日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

米軍による、イラン革命防衛隊スレイマニ司令官の殺害を支持。一国の外交政策を一軍人が壟断する過ちを正した。

米軍が、イラン革命防衛隊のスレイマニ司令官らを殺害。米国への攻撃に対するピンポイントの効果的反撃であり、中東全体の不安定要因の一つの除去にもなります。比例原則に則り、中長期的な中東安定につながる、この攻撃を支持します。

スレイマニ殺害は、短期的にも中長期的にも支持できる

イラクの空港で1月3日、アメリカ軍が、イラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官と、イラクイスラムシーア派組織「カタイブ・ヒズボラ(KH)」の指導者アブ・マフディ・アルムハンディス容疑者を殺害しました。

トランプ大統領の指示による攻撃です。イラン革命防衛隊、コッズ部隊は、アメリカがテロ組織と指定しています。カダイブ・ヒズボラも国際的なテロ組織に指定されています。

カタイブ・ヒズボラ(KH) | 国際テロリズム要覧(Web版) | 公安調査庁

ホワイトハウスの声明は、ソレイマニは、イラクや周辺地域で働くアメリカの外交官と公務員の攻撃を行ってきたと述べ、彼とコッズ部隊が、12月27日の攻撃を含め、これまでの数百人のアメリカや関係国の国民の死に責任がある、としており、直近の、イラクアメリカ大使館への攻撃もソレイマニが承認したものだ、と断定しています。そして、この攻撃は、イランによる将来の攻撃を防ぐためだ、としています。

Statement by the Department of Defense > U.S. DEPARTMENT OF DEFENSE > Release

私は、この攻撃を強く支持します。イランによる攻撃への報復=将来の攻撃抑止として、ピンポイントで最も効果的な標的を狙ったものであり、中長期的に見ても、中東全体の大きな不安定要因となっていた人物を直接排除できたからです。

今回の攻撃は、直接的には、昨年末に起きたアメリカへの攻撃に対する反撃です。

昨年12月28日、イラク北部キルクーク近郊の米軍基地が攻撃を受け、民間委託業者1人が死亡、米軍要員4人が負傷しました。米当局は、この攻撃を含む複数の攻撃をカタイブ・ヒズボラが実施したと非難し、同組織がイラン革命防衛軍の特殊部隊「コッズ部隊」と強いつながりがあり、軍事支援等を繰り返し受けているとも述べました。

このため、アメリカは、カタイブ・ヒズボラの関連施設数か所に空爆を実施、「精密な自衛的攻撃」と発表しました。

www.cnn.co.jp

これに対し、イラクアメリカ大使館に対してデモが起きました。このデモは、最近のイランやイラクで生活上の不満から起きている大規模なデモとは全く性質が違うものです。目撃者によると、イランが支援する民兵を含むデモ隊が米大使館の出入り口に火を付けたほか、門に向かって石を投げたというものです。イラン革命防衛隊等のシーア派組織による襲撃だったのは見え見えでした。

www.newsweekjapan.jp

スレイマニとカダイブ・ヒズボラ指導者の殺害は、こうした直近の攻撃への反撃です。イラン革命防衛隊がバックにいる年末の攻撃は、昨年1年間続いた一連の攻撃に引き続いて起きたものです。

以前から本ブログで取り上げてきましたが、イラン革命防衛隊は、アメリカが一昨年11月のイラン経済制裁を再開してから、陰に陽に、アメリカとその周辺国への攻撃をしてきました。昨年5月以降、ホルムズ海峡でタンカーへの攻撃を続け、6月には安倍総理がイラン訪問中に日本のタンカーを攻撃、イラン領内とはいえ、アメリカのドローンを撃墜して戦争寸前の事態を引き起こし、7月にはイギリスのタンカーを拿捕、9月にはサウジアラビアの石油施設にドローンとミサイルでの攻撃、そのうえ、12月末に、とうとうアメリカ軍基地にカダイブ・ヒズボラを使った攻撃をしかけました。

