日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

与党も官僚も安倍離れ(選択12月号)と言われるなか、安倍総理は経済財政諮問会議で教育国債に言及。次の一手?

自民党内から公然と反旗も翻される安倍総理、経済財諮問会議で、教育国債に言及。解散の大義名分を探すなら、経済対策13兆円だけではなく、教育国債発行で家計負担を恒久的に減らし、一方で、IT人材不足を補うための理系教育投資増で、大学への投資に理解を求めるべきです。

本格的な政局でなくとも、求心力は落ちてきた安倍政権

『選択』12月号に、官僚も与党も「安倍離れ」をしている、安倍総理を絶対守るという雰囲気がなくなり、むしろ公然と反旗を翻している、という記事が出ています。

www.sentaku.co.jp

GSOMIAでの韓国の態度急変の兆候を外務省は総理に報告していなかったらしいとか、菅官房長官が、「桜を見る会」の招待者で政治枠の存在をあっさり認めたし、内閣府の大西審議官が「昭恵枠」まで公表したとか、甘利氏や二階氏が女系天皇論を公然と唱え始めたとか。

正直、これくらいの足の引っ張り合いはこれまでもあったと思いますし、菅官房長官は、桜を見る会に関して、「バックアップは公文書ではない」などと滅茶苦茶な説明をして、無理筋でも何でも政権を守ろうとはしているのですから、安倍おろしの政局、という程でもないでしょう。

「バックアップは行政文書」 専門家が菅氏の説明批判:朝日新聞デジタル

ただ、前回の組閣があまりにお粗末で派閥優先だったあたりから、ポスト安倍を見据えた動きが目に見えるようになってはきたとは思います。

安倍総理にとって痛かったことの一つは、憲法改正の見通しが立たなくなってきたことです。せっかく国民民主党を切り崩して憲法審査会を動かそうとしたのにうまくいっていませんし、それどころか、国民民主党立憲民主党への合流を打ち出し始めました。

news.yahoo.co.jp

実際には両党の合流はそう簡単ではないと思いますが、合流話がどうなろうと、今国会、結局は、憲法審査会を動かさない立憲民主党を変えるところまではいきませんでした。憲法改正案の議論の前提となる国民投票法案は、またしても継続審議となってしまい、憲法改正は更に遠のきました。

参院選で3分の2を確保できなかったとき、これくらいの方がかえって良かったと安倍総理は発言、私も、自民党の布陣が変わったのを見て、総理と自民党は本気で憲法改正を目指すだろうと思っていましたが、残念ながら、今のところ失敗です。「憲法改正をしないなら、何のための安倍政権か」という声は、また出てくるはずです。

与党、日米貿易協定承認に安堵も…国民投票法改正案、また見送り - 産経ニュース

私は、安倍総理はまだ憲法改正を諦めてはいないし、国民民主党へのアプローチは続けているのだろうと思いますが、肝心の自民党内がポスト安倍で浮足立ってきて、段々難しくなってきたように思います。

11月27日の経済財政諮問会議での安倍発言

総理が本気で改憲に向けて仕切り直そうと思うなら、解散総選挙に打って出るのが一つの手段になります。問題は、どんな大義名分で解散するか、です。

13兆円という大規模な経済対策で解散か、とも思いましたが、それだけでもないかもしれません。

11月27日の経済財政諮問会議で、総理が気になる一言を言っています。

この日の議論では、新浪議員から、人材教育の重要性を強調した後に、建設国債のルールは不合理ではないかという指摘があり、その後、竹森議員、中西議員、柳川議員という民間議員が相次いで、大学での研究開発等の人的投資を増やすべきだと発言しました。続けて、日銀の黒田議員も、メリハリをつけて大学に投資を、と主張した後で、国債赤字国債建設国債も区別せずに財政健全化目標を立てている、国債の制度を変えなくてもいい、と発言したのを引き取って、議長の安倍総理が、こう発言しています。

国債について議論があったが、建設国債は、次の世代にも残せる目に 見える投資、これは資産として残るということだが、一方で、赤字国債は、例えば、 そういうものではない分野で毎年給付等のために国債を発行するということなのだろ うと思う。しかし、今の議論は、今の時代はそうではなくて、例えば、生産性を上げ ていく、あるいは人材に投資をしていく、研究開発もそうだが、これらは残るもので ある。

いずれにせよ、それは建設国債赤字国債トータルとして、我々は債務残高対GDP比を削減していこうという大きな目標がある。言葉として赤字国債と言うと、すご く聞こえが悪い問題があるわけで、どういう表現をしていくかということもあるのだ ろう。今日の感想として、申し上げておく。

