日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

2020年から日本は、TPP・EU・日米英EPAの大連携構想(世界GDPの5割)で、公正さを重視した自由貿易体制の実現を!

日英首脳が、ブレグジット後の経済連携協定EPA)につき、迅速な協議開始で一致。日米では貿易協定の締結済みで、次はサービスも含めたEPA協議です。日本を中心に、TPP・EU・日米英EPAの大連携構想を主導し、新たな自由貿易の枠組みを作るべきです。その際、移民を含めた各国の労働者の権利の保障も出来る限り実現すべきです。こうして、自由貿易と社会的公正が両立する世界の実現を目指すべきです。

自由貿易と公正の両立に向けて、日本はTPP・EU・日米英EPAの大連携を!

来年大統領選のアメリカは、共和党民主党自由貿易の修正を掲げ、イギリスは来年EUから離脱し、他の先進国でも自由貿易に懐疑的な政党が力をつけています。今月、WTOの紛争処理機関(上級委員会)は本当に停止しました。

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こうした自由貿易体制の危機は、各国が自国や他国の国民生活を軽視し過ぎた結果、起きたものです。先進国では移民問題が自国の雇用と治安を脅かし、文化的摩擦を増やし、中国等の人権無視の低賃金労働が先進国の賃金も下げる、という考え方が説得力をもって広まったからです。この考え方は、細部はともかく、全体として見れば正しいでしょう。少なくとも、諸国民がそのように感じていることを無視しては、各国で政治的安定は得られません。

このため、国際社会全体で国民の権利を一層守り、ILOが定める程度の労働者の権利は保障し、各国が国内の外国人の権利保障を強化する必要があります。簡単に言えば、これまでよりも、公正さを重視した自由貿易体制を作るべきです。

既に、アメリカで超党派で成立した米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)は、メキシコの労働者が法律通りに守られているか、アメリカが監視する仕組みを作っています。民主党のウォーレン上院議員は、「経済的愛国主義」を掲げ、貿易相手国がILOの定める基準を守るよう求めるべき、と主張しています。これらについては、本ブログでも取り上げてきました。

通商政策で民主党とも協力するトランプ政権:「アメリカ・ファースト」は他国にも悪い面ばかりではない - 日本の改革

そもそも、日本が加盟するTPP11では、国際的に認められた労労働法令の執行、ILO宣言に述べられて いる権利(強制労働の撤廃、児童労働の廃止、雇用・職業に関する差別の撤廃等)を自国の法律等において採用・維持すること等を定めています。WTOには労働に関する協定はなく、また、我が国が締結済みのEPAでも、労働に関する独立の章を初めて設けたものです。

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出所:内閣官房

http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/2015/10/151005_tpp_gaiyou_koushin.pdf

以上のように、アメリカも貿易相手国の労働者の権利を守ることで自国の労働者の権利を守ろうとしています。

日本は、既にTPPで、ILO宣言の諸権利を守ることを約束してはいますし、既に国として法律を作っています。が、その内容も執行も全然ダメなことは周知の通りです。サラリーマンから医師まで過労死が常態化していますし、人手不足でも賃金は上がらず、外国人労働者は奴隷労働を強いられています。日本は、こうした自国の問題の解決のためにも、自由貿易体制で公正さを強化すると国際的にも宣言し、諸国民の声や力も借りながら、低賃金労働に依存する業界団体の抵抗を排除すべきです。

このような、公正さを重視した自由貿易体制を作るために、日本は絶好のポジションにいます。日本は、イギリスとアメリカという、移民問題を主な理由に従来のEPA経済連携協定)から離脱した国と、個別にEPAを結ぶ立場です。一方で、TPP11と日・EUEPAという、自由貿易を基調としたEPAにも参加しています。そして、自国についても、外国人労働者の問題を抱えています。

このような立場にある日本は、自国民を重視したい英米と、自由貿易を重視したいTPP・EU諸国の結節点として、各EPAを公正な形に変えつつ、連携・統合することを目指すべきです。ルールや執行の点で、これまでの自由貿易体制を、より諸国民の権利を守る公正なものにするように修正し、公正さを重視した自由貿易体制を確立するべきです。各EPA自体、少しずつ良い点も悪い点もあるので、そこも調整できます。

それが自由貿易に対する諸国民の信頼を回復し、先進国の国民と外国人労働者も、開発途上国の国民のも、生活水準を高めることが出来ます。中国を含む開発途上国の国民の生活水準をこうした形で引き上げるよう、当該国に求めることは、その国の政治体制の民主化の実現にもつながるでしょう。

