日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

「人権」も「民主主義」も「法の支配」も消えて、習近平の言う「新時代」が入った施政方針演説:ゆきすぎた親中政策を理由に、安倍総理を退陣させるべき。

安倍総理の施政方針演説の外交政策の部分から、いつの間にか、「自由、人権、民主主義、法の支配といった基本的価値を共有する国と連携する」というフレーズがなくなり、一帯一路に忖度した「インド太平洋」という表現になり、去年秋から、日中関係の部分で、習近平が重視する「新時代」という表現が入りました。

・このままでは、日本国民が、習近平の独裁にしたがうことになります。習の言いなりの安倍総理は、退陣させるべきです。後継総理は自民党の誰でも構いません。安倍氏の退陣理由が親中政策なら、次の総理は中国の侵略と人権侵害を批判せざるを得なくなります。日本の自由と民主主義を中国から守るため、安倍総理を退陣させ、次の自民党総理を厳しく監視しましょう。

施政方針演説に見る、安倍総理習近平への屈服

通常国会が始まり、安倍総理が施政方針演説を行いました。外交政策日中関係に関する文言を見ると、安倍政権が、2018年以降は明確に習近平に屈服していることが分かります。特に昨年秋と今回では、習近平の侵略主義を表す「新時代」という言葉が入っています。

文言だけならともかく、安倍政権の対中政策は、実際に大きく変わりました。既に一帯一路に協力し、今年は国賓として習を迎え、しかも第五の政治文書で、日本国の主権と日本国民の権利を中国のために制限するおそれが高くなっています。

以下、施政方針演説の外交政策日中関係の部分につき、書きぶりの変遷を見ます。

2013年、2014年:素晴らしい演説、素晴らしい総理

まず、就任当初は、中国の主権侵害等を厳しく批判していました。そこには、中国の人権侵害に対する厳しい姿勢も、自ずと表れていました。

2013年は、日米同盟を基軸にしつつ、対ASEAN外交5原則をもとに、「戦略的な外交」、「普遍的価値を重視する外交」、そして国益を守る「主張する外交」が基本だ、と言っています。日中関係については、尖閣諸島に関する我が国の立場を強調し、「戦略的互恵関係」の原点に立ち戻れ、と呼びかけて、対話にも応じないのはおかしい、という姿勢でした。

平成25年2月28日 第百八十三回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説 | 平成25年 | 施政方針/所信表明 | 記者会見 | 首相官邸ホームページ

ASEAN外交5原則の最初の二つは、

(1)自由,民主主義,基本的人権等の普遍的価値の定着及び拡大に向けて,ASEAN諸国と共に努力していく。
(2)「力」でなく「法」が支配する,自由で開かれた海洋は「公共財」であり,これをASEAN諸国と共に全力で守る。米国のアジア重視を歓迎する。

なのですから、自由と民主主義のため、中国に対峙するという姿勢は明らかでした。

外務省:安倍総理大臣の東南アジア訪問(概要と評価)

2014年には、中国が一方的に「防空識別区」を設定したことや、尖閣諸島周辺での領海侵入を批判、力による現状変更の試みは決して受け入れないとして、新たな防衛大綱の下、南西地域等の防衛態勢を強化する、と明言しています。

その後では、こう言っています。

 自由な海や空がなければ、人々が行き交い、活発な貿易は期待できません。民主的な空気が、人々の「可能性」を開花させ、イノベーションを生み出します。
 私は、自由や民主主義、人権、法の支配の原則こそが、世界に繁栄をもたらす基盤である、と信じます。日本が、そして世界が、これからも成長していくために、こうした基本的な価値を共有する国々と、連携を深めてまいります。
 その基軸が日米同盟であることは、言うまでもありません。
 「世界の市民同胞の皆さん、米国があなたのために何をするかを問うのではなく、われわれが人類の自由のために、一緒に何ができるかを問うてほしい。」
 昨年着任されたキャロライン・ケネディ米国大使の父、ケネディ元大統領は、就任に当たって、世界にこう呼びかけました。
 半世紀以上を経て、日本は、この呼びかけに応えたい。国際協調主義に基づく積極的平和主義の下、日本は、米国と手を携え、世界の平和と安定のために、より一層積極的な役割を果たしてまいります。

平成26年1月24日 第百八十六回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説 | 平成26年 | 施政方針/所信表明 | 記者会見 | 首相官邸ホームページ

なんという素晴らしい施政方針演説でしょうか。

このときの安倍晋三氏は、なんという素晴らしい総理大臣だったのでしょうか!

