日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

金正恩、「安全保障の積極的措置」に言及。アメリカによる北朝鮮の核保有容認を見越して、日本がやるべきことは何か

金正恩が、「安全保障の積極的措置をとる」と発言。それでもアメリカには軍事力行使の意思はなく、おそらく北朝鮮を核保有国として事実上認めるでしょう。抑止力を高めるにはこれまでにない威嚇が必要で、日本はアメリカによる中距離核配備の要求を受け入れるべきです。

北朝鮮、新年の辞で米朝協議の停止を宣言か

12月30日、金正恩朝鮮労働党中央委員会総会で「つくり出された情勢の要求に即し、国家の自主権と安全を徹底して保障するための積極的な措置を取る」と言及しました。

金正恩氏「安全保障の積極措置とる」 :日本経済新聞

具体的なことは言っていませんが、核ミサイル能力を更に強化すると見られています。例年通りなら明後日の元日、北朝鮮は「新年の辞」を発表しますが、そこで、何等かの発表をするでしょう。

この2年間の北朝鮮の「新年の辞」は、前年までのアメリカとの関係を反映しています。2017年にトランプ大統領から脅しを受けて、2018年は米本土全域が射程圏内で核のボタンは机の上にあると好戦的なトーン、しかし、2018年にシンガポールで初の米朝協議があったのを受けて、2019年は非核化について初めて言及、という具合です。

金正恩氏の2018年「新年の辞」公式報道全文 | DailyNK Japan(デイリーNKジャパン)

北朝鮮は今年も外交攻勢か、金正恩「新年の辞」を読み解く WEDGE Infinity(ウェッジ)

そして今年、2019年は、2月にハノイでの米朝協議が決裂し、米韓軍事演習も予定通り行い、アメリカが韓国にF35を40機売却、韓国も国防費を増やした、ということで、明後日の信念の辞はまた対決トーンに戻ると見られています。

東アジアの安全保障が専門のグリン・フォード氏(元欧州議会議員)は、北朝鮮が非核化に向けた米朝協議を中止しないまでも一時的な停止を宣言するだろう、としています。

www.38north.org

本ブログでも、12月8日に北朝鮮が東倉里(トンチャンリ)でICBM用の固体燃料エンジンの実験をした可能性が報道されたとき、これでもう米朝協議は完全に失敗に終わって、北朝鮮は固体燃料によるICBMの実験や、核実験の再開さえする可能性がある、と書きました。残念ながら、そのようになりつつあるようです。

トランプ「敵対すれば多くを失う」、北朝鮮「我々に失うものはない」:北朝鮮がこれまでの合意も完全無視、米朝核協議はアメリカの完敗に終わる - 日本の改革

これに対して、アメリカはと言えば、もう打つ手がないようです。トランプ大統領は軍事行動について言及したときは、北朝鮮は、それには即座に反撃する、というやり取りが一度ありました。しかしその後12月17日には、トランプ氏は、北朝鮮が何かやろうとしているなら失望だ、とか、何だか随分トーンダウンしています。

北朝鮮軍高官「米が軍事力行使なら即座に反撃」 トランプ発言に反発 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

トランプ氏、北朝鮮が何かをやろうとしているのであれば「失望」 - 産経ニュース

その後、前大統領補佐官のジョン・ボルトン氏が、トランプ政権の北朝鮮政策は失敗していて、「より効果的な政策」が必要だ、として、軍事行動の必要性を強く示唆しました。結局、トランプ政権は北朝鮮を本当に攻撃することなど出来ないのでしょう。

トランプ氏の北朝鮮政策は「失敗」 ボルトン前補佐官が厳しく批判 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

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アメリカが北朝鮮を核保有国として認めたら、次はどうなるのか?

では、このまま北朝鮮アメリカを直接攻撃するICBMの開発を進めていくなら、アメリカは次にどうするでしょうか?色々と言い訳はしながら、北朝鮮を核保有国として認めることになるでしょう。

では、アメリカが「北朝鮮を核保有国として認める」とは、具体的にどういうことなのでしょうか?