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これを見過ごしては、アメリカや日本を含む関係国への攻撃は、更にエスカレートするだけです。イラン革命防衛隊の目的は、経済制裁をやめさせることであり、アメリカとの本格的な戦争にならない程度に、自分はあまり表には出ないで、代理勢力によって、アメリカの権益周辺への攻撃を繰り返すことです。アメリカの忍耐を試すような危険な瀬戸際外交であり、しかもそれを担っているのが、一部隊の一司令官にすぎません。イランという国全体への責任などない人間が強大な権限を握ってしまい、近視眼的にアメリカ周辺への攻撃を繰り返し、ついに、米軍基地の直接攻撃にまで至った、ということです。

これに対して、アメリカは、軍事施設攻撃どころか、諸悪の根源であるイラン革命防衛隊とカダイブ・ヒズボラのトップ二名の殺害という、人的被害としては最小限の形で、危険な瀬戸際外交を行う張本人の排除というやり方で応えました。人道的に見ても、被害を出来るだけ小さくしようとした面がありますし、外交安全保障政策上も賛成できます。相手の攻撃や国際法違反に対する制裁として、比例原則に則ったものだと考えます。

より中長期的に見ても、イラン革命防衛隊をターゲットとして、そのトップを殺害する、という政策は、対イラン関係でも、望ましいものと考えます。

イラン革命防衛隊をテロ組織として指定し、そのトップを殺害するという方法は、イランという国全体を敵に回して戦争をしようというのではなく、イラン政府とさえ敵対しようとするのも出来るだけ避けて、イランの政策を誤らせてきた軍人に、度重なる武力攻撃への反撃として行ったものです。イランとの戦争を意図してのものではありません。私は、危険極まる挑発行為を行ってきたスレイマニの排除で、長い目で見れば、米イラン関係は改善するだろうと予想します。

スレイマニについては、昨年6月の本ブログで初めて取り上げて以来、私は何度も批判してきました。欧米メディアも、彼が数十年にもわたってイランの実権を握ってしまい、中東全域でヒズボラはじめ各種組織を使ってやりたい放題をやってきて、中東全体の不安定化の大きな原因になっている、としており、私もその説明に説得力を感じたからです。

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私がスレイマニについて、おかしい、危険だと考えたのは、何よりも、公的にはイラン革命防衛隊の一部隊司令官にすぎない人間が、大国イランの軍事・外交の実権を握ってしまっている、ということでした。使える軍事力や権力の大きさに比べて、負うべき責任が小さすぎます。どんな人間でも、巨大な権力を持って過少な責任しか負わなければ、単に利己的な行動をするだけでなく、判断を誤って非合理的な判断を行ってしまいます。戦前の日本軍の暴走と似たようなものです。

スレイマニについて言えば、アメリカとの戦争を避けながら制裁をやめさせよう、という目的のために合理的と言えないような軍事攻撃のエスカレートを起こしてしまう、本人が実は望んでいない戦争に突入してしまうという危険があるのを、本当に心配していました。

このため、今回、アメリカが、何とも端的に、スレイマニを殺してしまうというやり方で、現状のイラン瀬戸際外交の諸悪の根源を除去するという方法を取ったことを、強く支持します。これで、イラン政府が、外交安全保障政策の決定権限を、一軍人ではなく、イラン国民の生活と諸外国への国際法上の義務について責任を持った人達に取り戻してくれることを、期待します。そうなってこそ、イランの国際社会での地位も安定しやすくなり、この国をめぐる緊張も緩和できるでしょう。

日本政府は、今回のアメリカの作戦成功につき、出来るだけはっきりと支持する姿勢を示すべきです。また、今後、対イラン政策で中途半端な態度を取らず、アメリカの同盟国としての姿勢をはっきりさせることによって、核問題を含めて、イランが国際社会とより調和する方向に転換できるようにすべきです。