このため、日本は、TPP・EU・日米英EPAの大連携を目指す外交を来年から展開すべきです。

自由で公正な貿易体制の構築に、絶好のポジションにいる日本

繰り返しますが、こうした体制の構築のために、現在の日本は絶好のポジションにいます。

安倍総理とイギリスのジョンソン首相が、ブレグジット後の経済連携協定である日英EPAに向けて、早期に協議することで一致しました。産経によると、早速来年の1月から交渉に入るそうです。まずは自動車と自動車部品の関税に関心があるようですが、より広範な経済連携協定にして、その中身に、両国の労働者の権利保護、特に両国内の外国人労働者の権利保護を出来る限り盛り込むべきです。「イギリスの労働者のためだ」と言えば、労働組合票を切り崩して選挙に勝ったジョンソン首相は大喜びでしょう。

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EU離脱後、経済連携へ迅速に議論 日英首脳が電話協議 :日本経済新聞

日英EPA、EU離脱で来年1月の交渉入り調整 来年中の妥結目指す(1/2ページ) - 産経ニュース

日本は今年10月にアメリカとも貿易協定をまず結びました。これから金融・サービスも含めたEPAの協議に入ります。ここでも、TPPの内容にそって、「アメリカの労働者の権利を尊重した協定にしましょう!」と言ったら、これから大統領選のトランプ氏も大喜びです。民主党の対抗馬も、日本を評価せざるを得ません。

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こうして、まずは、日英、日米の個別EPAの締結を急ぐべきです。さらに続けて、日米英のEPAに発展させるべきです。イギリスとは、安全保障上の協力も別途作って、日米同盟に21世紀の日英同盟をプラスする三国関係を作れたらなお良いでしょう。

これが、移民に懐疑的でTPPやEUから離脱した国々との関係です。

次に、日本を結節点としたTPP11とEUの大連携については、既に今年の7月29日の経済財政諮問会議で、民間委員の竹森俊平氏が提案しており、日経の滝田洋一編集委員も賛同しています。

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TPP・EU大連携構想、諮問会議で議論 民間議員が提案 :日本経済新聞

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/0729/shiryo_02-1.pdf

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/0729/gijiyoushi.pdf

同会議の中で、竹森氏は、最初に挙げたWTOの上級委員会の機能停止を念頭に、TPP・EU大連携を主張したのですが、残念ながら会議の中ではスルーされています。まあ、議題が来年度予算案等だったので、ちょっと場違いでしたが、官邸の会議で頭出しだけでも出来たのは上出来です。メディアでは、滝田氏が取り上げて、日経の読者の目にはふれました。

来年、この構想を本格化させるべきです。安倍総理は、通常国会の冒頭の所信表明演説で、TPPとEUの大連海で自由貿易体制を日本主導で広げるんだ、そしてその際には、自由貿易に懐疑的な諸国にも理解を得られるよう、日本が主導するTPP第19章の「労働」に関する規定を強化・徹底するんだ、そのためには、まずは隗から始めよで、我が国から過労死を根絶し、企業の内部留保(現預金でも流動資産でもいいです)を賃上げに使わせ、外国人の社会保障・教育の権利を保障する、と宣言すべきです。

来年選挙やるなら、リベラル票が集まりますし、何より、連合の各組合は雪崩を打って自民支持になり、嘘つき旧民主系政党にとどめを刺すことが出来るでしょう。参院がどうあろうと、世論の力を得て、憲法改正も余裕で実現できます。

脱線しましたが、まずは、既に経済財政諮問会議で議論したTPPと日・EUの大連携構想をぶち上げるべきです。

その先にあるのは、いよいよ、TPP・EUと、日米英EPAの統合です。アメリカのUSMCAもくっつく形になれば、なお良しです。

世界のGDPの中で、各経済連携協定や国ごとの割合で言えば、

TPP11%+EU19%+アメリカ20%=50%≫中国13%

となって、中国はこの協定に入らざるを得ません。

自由貿易、巻き返しへ秘策 TPP・EU大連携構想 編集委員 滝田 洋一 :日本経済新聞

そして、開発途上国の国民の生活を重視する公正な自由貿易協定だ、と言えば、平たく言えば、まだまだ貧困層の多い国については、客観的な指標に基づいて、関税にも一定の配慮をすれば、インド等も入れるでしょう。そうなれば、中国主導のRCEPなどは消滅します。あるいは、TPP・EU・日米英EPA大連携構想で主導権握れば、RCEPと言っても日本主導に換骨奪胎できるかもしれませんから、それならRCEPも入れて、すぐFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)に移行、ということでもいいでしょう。

こうして、中国はじめ開発途上国の「国民の」生活、権利を重視したEPAを打ち出すことで、中国主導の一帯一路を切り崩せるうえ、中国の国民の支持も得られます。中国の国民の権利意識を呼び覚ますことができれば、中国の政治改革、民主化にもつながります。

以上、良いことづくめの、TPP・EU・日米英EPA大連携構想の推進を、日本政府は来年早々、安倍総理所信表明演説をもって始めるべきです。