日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

2014年の増税時以上の小売り落ち込み、13兆円の経済対策はやむなし。学校へのIT端末配備だけでなく、教育無償化の範囲拡大等、教育投資こそ大幅増を!

消費税増税後の公共事業含めた経済対策、景気の現状を考えれば、やむを得ません。全小中学生にPC端末配置を前倒しでやるのは、将来世代向けの政策としては評価しますが、家計への直接支出を増やして、教育無償化の拡大こそ図り、教育コンテンツの充実も図るべきです。

消費税増税でやっぱり景気後退の恐れ

政府・与党の経済対策、事業規模は25兆円で、そのうち、国費は7兆円台半ば、財政投融資が6兆円、あと自治体や企業ということです。うち、公共投資が6兆円、一般会計は3.2兆円程度、復興特会は3千億円程度、インフラ関連の財政投融資で2.6兆円程度。台風19号の被害を踏まえ、治水関連に重点投資です。一般会計の財源には、公共投資だから建設国債も発行します。

出所:日本経済新聞2019年12月3日

公共投資に6兆円 経済対策13兆円の内訳判明 :日本経済新聞

事業規模だけでなく、国費もそれなりに大きく、特に公共投資がかなりの額になっています。今年の台風被害だけでなく、今後の温暖化対策を考えれば、やむを得ないところです。治水を含めて防災・減災については、そもそも危険な場所から住民が出来るだけ移住できるようなインセンティブを与えることも一つですが、現実にはなかなか難しいでしょう。公共事業は、色々な無駄も伴いつつ、自民党の支持団体を太らせる副作用もあるので、出来るだけ効率化するために、土提原則の見直しや談合禁止の徹底等も必要です。

温暖化はスーパー堤防やダムの完成を待ってくれない:国交省は安価で効果的な堤防改修をわざと避けている? - 日本の改革

このタイミングでの公共事業には、防災・減災以外にも、景気対策という大義名分があります。

確かに、消費税増税が案の定、景気の先行きを暗くしています。

軽減税率やポイント還元等の対策を全部足し合わせれば、数字の上だけでは、2%分の増税以上の得が消費者にあるはずでした。ところが、実際には、小売りは案の定メタメタです。10月の小売販売は7.1%の減でした。

出所:日本経済新聞2019年11月28日

増税後の消費、厳しい出足 10月の小売販売7.1%減 :日本経済新聞

特筆大書すべきは、小売販売の7.1%減というのは、

減少幅は前回の増税直後の2014年4月の4.3%減よりも大きい

ということです。と言うことは、今回の消費落ち込みも、2014年時と同様、駆け込み消費の反動減ではなくて、所得効果を通じて、ずっと消費減が続く可能性が高い、ということです。つまり、消費は駆け込み需要前の水準よりも低い水準がずっと続く、以前と同様、以下のようなグラフになる可能性が高い、ということです。本ブログはこれを何回も指摘して、消費税増税に反対してきました。

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旧民主党は、三党合意の消費増税を国民に謝罪し、同じことを安倍自民党に要求せよ。 - 日本の改革

消費増税による消費低迷は一時的な「反動減」ではない。消費低下はずっと続く。消費税増税は財源調達の最後の手段に。 - 日本の改革

しかも、そのときよりも小売りの落ち込みが厳しいと言うなら、ひょっとしたら、当時よりもダメージが大きくなるかもしれません。

2014年の上げ幅は3%、今回は2%だけ、しかも軽減税率もあるし、ポイント還元等の対策もあれだけ打ったのに、なぜ当時より小売りの落ち込みが大きいのでしょう?季節要因はあると思います。10月は季節外れの台風が襲いました。

一方、米中冷戦等の海外要因もあるでしょう。10月の鉱工業生産指数は前月比4.2%低下しました。これには、消費税増税、台風の他に、長引く外需の縮小があると言われています。

出所:日本経済新聞2019年11月29日

景気、不透明感一段と 外需縮小、増税・台風響く :日本経済新聞

こんな状況ですから、ある程度の規模の経済対策を打つのはやむを得ません。公共事業さえ、今度の台風の被害を踏まえれば、温暖化を見越して増やすことも必要です。

ただし、改革派が目指すべき経済対策というのは、やはり個々の家計に直接届くような財政支出です。公共事業や既得権化した補助金では、限られた既得権者が財政支出のかなりの部分を無駄に掠め取ってしまい、経済全体への波及効果を小さくしてしまうからです。

PC配置の前倒しは評価。教育全体のデジタルファーストを進め、教育改革推進を!

