日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

国会閉幕:安倍総理は憲法改正したいなら、対中政策を転換せよ。一部既得権者ではなく、日本国民のための憲法改正を!

国会閉幕にあたり、安倍総理臨時国会を総括し、憲法改正への意欲を表明。国民投票で勝つには、安倍総理が身びいきに見える政治をやめ、戦前復古と見られないようにすべきです。また、独裁・侵略国家の中国に媚びながらの憲法9条改正は意味不明、国民は支持しません。9条改正で国を強くするのは、総理周辺の一部既得権者のためでなく、日本国民全体のためです。安倍総理は対中政策を転換し、国民を守るための9条改正を訴えるべきです。

臨時国会、またしても自分の周りを守るために無理を通した安倍総理

昨日12月9日で国会が閉会し、安倍総理が会見しました。今国会の成果として、日米貿易協定を特に挙げ、その後は、経済対策の個々の項目を並べて、全世代型社会保障改革等にちょっとふれています。今国会、法案の数も少なく、補正予算審議も先送りになったので、冒頭発言はこんなものでしょう。

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メディアが注目したのは、憲法改正について、任期中に実現する、と強い決意を述べたことです。

総理は、参院選憲法改正の議論をするかどうかを争点に訴えて勝った、世論調査でも議論すべきという声が多くなった、臨時国会国民投票法が出来なかったのは残念だが、自由討議が久しぶりに出来たのも世論の後押しあってのことと思う、自民党は今、各地で憲法改正の集会を開いて機運醸成をしている、としたうえで、こう述べました。

憲法改正というのは、決してたやすい道ではありませんが、必ずや、私自身として、私の手でなし遂げていきたいと、こう考えています。」

日経の見立てでは、憲法改正には3国会が必要と言います。1回目は国民投票法の成立で手一杯として、各党の憲法改正案の提示と議論、3分の2での両院での採決に、2国会くらいかかりそうですし、そんなものでしょう。だとすると、2021年9月までの安倍総理の現在の任期で、ぎりぎり間に合わないでもありません。総理は解散も躊躇しないと言っていますし、来年、憲法改正を争点に解散・総選挙をして勝てば、動きは加速できるでしょう。

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これに対し、麻生財務大臣は、今の任期では無理だから安倍氏は4期やるべきだ、菅はダメだと言い、二階自民幹事長は、自分が安倍4期もありと言い出したのに、今になってトーンダウンしたり、自民内も色々騒がしいことです。

改憲へ「総裁4選覚悟を」 麻生氏、旧皇族復帰も提案 - 産経ニュース

自民・二階氏「総裁任期中に改憲成し遂げる努力は当然」 - 産経ニュース

私は、憲法改正の成否については、国会議員の発議のための数合わせや政局よりも、安倍総理自身が国民にどう訴えるかにかかっていると思います。「ミニ国民投票」である大阪市住民投票を実際に行った橋下徹氏が、国民投票住民投票は、リーダーの信任投票という面が強くなる、と言っている通りです。

だから、またしても憲法審議会で改憲案の議論が出来なかった国会が閉会するにあたり、安倍総理が、それでも絶対あきらめない、自分がやるんだ、解散も辞さない、と決意を語ったのは、憲法改正の実現のためには良いことでした。国民からすれば、まずはリーダーのやる気だけは確認しました、ということです。憲法改正のやる気を疑われたら、改憲どころかすぐ政局になって、安倍氏は総理でいることも出来ないでしょう。

安倍総理が目指すのは、誰のため、何のための憲法改正

問題は、安倍総理が目指すのは、誰のため、何のための憲法改正なのか、ということです。

臨時国会の冒頭、総理は、多様性をキーワードにした所信表明演説を行い、野党、特に立憲民主党等が大事にする価値観に配慮して、憲法改正の議論を呼びかけました。あわせて、総理の盟友の下村博文氏が、同性婚の議論をしてもいいと言い出していました。

私は本ブログで、これなら、自民党や安倍政権のコアな支持層のためだけの憲法改正ではなく、国民全体のための憲法改正を目指す姿勢になるから支持できる、と書きました。保守派の安倍総理だからこそ、保守派を抑えて、国民全体のための憲法改正を実現できるはず、と、強く期待しました。

安倍総理所信表明演説:保守派のリアリスト総理だからこそ出来る保守派抑え込みと、憲法改正に期待。 - 日本の改革

この臨時国会で、残念ながら、安倍総理はこうした期待には応えてくれませんでした。女系・女性天皇の議論は止まったまま、選択的夫婦別姓など無関心、入管法改正後の外国人の教育の問題もほったらかし。私としてはこうした姿勢に絶対賛成できませんが、安倍氏はどうせそんなものだろうという思いもあります。臨時国会冒頭の所信表明演説で「多様性」を強調したのは、言葉だけでした。

そして、安倍総理はまたしても、自分の身内を守るために、公文書の破棄を平気で行う姿勢を見せました。

桜を見る会」に関する野党の追及、私も最初は正直言って関心がありませんでしたが、政権支持率が実際に下がったことから、国民が安倍総理自身を信用できなくなっているのを知り、認識を改めました。あの程度の「公私混同」は許されるのでは、という自分の感覚が、今の日本国民の感覚から大きくずれているのだと気付かされ、反省したことでした。

