日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

日本会議、かつて反対した「育児と仕事の両立」に賛成。選択的夫婦別姓にも、早く賛成を。

日本会議は、かつて反対した「育児と仕事の両立」のための少子化対策につき、賛成に転じました。同会議の衛藤少子化大臣は、かつて子ども手当に反対したのに、第3子への手厚い子育て支援を主張しています。日本会議は、選択的夫婦別姓制度でも賛成に転じるべきです。

時代と世論の変化に応じて、持論を変えざるを得なくなった日本会議

今日2月10日、衛藤晟一少子化担当相は閣議後の記者会見で、子どもが多い世帯に手当を手厚く配分する制度の導入にも前向きな考えを示しました。今年度中の策定を予定する新たな少子化社会対策大綱に盛り込む方向です。

www.jiji.com

毎日新聞によると、具体的には、第1子に月1万円、第2子に月3万円、第3子に月6万円というアイデアだそうです。子供1人に月1万~1万5000円を支給する現在の児童手当に代わり、子どもが多い世帯ほど手厚く傾斜配分する手当を導入する構想です。

実現できれば立派なものですし、衛藤氏に打診された安倍総理も必要な政策だと言ったそうですが、財源が3~5兆円と聞いて、「首相は「うーん」とうなったまま沈黙した」そうです。

ところが衛藤氏はめげずに、「最初は『とんでもない』という感じだったが、少しずつ役所内のバックアップも強くなっている」と言っているそうです。

mainichi.jp

この政策には賛成できますが、政策の当否以前に、「あの衛藤氏がよくそんなことを言うようになったな」という驚きが先に立ちます。彼は民主党政権時代、野党自民党子ども手当に反対したとき、この制度をはっきり批判していました。 かつて自分が反対した子ども手当を、更に拡充する旗振りをやりだしたのです。

asahi.com(朝日新聞社):子ども手当法案、参院厚労委で可決 26日に成立見通し - 2010鳩山政権

何より、衛藤氏は日本会議国会議員懇談会の幹事長を務めており、同団体系の国会議員の中でも中心的な人物の一人です。2017年の「日本会議日本会議国会議員懇談会設立20周年記念大会」では、主催者挨拶をしています。

日本会議・日本会議国会議員懇談会 設立20周年記念大会盛大に挙行(平成30年4月30日) « 日本会議

憲法公布70年:改憲へ安倍自民執念 日本会議が地ならし(その2止) - 毎日新聞

そして、この日本会議は、民主党時代には子ども手当に徹底的に反対しており、衛藤氏の当時の反対も、当然その方針と歩調を合わせたものです。

当時、日本会議の政策委員、伊藤哲夫氏は、子ども手当とは「子育ての社会化」であり、マルクスエンゲルスの言う「家族の廃止」とつながりかねない、という趣旨の、カルトの信者らしい戯言を書いていました。

http://www.seisaku-center.net/node/301

ところが、第二次安倍政権になってから、こんな狂った言い方が減りました。民主党政権時代、日本会議の応援する安倍晋三氏が所属する自民党は野党でした。だから、反対のための反対が何についても気楽にできました。応援する安倍氏が長期にわたって総理大臣として責任を負うようになると、日本政府が何十年も進めてきた少子化対策、男女平等、男女共同参画の推進をやめられるわけがなく、「子育て支援マルクス主義的な家族の廃止だ!」などと、そうそう口に出来なくなったからです。

衛藤氏のプランも、政府が第3次まで進めてきた少子化対策の最新版、第4次少子化対策大綱に盛り込もうとしているものです。既に有識者会議が、「第4次少子化社会対策大綱の策定に向けた提言」を出しており、その11頁には、数字は入っていないものの、以下のように、第3子以降への支援強化が出ています。

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/taikou_4th/pdf/teigen.pdf

「第3子以降持てるよう支援を」 検討会が少子化対策大綱改定へ提言案 - 毎日新聞

日本会議は、そもそも、この「少子化社会対策大綱」にも、当初は反対していました。最初の大綱が出たのは2005年、小泉内閣のときです。

少子化社会対策大綱: 子ども・子育て本部 - 内閣府

2006年、日本会議の政策委員である伊藤哲夫氏は、「働く女性にのみ力点をおいた「少子化社会対策大綱」では少子化は解決しない」と言って、この大綱を批判しました。とにかく、共働き夫婦の負担を減らそうとする政策は、保育所整備だろうが学童対策だろうが、それらは全て「子育ての社会化」だー!と言って、大反対していました。

http://www.seisaku-center.net/node/304

2007年には、産婦人科医が足りないらしい!これはひどい!と、珍しく正気のことを言ってると思ったら、少子化対策の財源を産婦人科医に回すべきだ!と、予算組み替えを主張しています。

