日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

IMFも、日本政府も、日経新聞も、消費税増税後の消費落ち込みを軽視。新型肺炎より深刻な消費税増税の打撃。

2019年10~12月の消費は4.7%減、3か月連続下落。IMF対日報告書、経済再生担当大臣、日経の予測は、いずれも、この悪影響を過小評価しています。経済への悪影響は新型肺炎よりも消費増税の方が大きい可能性があり、対策が必要です。

総務省の家計調査で分かる、消費の深刻な落ち込み

2月7日に発表された、総務省の家計調査で、昨年10月の消費税増税後消費の落ち込みがはっきりしました。2019年10~12月期で総世帯の消費支出は、前年同期比で4.7%減りました。

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出所:総務省

https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr-q.pdf#page=16

(月次、年次も含む全体の結果は、以下です)

統計局ホームページ/家計調査報告 ―月・四半期・年―

前回増税後の2014年4~6月期(5.7%減)より落ち込みは小幅とは言うものの、上のグラフの通り、それに匹敵するくらい、消費が落ちています。

なお、上のグラフでは、2015年から急に消費が回復して、2014年の消費税の影響は1年だけのように見えますが、これは前年同期比のグラフだからで、消費が減った2014年5月以降の状態が、2015年以降もほぼ変わらず続いていました。2014年の消費税増税の悪影響は長く続きましたし、去年10月の消費税増税による消費減も長引くでしょう。

2019年12月に限って言うと、実質の消費支出は前年同月比4.8%減少しました。これは、日経QUICKがまとめた市場予想の中央値1.7%減を大きく下回っています。

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また、内閣府が2月7日発表した2019年12月の景気動向指数による基調判断は、5カ月連続の「悪化」でした。「悪化」との判断がこれだけ長引くのは、リーマン危機前後の08年6月~09年4月(11カ月連続)以来です。

https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/201912psummary.pdf

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株式市場は新型肺炎の悪影響は続かないと見て、各国の政策に期待している

さて、以上のように、消費税増税の悪影響は相当大きいことが分かりましたが、新型コロナウィルス流行の悪影響はどうでしょうか?以前、本ブログでは、中国株の下落とIMFの世界経済見通しの悪化を理由に、消費税増税に加えて、新たな悪材料が加わったので、金融・財政政策が更に必要、と書きました。2月3日のブログです。

昨年10~12月期はマイナス成長、年明けに新型コロナウィルス:金融緩和深掘りと教育国債発行で無償化拡大を - 日本の改革

その後、2月10日の日経によると、中国株の急落後、世界の株式相場はすぐに切り返し、週を通じてみると大幅高でした。株式市場は新型肺炎に動じなくなっています。

理由として、日経の川崎健編集委員は、感染症等での下げは長続きしないという経験則があったうえで、米製造業の景気指数が良かったことに加え、政策的な低金利とカネ余りの相場がまだ続くと思われていること、等を理由として挙げています。

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市場は、新型肺炎の影響は経験則上それほど長続きしないと考えており、各国が政策を打つことを織り込んで、安心して株を買っているようです。

政策当局が消費増税の悪影響を軽視

このように、消費税増税の悪影響は相当深刻な一方、新型肺炎の影響は、株式市場の反応を見る限り、それほど大きくありません。一方、好調な株式市場は、各国の政策対応を前提にしています。

こう考えれば、消費税増税の悪影響を相殺するためにも、新型肺炎対策として市場が求める安定化のためにも、かなりの規模の財政・金融政策が必要です。

ところが、肝心の政策当局に、全く危機感が足りません。

まず、2月10日のIMF対日報告書です。昨年のIMF事務局長の声明と基本的に同じで、消費税率の15%への引き上げを提言しています。

Japan : 2019 Article IV Consultation-Press Release; Staff Report; and Statement by the Executive Director for Japan

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これは、日本政府への忖度が過ぎる結果で、去年10月の消費税増税の影響を相変わらず過小評価しているためです。昨年11月のIMF声明のときに本ブログで書いた通りです。

財政再建のためには、消費税増税以前に、行政改革の余地はいくらもあるのに、歳出削減にはほとんどふれていません。金融所得課税の強化や富裕税の導入、炭素税の本格的導入など、良いことも色々言っているだけに残念です。

IMFの対日声明、問題点はむしろ日本政府への忖度。行革はぬるく、消費税は安易に15%に増税求め、規制改革はまるでなし。 - 日本の改革

次に、日本政府の認識で、こちらの方が問題です。

2月7日に、総務省の家計調査で消費のひどい落ち込みが分かった当日の記者会見で、西村経済制裁担当大臣は、去年と比べて祝日が2日少なかったことと台風と暖冬の影響しか、理由として挙げていません。消費税については、駆け込みと反動という調整の話しかしていません。

西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年2月7日 - 内閣府

最後に、政策当局ではありませんが、日経新聞の認識も甘すぎると思います。

日経は1月28日の記事で、1月27日までに公表された各種経済指標の情報を織り込んだ経済予測をしています。これに関する解説記事で、消費の先行きに甘い見通しをしています。

日経も、総務省の2月7日発表の家計調査は盛り込んでいないものの、2019年10~12月の消費支出が落ち込んでいることはもちろん認めています。しかし、内閣府公表の消費者態度指数が3カ月連続で上昇していることを一つの理由に、2020年1~3月期以降は前期比で増加基調を維持する、としています。

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経済モデルに基づく予測ではありますが、今後の消費が回復する一つの理由として、消費者態度指数の改善を挙げています。しかし、2014年4月の消費増税時も、4月~6月の消費者態度指数は上昇していました。にもかかわらず、その後、長く消費低迷が続きました。

https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/kekkanoyouten2014.pdf

以上のように、IMFも、日本政府も、要路の人々の意思決定に影響を及ぼす日経の経済予測も、昨年の消費税増税の影響を甘く見過ぎています。政府は、来年度予算案の審議中に新たな対策は言いにくいでしょうが、出来る限り速やかに、金融政策と財政政策で、更なる経済対策を行うべきです。