日本の改革

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ついに人民解放軍が香港政府の要請なしに堂々と活動:香港基本法14条違反の「一国二制度」蹂躙に対し、日本政府はただちに抗議を!

中国の人民解放軍が、香港政府の要請なしに、路上での障害物撤去活動。香港基本法14条にはっきりと違反しており、「一国二制度」の蹂躙です。日本政府と国際社会は、ただちに中国に抗議すべきです。

香港基本法に違反し、「一国二制度」蹂躙の暴挙

昨日11月16日、香港に駐留する中国の人民解放軍の軍人らが駐屯地から香港の路上に出て、デモ隊らが路上に設置した障害物を撤去する活動を行いました。デモに関連して軍の駐留部隊が動くのは初めてです。

digital.asahi.com

これは、香港の憲法にあたる香港特別行政区基本法(香港基本法)の14条に違反しています。

香港基本法は、12条で「香港特別行政区中華人民共和国の高度の自治権を享有する地方行政地区であり、中央人民政府が直轄する」と定め、13条で「中央人民政府は香港特別行政区に関する外交事務を管理」として、14条では、以下のように定めています。

 中央人民政府は香港特別行政区の防衛を管理し、その責任を負う。

 香港特別行政区政府香港特別行政区の社会治安を維持する責任を負う。

 中央人民政府から派遣されて香港特別行政区に駐屯する軍隊は、香港特別行政区の地方事務には干渉しない。香港特別行政区政府は必要に応じて社会治安の維持と災害救助のために、中央人民政府に駐留軍の出動を要請することができる。

 駐留軍は全国的な法律を遵守すると同時に、香港特別行政区の法律も守らなければならない。

 駐軍費用は中央人民政府が負担する。

保存版 香港基本法 日本語完訳--保存版 香港基本法 日本語完訳

このように、香港特別行政区については、外交は中央政府、香港の治安は香港政府が権限と責任を持ち、香港駐留の人民解放軍は、香港の地方事務に干渉しないし、香港の法律を守らなければいけない、としています。そして、香港での駐留軍の出動については、香港政府が「要請することができる」としていて、香港政府の要請がなければ出動はできません。

人民解放軍の関係者は、今回の活動が「ボランティア」だとしていますが、「一国二制度」での自由を主張する激しい抗議活動のさ中に組織的に行っているのですから、言い訳に過ぎません。

今回の人民解放軍の活動に対し、立法会の民主派議員団は、香港基本法違反だと批判しています。香港政府もメディアに対し、要請していないことを認めています。彼らは、人民解放軍が去年も台風被害の復旧作業で「ボランティア」を理由に、香港基本法14条に違反して、香港政府の要請なしに駐屯地を出た活動を行った、として批判しています。そして、今回の活動が、現行法を守らずに人民解放軍が地方事務に介入し、香港の「高度の自治」を侵害する、としています。

抗議者の団体は、今回の人民解放軍の活動を「ゆでガエル症候群」の古典的な例だ、として、最初は自発的に道路のレンガを除去しますと言いながら、今後の暴力的弾圧への道を開く、としています。そして、今回の見せかけの行動は、自由と民主主義を守ろうとする抗議活動をおとしめる目的のもので、全ての人々は警戒すべきだ、としています。

news.rthk.hk

Hong Kong pro-democracy politicians demand an explanation for Chinese military aiding in protest clean-up - CNN

 人民解放軍の今回の活動について、「デモ隊がばらまいたレンガやバリケードを片付けるボランティアです」などという言い分は、全然通りません。デモ隊は確かに、バリケードやレンガによる交通妨害という示威活動を行いました。一方で、香港警察も、デモ隊の仕業に見せかけるため、道路にレンガをばらまいた動画が、ツイッターに上がっています。これを見れば、今回の行動は、香港警察とも示し合わせていることが分かります。中国の意図は明白です。今後の暴力による弾圧への批判を弱めるために、内外世論の抵抗の小さそうなところから、人民解放軍の香港での展開を始めた、というのが事の本質です。

そもそも、中国人民解放軍の駐香港部隊は既に10月6日、当地のデモ隊に向け、「あなたたちは違法行為を働いている。訴追される可能性がある」との警告文が書かれた旗を提示していました。旗の掲示とはいえ、こんなことをするのも14条に反して違法と見ることもできるでしょう。

jp.wsj.com

こうした不当な脅しをたうえで、香港警察がヤラセでレンガをばらまいたということまであったうえで、人民解放軍が堂々と駐屯地を出て、香港の路上で組織的活動をしたのですから、これはもう香港基本法の核心となる部分を侵害し、「一国二制度」を蹂躙した、と断ずべきです。

