日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

自衛隊の中東派遣、アメリカが「有志連合」を呼びかけてくれるうちが華。いずれアメリカが中東から撤退する可能性も考えるべき。

自衛隊の中東派遣、アメリカの「有志連合」不参加は間違いです。イランは核ミサイル開発中ですし、中国・ロシアとも軍事演習しています。アメリカが中東から撤退する可能性も考えれば、アメリカ主導の「海上安全保障イニシャチブ」には参加すべきでした。

イランの宣伝に利用されるだけの腰が引けた決定

既に8月頃から検討されていた方針通りですが、政府は、アメリカが呼びかけたホルムズ海峡での船舶安全のための「海上安全保障イニシャチブ」に参加せず、独自の立場で中東に自衛隊を派遣することを閣議決定しました。活動領域からホルムズ海峡は外れています。

>防衛省・自衛隊:中東地域における日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集活動のための準備に関する防衛大臣指示(概要)

今回の閣議決定、必ずしも全否定はしません。活動目的が情報収集になっていることは、閣議決定が不要になる等、良い面もあります。公明党への配慮も必要だったでしょう。

しかし、アメリカが参加を呼びかけた枠組みに入らなかったのは間違いです。

今年、イランは、外国の船舶や石油施設に、やりたい放題の攻撃をしかけてきました。全てがイランのしわざとは確認されていないものの、イラン革命防衛隊や、その影響下の勢力がやった可能性を報じられた事件が多数起きています。

アメリカが昨年11月にイランへの経済制裁を再開した後、5月以降、ホルムズ海峡でタンカーへの攻撃が相次ぎ、6月には安倍総理がイラン訪問中に日本のタンカーが攻撃を受け、イラン領内とはいえ、アメリカのドローンを撃墜して戦争寸前の事態を引き起こし、7月にはイギリスのタンカーを拿捕し、9月にはサウジアラビアの石油施設にドローンとミサイルでの攻撃がありました。これらのうち、いくつかは本ブログでも取り上げました。

イラン革命防衛隊がホルムズ海峡のタンカー攻撃?一司令官が中東全域を不安定化させ、イラン自身を危険に。 - 日本の改革

イランに攻撃命令出して10分で撤回。もし攻撃したら、「150人の犠牲」の先に、何が起こりえたのか。 - 日本の改革

サウジ石油施設へのドローン攻撃、初めて大打撃:日本は防衛システム「ドローン・ドーム」導入を! - 日本の改革

このうち、今年前半に多発したホルムズ海峡での船舶への攻撃等を念頭に、アメリカが各国に呼びかけた共同での船舶防衛の構想には、日本は真っ先に参加を表明すべきでした。トランプ大統領は、ホルムズ海峡での船舶航行について、アメリカは大した利害がないから当事国がやるべきだ、と公言していたからです。

トランプ大統領に限らず、アメリカが中東での日本を含む各国の利益を守るためにアメリカ主導で進めようとした話には、日本は、出来る範囲で積極的に協力すべきです。

これも以前のブログで書いたことですが、今のアメリカはとにかく国民の意識が内向きになっていて、中東に米軍を送ること自体に懐疑的になっています。トランプ大統領も、前任のオバマ氏も、中東での米軍のプレゼンスを下げようとしており、来年以降、誰が大統領になろうと、世論に押されてこの傾向は続くでしょう。

トランプもウォーレンも、米国の中東からの撤退希望:日本は中東依存をやめて再エネ国家への転換を! - 日本の改革

そう考えれば、アメリカが自国主導で日本を含む船舶を守るために有志連合を呼びかけるというのは、日本にとって、「難しい宿題を出された困った事態」なのではなくて、むしろ、「大変ありがたい大チャンス」ととらえるべきです。出された握手の手はすぐにしっかり握り返して離さない、絶対に中東安定に責任を持たせる、それくらいのつもりでいかないと、そう遠くない将来に、本当にアメリカが中東から全面的に撤退するかもしれません。

日本の最大の脅威・中国と手を組み、核ミサイルを開発するイラン

アメリカが中東でのプレゼンスをどんどん下げていくということになったら、その隙間を埋めるのは、ロシアと中国です。

12月27日、イラン、中国、ロシア各国軍は、インド洋とオマーン湾で4日間の共同軍事演習を開始しました。

ロイターによると、イラン海軍の幹部は国営テレビに対し「この演習のメッセージは、協力と結束を通じた平和、友好、持続的な安全保障だ。その結果、イランを孤立化できないことが示されるだろう」と述べたそうです。

オマーン湾は、日本政府が自衛隊派遣を決めた海域の一つですが、中国国防省は演習にミサイル駆逐艦を、ロシア国防省フリゲート艦など3隻を派遣するそうです。

www.newsweekjapan.jp

これは、イランによるアメリカに対する軍事的示威行動です。イラン・イスラム共和国国際放送(国営放送)のニュース・サイトPars Todayでは、この3ヶ国の海事・軍事・救助面で戦略的な協力は、「世界のそのほかの大国に対する独自のメッセージ」、政治的メッセージである、としています。そして、トルコ・アナトリア通信を引用する形で、「この軍事演習が事実上、アメリカに対する力の顕示である」と書いています。

このサイト、御親切に、日本語版まであります。

parstoday.com

日本がアメリカの有志連合「海洋安全保障イニシャチブ」に参加しないことつき、10月に既に報じられたとき、このサイトは、アメリカによるイランへの圧力が失敗している例として、イランの宣伝に使われました。

parstoday.com

イランは、最近になって、核ミサイル開発も加速させています。欧州諸国は、イランとの核合意から離脱したアメリカを批判していましたが、その後、イランは核合意に反して(穴のある合意だったも言われますが)、ウラン濃縮をはじめてしまいました。IAEAの査察受け入れもやめると言い出しました。今では、アメリカを批判していた独仏も、イランに対してかんかんになって怒っています。

www.nikkei.com

そのうえ、イランは、弾道ミサイル開発計画を継続すると明言しました。英独仏が核合意違反だと批判しても、イランの国連大使は「イランは弾道ミサイルや打ち上げロケットに関連する活動を断固継続することを決意している」と主張。核兵器とは関係ないと言っていますが、もちろん誰も信じていません。

イラン、弾道ミサイル開発計画の継続明言 欧州勢の非難一蹴 - ロイター

このように、イランという国は、日本にとっての最大の安全保障上の脅威である中国と組んでアメリカに対抗し、欧米諸国の反対を完全に無視して核ミサイルを開発し続けています。その国に、しかもその国の中でも近視眼的なイラン革命防衛隊に、日本はホルムズ海峡を握られています。イラン革命防衛隊は、イランへの制裁や圧力を緩めさせるために、本格的な戦争にならない程度の攻撃をしかけ、中国・ロシアと組んで、逆に欧米諸国に圧力をかけています。そして、アメリカ国内の世論は、もうこんな国と関わるのはやめて、米兵は出来るだけアメリカに帰して、本土だけ守れればいいと思っています。

そんな状況で、中東の石油と天然ガスに依存する日本が、せっかくアメリカが主導すると言ってくれる有志連合に参加しない、というのは、大きな間違いです。閣議決定してしまったものは仕方ありませんが、今後、ホルムズ海峡やイラン周辺で日本の権益に対する危険が更に高まったら、アメリカとの協力をより強めるべきです。

そして、中長期的には、エネルギーをこの地域に依存しなくても良いよう、再生エネルギーへの転換を加速するべきです。