自由、民主主義、人権、法の支配こそが、経済的繁栄の基礎なんだ、だから、これまでの日本外交のように、経済ばかりを優先して、人権や民主主義をないがしろにする外交であってはならないんだ、こうした普遍的価値を共有する国々と連携して、一層積極的な役割を果たそう、これまで軽視されてきた安全保障での責任も負っていこう、と、国民に呼びかけています。その直前に、中国の領海侵犯を批判していることから、その具体的意味は明らかでした。

私は、安倍総理が、一貫してこのような姿勢で中国に対峙して、自由、民主主義、法の支配を守るために、憲法9条を改正しよう、と国民に呼びかければ、もうとっくに発議も出来ていたし、今年は本当に新憲法施行の年に出来ただろうとさえ思います。

2015~2017年:安定の価値観外交「自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有する国々と連携」

2015年、平和安全法制が出来た年の施政方針演説では、

今後も、豪州、ASEAN諸国、インド、欧州諸国など、自由や民主主義、基本的人権や法の支配といった基本的価値を共有する国々と連携しながら、地球儀を俯瞰する視点で、積極的な外交を展開してまいります。

としています。前年の11月に(お互い仏頂面で)日中首脳会談を行い、戦略的互恵関係の下で、「大局的な観点から、安定的な友好関係を発展させ、国際社会の期待に応えてまいります」としています。

平成27年2月12日 第百八十九回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説 | 平成27年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ

このあたりから、日米同盟を主軸に、「自由、人権、民主主義、法の支配という基本的価値を共有する国と連携する」という決まり文句が定着してきました。これなら、対ASEAN外交原則の線に沿っていて、納得できます。日中関係も、「戦略的」互恵関係で、「大局的な観点から」、偶発的な衝突など起きないように、国際社会が心配しないように進めるから安心してください、という言い方で、これも全く問題はありません。

2016年には、「アジアから環太平洋地域に及ぶ、この地域の平和と繁栄」の牽引役は日本だ、我々は責任を果たす必要がある、としています。そして、「自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有する国々との連携を、一層深めます」が出てきて、「ASEAN、豪州、インド、欧州とは、これまでも戦略的なパートナーとしてその絆を深めてきました。この協力関係を、より広く、より深く、強化してまいります」と続き、中国については、「平和的台頭」が日本と世界にはチャンスだとして、歓迎するのは、「平和的」な部分だけだ、と釘を刺しています。

2016年9月の臨時国会も、2017年1月も、同様の表現です。決まり文句で、安定した姿勢を見せていました。

平成28年1月22日 第百九十回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説 | 平成28年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ

平成28年9月26日 第百九十二回国会における安倍内閣総理大臣所信表明演説 | 平成28年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ

平成29年1月20日 第百九十三回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説 | 平成29年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ

2018年~2020年:「自由で開かれたインド太平洋」と「新時代」

大きな変化が生じるのは、2018年1月からです。前年にトランプ政権が誕生し、貿易摩擦が貿易戦争となり、10月には米中冷戦の開始を告げるペンス演説があった年です。

端的に言えば、2018年に、自由、人権、民主主義、法の支配という価値に基づいた外交で対中包囲網を作る、という方針が、中国と協力する姿勢に転換しました。それをごまかすために、「自由で開かれたインド太平洋」という言い方が使われ始めました。

