日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

選択2月号は任期中解散はないと言い、朝日の編集委員は改憲解散があると言う:安倍氏に郵政解散の再現は無理。

安倍政権の任期中の解散、選択2月号は、もう消えたと言い、朝日の曽我豪編集委員は、郵政解散同様に「改憲解散」があると言います。私は、改憲解散はあり得るけれど、安倍総理郵政解散の再現はできないと思います。

任期中の解散がないという選択2月号説

衆院予算委、野党は桜を見る会もIR問題も取り上げ続けています。

昨日の辻元清美議員の桜を見る会の前夜祭に関する質疑、正直言って、悪くなかったと思います。安倍事務所が事実上開催したパーティーについて、参加者がホテルと直接契約した形にして、収支を政治資金収支報告書に書かなかったというのは脱法的なやり方だ、これが全国の国会議員、地方議員に許されれば、政治資金規正法の意味がなくなる、という趣旨でした。

これについては、橋下徹氏も、違法ではないが法の不備だ、法改正が必要だ、と言われています。桜を見る会に関する総理の説明に、ほとんどの国民も納得していません。

 私は、桜を見る会にまつわる問題はもともと小さな話なのに、安倍総理の処理の仕方がまずくて傷を広げていると思います。前夜祭については、総理が一言お詫びして収支報告書を修正すればいいだけのことを、意地になって否定して、支持率にまで響くような不信感を招いています。

今国会での野党の質疑、旧民主らの追求型の質問はあまりうまくいっていないと思いますが、なかには、辻元氏のように、野党にとっては効果的な攻撃もあることはあります。

今国会は、桜、IR、河井議員夫妻と菅原議員の公選法違反の3セットの追及があるし、早期の解散は難しいでしょうけれど、問題は、オリンピック後の解散があるかどうかです。選択2月号は、もう「任期中の解散」も消えた、と言っています。

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選択2月号の記事は、「任期中解散が消えた」という根拠について、詳細は記事をご参照いただくとして、だいたい以下のように挙げています。

第一に、河井克行・案里議員に自民党本部が1億5000万円送った身びいきで、自民党内で安倍総理に反発が拡大、第二に、創価学会が任期中の解散に反対、第三に、国民民主党安倍総理以外なら自公との連立も辞さないけれど、選挙となればすぐまとまるので解散は簡単ではない、第四に、社会保障改革で後期高齢者の負担増という不人気策を臨時国会に提出するのは、総理が五輪後にも解散する気がないからだ、ということでした。

ただ、いずれも決定的ではないと思います。第一、第二の理由については、自民内や公明の反発くらいで解散をやめる安倍総理ではないでしょう。

第三の、野党がいざとなればまとまるというのは当たり前の話で、むしろ立民・国民民主が合流に失敗して選挙区調整が遅れていて、そもそも候補者数も約190人で、衆院定数465の過半数に遠く及びないのだから、総理が解散をためらうほどのことにもならないでしょう。去年の臨時国会の終盤、野党が内閣不信任案を出さないという、通常あり得ない判断をしたのも、解散を恐れてのことでもあります。

野党 候補者調整に本腰…小選挙区 衆院年内解散にらむ : 政治 : ニュース : 読売新聞オンライン

mainichi.jp

最後に、臨時国会で審議される全世代型社会保障改革で高齢者に厳しい方針を示した、と言いますが、後期高齢者の自己負担を増やしたのはあくまで所得等に余裕がある人のみで、むしろ医療・介護とも踏み込み不足という論調がメディアではよく見られます。これについては、本ブログでも取り上げました。

社会保障制度改革は中途半端、「自然増」の圧縮幅は例年よりやや少ない1200億円。政治への信頼がないと大改革は無理。 - 日本の改革

ということで、任期中の解散が消えたとまで言えないと思います。

任期中の「改憲解散」があるという曽我豪説

これに対し、朝日新聞編集委員の曽我豪氏は、安倍総理憲法改正を争点にして「改憲解散」をしかけて、それで憲法改正を実現できるだろう、と見ています。

曽我氏は、総理が、施政方針演説で、憲法改正は「必ずや私の手で成し遂げていきたい」と明言したのを、2005年小泉純一郎元首相の郵政民営化に対する姿勢になぞらえて、おそらく、郵政解散と同様に、憲法改正を掲げて解散して勝って、それによって憲法改正を実現することを狙っているだろう、という見立てです。

