日本の改革

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郵政2社トップ、民間出身から旧郵政省出身へ逆戻り:「複雑な組織だから元役人必要」から「金融2社は100%株式売却、天下り等は全廃」へ!

郵政3社のトップ交代、2社の社長が、なんと民間出身者から旧郵政省出身者に交代。郵政グループは公的な2社と金融2社による複雑な組織なのを良いことに、天下りが仕切ってきました。金融2社の株式を全部売却して組織を単純化して、天下りは全廃すべきです。

かんぽ生命と日本郵便の社長、民間出身から旧郵政省出身に戻る逆行

違法不当な経営で混乱する郵政グループ、3社の民間出身社長が辞任したと思ったら、なんと2社(日本郵便とかんぽ生命)の社長が旧郵政省出身者になってしまいました。新社長は二人とも、民営化後の2007年から郵政グループに勤務していたので、日経は「天下り」と書いてはいませんが、旧郵政省出身であることには変わりありません。

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郵政グループを統括する持ち株会社日本郵政社長には、増田寛也氏が充てられます。旧建設省出身で岩手県知事をしていた人なので、旧郵政省や旧総務省天下りではありません。郵政省出身でないのは良いこですが、この人は頼りなさ過ぎます。何しろ全然関係ない都知事選に、自民都連に言われるままに出て惨敗。選挙でも、とにかく自分の言葉がまるでない人でした。今回も恐らくは官邸か自民党に言われるままに引き受けた印象です。少なくとも、都知事選での軽い神輿ぶりを見た東京都民で期待する人は少ないでしょう。

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その増田氏以上に問題なのが、かんぽ生命と日本郵便の社長です。二社ともに、もともとは民間出身の経営者だったのに、形は郵政グループの生え抜きではあっても、旧郵政省出身者になってしまいました。

かんぽの社長は、東京海上火災出身の植平光彦氏だったのが、旧郵政省出身の千田哲也副社長になりました。

日本郵便の社長は、旧住友銀行出身の横山邦男社長だったのが、これも旧郵政省出身の衣川和秀専務執行役になりました。

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これでは、とても利用者、国民の信頼は回復できません。

何しろ、かんぽ生命の不適切販売では、郵便局に対する高齢者の信頼につけこんだ不当販売を行い、行政処分について事務次官天下りの先輩に情報漏洩をして更迭、こうした一連の問題の引責の形で人事刷新をするはずが、また旧郵政省出身者が社長だというのです。全然こりてない、むしろ、旧悪をもっと徹底するぞと国民にケンカを売るような人事です。

なぜ、郵政グループの株主である政府は、こんな人事をしたのでしょうか。

おそらく、旧郵政省出身者では評判が悪いのは分かっていて、それでもやらざるを得なかったのでしょう。今の郵政グループは、もう民間出身者には経営できない、と、政府がさじを投げたようなものです。

官邸は、こんな風に考えたんではないでしょうか。

事務次官行政処分関連の情報を、日本郵政天下り副社長に漏らすというのはさすがにまずい。前代未聞の不祥事だ。何とか早く火消しをしたい、とにかく社長の全員交代を年内にやって、年が明けたら国民は忘れてる状態にしたい。ところが、急に更迭しても、まともな民間経営者は誰も引き受けてくれない、かろうじて「ますます増田」が引っ掛かっただけだ。それなら緊急避難で旧郵政省でも仕方ない、批判されたら「民営化以来の生え抜きでございます」で突っ切るしかない。

そんなところではないかと思います。

郵政の迷走の原因は、暫定的な組織形態の恒久化

現在の郵政グループは、以下のような複雑な組織になっています。持ち株会社日本郵政、その下に、郵便事業を行う日本郵便と金融2社のかんぽ生命、ゆうちょ銀行がぶら下がっています。

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日本経済新聞2019年12月22日

郵政、多重統治で混乱 トップ民間出身でも実務は官僚OB :日本経済新聞

このため、監督官庁も、日本郵政日本郵便の2社は総務省、かんぽ生命とゆうちょ銀行は金融庁と分かれています。そうなると役所間での調整には官邸も出てきて、政治との調整も必要となります。

こうしたややこしい話を仕切るために、国営郵政を仕切っていた旧郵政官僚が跋扈していました。上の日経記事の図にある通り、グループ4社の社長は民間出身でも、3社の副社長を旧郵政省OBが、1社を旧大蔵省OBが、がっちり握っていました。だからこそ、日本郵政の副社長である旧郵政省OBの鈴木氏に、現役事務次官から情報漏洩さえありました。

そもそもなぜ、郵政はこんな複雑な形になっているのか。今の組織形態は、2017年に完全民営化するまでの、暫定的な形だからです。

もともと、民営化後の郵政グループは、民間と全く変わらないはずの金融2社、つまり、かんぽ生命とゆうちょ銀行については、2017年に100%民営化す予定でした。民営化まではとりあえず郵便、かんぽ、銀行は一体としてやる、という移行期間のために、持ち株会社の下に、郵便という公的事業と、民間でもやれる、かんぽ生命と銀行という金融事業がぶら下がっています。

