日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

安倍総理、経済対策を指示:公共事業等は増やしても、補正予算なのに既得権化したムダな補助金・交付金は切るべき!

安倍総理が経済対策の策定を指示しました。大型補正予算での防災予算や家計向き支出増には賛成しますが、毎年補正で計上されている、ものづくり補助金と地方創生交付金のような既得権化したムダな支出は切るべきです。

大型補正予算自体は必要。公共事業積み増しはやむを得ない

昨日11月8日の閣議で、安倍総理が経済対策の策定を指示しました。

対策の柱は、第一に、台風19号などの災害対策、第二に、米中冷戦やブレグジットによる世界経済の下振れリスクへの備え、第三に、来夏の東京オリパラ後の景気対策です。

補正予算は毎年組まれていますが、「経済対策」と銘打って行うのは2016年以来、3年ぶりで、与党内には国の財政支出は5兆円程度になるとの見方がある、と日経が書いています。

www.nikkei.com

今回の経済対策、もともと、消費税増税対策の上乗せもあって、以前から言われていたことでした。今回、仮に5兆円規模の予算ということになれば、この規模の対策は安倍政権では5回目になります。

出所:日本経済新聞2019年10月1日

増税後2段階で経済対策 補正と20年度予算、政府検討 :日本経済新聞

安倍政権「改革なき安定」どこまで :日本経済新聞

自民党の岸田政調会長は、「特に優先すべきことは災害対策、国土強靱化だ。(対策の)ボリュームにおいても国民に安心、安全を感じてもらえるような予算を確保したい」として、災害復旧や防災対策だけでも1兆円超が必要と発言しました。

自民党世耕弘成参院幹事長は「金額そのものが経済対策としての効果を生む。まだ日本には財政出動の余力があるのではないか」と指摘し、政府に「大胆な判断」を求めています。

新経済対策 与党「大型出動」期待…台風・景気 集約急ぐ : 政治 : ニュース : 読売新聞オンライン

私は、こうした金額ありきの議論には反対ですが、補正予算での公共事業の積み増しには、事業内容の精査と効率化が伴うならば、賛成です。昨年からの台風等の被害で、防災インフラの脆弱性が明らかになったからです。

更に、そもそも地球温暖化で自然災害自体が激甚化しているので、これまでの実績ではなく温暖化の将来予測に基づく対策が必要です。補正予算では、緊急対策を行うとともに、将来の当初予算化を考えて、国全体の政策の頭出しとして、補正で出来るところからまずやってみるべきだからです。

地球の平均気温、2度上昇なら日本の洪水確率2倍、4度なら4倍:治水対策は、過去の降雨量でなく、温暖化予測に基づいて行うべき - 日本の改革

もちろん、ムダな公共事業にならないよう、費用対効果は厳しくチェックすべきですし、同じ防災事業であっても、より安価な方法を選択すべきです。これは、治水対策や無電柱化について、本ブログでも書きました。

温暖化はスーパー堤防やダムの完成を待ってくれない:国交省は安価で効果的な堤防改修をわざと避けている? - 日本の改革

無電柱化、ほとんどの自治体が高コストでの実施や法律違反:低コスト法採用はわずか25%、道路法の電柱新設制限の実施は9% - 日本の改革

こうした効率化を行っても、温暖化時代に巨大災害のリスクが高まっていることを考えれば、結果として公共事業予算が増えてしまうことまで、一概に否定すべきではありません。人口減少時代ですから、新規事業は減らし、老朽インフラを必要な範囲で改修、場合により廃棄することに重点を移す等、事業を絞り込んだうえで低コスト化を図るあらゆる工夫を行って、それでも必要な公共事業は当然やるべきです。

毎年補正で計上される、ものづくり補助金と地方創生交付金

今回の補正予算である程度の規模の公共事業は必要だとしても、全体としては、企業・団体向きの支出は出来るだけ減らして効率化し、家計向きの支出を増やすべきです。バウチャー方式で、教育や保育等、需要が高くて効果が見込める分野に集中して、国民への還元を行うべきです。補正予算では一時的にしか出来ないのがネックですが、将来的な当初予算化を見越して、まずは単年度だけでも家計負担を減らす、というやり方も考えてよいはずです。