民主派議員は、昨年の台風での倒木除去作業も香港基本法14条違反だとしています。ましてや、「一国二制度」下での既存の自由と民主主義を守ることを求め、現状以上の民主化も要求する大規模デモが長期間続いている今、このような活動をしているのですから、許されるはずがありません。

今回の行動が「一国二制度」を完全に無視したものだ、と発信しているのは、民主派やデモ隊だけではありません。デモ隊の暴力に対して、当初から一貫して批判的だったジャーナリストの安田峰俊氏は(私は安田氏の主張も理解します)、「バリケードと一緒に鄧小平が作った一国二制度まで掃除してしまった」とツイートしています。

 そもそも、この半年の間に進んだのは、福島香織氏の言う通り、「香港警察の中国公安化」です。香港警察のユニフォームを着ていても、これまでの警察とは全く異質の凶暴性と残虐性を発揮し、現地の人が通常話さない北京語をしゃべる集団は、中身は中国の武装警察だろうとずっと言われ続けてきました。

デモ隊どころか、女性や子供を含む一般市民、抵抗の意思のない市民等に、暴行陵虐の限りを尽くす「香港警察」の中には、おそらくは中国本土から来た連中が多数含まれているでしょう。

jbpress.ismedia.jp

以前のブログでも書きましたが、人民解放軍も、非公然でバレバレの行動はとってきた、と見られます。人民解放軍と警察のマッチポンプが疑われるいま、警察の「中身」も人民解放軍兵士というケースさえあり得るでしょう。

とっくに大弾圧の始まっている香港で、デモ隊に自制を求めても無理。国際社会も日本政府も、はっきり民主派の支持を! - 日本の改革

 「一国二制度」を支持する日本政府は、ただちに抗議せよ!

日本政府は、当然ながら、香港の一国二制度が維持されるべき、と主張してきました。

6月17日、香港の林鄭行政長官が逃亡犯条例改正案の立法会審議を延期すると発表した際、菅官房長官は、「民主的なプロセスの下、十分議論が行われ、『一国二制度』の下で香港の自由や安定などが維持されることを強く期待している」と強調しました。

www.sankeibiz.jp

安倍総理も、6月27日、G20大阪サミットで来日中の習近平との日中首脳会談で、「香港の最近の状況に関し,安倍総理から,引き続き「一国二制度」の下,自由で開かれた香港が繁栄していくことの重要性を指摘」し、「いかなる国であっても,自由、人権の尊重や法の支配といった国際社会の普遍的価値が保障されることの重要性を指摘」した、と外務省が発表しています。総理のこの発言は全面的に支持できます。

日中首脳会談・夕食会 | 外務省

政府だけではなく、自民党も一昨日11月15日に、決議文を出しました。

自民党外交部会(部会長・中山泰秀元外務副大臣)は11月15日に、党本部で合同会議を開き、事態の改善や在留邦人の安全確保を香港当局に求める決議文を採択しました。そこでも、「香港が、「一国二制度」の下、従来の自由で開かれた体制を維持し、民主的に力強く発展していくことを期待するとともに、関係者に対して、自制と平和的な話し合いを通じた解決を求める」としています。

また、「日本政府に対しては、中国政府および香港特別行政区政府に対し、関係者による自制と対話による平和的解決、「一国二制度」の下での自由で開かれた香港の維持・発展、人権の尊重や法の支配について、首脳はもちろん、あらゆるレベルを通じて適切な機会を捉え働きかけるよう」求めています。

www.sankei.com

 その「一国二制度」をあっさりと否定し去るのが、今回の人民解放軍の暴挙です。これを絶対に許してはいけません。向こうはボランティアの清掃活動に偽装して批判が起きにくいようにして、後になって武力弾圧するときに「これまで外国も批判しなかったではないか」と言えるように、「批判がなかった」という実績を作ろうとしています。だからこそ、「一国二制度を守れ」と言ってきた日本政府は、今回の違法行為に対し、はっきり抗議しないと天安門事件の二の舞です。国政政党、国会議員はなおさらで、自民党も、野党も、ここで大騒ぎをしないとダメです。

本当はそれでは足りませんし、私は、日本は一帯一路から手を引き、アメリカとともに米中冷戦を戦うためにあらゆる政策を動員すべきと主張してきましたし、習近平の来春の来日などもちろん中止すべきだと考えています。しかし、これまで日中の「正常化」に突っ走ってしまった日本政府は、すぐに方向転換も難しいでしょう。

そこで最低限、今まで言ってきたことだけは守れ、というスタンスから始めるべきです。日本は、今回の人民解放軍の暴挙に対し、「一国二制度を守れ」と、中国に抗議すべきです。