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曽我氏は、もう安倍総理の下で憲法改正を実現することは不可能だという「通説」に疑問を呈します。

小泉政権のときも、自民含めて各党が反対して、とても無理だろうと思われていたし、国民の関心が低いのも同じだった、にも関わらず、総理大臣が正面から、自分がこだわってきた郵政民営化を掲げて解散して圧勝したので、安倍総理はその再現を狙うだろう、としています。

安倍総理が2018年の総裁選と、2019年の参院選と、両方とも憲法改正を掲げて勝った、更に任期中に、憲法改正を旗印に解散をして勝てば、総裁選、参院選衆院選で国民と党員の信認を得たのだから、という大義名分を掲げて、改憲を実現する可能性がある、という主張です。

安倍総理郵政解散の再現を出来ない

私は、安倍総理は「改憲解散」をする可能性はあるけれど、それで勝っても憲法改正は実現できないと思います。

まず、曽我氏の挙げる前例である、郵政解散を実際に行って郵政民営化を実現した小泉純一郎氏は、「改憲解散」はやるべきではない、と主張しています。こう発言したのは、去年2019年の5月22日、自民党の二階幹事長と小池都知事と会食した際のことです。朝日から引用します。

小泉氏は記者団に、「解散は総理の専権事項」と述べる一方、憲法改正の争点化について問われると、「そんなことするべきじゃないと(会食で)言ったよ。憲法問題を選挙の争点にしちゃいかん。それはみんな一致」と述べた。

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なぜ、憲法改正を争点とした解散に反対なのか、小泉氏は12月26日のテレ朝の番組に出演して話していました。

(この日は、郵政グループの不正問題でトップが交代したことがメインテーマで、他に原発ゼロ、衆院解散等についても話していました。このうち、郵政民営化についての小泉氏の発言は以前のブログでも紹介しました。)

郵政2社トップ、民間出身から旧郵政省出身へ逆戻り:「複雑な組織だから元役人必要」から「金融2社は100%株式売却、天下り等は全廃」へ! - 日本の改革

小泉氏の主張は単純で、憲法改正には国会議員の3分の2の賛成がいるのだから、過半数を取れば勝ちとなる衆院選で、野党を敵に回す形でやっても、結局は実現できない、郵政解散郵政民営化を実現できたようにはいかない、ということです。

当たり前の話ですが、これは重要なポイントです。曽我氏の見立ては、「改憲解散」で勝った後、なぜ、どのようにして、憲法改正に向けた国会内の議論が進むのか、示していません。

もちろん、憲法改正を争点にした解散で、安倍総理に国民の強い支持が集まって、3分の2を超える多数を衆議院でまた取って発議を可能にして、それによって参議院の野党も賛成せざるを得なくなる、ということは考えられます。

しかし、安倍総理憲法改正を訴えても、とてもそこまでの支持は集まらないでしょう。以前のブログで書いた通り、安倍政権になってからの衆院選での投票率は、2005年の郵政選挙と2009年の政権交代選挙に比べて、10%以上低くなっています。しかも、2012年、2014年と下落を続け、2017年は少し上がったものの2014年とほぼ同じです。郵政選挙や政権小唄選挙のように、普段は選挙に行かない1000万人超の人達が投票する、ということは全く起きていません。安倍総理改憲に向けて国民に訴えても、郵政解散のときのように、民意を動かすのは無理でしょう。

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もともと、安倍政権というのは、民主党政権への失望があって、消極的選択肢として選ばれたものです。その後も、野党に比べればマシという支持がずっと続いていただけです。

そのうえ、今のような露骨な親中政策を続けながら、憲法9条を改正すると言っても、国民には必要性が伝わらないのですから、民意を大きく動かすのは無理でしょう。

安倍総理が新憲法施行したいと言った2020年。史上最長政権で、なぜ憲法改正ができないのか - 日本の改革

それでも、安倍総理は、憲法改正を争点に解散に打って出て勝てば、憲法改正が出来ると思い込んでいる可能性はあるので、任期中の改憲解散はあり得ます。しかし、それは自分に小泉元総理と同じことが出来るという勘違いに基づいた判断になるでしょう。