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/1127/gijiyoushi.pdf

財政法では、均衡財政を目指すべきだから国債発行はしないのが原則、ただし、公共事業目的の建設国債は発行して良い、ということになっています。政府債務を増やしても実物資産が残るから、投資として正当化されるからです。これに対し、公共事業以外の政府支出のための国債発行は、いわゆる赤字国債として、いちいち特例法を作って発行しなければいけません。

新浪議員の問題提起は、この原則を変えて、人材投資等についても建設国債同様の扱いにしていいのではないか、という、いわゆる「教育国債」の考え方を述べたと見られます。これに対し、日銀の黒田総裁がその必要はないと言ったのに対し、安倍総理は、人材投資も研究開発も後に残るではないか、赤字国債というのは聞こえも悪い、として、教育国債という形での国債発行に理解を示す発言を「感想として」述べています。

これは、高橋洋一氏の以前からの主張でもあり、高橋氏は、11月28日のれいわ新選組の勉強会で、あらためてこの考え方を、無形資産のための建設国債、という形で紹介しています。

www.zakzak.co.jp

それを見た自民党細野豪志議員が、以下のようにツイート。これは、その前日の経済財政諮問会議安倍総理の発言と重なる、としています。細野氏も、自民党に行く前から、教育国債を支持していました。

 経済財政諮問会議で民間議員が相次いで人材投資について発言し、総理が教育国債に理解を示す感想を述べて、たまたまでしょうが翌日に、野党のれいわ新選組もそれを支持するような勉強会がありました。

総理が解散を打つかどうかは分かりませんが、求心力を高めるために、政策のタマとして、教育国債の発行を打ち上げる可能性はありますし、私は、是非それをやってほしいと思います。

このアイディア、2017年の教育無償化の財源の議論で浮かびはしましたが、見送りとなってしまいました。

こども保険や教育国債は見送りへ 負担増の影響懸念 :日本経済新聞

ただ、当時の議論で、必ずしも理屈に合わないとされたわけではありません。むしろ、財務省出身で財務省寄り?と見られることもある小黒一正氏さえ、教育の社会的収益率の高さを考えれば、こうした国債の発行は正当化される、ただ、投資収益率の低い他の建設国債を減らすべき、という主張をしていました。

https://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/oguro/09.html

教育の社会的な投資収益率が高いことは知られているのですから、私は、他の建設国債を仮に減らさなかったとしても、教育国債の発行は十分正当化されるはずだ、と思います。

世論調査を見ると、「高等教育の無償化に賛成か」と聞かれると過半数が賛成と答えるのに、「税金を使っても賛成か」と聞かれると、途端に3分の1~4分の1の賛成に減ってしまうそうです。これについては、たとえば大学の授業料を無償化してもそのに高所得になった卒業生からは「出世払い」での返還を求めるようにする制度を拡大すれば、国民の理解が得やすいでしょう。

https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2018/05/pdf/004-015.pdf#search=%27%E6%95%99%E8%82%B2%E5%9B%BD%E5%82%B5+%E6%95%99%E8%82%B2%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6+%E5%9B%BD%E9%9A%9B+%E6%AF%94%E8%BC%83%27

更に、今後のIT人材が圧倒的に不足しているという実態を訴えて、諸外国に比べて著しく立ち遅れているAIやIoTの分野での教育への徹底投資の一環として、目に見える形で理系教育・研究の予算を増やすべきです。2030年に先端IT人材が55万人不足するという試算は良く知られていますし、日本企業がこの分野で米中に比べて全く存在感のないことは国民も実感しているのですから、そのための特別な国債発行で、しかも一定の所得を得られる人材からは「出世払い」で一部返してもらえる、と言えば、国民の支持も得られるでしょう。

先端IT人材55万人不足の恐れ 2030年、経産省試算 :日本経済新聞

年末・年始の解散が本当にあるのか、正直言って見当はつきません。桜を見る会の「疑惑」など下らないと思う一方、それに伴って明らかになった、安倍政権の公文書軽視・無視の態度には本当に腹が立ちますし、それを誤魔化すための解散がもしなされたら、一層腹立たしく感じます。

一方で、それが教育国債の発行による本格的な教育無償化・科学技術への巨額投資の実現につながるなら、更に、憲法改正に向けて自民党を締めなおすのに役立つなら、解散の大義名分としては理解は出来ます。

もう、安倍政権に公文書管理をまともにやれと言ってもムダでしょう。次の政権が、現政権の責任追及を含めて厳しく正すのを待つしかないと思います。安倍政権は安倍政権で出来ることを最後までやるべきで、教育無償化の徹底と憲法改正は、総理はやると言ってきたし、実現してほしい政策です。逆に、それが出来ないなら、もう本当に存在価値はないでしょう。