日本の改革

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安倍総理が新憲法施行したいと言った2020年。史上最長政権で、なぜ憲法改正ができないのか

IR疑惑等で、安倍四選も、憲法改正も、難しくなりました。安倍総理憲法改正に失敗しそうな理由は、政局以上に、発議に向けた国会議員の数合わせばかり優先して、国民に訴えてこなかったからです。

これほど長くやって、なぜ憲法改正が出来ないのか

安倍総理が「新憲法施行の年にしたい」といった2020年になりましたが、そんなことは不可能になりました。年末年始に、IR疑惑が深まりを見せ、今年前半は憲法改正どころではありません。今年中はおろか、来年9月の総裁任期中の憲法改正も難しくなり、四選もないと言われています。安倍政権下での憲法改正は極めて難しくなりました。

本ブログでは、昨年秋までは、憲法改正に期待していました。去年の参院選で自公維が3分の2を割っても、可能性はぎりぎり残ったと私は思っていました。その後、自民党が野党と話し合う姿勢を見せましたし、国民民主党を本気で切り崩すようでしたし、総理も臨時国会所信表明演説でリベラル色を強めて、広く国民に訴える姿勢を見せたので、まだ可能性はあると見ていました。

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しかし、残念ながら、予測は外れました。今となっては、安倍政権下での憲法改正はほぼ無理でしょう。

国民民主党は割れず、立憲民主党と合流して改憲断固反対の共産党選挙協力をします。総理が解散をすると言って脅しても、もう利かないようです。

昨年12月の臨時国会閉会時、総理が「解散・総選挙を断行することに躊躇はない」と断言したのに、議員達もメディアもスルー。すぐには出来っこないとなめられています。解散発言で解散風が吹かなかったことがニュースだ、と朝日の星浩氏が書いています。

webronza.asahi.com

解散で脅せないとなれば、立民・共産と組む国民民主党の分断も図れず、参議院の3分の2の議席は得られません。通常国会では、IR疑惑等の追及もあり、野党はもう憲法審査会の議論などろくに応じないでしょう。次の解散で衆院の3分の2割れもあり得ます。

なぜ、国政選挙で連戦連勝の史上最長政権で、憲法改正が失敗に終わろうとしているのでしょうか。直接的には、国会での議論が進まず、発議が出来ないからです。では、なぜ国会で議論が進まなかったのでしょう?

国会議員の数合わせ優先で失敗。急がば回れで、まず国民の支持を得るべきだった

国会で議論が進まなかった理由は、安倍総理が、国会での発議にばかり気を取られて、国民世論への訴えを軽視したからです。

手続き上は両院の3分の2以上の議員の発議の後に、国民投票をやるのですから、まずは高いハードルの発議を何とかしよう、というのは、常識的なやり方です。が、結果的にはこれが間違いでした。急がば回れで、まず何よりも、国民投票を念頭において、国民に直接の訴えかけを行って、今の憲法では、具体的にこういう問題がある、だからどうしても憲法をこう変えたい、という世論を作るべきでした。

世論が後押しすれば、野党はイデオロギー関係なく憲法審査会の議論せざるを得ません。現に、改憲のための議論を正面から訴えた去年の参院選前後からは、少しだけ憲法審査会で自由討議もありました。しかし、全然遅すぎました。

国民より国会議員ばかり重視したことの一例は、公明党への配慮です。自民党改憲素案では、憲法9条について、2項の修正や削除ではなく、9条の2を「加憲」するという形にしました。周知の通り、加憲というのは、公明党が(9条とは言わずに)主張してきたことです。

【自民党大会】「改憲4項目」条文素案全文(1/3ページ) - 産経ニュース

9条への「加憲」方式は、総理のブレーンの一人の、日本会議伊藤哲夫氏の主張を参考にしたもの、と言われています。伊藤氏は著書で、公明党等の賛成が得られるように、この形にしたと書いています。

www.sankei.com

これだけ気を使ってもムダでした。公明党は、旧民主の反対を理由に、憲法審査会で改憲案について議論を始めることに反対し続け、今日に至っています。

改憲派の人達は、これにつき、旧民主を批判したり、公明党を批判したり、最近では野党を無視してでも議論をやらない自民党に批判の矛先を変えたりしています。

しかし、国会の中で国会議員が憲法審査会の議論をするしないの話だけが問題なのではありません。与党も野党もやる気がないのは、憲法改正が票にならないから、国民の支持どころか、関心さえないからです。

国民の支持も関心もない改憲案が仮に発議されたところで、それがどうして国民投票過半数の賛成で可決などされるでしょうか?総理はまず何よりも、憲法改正の具体的な必要性を国民に訴えるべきでした。そして国民が憲法改正について強い関心を持ち、必要性を感じるようになれば、国会議員はそれに従わざるを得ません。政党の方針や国会議員の信条など関係なしに、憲法審査会で議論が行われたでしょう。

親中政策を進めつつ9条を改正するという意味不明

国民ではなく国会議員ばかり重視したことが最悪の結果をもたらしたのは、親中政策と憲法9条改正案の矛盾です。

安倍政権は、日中友好どころか、欧米と比べても突出した親中政策を進めています。日本の安全保障にとって最大の脅威である中国と一帯一路政策で協力し、尖閣諸島に史上最多の中国公船が押し寄せても通り一遍の対応、アメリカが本気で中国と冷戦を初めてNATOもこれにならいつつある中、今年「桜の咲く頃に」、ウイグルチベット、香港で残虐な人権弾圧を続ける独裁者・習近平国賓として迎えて天皇陛下に会わせておいて、そして憲法9条を改正すると言います。

これでは一体、何のための憲法改正なのか、国民には全く分かりません。自衛隊憲法に明記して国防を固めたいと言うけれど、どんな脅威から日本を守ろうとするのかが分からないからです。

なぜ、これほど矛盾したことを安倍総理は平気でやれるのか。憲法改正について、国民よりも国会議員の賛成をまず得ることしか頭にないからです。自民党の二階幹事長らも、公明党も親中政策に賛成なので、言いなりになろうとすれば、こういう矛盾が生じます。

対中政策と憲法9条改正は一体のものです。中国の主権侵害や人権侵害は、日本国の独立と日本国民の人権・生活にとって重大な脅威であるから、この脅威に備えるために憲法9条を改正するんだ、と国民に訴えて強い支持が得られれば、自民党の大物だろうが公明党だろうが、従わざるを得ません。今のように、総理自身が、中国は脅威ではないなどと言っているなら、9条改正の必要性など、国民はほとんど感じません。

最初から国会議員ではなくて国民の方を向いた形で憲法改正をしようとすれば、本当に今年あたり、新憲法の施行も可能だったかもしれません。

去年の参院選で、安倍総理憲法改正の議論の必要性を正面から訴えて、臨時国会冒頭の所信表明演説では、保守もリベラルも包摂して国民全体に訴える姿勢が見えました。私としては、国民の方を向いた憲法改正に取り組んでくれるのでは、と期待しましたが、遅すぎました。外交政策については、既に国会議員向けに始めた親中政策でがんじがらめで、もう総理にもどうしようもなかったのでしょう。習近平来日と中国企業からの献金問題は、9条改正にはとどめの一撃になります。

安倍総理が、国民無視で国会議員の数合わせだけに集中した結果、またしても国民投票は不可能となります。次の自民党総理は、この失敗に学び、憲法改正をやるなら、まず広く国民にこそ、対中政策の転換とあわせての9条改正などを訴えるべきです。