日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

謹賀新年:ゴーン被告の逃亡事件、大企業(元)経営者の私的権力行使を許すな

あけましておめでとうございます。

読んでいただいた皆様のおかげさまで、本ブログも、無事に1年間、毎日の更新を続けることができました。心より御礼申し上げます。 

今日は、ゴーン被告の逃亡事件について、簡単にですが、書かせていただきます。

日本の刑事司法に問題はあっても、私的権力を使っての裁判無視など許されない

日産のゴーン被告の逃亡は、日本の刑事司法に問題があるとしても、絶対許してはならないことであり、日本政府はレバノン政府に強く身柄引き渡しを求めるべきです。

確かに、いわゆる人質司法と言われる捜査手法は大きな問題で、変える必要があると思います。この事件について言えば、ゴーン被告は4回も逮捕され、特に4回目は保釈中だったことが異例だ、という批判もされていました。

business.nikkei.com

しかし、日本の人質司法以上に、保釈中に勝手に国外に逃亡するという違法な行動をとったことは、大きな問題です。特に今回、逃亡は組織的に行われ、準軍事的な組織の関与さえ取り沙汰されています。

準軍事的グループ、ゴーン脱出作戦決行? レバノンTV:朝日新聞デジタル

ツイッターでは、国際政治の専門家が、これは民間軍事会社、いわゆるPMCのことかと訝る声もありますが、

PMC、あるいは最近ではPMSCという民間軍事会社は、軍事関連業務の民間委託を行っている企業です。

http://www.ssri-j.com/SSRC/takai/takai-16-20160429.pdf#search=%27PMSC+%E6%B0%91%E9%96%93%E8%BB%8D%E4%BA%8B%E4%BC%9A%E7%A4%BE%27

もし、今回の脱出に関わっていたとしたら、日本の国内で、武装していたかもしれない軍事サービスのプロ集団が、日本政府の許可も得ないで活動していたことになります。日本の法律にふれるものを所持していたかもしれませんし、目撃者を見つけたら何をしていたか分かりません。まして、外国政府の関与も疑われる事態です。日本国の主権の侵害と日本国民の人権侵害になりかねない話です。国外に出た人間のために行われた金大中事件とも言えますし、あるいは、北朝鮮拉致事件とさえ共通点があります。

また、こうしたグローバル企業の元経営者で15億円の保釈金を何とも思わないような巨額の資産を持っていて、自国政府にも強い影響力を持つような人間なら、他の民主主義国家の司法制度を簡単に無視した活動が出来る、ということが許されるべきではありません。日本の人質司法に問題があるとしても、その問題をすり抜けられるのはカネと権力を持った人間だけということになります。何の問題もない司法制度の国の法律さえ、私的権力を行使して無視できることになってしまいます。

ゴーン事件を契機に、日本は国際社会から批判されている刑事司法手続を改善すべきですが、一方で、巨大企業の経営者の私的権力行使を許さず、レバノン政府に対して、制裁も辞さない強い姿勢で、被告の身柄引き渡しを求めるべきです。

元日の日経のサイトのトップに、「逆境の資本主義」というタイトルの記事が上がっていました。格差拡大のあまり、資本主義の正当性に疑義が呈されている、これまでの「株主第一主義」を修正すべきではないか、という趣旨のシリーズもののようです。

vdata.nikkei.com

私は、以前のブログで、こうした「株主第一主義」批判について、それより問題なのは、「経営者第一主義」ではないか、と主張しました。日本ではまだまだ株主による経営者のコントロールが不十分だし、欧米でも、経営者が私的な形で強大な権力を持ちすぎて、国民全体の利益に反する形で、政治や法制度を牛耳ることこそが問題ではないか、という趣旨でした。

エリザベス・ウォーレンが倒す経営者第一主義:21世紀資本主義の復活に向けて - 日本の改革

今回のゴーン逃亡事件では、特にこの問題が大きいと思います。ゴーン被告の金融商品取引法違反については、予断を持ってはいけないとは思いますし、日本の刑事手続きに正すべき部分があるのは確かです。しかし、自分の持っている私的権力を行使することで、民主的な主権国家の法律によって起訴された裁判自体を拒否するのは、間違っています。日本政府の断固とした対応を望みます。