日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

アメリカとイラン、それでも戦争にはならない。キーワードは「比例」。

イランが報復攻撃をしましたが、やはり戦争にはならないと見ます。

予告通り?の比例的攻撃、両国政府は冷静な対応

イランがイラクの基地を十発以上のミサイルで攻撃しました。イラン外相は、国連憲章51条で定められた自衛権の行使であるとして、これは「比例的な措置」(proportionate measure)である、としています。そのうえで、「我々はエスカレーションや戦争を望んでいないが、あらゆる攻撃に対して自衛する」としています。

 このイラン外相のツイートの後、トランプ大統領は、以下のように、現在、犠牲者や被害を確認中としつつ、「万事順調」、「今のところ大丈夫」だ、としています。

 エスパー国防長官は、「同盟国・パートナー、そしてイラン政府へ」として、イランとの戦争を始めるつもりはない、だが、いつでもそれを終わらせる、としています。

フォックスニュースの特派員によると、 国防長官も統合参謀本部長も、いったんホワイトハウスに集合した後、割にすぐ帰りました。

両国トップの反応から、やはり戦争へのエスカレートはない、と私は見ます。

理由は、イランが、前から言ってきた通り、「比例的」(proportionate)な措置だ、と言っており、実際、アメリカの反応を見る限り、アメリカも十分我慢というか理解できる程度の反撃と思われるからです。

昨日のブログで書いた通り、「比例的な」措置にすべきだ、というのは、スレイマニ殺害直後に、なんとアメリカがイランに要求していました。しかも、イラン政府はアメリカのメディアで、報復は比例的になる、と、アメリカの要求を事実上承諾しています。イラン自身による軍事行動で軍事施設に対して行うと、主体も方法も特定して、アメリカの予測可能性を高めています。そこまで打ち合わせたとは言いませんが。

トランプの「イランの文化施設を攻撃する」発言は、味方を敵にする間違いであり、撤回すべき - 日本の改革

更に言えば、トランプ大統領は、イランの文化施設への攻撃が国際法違反だというならやめる、ちゃんと国際法にしたがう、と、イランのミサイル攻撃前に発言しました。これも、昨日、私がブログで、この発言だけは撤回すべきだ、と主張した通りになりました。謝罪もすべきでしたが、まあ、トランプ氏にそこまで望めないでしょう。撤回だけでも上出来です。

thehill.com

 両国トップはどちらも冷静なので、いまのところ安心です。両国内で非合理的・感情的に戦争を煽る動きが出たら、両国の政府はしっかり抑えるべきですし、そうするはずです。

トランプ氏が、すぐに反撃の姿勢を見せないところを見ると、50か所以上を攻撃するだとか、お返しに200か所以上を攻撃するだとか、はては、比例的でない攻撃をするだとか、お互いが派手に言い合ってきたことは、国内向けのポーズとしての意味の方が大きいのでしょう。

今年選挙のトランプ氏は、アメリカ・ファーストで中東から手を引くと言いつつ、タフガイにも見えなければいけない難しい立場です。イラン最高指導者のハメネイ氏は、もっと難しい立場です。ある専門家に言わせれば、スレイマニ殺害への対応について、アメリカに弱気なら体面を失うし、強気なら首を失うからです。大国のリーダーは恐ろしい立場です。

From war to diplomacy, Iran weighs response to Soleimani's killing - Reuters

アメリカによるスレイマニ殺害は、近視眼的で好戦的な大番頭を排除して、イランという国と国民に本当に責任を負うリーダーであるハメネイ氏と、長い目で見て両国の利益になる話し合いが出来るような、大きなチャンスを作りました。今後は彼の合理的な判断に期待して、出来るだけトップ同士での直接対話で、信頼関係を作って、イランはテロ行為を抑止し、アメリカは経済制裁を緩和する方向で話を進めるべきです。

アメリカは、中東諸国の国民を味方につけ、「アラブの春」再現を

今のところ懸念されるのは、イラクの動きです。米軍を撤退させろとイラク議会が決議し、米軍を撤退させる旨の誤った文書がイラクにとどけられたりしました。

www.washingtonpost.com

スレイマニ殺害がイラク領内で行われたことから、不快感や憤りを感じるイラク人がいるのは確かなようです。確かに、もし可能だったなら、イラクへの配慮はもう少しあるべきだったかもしれません。イラクは政府も議会もイランの影響力が強いので、攻撃の情報を事前に伝えることはできなかったでしょうが、殺害の現場となった主権国家イラクの国民にも、トランプ大統領等が直接語りかけて理解を求め、「説明責任」を尽くせば、イラクの反応も違ったものになったでしょう。

トランプ氏は、もともとイラクから撤退したいと言っていますが、今はそのタイミングではないと言っています。いますぐアメリカが退いたら、イランがイラクを事実上支配することになり、イランが更に強くなってしまいますし、イランの代理勢力含めてテロ組織の活動がまた活発化しかねません。

私は、アメリカによるスレイマニ殺害は、国際社会のためにも、イラン国民や中東の諸国民のためにも大変良かったと思います。ただ、アメリカは、イランの文化施設攻撃という発信によせ、イラクへの配慮不足にせよ、中東諸国の国民の権利やプライドをもっと尊重すべきだと思います。

トランプ政権は今後、中東での自国の外交安保政策が、中東の諸国民の人権や生活のためになるよう、一層の配慮をして、中東全域での「下からの改革」をも力づけるべきです。つまりは、「アラブの春」の再現であり、サウジアラビアも含む、中東諸国の民主化です。中東民主化を目指すべきということは、本ブログで以前も書きました。

イスラム国指導者は「犬のように」死んだ:アラブの春は終わらない。中東は必ず民主化される。 - 日本の改革

スレイマニ暗殺という、大きなリスクをとって得た大きな機会を、アメリカは更に有効に使うべきですし、日本を含む国際社会は、その動きを助けるべきです。