この意味で、今回の経済対策で、2023年度までにすべての小中学生がパソコンなどのIT端末を利用できるようにする予算を盛り込むのは、将来世代への投資という点では評価できますが、それでも、家計の授業料等の負担を直接減らすものではないところがいまひとつです。

www.nikkei.com

日本の教育のIT化は極端に遅れているので、この分野に投資するのは評価できますし、文科省の当初の予定だった、2025年までの整備を2年前倒ししたのも、大変結構な話です。

学校のICT活用遅れ、解消へ一歩 文科省が工程表 :日本経済新聞

ICT活用に遅れ 日本の小中教員、OECD調査で判明 :日本経済新聞

ただ、経済対策としての効果となると、一部のメーカーが少し儲かるだけで、かなり限定的でしょう。教育について経済対策をやるというなら、再来年度予算で恒久化するための前倒しとして、教育無償化の対象拡大を行うべきです。幼児教育の全年齢での無償化、合わせて、待機児童対策の積み増し、さらに、高等教育無償化について、中所得層でかえって負担増になってしまった問題を解消するのは最低条件で、さらにお釣りがくるくらいに、給付型奨学金を充実させるべきでしょう。

大学教育「無償化」で中所得者層は「負担増」、右も左も批判:教育無償化は中所得層こそ対象に、できれば所得制限なしで! - 日本の改革

財源は、行革で作るのがベストですが、安倍政権はどうせやる気はないのですから、国債でやるべきと主張した方が、実現の可能性はあるでしょう。維新も、国民民主党の玉木氏も、自民の細野氏も主張してきたからです。「建設」国債は、有形資産である社会インフラだけでなく、無形資産である教育にも使えるようにすべき、という主張は、国民の理解を得られるはずです。

こうしたインフラ整備と無償化等と同時に、教育コンテンツも変えるべきです。今日、PISAの結果が発表されましたが、日本の読解力ランキングが、また落ちています。日本の読解力の順位は、前々回の2012年調査では過去最高の4位だったが、前回の15年は8位、今回は15位と急落しています。

www.iza.ne.jp

こういう実態があるから、共通テストに記述式を導入しようということになっていたのに、ベネッセの利益相反取引等によって、共通テストでの記述式はすっかり信頼を失ってしまいました。もう、共通テストでは択一式にするのも仕方ないでしょう。共通テストの採点をすることを営業トークで使っていたベネッセは、もう教育での公的な仕事から締め出し、他の民間業者に採点等を委託する場合には、公正な規制を課して、信頼回復を図るべきです。

そうして教育改革の負の部分を一掃した後は、個別の大学の入試で、更に記述式を増やし、中高の教育も、ディベートやエッセイ・ライティングをしっかりと体系的に教えていくべきです。こうした「中身」の改革が伴えば、教育への財政支出には、一層の理解が得られるはずです。今までの高大接続改革とか大学入試改革とかも、だいたいそんな方向で進んできたのだから、公正さを重視しながら、それを徹底すべきです。

消費税増税は、やっぱり経済にダメージを与え始めています。政府が、解散を念頭に置いているのかどうか意図はどうあろうとも、大きめの経済対策を打とうとしていること自体は、正しい方向です。温暖化対策を考えれば、改革派も一定の公共事業上乗せには賛成せざるを得ません。

一方で、家計への教育支出を増やすという改革派の主張は、同時に行うべきです。消費税増税の悪影響は今回も長く続きそうなのだから、今回の補正予算をきっかけに、再来年度予算以降の恒久予算化を目指して、教育無償化と待機児童対策の大幅増を主張すべきです。財源は教育国債として、国際的な競争に勝てる人材を作るための教育改革も、いま一度、信頼回復策をきちんと取ったうえで、更に推進すべきです。