理由によってはもちろん、検討すべき話です。産婦人科医不足は確かに深刻な問題だからです。が、伊藤氏の挙げる理由は例によって、どうかしていました。

とにかく「仕事と家庭の両立」だからダメだ、それどころか、「男女共同参画社会」なにつながりかねない、それどころか、「ジェンダーフリー」という恐ろしげな政策にさえ見えるような「怪しげな政策メニュー」が並んでる!なんてことだ!少子化対策なんて言っても、「仕事と家庭の両立」とかいう、フェミニストという極端な変な連中が言っている政策ばっかりだ!と嘆いています。

伊藤哲夫氏がこれほど恐れおののいて悲憤慷慨していたのはどんな政策かと言うと、待機児童対策で保育所作ったりすることです。 

http://www.seisaku-center.net/node/302

ところが、さすがの伊藤氏も、こんなことをもう言ってられなくなりました。共働き世帯が増え続けている現実を踏まえ、安倍政権が長く続く限り、安倍氏は総理として、育児と仕事の両立支援をどんどん充実せざるを得ません。

それでもまだまだ不十分で、少子化は深刻化しています。今年の1月24日、厚生労働省が発表した2019年の人口動態統計の年間推計で、日本人の国内出生数は86万4千人となり、1899年の統計開始以来初めて90万人を下回りました。

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei19/dl/2019gaiyou.pdf

www.nikkei.com

このニュースに対して、今年の2月1日、日本会議政策委員の任にある伊藤哲夫氏は何と言ったか。

伊藤氏は、多数の新聞が、出生数の減少は「育児と仕事の両立」の問題だとして書いていることを取り上げています。各紙が、働き方改革や女性の育児負担、待機児童解消にほど遠い保育園や子育てに不寛容な社会の現状等々、「子供をもつことが不安や負担となりかねない日本社会の問題」を指摘している、としたうえで、なんと、「いうまでもなく、筆者もそれらの指摘自体を否定するものではない」と書いているのです!

http://www.seisaku-center.net/node/1129

「育児と仕事の両立」で、「ジェンダーフリー」で、「男女共同参画」で、「特殊なフェミニスト」的で、だからダメだと言って、あれほど叩いていた政策や考え方を、「いうまでもなく」「否定するものではない」!

日本会議も、ここまで立場を変えざるを得なくなりました。

君子豹変と言い、過ちては改むるに憚ること勿れと言います。私は、伊藤哲夫氏が、さすがに時代の変化を感じ取って、主張を大きく変えたことを歓迎します。

日本会議は、選択的夫婦別姓も賛成に転じるべき

それでも、伊藤氏は、子育て支援だけでなく、「それに劣らず重要で、深刻な問題であるはずの若者の未婚化・晩婚化の問題」を同様に重視すべきだ、と言っています。そして、大人が若者たちに、結婚と出産をするよう「教える」べきだ、と言っています。

ということで、日本会議が一番重視する少子化対策は、伊藤哲夫氏の感覚での「大人」即ち老人が、下の世代に、早く結婚して子供を生めと説教することです。

http://www.seisaku-center.net/node/1129

ここはまだまだ伊藤氏が問題の所在を分かってないので、更に考え直してもらわないといけません。婚姻数に関する喫緊の課題は、まずは結婚に対する障害を取り除くことです。問題は結婚・出産を希望する人が少ないことよりも、希望してもできない人が多いことだからです。説教以前に、その気になれば結婚・出産できる環境でなければ、誰が何を言っても無駄です。

そして、結婚に対する障害の一つが、選択的夫婦別姓が実現していないことなのですから、日本会議は、この制度についても今までの立場を転換し、賛成すべきです。

単に少子化のためだけではありません。社会が変わり、世論が変わり、それによって政治状況も大きく変わりました。日本会議があくまで安倍晋三氏に総理でいてほしいと思うなら、まず日本会議が選択的夫婦別姓に賛成し、安倍氏が賛成しやすくすべきです。

現状は、この問題について、自民党内でも安倍晋三氏が孤立してしまっています。

朝日の最近の世論調査を含めても、第2次安倍政権で、選択的夫婦別姓について5回尋ねて、一貫して賛成が反対を上回り、2017年には賛成58%、2020年には賛成69%となっています。

内閣支持層、自民支持層に限っても、2016年調査では、内閣支持層、自民支持層ともに反対が過半数を占めていたのに対し、2017年調査で賛成が反対を上回り、2020年の調査では賛成が反対を大きく引き離しました。

withnews.jp

自民党杉田水脈議員が、選択的夫婦別姓について代表質問した野党議員に、「だったら結婚しなければいい」とヤジを飛ばして総スカンを食い、これがかえって、立法化への動きを強めました。

