日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

COVID19(新型コロナウィルス)対策、水際対策から国内対策へ転換し、医療体制を充実させ、米軍・自衛隊施設の利用も検討を。

COVID19の集団感染が生じたクルーズ船、もう水際対策を緩和し、全員を下船させるべきです。これを機会に、水際対策から、国内の医療体制充実に、政策転換を図る必要があります。アメリカ同様、米軍・自衛隊施設の利用も検討すべきです。

水際対策はもう限界。国内医療体制の整備が最重要

COVID19(新型コロナウィルス)対策は、限られた医療資源を利用して、国民の生命・健康への被害を最小化する必要があります。水際対策と、国内の診察・治療体制整備と、それぞれの費用と便益を考えて、純便益を一番大きくするべきです。

その原則で考えれば、現在は、水際対策の費用が便益を上回り、国内の医療体制整備では逆に、便益が費用を上回ると見るべきです。

これまで、日本国内にウィルスが入らないようにする水際対策が重視されてきました。今日も、安倍総理が、新型コロナウイルス感染症対策本部(第7回)で、「より包括的かつ機動的な水際対策を講じることが不可欠」として、入国管理の強化を発表しました。そして、中国の感染蔓延地域からの入国拒否を出来ると、一般的な措置を新たに発表し、それに基づき、まず、これまでの湖北省に加えて浙江省から来訪する外国人等の入国拒否を発表しました。

www.kantei.go.jp

しかし、今回の措置は、もうあまり意味がありません。

本ブログでは、既に1月下旬の段階で、武漢湖北省を含めて大勢の人が入国しているだろうし、2009年の新型インフルエンザで水際対策ばかりに関心を集中して、国内での診断・治療の体制が不十分になった反省を生かすべきだ、と主張しました。

新型コロナウィルス対策、2009年の新型インフルエンザでの失敗も踏まえて、冷静な対応を。 - 日本の改革

その後、WHOの対応が中国への政治的配慮で歪められていたことが明らかになり、科学的にはWHOが言うよりも厳しい水際対策が本来は必要だった、ということが分かりました。水際対策には、一定の効果はあることになりますが、それでも、特にリスクの高い湖北省からの入国拒否程度でもう十分だから、今後は、国内の医療体制の整備をすべき、と主張しました。

WHOの緊急事態宣言、科学的判断を中国が歪めた可能性大。ただし、水際対策はもう十分すぎる、今後は中程度以上の症状への準備を。 - 日本の改革

 しかし、水際対策のコストは、極めて高いものです。武漢からのチャーター便での帰国者が滞在する埼玉県和光市国立保健医療科学院で、帰国者の受け入れ業務を担当していた内閣官房職員が飛び降り自殺をしました。

武漢からの帰国者支援した内閣官房職員、飛び降り自殺か:朝日新聞デジタル

その他の施設も含めて、実に150人もの厚生労働省職員が、宿泊者の生活支援にあたっていた、と言います。当初は内閣官房の数十人であたっていたと言いますから、そのための過労が自殺につながったのでしょう。

総力戦の内閣官房「風呂は入れるか」「テレビはあるか」異例づくめの帰国者支援 - 産経ニュース

自殺した職員は、COVID19に感染して病気になったわけではありませんが、彼の死はCOVID19 の関連死と見るべきです。この緊急時に、厚生労働省内閣官房の職員を多数貼り付けるような、とんでもないムダも生じています。

今日、勝浦市のホテルから、第一便の帰国者が帰宅できるようになりましたが、今回の隔離で感染のおそれがあるという差別があるのではないか、大丈夫だと言う保証がほしい、と言い始めています。そこまでの対応はとても無理でしょう。

そのうえ、感染者が続出しているダイヤモンドプリンセスというクルーズ船への対応に、大変な資源がかかっています。

今度は、自衛隊40人が生活支援です。それだけではありません。これから国内感染の広まりで、多くの医療者が必要になる中で、150人規模で、医師、看護師、薬剤師が対応しています。

【新型肺炎】自衛隊がクルーズ船でも生活支援 - 産経ニュース

 この船については、もう下船を認めるべきだ、という専門家が増えています。

私も賛成です。集団感染が発生しているクルーズ船の乗員・乗客は全て下船させ、必要な範囲で隔離を行い、後で書くように、医療資源の節約のため、米軍や自衛隊の施設での滞在も検討すべきです。

