日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

米大統領選、波乱のスタート:緒戦のアイオワ州、民主党は集計ミスで自爆する前に、農家票獲得でも敗北か

アイオワ州民主党が票の集計で大失敗、一般教書演説で下院議長がトランプ原稿を破り捨てるなど、波乱のスタートとなった2020年の米大統領選。アイオワ州等の農業州では、トランプが通商政策で農家に支持されているので、本選でも有利でしょう。

民主党の大失敗

2020年の大統領選、最初の党員大会(caucus)が行われたアイオワ州で、民主党の投票集計で大きな不具合があり、結果の発表が大幅に遅れるという失態がありました。世界中のメディアが注目する中での大失敗で、民主党には大きな傷になりました。

投票結果を本部に伝えるための新しいアプリに不具合があり、それ以前に、事前にあまりテストもせずに本番で使用したせいで、高齢者も多いボランティアがうまく操作できず、仕方なしに電話で伝えようとしても電話がパンク、写真で送ろうとしたらそれが断られたりとか、大混乱となってしまいました。

www.nytimes.com

それ以前に、民主党の党大会の手続きが大変複雑で、1回目の投票で得票が全体の15%未満の候補者は脱落、2回目の投票で、脱落した候補者に投票していた有権者は別の候補者に投票して、投票割合に応じて代議員数(と見なせる何か別の数字)を決める、というものです。

(「投票」と書きましたが、投票用紙に名前書いて投票箱に入れるのではなくて、有権者が必ず集まって、挙手などで意思表示して決めるそうです)

前回までは、発表されるのは最終的な「代議員数」のみだったので、それでは不透明だというので、各候補者を何人の有権者が支持したか、1回目の投票の数字から全部書いて、本部に集計することになっていました。

こんな複雑で頭でっかちな方法がそもそもおかしい、これだから社会主義を主張するような党はダメだ、と、ワシントンポストで叩かれています。ちなみに、共和党の同州での党大会では、普通に投票するだけのようです。

https://www.washingtonpost.com/opinions/2020/02/04/if-you-liked-iowa-caucuses-youll-love-medicare-for-all/

こんな風に、今回の民主党の失敗につき、アメリカのメディアはリベラルの大手も批判し、フォックス等はもちろん嘲笑しました。

一言だけ日本の選挙への教訓を言うとしたら、電子投票は余程注意して導入すべきでしょう。久しぶりに「ダメリカ」なんて言ってる場合ではありません(笑)。

現時点までに分かった「中間結果」では、ブディジェッジが1位、僅差でサンダーズが2位、だいぶ離されてウォーレンが3位、バイデンが4位に沈んでいます。これからサンダーズがまだ伸びそうです。共和党アイオワ党大会は、当然トランプで確定しています。

そうこうするうちに、アイオワはまだ中間結果だけしか出ておらず、民主党の対抗馬が見えない状態で、トランプ大統領が一般教書演説を行いました。アホな野党に頼れる現職、という構図になってしまいました。

演説終了後にナンシー・ペロシ下院議長が演説原稿を破り捨てるパフォーマンス。

www.youtube.com

たぶん、アイオワの党員大会の不手際が一斉に報じられているから、目をそらすためにやったんじゃないでしょうか。大統領選、最初から盛り上がってる感じです(笑)

アイオワ州では、トランプが正攻法で支持されている

 

民主党は、アイオワ州での大失態で、出ばなをくじかれて、痛かったのは確かです。これが今後にどれくらい響くのかは分かりません。

そもそも、今回は、民主党の各候補はあまりアイオワ州に入っておらず、全米を回っていて、それほど重視していなかったと、党大会前に報じられていました。例外は知名度の低いブディジェッジで、彼がトップなのは一番同州に張り付いていたからのようです。

www.politico.com

もしも、アイオワ州の選挙が、単に最初だからという象徴的な意味しかないなら、民主党の痛手はそう大きくないでしょう。

しかし、アイオワ州について言えば、私は、民主党はトランプ政権に政策での勝負で完全に負けて、そのために支持されていない、と見ます。

アイオワ州は農業が盛んです。そして、トランプは全米で農家から指示されています。農業専門誌のFarm Journalの今月の世論調査では、83%がトランプ支持です。

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Source: Farm Journal

https://www.agweb.com/article/trump-approval-strongest-yet-he-heads-farm-bureau-convention

そして、1月25日発表のアイオワ州での世論調査で、トランプはどの民主党候補よりも支持されています。アイオワ州は白人が多いこともあるのでしょうが、トウモロコシ等の農家も多いのも一因でしょう。

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Source: RealClearPolitics

RealClearPolitics - 2020 - Latest Polls

トランプが、アイオワ州も含めて、農家に支持されている理由は、通商政策です。当初は関税戦争で失望する声もありましたが、直近では、中国との第一弾貿易合意で、中国に対して一方的に農産物を買わせることを約束させました。

また、「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の成果も評価されています。トランプにも民主党にも批判されていたNAFTAの後継版の協定で、メキシコの労働基準の厳格化という民主党の主張も取り込んで、しかも自由貿易協定をちゃんと結びなおしました。

以前、本ブログでも紹介しましたが、去年12月にも、やはりトランプはアイオワ州で支持されていましたが、その理由について、ポリティコに記事が出ていました。

この州は、米中貿易戦争で農家が大変なダメージを受けたので、当地の民主党支持者は、民主党の政治家に、トランプの通商政策を批判してほしいと思っているのに、民主党の候補が皆、スルーしている、貿易についてふれようともしない、誠にけしからんと民主党支持者たちが不満に思っている、という記事です。

www.politico.com

通商政策で民主党とも協力するトランプ政権:「アメリカ・ファースト」は他国にも悪い面ばかりではない - 日本の改革

民主党候補が、通商政策にふれようともしないのは、米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が超党派の合意で成立しているからで、この話をすれば、トランプに有利だからです。そのうえ、年明けになってから、米中第一弾合意では、驚くほど一方的な内容で、中国に米国農産物を買わせることにトランプは成功しています。先に書いたように、民主党の各候補がアイオワ州に例年ほど入らなかったのは、こうしたことも理由だったのではないでしょうか。

米中第一弾合意の正式署名:中国の義務ばかり並び、アメリカの関税引き下げは口約束。中国は統制経済へ逆戻り。 - 日本の改革

今回、民主党にとって、党大会での不手際以上に痛かったのは、投票率が低かったことだと言われています。やりたい放題のひどい大統領をいよいよ倒す、という選挙なのに、オバマの頃の熱狂は全くなく、不人気だったヒラリー・クリントンが出た2016年のときと同じ程度の投票率だったそうです。

www.politico.com

既に去年12月の時点で、アイオワ州民主党員は、候補者が農業の話をしてくれない、それどころか、いつもほどアイオワに来てもくれない、熱心に来てくれるのは新顔のブディジェッジだけだ、ということで、見捨てられたような気持ちを持ったのではないでしょうか。今後、同じようなことが、他の農業州で起きるとすれば、民主党には苦しいでしょう。1月17日の米中第一弾合意は、農家票獲得には確実にプラスで、それはFarm Journalの調査結果にも表れています。今後、アイオワ州に限らず、農業州でトランプ支持が更に広がる可能性があります。

ということで、アイオワ州の党大会、民主党には、色々な意味で厳しいスタートになりました。政党としての統治能力のアピール、そして、農家票という点で、共和党のトランプがまずリードした、というまとめになると思います。