日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

NATOの対中結束のためにも、まず日本が対中政策の転換を!日欧の応分負担でアメリカの負担軽減を!

今後の国際社会が最も警戒すべき中国の覇権主義に対し、NATOが結束するためには、日本が東アジアでの自由民主主義国のリーダーとして、一帯一路への協力を撤回し、香港、ウイグル等の問題で価値観を経済に優先させる外交をすべきです。また、日本も、NATO加盟国も、アメリカの負担を減らすために応分の軍事費負担をするべきです。

中国に備え始めたNATO

北大西洋条約機構NATO)は昨日・今日12月3、4日に首脳会議を行い、「中国の脅威」について協議しています。日経によれば、欧州域内の港湾や通信などのインフラに中国の関与が強まり、米欧の軍事協力に支障を及ぼすとの危機感があり、トランプ米大統領は3日、「強大化した中国に対処する」と述べました。米欧を射程に入れるとみられるミサイル開発を進めていることも懸念材料です。

www.nikkei.com

中国がいかにヨーロッパにとって脅威になっているかは、本ブログでも取り上げてきました。

中国は、東欧、中欧諸国を取り込むために、一帯一路に協力するヨーロッパ諸国を集めた「16+1」という経済協力の枠組みを作っています。東欧、中央以外でも、正式に一帯一路で中国と覚書をかわした国としてギリシャポルトガルがあり、今年3月には、イタリアも加わりました。以前紹介した通り、21世紀の「鉄のカーテン」であり、しかもそのカーテンは、もう東欧、西欧の境界よりもはるかに西に移っていて、最終的には大西洋にひかれることを目的としていると見るべきです。

中国の「鉄のカーテン」がヨーロッパに。米・EUとの結束のためにも、日本政府は一帯一路から撤退を! - 日本の改革

笑い話だけではすまないトランプのグリーンランド買収案:中国の北極政策の隠された意図と日本の安全保障 - 日本の改革

EU諸国は、5Gへの対応等で方針の違いはありつつも、中国を「システミック・ライバル」とする公式の戦略文書を発表しています。そこでは、一帯一路での説明責任と透明性の向上を求め、EU一体となって圧力をかけていくよう加盟国に呼びかけて、全ての加盟国に対して、中国企業の公的調達プロジェクトへの入札を禁じるよう呼びかける提案も発表しています。

www.newsweekjapan.jp

こうした背景のもと、今回のNATO首脳会議に先立ち、NATOのシュトルテンベルク事務総長は、中国が初めてNATOの議題に上ることにふれました。そこでは、中国の台頭は加盟国すべてにとって、安全保障上の意味があること、チャンスも確かに生まれるが、挑戦があるのも確かだ、と述べており、「バランスを取った手法」が必要だとしています。そして、2002年にロシアに対して設けた、NATO-Russia Council (NRC) という対話枠組みのようなものが中国に対してはないことを指摘しています。日本に比べて、NATO諸国にとっては中国との対話のチャンネルが少ないでしょうし、そうした直接対話の窓口があれば、中国の意図や実態もつかみやすいでしょう。

www.cnbc.com

シュトルテンベルク事務総長の言う、中国が「チャンスだがチャレンジだ」というフレーズは、首脳間の共同声明にも盛り込まれるようです。今のところ、新たな「敵(adversary)」と見なすのではない、というスタンスですが、世界第二位になった軍事費、長距離核ミサイルに加え、ヨーロッパ諸国やアフリカへのインフラ進出、サイバーアタック、知的財産権の窃盗等が大きな問題になっている、ということです。こうした方向でのドラフトはもちろん出来ていて、後は首脳のサインということです。

www.scmp.com

このNATOのスタンス、欧米の安全保障踏力としては最大限の努力をしたのでしょうが、恐らくは不本意な部分があるでしょう。まだまだ警戒が足りず、特に、東欧、中欧をはじめとして、貧しい国が中国になびいてしまっている現状に妥協せざるを得ない表現になっているからです。

現在の国際社会に最大の脅威となっているのは、中国です。自由と民主主義という、第二次世界大戦後の国際社会で普遍的価値観とされたものを正面から否定し、国際法を否定した覇権主義を臆面もなく推し進め、不公正な方法で蓄えた経済力とそれによって充実させた軍事力を世界中で行使しています。

本来、冷戦後のNATOにとって、最大の敵とすべきは中国であり、遅まきながら、そのような方向に舵を切り始めたのが今回のNATO首脳会議です。そうなった大きな原因は、やはりアメリカが本気で米中冷戦を挑み始めたからでしょう。

この点で、トランプ大統領は、色々問題はあっても、NATOにとってもやはり立派な仕事をしています。今回のNATO首脳会議が、対中スタンスの強化であることを意識して、トランプ氏は米中貿易交渉でもやや強硬な発言に戻しています。

www.nikkei.com

NATOの対中結束には、日本の対中政策の転換を。日欧は更なる軍事支出増加を。

このように、欧州諸国も、中東欧が取り込まれつつありながらも、中国に対して方針転換をして警戒を強めつつあります。東欧でも、たとえばポーランドは、最近、ファーウェイのスパイ事件があり、厳しく対処するなど、中国の脅威に正しく対応しています。