おそらく、核不拡散条約に例外を設けたりはしないけれど、事実上の核保有国であることを黙認する代わりに、北朝鮮が持ちうる核兵器の上限については厳しく監視する、ということになりそうです。既に2年前にも、専門家の間ではこのシナリオが論じられていました。世界的な核不拡散には悪い前例ですが、もうアメリカさえ抑えられないのだから、どうしようもありません。

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問題は、北朝鮮の核ミサイル能力に上限を課すよう監視すると言っても、それも相当難しいはずです。とにかく約束など全く守らない国なのだから、結局は、力で威嚇するしかありません。アメリカもただちには軍事力を使えないなら、アメリカと同盟国が、よほど強力な抑止力を持っていることを誇示して、日米韓への脅威を出来るだけ低下させるべきです。

そのためには、大変残念ですが、アメリカが要求する中距離核ミサイル配備を受け入れざるを得ません。アメリカの要求は、もともと、米ロだけで結んだINF全廃条約からアメリカが離脱して、中国の中距離核ミサイルを含めて、中ロの核戦力を制限することを目的にしたものです。中国の周辺国にアメリカの中距離核ミサイルを配備して中国とロシアを威嚇し、両国と新たな形のINF全廃条約を結ぶのが最終的なゴールです。

もし可能ならば、この枠組みに、北朝鮮も何とか引き入れるべきでしょう。それが無理でも、北朝鮮の核ミサイルが際限なく強化されて、日韓はもとより、アメリカも言いなりになるような事態は絶対に避ける必要があります。北朝鮮核武装はほぼ達成されつつあり、それを止められないなら、その能力を抑えるための実効性のある措置が必要です。

それには、まずは北朝鮮が唯一本当に信じるもの、つまりは、核ミサイルの攻撃能力でいったんは対抗するしかありません。

本ブログでは、以前、国民は核配備には絶対に反対するので、アメリカの中距離ミサイルは「核抜き」で配備すべきと主張しました。が、アメリカが既に強く要求していることを踏まえて、日米同盟で日本の安全が守られている現実を重視すれば、配備もやむを得ない、と、考えを改めました。中国、ロシアの核を念頭に置いてのことでしたが、北朝鮮アメリカを直接攻撃できる核ミサイルを持ちつつあり、アメリカがそれを防げないという現実を踏まえれば、アメリカの中距離核配備は、残念ながら、やはり必要です。

アメリカが「日本に中距離『核』ミサイルを置かせろ」と要求したら、日本政府は受け入れるしかない - 日本の改革

ハドソン研究所の村野将氏は、いくつか留保条件はつけつつも、アメリカの中距離核ミサイルを日本に配備すれば、1980年代のNATO同様に、アメリカが日本を守ると言う約束をより実効性のあるものには出来るだろう、としています。

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本ブログで以前紹介した通り、核抑止力というもの自体が、本当に効果があるのかどうか、安全保障の専門家の間に疑問もあります。そもそも、核保有国のリーダーが、正しい情報に基づいて、合理的に行動しなければ、「相互確証破壊」などという仕組みは働かないので、核の均衡で平和を図ろうというのは、本当は極めて危ういやり方です。だからこそ、レーガン大統領は、こんな兵器は時代遅れにしてしまうべきだ、と考えて、SDIを考え出し、それが現在のミサイル防衛にもつながっています。

アメリカは、数か月以内に日本に中距離ミサイル配備を希望?日本は核抑止論の合理性も限界も認識して対応を! - 日本の改革

したがって、本来、日本が目指すべきは、核ミサイルの無力化であり、レーザーやレールガン等の新技術も含む、専守防衛ミサイル防衛システムを完成させるべきです。これなら国民の理解も得られますし、核ミサイルを持っても全て撃ち落されてしまうようなシステムが出来れば、世界的な核廃絶のための現実的なステップになります。

しかし、それにはまだまだ時間がかかります。いかに不確かではあっても、現状では核による恐怖の均衡が存在すると世界中が信じており、だからこそ北朝鮮もすべてを犠牲にして核ミサイル開発だけにこだわっています。こうした国に対抗するためには、大変残念ですが、当面はアメリカの核による威嚇しかありません。「核の傘」による日本防衛を確実にし、北朝鮮に対する日米間の圧力を強めるためには、彼らが唯一信じるもの、核ミサイルで対抗するしかないでしょう。

アメリカが北朝鮮の核保有を認めざるを得ない以上、アメリカの日本防衛の約束を確実にし、北朝鮮の核ミサイル開発に歯止めをかけるためには、アメリカの中距離核ミサイルを、日本に配備せざるを得ません。

短期的にはそのようにせざるを得ませんが、中長期的には、核ミサイルを無力化する防衛システムの実現と、それによる世界的な核廃絶を国として目指していくべきです。アメリカの中距離核配備は、そうした最終的な理想とともに訴えなければ、国民の理解と支持は得られないでしょう。政府は目の前の現実を踏まえ、しかし、決して理想を忘れてはいけません。そうでなければ、目の前の現実にも結局は対処できないからです。