この形から、かんぽ生命とゆうちょ銀行の2社を売却して切り離せば、この2社は完全な民間企業で金融業界で自由に営業が出来て監督官庁金融庁のみ、という形になります。一方で、残るのは持ち株会社日本郵政と子会社の日本郵便で、こちらは郵便のユニバーサルサービスという公的役割を負った組織で、総務省のみが管轄します。

このようにすれば、公的目的の郵便事業と、営利目的の金融事業と、それぞれの組織の目的がはっきりします。

もちろん、郵便事業でも、経営効率化のために利潤動機はどんどん使ったらいいわけで、そのために日本郵便という株式会社があるわけで、公的な統制は親会社の日本郵政が行えばいい、両方とも総務省が一元的に監督、ということになります。

ところが、旧民主党政権が、かんぽとゆうちょ銀行の株式売却期限を書かないことにしてしまいました。これをもって、高橋洋一氏らは、郵政が国有化に戻った、と言って批判しています。それはその通りですし、更に言えば、もともと過渡的なはずの複雑な組織が、そのまま恒久化されてしまった、という極めて大きな弊害も生じたことになります。

解決策は、かんぽとゆうちょ銀行の100%民営化と、天下り100%禁止

だから、郵政の経営に関する問題の解決策は、はっきりしています。

かんぽ生命とゆうちょ銀行の株式を全て売却して、この2社を完全民営化して、それと同時に、旧郵政省の天下り(新たな再就職や現役出向)を全部禁止するのはもちろん、生え抜きの旧郵政出身者も、少なくとも当面は経営陣に入れないことです。本ブログでは、完全民営化は言い続けてきましたが、更に、天下り含めた旧郵政出身者への人事上のルールも入れるべきです。

かんぽとゆうちょ銀行の違法・不当販売の責任は、参院選の全特組織内候補・柘植芳文(自民)にある!政府は小泉改革の原点に戻り、二社の即時完全民営化を! - 日本の改革

生え抜きについてまで旧郵政出身者を排除するのは、かえって組織の自律を害するかもしれませんが、組織が公的事業と営利事業で完全に分けられるまでは、やむを得ません。公的・私的な二つの目的を抱えた今の組織のままでは、どんなに有能な人物でも、まともな経営は無理です。官民ファンドと同じです。

郵政民営化の当事者たちは、もちろん、郵政の問題は民営化の不徹底の問題だと分かっていて、今回も発言しています。

日本郵政公社の初代総裁だった生田正治氏は、以下のように言っています。

「(政府が株式の過半を握り)経営戦略や商品開発の手足が縛られている段階で収益を確保しなければならない。経営のかじ取りが難しい中途半端な『半官半民』の状況をできるだけ早く解消する。政府をはじめ関係者全員の努力で、ゆうちょ銀とかんぽ生命の完全民営化(株式の全株放出)を急ぐべきだ」

「責任があるのは(09年の政権交代に伴う)民主党国民新党の連立政権だけではない。自民党も民営化に反対していた議員をすぐに復党させた。掲げた旗をすげかえたのと同じだ。民営化は当初の計画より10年は遅れている」

出所:日本経済新聞2019年12月26日 

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小泉純一郎氏も、今日のテレ朝で吠えてくれました。今日の小泉発言を、郵政の組織という点から見てみます。

当初郵政民営化で考えていたのと全く違う、法案通りだったら変わっていた

⇒金融2社は最終的に切り離すはずがそうなっていないということです。

民主党政権で元に戻した、中途半端だ、自民党もそうだった。

⇒移行期間のままで国有を続ける、と戻してしまった、公益目的と営利目的と両方ある中途半端なおかしな組織になってしまった、民主党が戻したが自民党も続けた責任がある、ということです。

小泉元首相、日本郵政「民営化徹底で立て直しを」 :日本経済新聞

小泉氏は更に、郵政民営化の徹底にしろ、原発ゼロに白、総理大臣なら変えることができる、安倍総理はそれをやらない、本当にもったいない、とも言っていました。

国民にとって、郵政民営化というのは、単なる制度改正の問題ではありません。

小泉純一郎氏が、郵政解散で国民の心を一つにして実現した大改革が、第一次政権で造反組を「お帰りなさい」と戻して第二次政権でも民営化をやらない安倍氏や、いちいち名前も挙げたくない民主党自民党や何とか新党の政治家といった、下らない連中に蹂躙されています。小人達が、立派なリーダーが果たした国民との約束を平気で反故にしています。私は、それが何よりも許せません。

小泉純一郎氏が今日言っていた通り、もう安倍総理に、本件は全く期待していません。安倍氏の次の総理は、郵政民営化という国民との約束を、必ず果たすべきです。