それでも、公費ではなくて、安倍氏自民党が自分で集める寄付金で行うならば、内閣総理大臣主催の会を開いて後援会等を呼んでも良いだろうと考えており、本ブログでもそう書きました。この点では、まだ政府寄りで甘いかもしれませんが、アメリカの大統領就任式等と比較して、許容範囲だろうと思っています。

意外に効いた「桜を見る会」批判。安倍総理が後援会呼ぶなら、アメリカ大統領就任行事を参考に、会の費用は全額寄付で。 - 日本の改革

しかしその後、野党の名簿要求に対し、政府が議員の資料要求後に文書を破棄した疑いが強まっただけでなく、安倍総理も菅官房長官も、とにかく徹底して文書を隠す、外に出さない姿勢を徹底しました。菅官房長官の「バックアップは公文書ではない」という発言にも驚かされました。これには、2017年の公文書管理法のガイドライン改定に携わった元公文書管理委員会委員長代理の三宅弘弁護士も反論しています。

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ここで思い出されるのが、やはり森友事件であり、特に財務省の公文書改竄事件です。あれほどの組織的な公文書改竄、どう見ても組織トップの麻生財務大臣の責任問題であり、麻生氏が辞任すべきでした。

今回の桜を見る会の件でも、財務省文書改ざん事件でも、共通するのは、安倍総理の身内を守るために、政府が、国全体の財産である公文書を平気で破棄・隠蔽したり改竄したりしていることです。

これにつき、橋下徹氏は、今日配信のメールマガジンで厳しく批判しています。単に批判するだけでなく、このような安倍政権の姿勢に「恐怖」を感じる、としています。

安倍政権への恐怖。

あの橋下徹氏でさえ感じる恐怖。

これから、安倍総理憲法改正を目指すにあたって、その成否を占うとき、「恐怖」という言葉は隠れたキーワードになるかもしれません。公文書の話だけではなく、森友加計事件や桜を見る会の件で露呈したのは、安倍総理が自分の親族・友人・後援者だけを大事にして、国全体・行政全体のルールを蔑ろにする姿勢に対し、日本国民が感じているのは、単なる「不信感」どころではない可能性があります。国民が安倍総理がやろうとすることに恐怖感を覚えたら、国民投票では絶対に自民案は否決されるでしょう。

安倍総理の身内重視の姿勢が、憲法改正で発揮されたらどうなるでしょうか?国民にはどのように見えるでしょうか?

たとえば、憲法9条改正は何のために行うのか。

本来、9条改正は、中国・北朝鮮という独裁国家が、自由で民主的で平和な我が国を攻撃・侵略することから、国を守り、国民を守るために行うことであるはずです。独裁国家から侵略・攻撃されるような場合には、日本国民の自由と日本の民主主義を守るために、自衛隊という最小限の「戦力」を保持できるようにしよう、というのが、9条改正の意義のはずです。

これが、安倍総理が身内のためだけにやっているように少しでも見えたら、もともと賛成が多くない9条改正は、完全に不可能になります。

安倍総理自身は、改憲についておおむね慎重な言動をしていると思いますが、麻生氏はかつて、憲法改正ナチスの手口に学んで誰も気づかないうちに静かにやったらどうか、と発言しました。第二次安倍政権になって間もなくのことです。さすがにユダヤ人団体等の批判を受けて撤回はしたものの、麻生氏については本音が見えた形です。

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麻生氏にとって、憲法改正というのは、国民が心から望んで国民のためになる改正をするものではなく、むしろ国民には隠して、国民に分からないうちに、国民のためには全くならないような政治体制への変更を行うことなのではないか、と強く思わせる発言でした。その麻生氏が、安倍総理は四選してでも憲法改正しろと言っています。

吉田茂の孫であることがアイデンティティである麻生氏にとっては、戦前の政治体制というのは、戦後にGHQによって不当に否定された理想なのかもしれません。

安倍総理や安倍政権が、安倍氏の身内ばかりをかばう姿勢を見せ続けたら、安倍氏もこうした戦前復古主義者とますます見られかねません。ただでさえ、安倍応援団は、日本会議をはじめ保守派で、戦前の政治体制に、ノスタルジー以上の思いを寄せています。憲法改正は、そのような復古主義のために、過去に戻るために行うのではなくて、現在と将来の国民のために、日本の改革のために行うべきです。

麻生氏や、安倍氏のような三世、四世議員達、戦前からの日本政治のエスタブリッシュメント達、「上級国民」どころか、はっきりと一つの「身分」をなしている有力政治家の一族達が、「戦後民主主義」によって不当に貶められた自分達一族の名誉回復のために憲法改正を行おうとしている、と少しでも見られたら、憲法改正は実現しません。国民は賛否以前に、安倍総理への恐怖感で、今のままの方がマシだ、と思うでしょう。

