日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

中国が、国策半導体メーカー清華紫光集団の子会社500ドットコム使って、日本のカジノを狙った理由は何か

日本のカジノに参入しようとした中国企業500ドットコムは、中国を代表する半導体メーカー清華紫光集団(Tsinghua Unigroup)の子会社です。ハイテク版の統一戦線工作を日本にしかけようとした疑いがあります。

秋元司議員を通じて、日本に食い込もうとした企業の親会社は半導体メーカー

日本のカジノ事業に参入しようとした中国企業外為法違反事件で、自民党の秋元司衆院議員が、IR担当の内閣府副大臣だった2017年12月、広東省深センにある同社の本社を訪問し、最高経営責任者(CEO)と面会していたことが判明しました。東京地検特捜部は、不正に持ち込まれた現金が秋元氏側に渡ったとみており、秋元氏と中国企業との関係を調べている、と、朝日が報じています。

秋元議員、中国企業を訪問 IR担当副大臣時に CEOと面会:朝日新聞デジタル

この中国企業の名前は、500ドットコム(500.com Ltd.)です。

(ここでは、日本法人でなく、ニューヨーク証取に上場している企業として扱います。日本法人のサイトは閲覧できなくなっているようです。)

500.com IR Room - http://ir.500.com - Company Profile

ツーリズム関係のサイトで、同社が沖縄でのIR参入を目論んで、イベントに参加したときの様子が紹介されていました。そこに、仲介した秋元議員も登壇したそうです。

www.traicy.com

同社CEOは、依存症対策をしっかりやっており、特に、ビッグデータ戦略に力を入れている、として、以下のように話しています。

2013年以降、依存症対策システムの能力をさらに強化すべく投資してきたのが“ビッグデータ”戦略でした。結果として、当社のエンジニアは、膨大な量の顧客データを処理し、依存性行動パターンを特定する専有アルゴリズムを開発するに至りました。現在では、データマイニング技術が顧客管理(CRM)システムに統合され、潜在的な依存症行動を予測かつ特定できるようになっています。

www.traicy.com

このように、この会社はハイテク企業です。ニューヨーク証券取引所に上場しており、会社のアニュアルレポート(2018年度版)を見ると、筆頭株主は、中国を代表する半導体メーカー清華紫光集団(Tsinghua Unigroup)だと分かります。

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Source: 500.com Annual Report 2018

500.com IR Room - http://ir.500.com - Annual Reports

更に、同じレポートによると、この会社のトップも清華紫光集団出身です。

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Source: 500.com Annual Report 2018

500.com IR Room - http://ir.500.com - Annual Reports

今回の事件、日本のIR政策の中枢にいる自民党議員に接触し、賄賂を渡した可能性のある企業は、単なるオンラインくじ企業ではありません。

親会社であり人事的にもつながっている清華紫光集団(略称は、紫光集団)は、隠れもない国策半導体メーカーであり、中国政府が「兆円」単位で半導体国産化のために投資し、先進国から技術窃盗を行ってきたとフィナンシャル・タイムズに書かれ、アメリカ政府が敵対視している企業です。

中国・紫光集団、紅い半導体 自立の夢 :日本経済新聞

[FT]中国はこうして半導体技術を手に入れた (写真=ロイター) :日本経済新聞

米国第一主張「ナバロ文書」 過激な通商政策を予言 (写真=AP) :日本経済新聞

日本の報道では、この紫光集団の子会社である500ドットコムが、中国の国内でカジノ規制が厳しくなって、困ったから日本のカジノに進出しようとして、IR担当の秋元氏に頼った、ような書き方がされています。まるで、中国政府が厳しすぎるから、行儀悪い業界のオンライン・ギャンブル企業が困って日本に泣きついた、かのように見えますが、そういうストーリーで、この事件を考えるべきではありません。

現に、この企業が、中国のギャンブル規制強化で株価が暴落したとき、キャッシュが潤沢だから何もしなくても10年は大丈夫だ、などという、信じられないようなステートメントを出しています。まるで、本業のゲームやギャンブルなど、本当は何の関心もないのだ、と自分から言っているようなものです。

Clarification on Announcement Regarding Online Lottery Sales in China - Apr 6, 2015

(以上の情報、実は、大紀元の記事で最初に知ったものが多いのですが、自分が重要だと思い、かつ、他のソースで確かめられる部分のみに基づいて、他の情報も加えたうえで、私見を書いています。参照した記事は以下です。)

外為法違反事件 中国IR企業の筆頭株主は国営ITコングロマリット

狙いは統一戦線工作か。自民党議員と安倍政権も中国の工作の術中に。

では一体、何のために、この企業は日本のカジノに参入しようとしたのでしょうか。

おそらく、日本国民や訪日外国人のプライバシーを握って従わせようとするため、また、日本の世論を中国に好意的なものに変えさせようとするためでしょう。つまり、いわゆる工作活動の目的で、国策として日本のカジノ市場への参入を図ったのだと思います。

