日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

とっくに大弾圧の始まっている香港で、デモ隊に自制を求めても無理。国際社会も日本政府も、はっきり民主派の支持を!

香港革命で、「中国の大弾圧を避けるために、デモ隊は暴力をやめるべき」と言っても、仕方ありません。もう大弾圧は進行中です。徹底抗戦すれば、林鄭月娥行政長官を辞任させる可能性はあります。国際社会も、日本も、中国の弾圧に対する市民の抵抗を、正当な「抵抗権の行使」と見るべきです。

「大弾圧の可能性」は、抵抗活動を中止する理由にはならない

香港では昨日11月13日、デモ隊が線路に物を投げ入れたり、道路をふさいだりしました。これで一部の鉄道路線が運休となり、金融街でもデモ隊と警察が衝突、警察が学生を逮捕するため香港中文大学などの校内に立ち入って、学生と激しく衝突しました。香港政府は今日、すべての学校を休校にすると決定しました。これらは、学生に死者が出たことや、市民への実弾発砲という警察の暴力に対して、抵抗運動が激化したことに端を発しています。

www.nikkei.com

この混乱を、憂慮する声は当然あります。香港で警察とデモ隊の双方の暴力がエスカレートすれば、中国の強硬派の発言力が強まって、中国の武装警察や人民解放軍が介入して大弾圧を行う可能性がある、というわけです。メディアでは、ブルームバーグがこうした声を集めて記事にしたりしています。

https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-11-12/hong-kong-protest-violence-risks-empowering-hawks-in-beijing

しかし、私は、もうそんなことを気にしている段階はとっくに過ぎた、と思っています。中国は既に香港を弾圧し始めているからです。本ブログでも取り上げましたが、1か月前から、「静かに弾圧が始まった」とウォールストリート・ジャーナルも報じていました。10月4日に緊急状況規則条例の発動を決定したあたりから、警察だけでなく、暴漢による暴力が民主派を襲っていました。

www.kaikakujapan.com

香港のデモは、最初は全く平和的な形で行われました。逃亡犯条例を撤回せよという要求が、200万人もの市民による平穏なデモ行進で行われましたが、中国も香港政府も完全無視でした。これに警察の違法・不当な暴力が加わったため、若者をはじめとする市民が、やむを得ず多少の暴力も使った抵抗運動を始めた、という順番です。これを中国と香港政府が更に力で抑え込もうとして、抵抗運動も激化、それが更なる弾圧を生んでいます。

激しい抗議活動がムダだったかというと、決してそんなことはありません。逃亡犯条例はとうとう撤回されました。平和的デモでは達成できなかった成果です。一連の抗議活動による死者は、警察に拘束後の「自殺」や「不審死」を含めれば、実は数十人にのぼる可能性がありますが、大きな犠牲を払って、着実に成果を上げています。これは、香港経済を滅茶苦茶にされることを、中国が未だに恐れているから出来たことであり、平和的デモだけでは不可能なことでした。

一方、今月11月24日の区議選を、社会の混乱を理由に中国・香港政府が中止する可能性も指摘されています。香港政府はなりふり構わずに、雨傘革命のリーダーの立候補を認めなかったり、候補者を逮捕したりしていますが、それでも、区議選では、投票率も相当上がって民主派が躍進すると見られています。

民主派の香港立法会議員の区諾軒氏は、警察の逮捕は市民を挑発して反発させ、選挙中止に追い込むのが目的では、と主張しています。逮捕に限らず、中国と香港政府の一連の弾圧は、確かにそれも目的としているでしょう。

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民主派香港立法会議員インタビュー 「逮捕は市民を挑発するのが目的だ」 - 産経ニュース

区議選では、香港には珍しく民主的な選挙が行われますし、民主化議席は相当増えるはずです。だから、その機会をつぶすべきではない、ということであれば、暴力のエスカレーションは防ぐべき、デモ隊は何をされても我慢すべき、ということになりそうです。