小泉進次郎環境大臣は、1月24日に改めて選択的夫婦別姓に賛成さ、1月28日に、公明党の山口代表が、「制度の導入に向けて、自民党に理解を求めていく」ことを発表、1月27日には、岸田文雄政調会長が記者会見で、と党内論議の必要性に言及した上で『保守的な考え方を持つ方から「家名を残すための夫婦別姓を考えてほしい」との陳情が増えている、と前向きなコメント。与党内で確実に包囲網は狭まっています。

www.bengo4.com

そもそも、最初に紹介した衛藤少子化担当相の子育て支援拡充も、自民党大分県議団からも要望があったようです。

www.oita-press.co.jp

選択的夫婦別姓の実現を求める全国陳情アクションも、着実に地方議会での賛成を増やしています。

選択的夫婦別姓・全国陳情アクション | 動け!国会。夫婦同姓も夫婦別姓も、自分たちで選べる国へ。

これに対し、かつて反対運動を展開した日本会議は、以前のような呼びかけをしていません。2010年、民主党政権時代には、一所懸命に署名活動をやって、「夫婦別姓に反対する国民大会」まで開いていましたが、第二次安倍政権ではやっていません。

[夫婦別姓問題] 夫婦別姓に反対する国民大会 (概要・運動方針) « 日本会議

政権をとっているからわざわざ運動するまでもないということでしょうが、それにしては、伊藤哲夫氏は必死になって、選択的夫婦別姓に反対と言い続けています。本音では反対でも、下手に目立つ運動やったら、かえって世論の反発を食うと思っているのかもしれません。彼等がいま最重視しているのは憲法改正のはずで、国民投票でマイナスになりそうな目立つことはしたくないはずです。

http://www.seisaku-center.net/node/1048

日本会議も、その応援を受ける政治家も、そろそろ、選択的夫婦別姓への姿勢を反対から賛成に転じるべきです。

日本会議は、少子化対策として、結婚をする人を増やすべきだ、と言っているのに、選択的夫婦別姓に反対する議員が、国民に「結婚をするな」と言い放っています。

杉田水脈議員だけではありません。民主党政権時代に、政権内にあって選択的夫婦別姓制度をつぶすよう動いた亀井静香氏は、2015年に、杉田氏と同じく、「一つの名前になるのが当然だ。一つになりたくなければ、結婚しなければいい」と発言しています。

「夫婦別姓に反対。いまも変わらない」 亀井静香氏:朝日新聞デジタル

杉田氏のヤジは、未だに一部の政治家が持っているこうした感覚を、言葉にしただけでしょう。しかし、杉田氏も、亀井氏も、そもそも国民の権利を否定するようなバカげたことは言うべきではないですし、保守を自称するなら、日本会議が結婚を増やしたがっていることも念頭に置くべきです。言うに事欠いて、国民に「だったら結婚するな」だけは、どんな立場でも言うべきではありません。

他にも、立場を変えるべき人達はいくらもいます。下村博文氏は、亀井氏同様、2010年に選択的夫婦別姓制度反対の運動をやっていました。下村氏は当時、こう言っていました。

この法案が通ってしまったら、夫婦の絆、それ以上に親子の絆がずたずたになってしまう。
最近の調査でも世界二十五カ国で十五歳の子供たちに「孤独を感じることがあるか」と聞いたところ、他の国に比べて日本は三十パーセントと高い。アイスランドが十パーセント、ポーランド八パーセント、カナダは七・六パーセント、他の国は五パーセントくらい。いま私達が思っている以上に日本の子供達は孤独感、閉塞感を感じているのです。残念なことに、政府民主党の強行採決で、子供手当、高校無償化法案が成立してしまいました。

[夫婦別姓問題] 夫婦別姓に反対する国民大会 (登壇者の発言) « 日本会議

選択的夫婦別姓にすると子供が孤独を感じるから、と言いながら、選択的夫婦別姓となっている国より、夫婦同氏が強制されている日本の方が、子供が孤独を感じているというデータを持ち出すという、なんとも知的な議論をしています。

しかも、下村氏は子供手当、高校無償化法案に反対だと言っていたのですが、安倍政権では、教育国債を発行してでも教育無償化を実現すべきだ、と、こちらも君子豹変です。

digital.asahi.com

日本会議も、日本会議系の国会議員も、少子化対策男女共同参画推進で、立場を180度変えつつあります。遅きに失したとは言え、日本のため、国のためには必要なことであり、立派なことです。次は、選択的夫婦別姓制度についても、賛成に転じるべきです。