この会社は、もともと国策会社のハイテク企業と実質上一体であり、登録ユーザー数は6000万人もいて、ビッグデータ戦略を特に重視しています。上記の目的のためには、大変適しています。日本人や日本を訪れる外国人による、ギャンブルという後ろ暗い行動を詳細に把握し、依存症対策で更にプライバシーを詳細に握り、顧客の行動を把握・管理することが出来ます。また、カジノや依存症対策を通じて得た個人情報を使って、ネットでの広告や、世論工作に利用することも出来るでしょう。

沖縄に3000億円投資表明、中国カジノ企業CEOは何を語ったか【全文書き起こし】 - ページ 2 / 4 - TRAICY(トライシー)

実際、中国は対外的な工作活動を非常に重視しており、習近平政権でそれは更に強化・徹底されています。

特に、去年あたりから欧米では、中国共産党中央委員会の「統一戦線工作部」の行う、対外的な工作活動への警戒が高まってきました。統一戦線工作とは、中国共産党が、中国の内外で行う工作活動のことで、党への批判や敵対行動を抑止し、党への支持を増やそうとするものです。米中経済安全保障委員会でも、統一戦線工作に関する報告書が書かれています。

https://www.uscc.gov/sites/default/files/Research/China's%20Overseas%20United%20Front%20Work%20-%20Background%20and%20Implications%20for%20US_final_0.pdf

習近平は、2015年に、「中国共産党統一戦線工作条例(試行)」を施行し、中央統一戦線工作領導小組が設置、制度と組織を整備して、党主導の統一戦線工作を進めています。

https://www.mof.go.jp/pri/publication/financial_review/fr_list7/r138/r138_08.pdf#search=%27%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E5%85%B1%E7%94%A3%E5%85%9A%E7%B5%B1%E4%B8%80%E6%88%A6%E7%B7%9A%E5%B7%A5%E4%BD%9C%E6%9D%A1%E4%BE%8B%27

そして去年、アメリカで、日本に対する統一戦線工作の実態についての報告書も、民間シンクタンクが出しています。

jamestown.org

内容の概略を産経新聞古森義久記者が報じていますので、一部分を引用します。

・統戦部は日本側に基盤をおく既存の日中友好団体をも利用する。それらは日中友好協会、日本国際貿易促進協会、日中文化交流協会、日中経済協会、日中友好議員連盟、日中協会、日中友好会館などである。

【古森義久のあめりかノート】日本での中国統一戦線工作(2/2ページ) - 産経ニュース

ということで、日中友好協会は、統一戦線工作のツールとして挙げられています。

今回の秋元司議員の事件でも、2017年に沖縄県日中友好協会が設立されたのが最初のきっかけでした。産経新聞から引用します。

 きっかけは29年2月に設立された「沖縄県日中友好協会」。程永華前駐日中国大使ら約250人を集めて設立記念パーティーが開かれ、事務局長を名乗る日本人男性は自身のSNSに、こう書き込んだ。「僕たち主催でビジネス主体の日中友好協会を設立しました」

 男性は沖縄や中国、タイなど国内外で活動する自称経営コンサルタント。半年後の8月、男性が実質的に運営したIR誘致に関するシンポジウムが那覇市で開催され、そこで登壇して講演を行ったのが、中国企業のトップと秋元氏だった。

www.sankei.com

このように、中国の対外的な工作活動の道具とされる日中友好協会を通じて、それも、習近平が工作活動の制度と組織を強化した2015年以降に作られた沖縄の協会を通じて、中国の国策企業の子会社が、政府のIR担当の自民党議員に接触した、カネも渡したかもしれない、というのが、今回の事件です。

この沖縄県日中友好協会のサイトを見たら、「定期メンテナンス中」だそうです。そのうち復帰するのでしょうが、しばらく復帰しないかもしれません。どうも、自民党の政治家達が、日中友好協会との関係を隠したがっているのでは、という批判もあるようです。

uyouyomuseum.hatenadiary.jp

#沖縄県日中友好協会 hashtag on Twitter

統一戦線工作に話を戻すと、中国の対外世論工作は、オーストラリアに対するように、親中の議員を生み出す等、直接的な政治工作もありますし、

theconversation.com

翻訳サービスのGTCOMという企業を使った「人文外交」の形で、実際の目的は世界中の利用者の個人情報をビッグデータとして集めて解析し、党のために利用するというのを目的にすることもあります。

www.aspi.org.au

今回の、IT企業による日本のカジノ進出は、後者のパターンでしょう。「人文外交」として、ソフトに、娯楽産業を装って、国際リゾートに集まる外国人と、日本人について、いつ、どこで、娯楽施設でギャンブルをやったか、財務情報はどうか、依存性はどうか、等々、プライバシー情報の中でも最も知られたくないであろう部類のものを集められるだけでもメリットでしょう。

が、今や、そんな古典的なやり方だけではなく、これらのビッグデータを使って、行動、性格、職業等々、更に多くの情報を推測して集め、ネットでの購買活動なり、世論工作なりに利用していく、ということも出来るでしょう。

こんなことをやらせようとしたのが、秋元司議員です。これが幕末だったら、「秋元斬るべし」ですよ。党派を問わず、他の政治家が関わっていても同じです。

統一戦線工作に対する、我が国としての政策的対応の在り方については、また別途勉強したいと思います。