しかし、私は、こうした議論にも賛成できません。区議選を実施するか否かは、現状では、中国と香港政府の恣意で決めてしまえるのが現状です。区諾軒氏も、(負けが見えている)親中派にも選挙すべきという声があると言っています。地方選挙と言っても、民主主義国家とは全く位置づけが異なるのは確かです。

そもそも、今回の弾圧の強化は、中国・香港政府は、どちらにしても選挙はやめるつもりかもしれません。

この数日間の弾圧の強化は、習近平が11月4日に、林鄭行政長官に取締を徹底するよう指示したことに始まっています。国務院香港マカオ事務弁公室の張暁明主任は9日に、「香港はまだ香港基本法23条が定める立法を完成させていない」と指摘し、基本法23条に定める、政治活動や言論の自由を制限する「国家安全条例」の制定を求め始めています。

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国家安全条例が制定されれば、今でさえ立法会議員を好き勝手に逮捕しているくらいですから、区議会や区議の権限など、事実上停止されてしまうでしょう。そんな曖昧な利益のために、いま現に、大学、ビジネス街、ショッピングモール、果ては普通の住宅街や住居内で、片っ端に行使されている政府の暴力に、黙って耐えろという方が無理です。

こう考えれば、とっくに大弾圧の進んでいる香港で、市民が正当防衛・緊急避難のために、そうでなくても、民主化の要求を通すために行う多少の暴力は、むしろ革命における「抵抗権の行使」として、正当な権限行使の一つと見るべきです。

既に、中国の武装警察や人民解放軍が香港で弾圧にあたっていると見るべき兆候も出てきていますし、

 

 香港市民の「暴力」と言っても、こんな風に警察(実は人民解放軍?)のやらせと見られる場合もあります。

 有名になった、親中派の市民に火がつけられるという動画も、実はスタントマンによるやらせだったのでは、という指摘もあります。

 香港政府が、警察の暴力に対する独立調査委員会を設置しないので、市民がまとめたレポートがあります。ここには、警察が従うべきルールが全く守られなくなっている実態が、証拠とともに詳細に紹介されていますが、もうルールを守らなくなった、というより、「中身」が入れ替わっている可能性も高いでしょう。

hkpfreport.org

デモは多くの犠牲も出して、逃亡犯条例は撤回させた。次に狙うべきは林鄭行政長官のクビ

では、はっきりしたリーダーもなく、香港を「混乱」させている抗議活動にとって、具体的には、何が次の目標になるのでしょう?

私は、一番現実味があるのは、行政長官のクビを取ることだと思います。

周知の通り、10月に、FTの記事として、中国が林鄭行政長官の更迭を検討しているという報道が一時流れました。もともと、林鄭氏が辞意を漏らしたのでは、というロイターの別の報道もありました。

中国、林鄭・香港行政長官の更迭を検討 後任は「暫定」就任=FT - ロイター

 特別リポート:「可能なら辞任する」、香港トップが明かした胸の内 - ロイター

習近平は、11月4日に林鄭氏と会って、あなたを信頼しているから何とかしろ、と指示。この指示も、何とかしろというだけの曖昧なもので、中国政府もどうすべきか答えがないことをうかがわせています。石平氏も、無責任な丸投げだ、としています。

www.newsweekjapan.jp

中国政府は、デモ隊の要求を聞いて(ひょっとしたたら本人の希望にもそって)林鄭を更迭するわけにはいかない、とは言え、香港の「混乱」をどう効果的に抑えればいいか分からない。そこでとりあえず彼女に続けさせて、香港がもっと混乱して、中国内で習近平が責任を追及されるような事態になったときには、林鄭の責任として詰め腹を切らせる選択肢は残したい、というところでしょう。

