日本の改革

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維新の馬場幹事長、NHK日曜討論で、消費税「減税」発言。れいわ・共産に同調と見られかねないので再考か撤回を。

日本維新の会の馬場幹事長が、消費税の減税を主張。これまでの維新の主張と大きく異なり、れいわ・共産に屈したような印象を与えかねないので、再考か撤回すべきです。

維新は、消費税減税をどう実現するのか

今朝のNHK日曜討論、経済政策のあり方について、日本維新の会の馬場幹事長は、以下のような趣旨の発言をしました。

地元で企業経営者の方々に聞くと、昨年秋から、景気がちょっと悪くなってきたとおっしゃる方が多い。政府の家計調査報告、昨年10月に消費支出が-5.1%、11月に-2%だ。消費全体が停滞して、経済に悪い影響を与えているとうことは、感覚的にも数字の上でも出ている。政府は補正予算を組んで経済対策をやるということだが、それが即、景気刺激策につながるかどうかは、やってみないと分からないというところもあると思う。私はもう、大胆に、こういう状態が続くんであれば、消費税をもう一度引き下げるとか、そういうことも視野に入れながら、経済政策をやっていくべきではないかと思う。

「消費税を減税すべき」と語尾をはっきりさせているわけではありません。あくまで、「消費税をもう一度引き下げることも視野に入れながら」経済政策をやっていくべき、という意見ではあります。

しかし、経済政策はどうすべきかを聞かれて、消費が低迷しているデータを挙げて、具体的な政策として消費税減税という選択肢のみを示して、「そういうことも視野に入れながら」経済政策を、と言うのだから、どう善意に解釈しても、「消費税減税を前向きに検討すべきだ」という発言と取られても仕方ありません。

維新はごく最近に至るまで(少なくとも昨年の参院選までは)、消費税を「減税すべき」という主張を党として行ったことはないはずです。

消費税については、身を切る改革、公務員人件費削減を含む徹底行革、経済成長といった条件がなければ増税には反対、という主張です。消費税増税については、「延期」ではなく、期限を定めない「凍結」という表現をしてきたはずです。

一方、その時に応じて、現行の消費税率をさらに下げるべきだ、消費税を減税すべきだ、という主張は、少なくとも国民に伝わる形では、やっていません。維新の馬場議員は、3日前の1月23日に行われた今国会での衆議院の代表質問でも、消費税減税などということは言っていません。

http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=49708&media_type=

そもそも、具体的には、消費税減税をどのように実現すべきと言うのでしょうか。

まず、どの程度の減税をするのでしょうか。消費税については、1%刻みで考えるしかないでしょう。この場合、1%のみの減税をするのは、現実的ではありません。ただでさえ8%と10%の複数税率の導入に大変なコストをかけたのに、また新たな税率区分を設けることは、たとえ減税でも、国民の支持は得にくいでしょうし、小売業等の反発は去年の増税以上になるでしょう。どうせやるなら、10%を8%として、現在の複数税率を解消する形です。

すると2%の減税、昨年10月の消費税増税分を元に戻すということで、約5.6兆円分が、減税のために必要となります。

mainichi.jp

では、このための財源を、どこから調達するのでしょうか?維新は、税制については成長重視で、法人税を減税すべき、と言ってきました。共産党等のように、法人税増税しろとは言わないはずです。所得税についても、5兆円規模の増税につながる主張はしていません。

歳出削減で消費税減税を行うなら、何を削るかを明示すべきです。維新の政策で、5兆円規模の歳出削減が見込めるのは、公務員人件費2割削減しかありません。国家公務員1兆円、地方公務員4兆円をどう削るのか、特に地方公務員人件費を、地方自治体ではなくて国がどう削るのか、地方交付税交付金を4兆円分切るのか、決めていません。

仮に、消費税減税を公務員人件費削減でやるとしても、それなら、維新の重視する教育無償化の財源は別のところから取ってくる必要が出てきます。

他に、既得権向きの歳出の削減だとか、民営化等の政府資産売却だとかについても、数字の上でどれくらいの歳出削減になるか、公務員人件費2割削減のような、はっきりした値を出していません。責任ある政策提言として消費税減税と言うなら、ちゃんと何をどう切っていくら作れるのか、試算を国民に示すべきです。

維新は地方交付税廃止も言っていますが、これは地方への権限・財源等の移譲とワンセットで、現在の国の歳出の一部が地方の歳出に置き換わるという主張です。全体として歳出削減になるかは分かりません。大坂維新並みに地方で行革をするんだ、ということなら、それはそれで、現在の国の歳出項目のどこがどれくらい削れるかを示す必要があります。

以上のように考えれば、財源として考えられるのは、国債くらいしかないでしょう。教育・研究のためには国債発行をすることも維新は主張していますが、消費税減税の財源として使うなら、発行目的が一つ増えることになるので、説明が必要です。

https://o-ishin.jp/houan100/pdf/detail069.pdf

このように、消費税減税について、維新が財源を示すのは相当困難です。もともと、維新の掲げる徹底行革による歳出削減は、教育無償化等の新しい政策への財源のために主張されています。これに加えて、減税のためだけにも5兆円規模の財源調達が必要となるのですから、よほどしっかりした財源を示さないと、国民は納得しないでしょう。

れいわ・共産への同調と見られるようなことは言うべきではない

政治的に見ても、もともと消費税減税という主張は、れいわ新選組が言い出して、共産党が乗った話です。立憲民主党等の旧民主党が次の衆院選までにどうするのか、というのが去年秋ごろに話題になったりしました。

www.sankei.com

その立憲民主党でさえ、二の足を踏むのが消費税減税です。旧民主党はもともと3党合意に賛成して、10%までの消費税増税には、もともと賛成だったからです。去年の参院選では、タイミングが悪いという理由でいきなり増税反対と言い出しましたが、「減税」とまでは、去年も、そして今年も今のところは、言っていません。

去年の参院選のとき、立憲民主党の新人候補の石垣のり子氏(現参議院議員)が、街頭演説で、枝野幸男氏の面前で、消費税率はゼロでいい、と発言。枝野私党である立憲民主党の候補が、枝野氏の目の前で、思い切りよく消費税率ゼロとまで言う度胸は立派ですし、立憲民主党が今後安易に増税と言い出さないように、党内で発言してほしいとは思います。

www.kahoku.co.jp

が、消費税率ゼロと言うのは、いくら何でも非現実的です。その非現実的なことをずっと言い続けてきたのが共産党で、彼らは消費税を廃止すべき、と主張してきました。れいわ新選組も同じです。

政策 | れいわ新選組

しかし、それでは旧民主と野党共闘が出来ないから、5%の減税で今度の衆院選の政策にしようということで、山本太郎氏が勉強会を開いたりしています。共産党は、これまで消費税廃止と言っていたのを減税だけにしようと言うのですから、支持者への言い訳を一所懸命にやっています。

消費税減税・廃止へ 疑問に答えます(1)

こういう状況で、維新の幹事長が、NHKの番組で、消費税減税と言い出したら、当然、維新も、れいわ・共産に同調した、と見られてしまいます。しかも、彼等は5%への減税、維新はどう頑張っても8%までの減税で、どうせ実現しない人気取り政策としてさえ見劣りがします。もちろん、これまでの主張との整合性も取りにくい政策です。

今朝の馬場氏の発言、既に党内で決まった維新の方針なら再考すべきですし、馬場氏個人の意見なら、いったん撤回すべきです。