日本の改革

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フェイスブックの政治広告のポリシー変更に賛否両論。政治的表現の自由は最大限尊重し、外国の干渉だけ規制すべき

フェイスブックが、政治広告につき、内容はチェックせず、オプトアウト等を設けると発表。賛否両論ありますが、表現の自由を重視しており、妥当だと思います。ただ、外国勢力からの干渉だけは規制すべきです。

フェイスブックの政治広告ポリシー:変わったこと、変わらなかったこと

フェイスブックが、政治広告について、方針変更を発表しました。2016年のアメリカ大統領選以来、政治広告での選挙への影響について批判を受け続けていた同社が、2020年の大統領選の年明けに、一定の結論を出しました。詳細は、以下のリンクです。

about.fb.com

変更点は、「透明性を高め、ユーザーの政治広告へのコントロールを強めた」ことだ、と、同社は言っています。

主なものは二つあるようです。

一つは、自分(利用者)が、どんなターゲティング広告のターゲットとして選ばれているか、あるいは排除されているかをある程度知ることが出来て、自分の判断でそのターゲティング広告を見るか、見ないかを選べるようになるそうです。

フェイスブックの挙げた例では、ある候補者(広告主)が、一度寄付した有権者はもう寄付しないだろうからという理由で、募金広告のターゲットから除外していても、その有権者が望めば、また広告が見られるように出来る、ということです。

これは、フェイスブックのカスタムオーディエンスという機能について、広告を見る側の選択肢が増える、ということのようで、政治広告に限らない変更だそうです。

(従来のカスタムオーディエンス機能の広告主向けの説明はこちらです。)

カスタマーリストに基づくカスタムオーディエンスについて | Facebook広告のヘルプセンター

もう一つは、政治広告自体をより少なく表示することが出来る、つまり、政治広告からおおむねオプトアウトできるようにする、ということです。政治問題や社会問題についての投稿の表示を減らしてほしいというユーザーは大変多いようで、それに応える、としています。

以上が変更点ですが、変わらない点もあります。政治広告自体は今後も続けること、そして、政治関係のターゲティング広告も続けること、の二つです。

アメリカのメディアは、他社と比較して、この変わらなかった部分を叩いているようです。特に、ツイッターとグーグルとの比較がよくされています。

ツイッター、グーグルとはどう違うか?

本ブログで紹介した通り、去年の10月末に、ツイッター社は政治広告自体をやめると決めました。

 ツイッターが政治広告を全面禁止:日本では、SNS等の政治的な議論を誰がどう歪めるのか - 日本の改革

その翌月、グーグルも、政治広告について方針変更を発表しました。

こちらは、政治広告もターゲット広告も続ける、ただし、ターゲット広告について、広告主らが利用できるターゲットの属性を、年齢、ジェンダー、居住地の三つだけに限る、としています。また、利用者がクリックしたウェブサイトの履歴も利用できます。しかし、公的な投票記録や政治的傾向によってターゲティング広告をしてはいけない、とするようです。

An update on our political ads policy

www.nytimes.com

つまり、ツイッターは政治広告自体を禁止し、グーグルは政治関係のターゲティング広告の余地を相当厳しく狭めています。これに対し、フェイスブックは、政治広告は続けるし、ターゲティング広告も自由にやれる、ただし、広告を見る利用者が、政治広告を見るか見ないか、どんな政治広告を見たいか、ある程度選べるようにする、ということです。

このように、他社と比べるとフェイスブックが一番、政治広告を出す広告主の自由を認めているので、リベラル系メディアは、これを批判しています。特にフェイスブックは、2016年の選挙でケンブリッジ・アナリティカ事件を起こしたうえ、最近も、民主党のバイデンの息子についてトランプ陣営の不正確な広告を掲載したとして批判されていたので、全然こりていないし、政権寄り過ぎる、と叩かれています。

ただ、リベラル系メディア以外で言えば、民主党議員は、強く批判する人とそうでもない人に分かれます。リベラルな政治団体の中には、ターゲティング広告はどんな政治立場にも有用だとして、フェイスブックの判断を支持する人達もいるようです。

www.nytimes.com

大事なのはやっぱり表現の自由。規制すべきは外国の干渉

私は、選挙に関わるような広告であっても、出来るだけ自由にしておくべきだと思います。

もちろん、IT大手プラットフォーマーについては、独占の問題があるので、なんでも自由というわけにはいきません。しかし、少なくとも政治広告については、上記のように、フェイスブックとグーグルで対応が大きく分かれたり、規模は小さいにしろツイッターのように独自路線で政治広告を出さなかったり、会社によってそれぞれの特色を出しています。

あとは利用者がちゃんとリテラシーを鍛えて、それぞれのプラットフォームの特色を分かったうえで利用すればいいことです。

2016年の大統領選挙以降、トランプ政権になってから、「ポスト真実の時代」と言われることがあります。国民は、自分にとって不快な真実よりも、耳に心地よいデマをむしろ信じてしまう時代になった、という警鐘で、それも一面の真実だと思います。

しかし、私は、基本的には、表現の自由が保障された民主的な国家・社会であれば、リンカーンが言う通り、全ての人をずっとだますことはできないだろうと思います。

アメリカの政治学者による実証研究でも、2016年以降、10000人以上を対象に行った調査で、人々は真実の情報に触れると、どんな政治的立場の人でも、やはりウソより真実を信じるようになる、という結果が出ているそうです。

www.politico.com

政治的なデマというのは、ネット上であろうがそれ以外であろうが、昔から世の中にはあふれ返っています。最低限の内容の規制をネットでやるべきでは、という心配も理解はしますが、案外、国民は賢明なものだと思います。

ただ、これも本ブログで繰り返し書いてきたことですが、外国の政府や機関によるデマ拡散等は、政府と国会が規制をすべきです。

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特に、中国とロシアは、民主主義国家の意思決定を自国に有利なように歪めるとともに、民主主義という政治体制自体の信頼性を傷付けようとしています。今日は台湾の総統選の日ですが、中国は今回も、無茶苦茶なデマを拡散させています。

国家の主権と民主主義を守る、ナショナリズムとリベラル・デモクラシーを二つながら守るため、非民主主義国家をはじめとする外国勢力からの選挙干渉だけは規制し、それ以外の政治的言論は、ネット上の広告も含め、出来る限り自由にすべきです。