者受け入れ先 (写真=共同) :日本経済新聞

 このとき、何か異常なことが起きている、と気付いてすぐに対応すべきでした。

森友問題同様、総理も大臣も国会も官僚を人間と思わず、官僚の自殺など気にもとめませんし、そこにも怒りを感じますが、それはしばらくおきます。

帰国者の隔離につき、行政機関の動かし方に非常に大きな問題があったことは、今月初めの報道でも明らかでした。武漢からの帰国者対応の現場がどんな状態だったか、2日後の2月3日に産経新聞が報じています。記事から引用します。

「まるでホテルのフロント業務のようだ」。帰国者の支援に当たる内閣官房の男性職員はこう話した。
 政府チャーター機で帰国した邦人は現在、政府が用意した「勝浦ホテル三日月」(千葉県)や「国立保健医療科学院」(埼玉県)など計4カ所の施設に滞在。帰国者全員が基本的に個室から出られないため、職員が食料や生活用品を各部屋に配って回る。配膳を下げる際には体温を記入した用紙を回収するなど手間は想定以上だ。支援物資の運搬や荷ほどきにも追われ、「全く人が足りない」(関係者)という。
 現在は厚生労働省などの職員計約150人が24時間体制で食事や医療支援を行っているが、当初は内閣官房の職員を中心に数十人程度で対応していた。“総力戦”に切り替えたのは2月2日になってからだった。

出所:産経新聞2020年2月3日 

special.sankei.com

国会開会中に、まだ予算も通っていない2月に、官僚にこんなことをやらせています。クルーズ船内では食事等は乗員がやっていましたし、厚労省職員らは事務仕事をやっていたとは言いますが、彼等が船内でやるべき仕事だったかどうか、それ以前に、その仕事は彼等がやるべきものだったか、疑問です。そのうえ、ずさんな防疫体制の下で感染までして、政府中枢の意思決定が危うくなるという悪い結果を出しているのですから、中央省庁の職員は、こうした業務から撤退させるべきです。

橋下徹氏は、クルーズ船対応について、2月18日配信のメルマガで、危機に対応するときの鉄則は、自分が対応しなければならない危機の範囲を、できる限り小さく、狭くするということだ、と主張しています。そして、2月16日に、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」に出演した際に、佐藤正久議員と議論して、やはり危機管理のプロは自衛隊と感じられたそうで、数十万人という部隊を動かす自衛隊なら、乗員・乗客含めて約1200人(日本人)の集団を動かすのは簡単だったはずだ、と言われています。

橋下徹の「問題解決の授業」公式メールマガジン

私も、これに賛成です。国家安全保障会議での決定になるでしょうが、今後の隔離施設の現場対応は、自衛隊に任せるべきです。

医療崩壊防止のために早急な対策を

 国内の感染が続出して、ようやく、メディアも本腰を入れて、医療体制の整備を訴え始めました。

産経の社説は、指定医療機関にある感染症に特化した病床に軽症の人も入院しているのは見直し、地域ごとに、一般の病院でのベッドと人の確保を急ぐべき、として、休止中の病棟や結核病床の利用等、具体的な提案もしています。世論も段々そういう意識になりつつあると感じます。

【主張】国内流行への備え 地域の病床確保が急務だ - 産経ニュース

 ここからは時間との戦いです。

東京都は2月21日、感染症対策本部の会合を開きましたが、専門家から、クルーズ船乗客で陽性が相次いだので、都内の感染症病床はフル稼働状態と指摘しています。患者の重症度に応じて、一般の医療機関感染症に対応できる病院で「役割分担を明確にすべきだ」との意見も出たそうですが、無症状者と軽症者はすぐ自宅に戻して、生活上の注意を噛んで含めてきっちりやったうえで、保健所でしっかり経過観察すべきです。

www.nikkei.com

国は専用病床を倍近い約3400床に増やすなどして備えるとしていますが、重症者だけでも恐らく足りないと想定すべきでしょう。昨日のテレ朝のサタデーステーションで、白鴎大学の岡田春恵特任教授が、もう国内で数万人は感染しているだろうと言っていました。万単位のベッドを準備すべきです。

www.nikkei.com

これからベッドは病院だけでは足りない可能性があります。自衛隊施設、未活用の公務員宿舎、旅行需要が減って空いているホテル、全国にいくらでもある空家、あらゆるベッドのうち、感染症のために使えそうなものの利用を想定して検討すべきです。医療スタッフ不足については、医師の仕事は看護師に、看護師の仕事は医療専門家以外に、緊急時ということでジョブ・シフティングをしてでも、何とか人手を確保すべきです。もちろん、医療機器も薬も確保しないといけません。

そのためには、現状の対策では不十分なので、早急に予算措置を行うべきです。野党の言う予算組み替えなど、今さら無理。政府与党は予備費2700億円を使うというなら(今朝のNHK日曜討論で岸田自民政調会長発言)、上記のような内容にどう使うか、早く検討して内訳を決めて、足りなければ、補正予算でやるべきです。

これから政府も、感染防止のために、正式にイベントなどの自粛要請をしたり、その範囲を広げたりする可能性はあります。私は昨日ブログで書いた通り、経済への影響を考えると、慎重にやるべきだと思います。もし、専門家がどうしても必要だと言うなら、医療崩壊を防ぐためには、メッセージの出し方には注意すべきです。

武漢での医療崩壊はどう起きたか。毎日新聞によれば、市民の危機感がまだ薄かったころに、習近平が突然、都市封鎖を決定したのでパニックが起き、市民が病院に殺到することで起きました。封鎖政策の効果について、専門家は賛否両論あるようですが、私は効果はあまりなかっただろうと思いますし、武漢でこれほど死者が出たのは、習近平の独裁的手法のためだと思います。

mainichi.jp

医療崩壊の一つのシナリオは、このように、何かのニュースや納得感のない強権的な政策により、一撃で医療体制が破壊されることです。

これを防ぐためには、国民・住民への行動制限は、日頃からリスクをしっかり開示し、広報しながら、国民・住民が一定の納得感を持てる形でやるべきです。テレビでキャスターが、もう政治決断の時期だと言い出したりしており、国民の理解は得られそうな状況にはなってきました。あとは、感染予測に関する専門家の意見と、経済への影響をよく見て、慎重に判断すべきです。