特別リポート:米中対立の最前線ポーランド、華為「スパイ」事件を追う - ロイター

日本も、実は、中東欧およびバルト三国への中国の浸透は重大な脅威と認識してきました。

昨年1月、安倍総理が日本の首相として初めて、バルト三国エストニアラトビアリトアニア、東欧のブルガリアルーマニアセルビアを訪問しています。「法の支配に基づく国際秩序が危機にさらされている」など、中国への警戒感をそれらの国の首脳に訴え、併せて、経済協力の強化を約束して、日本企業のフォーラムを立ち上げる等、中国が欧州を支配する事態を食い止めるための努力をしています。これは大変立派な外交努力であり、以前、本ブログでも素晴らしいことだと賞賛しました。

http://www.iti.or.jp/report_67.pdf#search=%27%EF%BC%91%EF%BC%96%EF%BC%8B%EF%BC%91%27

中国の「鉄のカーテン」がヨーロッパに。米・EUとの結束のためにも、日本政府は一帯一路から撤退を! - 日本の改革

残念なのは、その日本が、中国の一帯一路に、事実上の協力をしていることです。「第三国での協力」とごまかしていますが、実態は同じです。それで儲かっているならまだしも、安倍首相肝いりの目玉プロジェクトさえタイで失敗、日本にとってメリットなど生まれていません。それなのに、この「第三国での協力」なる政策は続いています。

米中冷戦のなか、一帯一路への協力は早くやめるべき。目玉プロジェクトが早くも頓挫。対中外交の転換を。 - 日本の改革

これでは、日本がいくらヨーロッパ諸国に中国の脅威を説いたところで、何の説得力もありません。

ヨーロッパ諸国の対中政策を変えたいと思ったら、首脳間外交だけではダメで、世論をよく見る必要があります。特に西欧の人達は、米ソ冷戦終結以来、あまり軍事的負担は負いたくないと思っているようです。

ロイターの孫引きですみませんが、ブリュッセルに拠点を置くシンクタンク、欧州外交評議会(ECFR)が9月に発表した世論調査では、ポーランド以外の全ての欧州大陸の国々で、米国とロシアもしくは中国の対立の際には、中立を維持するべきだとの意見が圧倒的多数、もしくは多数を占めた、ということです。

コラム:トランプ時代の安全保障、NATOが迫られる戦略再構築 - ロイター

ヨーロッパの人達が国際問題で特に関心があるのは、何と言っても、地球温暖化移民問題でしょう。温暖化については、単なる先進国のインテリの関心ではなくて、夏のエアコン等必要なくてほとんどの家庭に置いていない国々で、夏の気温が40度にもなるというのですから、文字通り命に関わる問題と感じているはずです。

こうした問題が最優先と思っている人達に、中国の脅威を実感してもらうためには、良くも悪くも中国と最も縁の深い先進国である日本が、大きく政策を転換して、目先のお金よりも中長期的な利益、更には普遍的な価値観を重視した外交を実際にする必要があります。

このため、本ブログで何回も繰り返している通り、日本は、一帯一路政策への事実上の協力である「第三国での協力」という政策を見直し、撤回すべきです。また、来年の習近平国賓としての接遇も、見直す必要があります。

これに加えて、日本はアメリカの要求に応じて、駐留米軍経費だけでなく、防衛費全体の増額を図るべきです。

トランプ米大統領は昨日12月3日、在日米軍の駐留経費をめぐり日本政府に負担増を要求したと明らかにしました。安倍晋三首相との会談で駐留経費について「日本は我々を助けなければならない」と伝えた、ということです。こうした要求の有無について色々な報道がありましたが、以前のやり取りはともかく、もう正式に、公式に、要求が行われました。

米軍駐留経費、日本に負担増要求 トランプ氏が言及 :日本経済新聞

日本の財政も苦しいけれど、これには答えざるを得ません。トランプ氏が利己的な要求をしているのではなくて、アメリカの国内世論がもう限界だからです。なぜ世界中で米軍の兵士が血を流さなければいけないのか、なぜこれほど巨額の軍事費の負担をアメリカ国民が負わなければいけないのか、ますます強くなる声に、アメリカの政治家は答えざるを得なくなっています。海外の米軍を減らすべきというのは、共和党の大統領だけでなくて、民主党の政治家も言っていることです。

だからトランプ氏は、就任当初から、NATOにも、日韓にも、もっと負担をしろと言い続けてきました。NATO諸国は最初反発はしていましたが、結局は、9カ国がGDPの2%う基準を満たすようになりました。2104年のオバマ政権時は4カ国しかそうなっていなかったのですから、トランプ氏の正論にしぶしぶ従った形です。

foreignpolicy.com

日本と韓国は、それよりは真面目に負担をしてきたとは思いますが、それでも、アメリカ国民の方が、我々はもうもたない、外国の防衛をするのは限界だと悲鳴を上げています。この面でも、日本はまず率先して、国民に事情をしっかりと説明して理解を得ながら、合理的な範囲で負担を増やして、欧州諸国にも同様のことを求め、アメリカの負担を減らす形で、日米欧の結束を固めなおすべきです。