企業・団体向きの支出の削減については、特に、補正予算で毎年計上されているのに効果の乏しい補助金交付金は思い切って切るべきです。

先ほど、将来の当初予算化を念頭に、補正予算でまず予算化すべきものがある、と書きました。このように、時代の変化に応じて本当に必要な予算なら、まずは補正で、やがて当初予算での恒久的な財源措置に見通しがつけば当初予算に、というのは当然あっていいでしょう。地球温暖化に備えた効率的な防災対策等はその一つです。

しかし、補正予算というのは、本来は一時的で緊急の必要があるから編成されるものです。にも関わらず、毎年ほぼ同じ額が計上され続けるというのはおかしいですし、本当に必要なら当初予算化するべきです。もちろん、効果がない事業なら、補正予算にも当初予算にも計上すべきではありません。

こうした支出の典型が、経産省の「ものづくり補助金」と内閣官房地方創生本部の「地方創生交付金」です。

毎年補正予算で1000億円も計上されている「ものづくり補助金」がいかに非効率的で問題があるかは、本ブログでも取り上げました。

この補助金を受け取った企業のうち、自己負担分を上回る収益を出した企業は、どの年度も1%に満たないうえ、よく似た補助金との重複はある、ということで、財務省が二度にわたって問題を指摘し、メディアからも叩かれています。

投資回収企業数が1%未満の「ものづくり補助金」を担保に、借金まで可能に。この補助金は安倍案件か。リーマン・ショック由来の既得権は全て切るべき。 - 日本の改革

にもかかわらず、安倍総理は今年初めの施政方針演説で、わざわざこの補助金に言及、そのうえ50億円分を当初予算化すると胸を張りました。非効率的な補助金を毎年ほぼ同額計上し続けるという、既得権化そのものという事態を許すばかりか、それを当初予算化して固定化しようという、一番やってはいけないことをやろうとしています。

通常国会開会!改革を志す政治家・国民は、総理演説をどう斬るべきか? - 日本の改革

今回の経済対策での補正予算でも、恐らくこの補助金は計上されるでしょう。報道によると、補正では中小企業の生産性向上に向けたITやAIの導入支援策を講じる、となっていますが、昨年度補正を見ると、看板だけ「生産性向上何とか」としておいて中身が以前と同じ「ものづくり補助金」となる可能性があります。改革派の政党、政治家にとっては、叩くべきポイントの一つになります。

もう一つ、地方創生交付金も問題です。

こちらは、この交付金が利用できることになる事業について、たとえば静岡県で目標未達の計画が半数にのぼり、交付金頼みで非効率的な事業が多いという問題点があります。

日経新聞、「地域おこし協力隊」を持ち上げる。過疎地の臨時公務員や田舎ブラック企業の給料を国の税金で支えるべきか。移住が自己目的の地方創生は中止を。 - 日本の改革

日経の懺悔「下らない地方創生事業を紙面で紹介してゴメンナサイ」:地方創生は来年度で終了を! - 日本の改革

そもそも地方創生政策全体が、東京への人口移動を止めるという政策目的自体が誤っているうえ、その目的も全く達成できない大失敗に終わっています。

東京だけで子どもが増える理由は、仕事での女性差別が地方より少ないから。政府は、まず地方に男女平等を徹底させ、地方創生政策は中止を! - 日本の改革

こんな政策のための交付金が、以下のように、補正予算で確実に600億~1000億円計上されています。それでもやや減っているのは、さすがにムダが分かってきたからかもしれません。

f:id:kaikakujapan:20191109110455p:plain

出所:内閣官房

地方創生関係交付金 - まち・ひと・しごと創生本部

これも、今回の補正予算で、少なくとも600億円くらいはつくでしょう。ひょっとしたら、また1000億円に増やすかもしれません。そうなったら、地方創生の第一期の計画が大失敗だったことをどう考えているのか、政府の姿勢は厳しく問われるべきです。

経済対策との多くは一時的な景気対策補正予算は緊急の必要性にこたえるものです。そうではあっても、当初予算や税制、規制等とあいまって、政府の政策の重要な一環をなしています。政府は、温暖化予測に基づく効率的な防災対策等を充実させ、教育・保育等の家計向きの支出を増やす一方、既得権化した支出は大胆に切って、改革型の補正予算の姿を示すべきです。