クルーズ船の件だけでなく、水際対策にばかり、政府と国民の関心が向きすぎている現状を早急に変えるべきです。

感染症の専門家も、水際対策よりも、国内できちんと治療できるようにすることが重要だ、水際対策の強化は、貴重な医療資源をとられるデメリットが大きい、と主張しています。

www.nikkei.com

新型肺炎専門家に聞く インフルの対策が有効 日本国内で重症例なく 舘田一博・日本感染症学会理事長 :日本経済新聞

政府も、国内医療体制の整備を始めてはいます。

既に、COVID19による肺炎について、一般病床で入院可能にする通知が、厚労省から出されました。もっと早ければなお良かったとは思いますが、適切な対応です。

www.nikkei.com

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000593853.pdf?fbclid=IwAR0EQmZ_2GTMTVf-25tCd_HJyG-DqxGgJ38mv203vgTF8CskCGETXk8pfBk

また、COVID19に対応した医療体制につき、厚生労働省は各都道府県衛生部に通知を出し、保健所に「帰国者・接触者相談センター」を設置する等の対応を指示しています。

http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20200201_01.pdf#search=%27%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87+%E5%8C%BB%E7%99%82%E4%BD%93%E5%88%B6%27

政府は、療体制の整備については、だいぶ遅れたものの、国内の感染・流行以前に手を打ち始めています。

ただ、一般病床だけでは、足りない可能性もあります。とりあえず、特に感染リスクの高いグループへの対応として、クルーズ船の乗員・乗客については、やはり一時、隔離せざるを得ないでしょう。

その際も、医療資源は、なるべく節約できるなら節約した方が良いはずです。

アメリカでは、米軍基地を隔離に使うという方針が示されており、専門家も効果的だと評価しているようです。そして、日本でも、佐藤正久議員が同様のことを主張しています。

Pentagon approves 6 military bases for Wuhan coronavirus quarantine - Business Insider

私も賛成です。在日米軍基地、あるいは、自衛隊基地等で隔離が可能か、検討すべきです。

もちろん、軍事施設の利用はあくまで緊急措置で、本丸は、今後の国内での流行に備えての、医療体制の充実です。

院内感染の防止について、2009年には「発熱外来」としたら全然関係ない患者さんも新型インフルエンザの恐れのある人といっしょの窓口に押し寄せることになってしまいました。今回、その反省から、「帰国者・接触者外来」と区別するようで、そこは結構な話です。ただ、それでも、今後の流行次第では、大勢が病院に来て、パンクする可能性があります。

そのためには、今から、中程度以上の症状の人達について、ベッド、医療者、医療機器、薬等が足りないことが絶対ないよう、万全を期すべきです。

武漢湖北省で死亡率が高いのは、現地での医療が崩壊しているのが原因です。COVID19で一番恐ろしいのは、医療体制が整っていないことです。

[FT]新型肺炎の犠牲になった武漢のある家族 (写真=AP) :日本経済新聞

[FT]新型肺炎危機が問う中国体制のあり方(社説) (写真=AP) :日本経済新聞

逆に言えば、きちんと診察・治療してもらえるなら、それほど怖い病気ではありません。

(2020年2月19日加筆:上記の「きちんと診察・治療してもらえるなら、それほど怖い病気ではありません」という表現は、素人が言うべきことではありませんでした。お詫びして撤回します)

いまの政府の対応の問題は、国民へのリスク・コミュニケーションの不足です。国民は、まだまだ、国内に絶対ウィルスを入れないでほしいと感じてしまっているようです。そんなことは最初から不可能です。にもかかわらず、国民が完璧な水際対策が出来ると勘違いしたままだから、政府も世論に押されて、不合理なほどに入国管理に貴重な人員を割きすぎています。

政府は、水際対策はこれ以上強化しても仕方がない、入国管理の目的は、一切ウィルスを日本に入れないことではなく、少しでも遅らせることだ、いずれ国内で感染流行したときの対応が必要になるから、それへの準備のために、医療資源をそちらに振り向けます、と、明確に説明すべきです。現状では、パニックになってはいないのだから、日本国民はきちんと理解するはずです。