2018年1月の演説、外交の部分では、「自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有する国々と連携する。米国はもとより、欧州、ASEAN、豪州、インドといった諸国と手を携え」と、いつも通りの始まりですが、そこから出てくるのが、「太平洋からインド洋」での「法の支配」が大事なので、「自由で開かれたインド太平洋戦略」を推し進めると言い出し、「この大きな方向性の下で、中国とも協力して、増大するアジアのインフラ需要に応えていきます」と言っています。

平成30年1月22日 第百九十六回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説 | 平成30年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ

つまり、言葉の上では、自由民主主義と国際法を守る価値観外交だと言いながら、それを真っ向から否定する中国の「一帯一路」にも協力する、と言い出したのです。

既に前年の2017年から、米中対立のさなか、日中両国は関係改善に舵を切り、一帯一路にも事実上協力すると決めてしまいました。2018年10月、あの米中冷戦を告げるペンス演説があった月に、安倍総理は訪中、習近平に「米国一極の体制には反対だ」と面と向かって言われて、それでも、一帯一路への協力を決めてしまいます。

習氏「米一極に反対」 日中首脳、貿易戦争で意見交換 :日本経済新聞

接近する中国、貿易戦争で方向転換 日米同盟にくさび :日本経済新聞

日中首脳会談、打算の接近どう生かす :日本経済新聞

日経はこれを、「経済と安保切り分け」と書きました。何のことはない、2014年の演説で、安倍総理自身が批判した、古い古い日本外交、カネが最優先で人権も民主主義も国際法も知ったことではない、実利だけの外交に戻ったということです。

日中改善へ「本気」の再挑戦 対中国、経済と安保切り分け :日本経済新聞

 そして、2018年10月の臨時国会安倍総理が日本の首相として7年ぶりに訪中して日中首脳会談を行う前日の施政方針演説から、「自由、人権、民主主義、法の支配」といった表現が、消えてしまいます。そして、中国を訪問して日中関係を新たな段階に押し上げる、と言っています。

平成30年10月24日 第百九十七回国会における安倍内閣総理大臣所信表明演説 | 平成30年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ

こうして、2019年1月には、「日中関係は完全に正常な軌道へと戻りました。「国際スタンダードの下で競争から協調へ」、「互いに脅威とはならない」」などと、信じられないようなたわ言を言い始めます。

平成31年1月28日 第百九十八回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説 | 令和元年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ

「完全に正常な軌道」というのが、尖閣をあきらめるという隠語で、これによって、習近平の来日をOKしてもらった、ということは、以前、ブログでも書きました。この見方はファクタによるものですが、それが正しいであろう証拠に、中国は尖閣への侵入を全然やめません。

安倍総理の発言「日中関係は完全に【正常な軌道】」は、尖閣についての敗北宣言だった? - 日本の改革

2019年10月には、こんな言い方です。

日米同盟を基軸としながら、我が国は、英国、フランス、豪州、インドなど基本的な価値を共有する国々と手を携え、自由で開かれたインド太平洋を実現してまいります。

令和元年10月4日 第二百回国会における安倍内閣総理大臣所信表明演説 | 令和元年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ

一見無害ですが、「基本的価値を共有する国々と」とだけ言って、どんな価値なのか、明言していません。基本的価値が不明なら、英国、フランス、豪州、インド「など」の中には、中国が入ってもおかしくなさそうです。

そして何より、「自由で開かれたインド太平洋」という言葉は、相当のくせ者です。

参議院調査室によると、この言葉が、第二次安倍政権で言われ始めたのは、第6回アフリカ開発会議(2016 年8月)で、そのときは、「自由で開かれたインド太平洋戦略」という言い方でした。それは一つの「戦略」であり、アメリカインド太平洋軍というのがある通り、中国包囲網という、安全保障上の意味をはっきり持っていました。