産経は、林鄭氏は習近平に結果を出すようプレッシャーをかけられており、毎年12月に北京で行っている最高指導部向けの施政報告までに何とかしないといけないのだろう、としています。

www.sankei.com

それなら、年内はデモ隊が徹底抗戦して、林鄭氏に「結果」を出させず、彼女を更迭させて、五大要求の一つを通した方が、民主化運動としては前進でしょう。

国際社会と日本は、旗幟鮮明に、デモ隊を支持せよ。

こう考えれば、国際社会も、日本も、「双方に」自制を求めるというお利口さんの態度ではなく、(中国と)香港政府の暴力こそを、はっきりと批判すべきことになります。

この点、ポンポオ国務長官の声明は、「香港警察と市民らはともに暴力的な対立を沈静化させ回避する責任がある」としたのは、ちょっと頼りなさ過ぎましたが、一応は、警察による「殺傷力の高い兵器の不当な使用を非難」しましたし、「全ての当事者に暴力は良くないと説いてきた」としつつ、「香港で自由を勝ち取るための戦いは続くだろう」と言ったので、個人的には不満が残りますが、まあよしとしましょう。

香港デモ、米政権高官が「殺傷兵器の使用を非難」 - 産経ニュース

問題はやはり、日本政府です。菅官房長官は今回も、「これまで死者が出ていることを大変憂慮している」と、こらまでの紋切り型の「憂慮」コメントを出して、「関係者に自制と平和的な話し合いを通じた解決を改めて強く求めていきたい」と言っただけ。その割には、中国政府にはほとんど何も言わず、民主派のリーダー達とは接触さえしていません。誰にも何も「強く求めて」なんかいません。だから、「求めていきたい」なんでしょうか。求めたいけど、日本政府には何もできません、なんでしょうか。

官房長官、香港情勢「大変憂慮」 :日本経済新聞

政府がこんなに頼りなくても、幸い、日本の与野党の政治家にも、メディアも、はっきりと民主派の肩を持ってくれる人達がいます。

自民党の有志議員は、習近平国賓としての招待に反対する決議文の中で香港に言及、「香港市民の民主的政治行動に対し、強権によって弾圧する姿勢は、自由・民主主義・法の支配という現代社会の普遍的価値に照らして、断じて許されない」としています。

www.sankei.com

立憲民主党の枝野代表は、周庭氏に対し、「皆さんの民主主義を守る活動に敬意を表します」として、「香港警察当局は著しく行き過ぎた権力行使を、直ちにやめるべき」と発信しました。

 更に進んで、各党が政党として、香港民主派を支持する声明を出すべきですし、国会としての意思表示も行って、政府の姿勢を変えるべきです。

メディアも、右の産経も、左の朝日も、本件では仲良く?香港政府を批判し、デモ隊に暴力をやめろという説教はしていません。

【主張】香港の弾圧 牙剥く中国の暴挙を阻め - 産経ニュース

(社説)香港の混乱 武力では解決できない:朝日新聞デジタル

あとは、肝心の日本政府が、態度をはっきりと変えるべきです。

香港市民による抵抗運動について、一定の実力行使を肯定することは、ある意味で、とても冷酷なことです。中国・香港政府による報復の恐れがあるのは分かっていながら、無責任に安全地帯から、それでも戦う人達に賛成するのですから、その人たちが殺される可能性さえ、心の内で認容してしまうことになるからです。

しかし、本当に死ぬ覚悟が出来て遺書まで用意して、殺されるかもしれないと十分分かってまで強烈な意思表示をする人達を、拳銃を持って威嚇する警官にまで向かっていく人達を、私達に止める権利があるでしょうか?そもそも、外国の人間が何をどう説得しても、彼等を止めること自体、もう不可能でしょう。

「自由か、然らずんば、死か」

こんな言葉を本気で実践している人達に対して、奴隷の生でも受け入れるべきだ、と私にはとても言えません。

先ほど知った明るい動きとしては、香港人権民主法が、上院でいよいよ可決する可能性が出てきたようです。

 日本政府は、アメリカとともに、中国と香港政府に本気で圧力をかけて、香港民主化に向けて動くべきです。