安倍政権では、そう思われかねないような、身内びいきや縁故主義、コネ政治が横行しています。桜を見る会などという小さな問題に、これほど国民が強く反発したのは、自分達が無視されて総理周辺の人間だけが利益を得ている、という感覚を、モリカケの件も含めて、国民が根強く感じ続けているからでしょう。

更に、安倍政権は、圧倒的多数の国民が恐怖感を持っている中国に対して、信じられないほどの接近を続けています。

世論調査で76%の日本国民が「親しみを感じない」と答え、言論NPOの民間調査で84%が「良い印象を持っていない」と答える中国に対して、安倍政権は、異様なほどのすり寄りを見せています。

https://survey.gov-online.go.jp/h30/h30-gaiko/gairyaku.pdf

なぜ、日本人に中国へのマイナス印象が大きいのか~15回目の日中の共同世論調査結果をどう読むか~(工藤泰志) - 個人 - Yahoo!ニュース

一帯一路への事実上の協力、そして、来年の習近平国賓としての来日。来年、習はただ来るのではなくて、現在の日中関係を更に「格上げ」する「第5の文書」を作るつもりで、要は、米中冷戦で日本が中国側に引き込まれようとしています。これらについては、本ブログでは繰り返し批判してきました。

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安倍政権はこんなことをしていて、何が憲法改正なのでしょうか。

何のため、誰のための憲法9条改正なのでしょうか。中国の脅威から、日本国民の自由・人権を守るためにこそ、日本が最小限の「戦力」を持つと基本法に書き込んで、法律・予算・人員・そして国民の意識の上でも、備えをするのが、9条改正の意義です。今の日本の平和で自由で民主的な生活や政治体制を守るためにこそ、9条改正が必要なはずです。日本国民と日本国の最大の脅威である中国が、香港、ウイグルチベット等で凄まじい圧政を敷いて、日本を含め周辺各国に臆面もなく侵略を繰り返し、米欧がようやく中国を敵と定めているその時に、なぜ、安倍総理は、その中国に対して「第5の政治文書」とやらで自分の手足を縛ることも視野に入れながら、しかも憲法9条は改正しますなどという意味不明なことを言えるのでしょうか。

安倍総理は昨日の会見で、習の国賓来日をめぐり、尖閣への領海侵入や相次ぐ日本人拘束などを受けて自民党内に反対論があることに関し「さまざまな声があることは承知している」と述べたものの、「アジアの平和に果たすべき責任を習氏と共有し、その意思を明確にすることが求められている」と言うばかりです。

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国民に世論調査をすれば、ほぼ8割の国民が「親しみを感じない」、「良い印象を持っていない」、平たく言えば、自分達の生活を壊しそうで怖いと答えている国に対して、これほど媚びた姿勢をとるのも、結局は、安倍総理にとって大事な一部の財界の人間達のためのことではないか。そうした疑いを国民が持つようになったら、9条改正はやはり遠のきます。国民のための憲法改正と見られないからです。

アメリカが中国と経済戦争を始めたのは、よほどの覚悟を固めてのことでした。日中経済同様、米中経済も、そう簡単に切り離せるものではありません。それでもなお、断固として、中国と戦おうとアメリカは立ち上がりました。あの独裁国家との経済関係を深めたところで、結局のところ利益を得ているのは、アメリカ国民全体ではない、という認識が広がったからです。

トランプ大統領は、就任演説で、以下のように述べました。

For too long, a small group in our nation's capital has reaped the rewards of government while the people have borne the cost.
今まであまりに長いこと、この国の首都の少数の人たちが政府の恩恵にあずかり、国民がその負担を担ってきました。
Washington flourished - but the people did not share in its wealth.
ワシントンは栄えたが、国民はその富を共有しなかった。
Politicians prospered - but the jobs left, and the factories closed.
政治家たちは豊かになったが、仕事はなくなり、工場は閉鎖した。
The establishment protected itself, but not the citizens of our country.
国の主流派は自分たちを守ったが、この国の市民は守らなかった。

(出所:BBC

【米政権交代】 「アメリカ第一」 トランプ新大統領の就任演説 全文と和訳 - BBCニュース

中国との経済関係を深めることで、結局は安倍政権に近い一部の企業や業界だけが利益を得て、国民は経済的にも、そして何より外交・安全保障、そのうえ人権や日常生活の安全についてまで中国への恐怖を感じつつ生きなければいけない、既に国民はそう思い始めていて、だからこそ、対中感情は極めて悪い状態のままです。

「国の主流派」(establishment)は、自分達だけを守るのではなく、9条改正で、国民全てを守ろうとしているんだ、安倍総理はそのために憲法改正を目指しているんだ、と、国民が思ってくれるためには、対中政策を転換すべきです。

安倍総理や麻生大臣という戦前からの支配層への恐怖、そして、中国という独裁・侵略国家への恐怖。

安倍総理憲法改正、特に9条改正を実現するためには、国民はこの二つの恐怖を持つ必要はないんだ、むしろ、そうした恐怖から自由になって、安心して暮らせるようにするために、憲法改正をやるんだ、と、国民に繰り返し訴える必要があります。