しかし、その後、2018年秋の安倍訪中から、日本が一帯一路に(第三国市場協力の名目で)協力するようになり、安倍政権の親中姿勢が明確になりました。そこで、「インド太平洋戦略」も、「対中牽制の意味合いは当初より弱められ」、 中国との関係が深いアジア諸国の懸念に配慮し、「戦略」という呼称も「自由で開かれたイ ンド太平洋構想」へと修正されてしまいました。施政方針演説では、「構想」という言葉さえなくなって、「自由で開かれたインド太平洋」と、ただの隠喩になってしまっています。

https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2019pdf/20190206002.pdf#search=%27%E8%87%AA%E7%94%B1%E3%81%A7%E9%96%8B%E3%81%8B%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E5%A4%AA%E5%B9%B3%E6%B4%8B%E6%A7%8B%E6%83%B3+%E5%A6%A5%E5%8D%94+%E4%B8%AD%E5%9B%BD+%E6%88%A6%E7%95%A5%27

以前のブログでも書きましたが、日経によれば、安倍総理は、この「インド太平洋戦略」(2018年10月当時)という言葉につき、「一帯一路に対抗するメッセージはよくない」と発言していたそうです。日経はこれを、アメリカ一辺倒でない複眼外交などと持ち上げていますが、とんでもない間違いです。

日中、試される複眼思考の外交 米中の後追いは過去 :日本経済新聞

米中冷戦のなか、一帯一路への協力は早くやめるべき。目玉プロジェクトが早くも頓挫。対中外交の転換を。 - 日本の改革

そして何より、「日中新時代を切り拓きます。」という、これまた人畜無害そうに見える表現が、アメリカを倒して中国が覇権国になるという習近平思想のキーワード「新時代」をちゃんと使っています。

そして今日、2020年1月20日の施政方針演説。やはり、人権も、民主主義も、法の支配もない演説で、中国については、「首脳間の往来に加え、あらゆる分野での交流を深め、広げることで、新時代の成熟した日中関係を構築してまいります。」と、「新時代」をきちんと入れています。

「日米同盟の強固な基盤の上に、欧州、インド、豪州、ASEANなど、基本的価値を共有する国々と共に、「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指します。」という新しい決まり文句が、もう換骨奪胎されていることが分かります。

親中政策を理由に、安倍政権を倒すべき

私は、ここまで習近平にべったりになってしまった安倍総理には、「親中政策を理由に」退陣してもらうべきだと思います。

安倍退陣というと、次がいない、と言われるのが定番であり続けましたが、辞め方によります。親中政策を国民が徹底的に批判して、世論も動けば、それを理由に安倍総理が辞めることになれば、次の総理が誰だろうと、親中政策を続けることは難しくなります。

もちろん、安全保障を考えれば、日米同盟重視の自民党の総理でなければダメです。共産党が最近、政権批判のためだけに中国批判を始めましたが、日米安保反対は相変わらずなうえ、中国の一党独裁も当然不問にしているのだから、話になりません。その共産と組む旧民主も対中政策は頼りになりません。対中政策を考えれば、次の総理は、当面は自民党でやむを得ないと思います。そして、次期総理にまともな対中政策をとらせるには、安倍総理の「辞め方」が大事で、習近平の言いなりになったことに世論の反発が強すぎた、ということでないと、現在の習近平へつらい路線はまだ続きます。これは日本国民にとって悪夢です。

実は、2018年秋、安倍総理が訪中したときには、それを「評価する」という世論が7割もありました(日経の調査です)。親中政策への転換は、人気取り、政権浮揚のためでもあったことが分かります。

対中「譲歩なら改善急がず」53% 対北朝鮮「制裁強化を」5割 :日本経済新聞

では、今年、習近平国賓として来日することについてはどうでしょう。読売の世論調査(2020年1月20日発表)によると、賛成48%、反対37%、答えない14%です。単純比較はできませんが、1年少し前に7割が日中関係改善を評価していたことを考えれば、国民の反発が急速に広がっていることが分かります。

安倍総理は、偉大な総理大臣です。アベノミクスと平和安全法制で、歴史に名を残しました。私は色々批判しましたが、色々な改革を進めたことも確かです。

ただ、あの習近平の言いなりに対中外交を進める総理大臣は、安倍晋三氏であれ誰であれ、やはり間違っています。当初の安倍政権の目指した外交安保の方針を支持するからこそ、今の安倍総理は、辞めるべきだと思います。