日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

アメリカが「日本に中距離『核』ミサイルを置かせろ」と要求したら、日本政府は受け入れるしかない

先月、アメリカが中距離核ミサイルを沖縄、北海道等に配備を要求したとの報道。本来、国民が反対する国防政策はとるべきではありませんが、日本政府が反対しても配備されるでしょう。日本は当面受け入れざるを得なくても、あくまで、アメリカの交渉力を高めて中ロの中距離核を廃絶することを最終目標とすべきです。

アメリカが中距離核ミサイルの日本配備を既に要求?

『選択』11月号の記事「沖縄に「核」が置かれる日」が、アメリカが中距離核ミサイルの日本配備を要求しているはずなのに、安倍総理が「打診も予定もない」と言っているのはおかしい、と言っています。

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本ブログでも以前書きましたが、INF廃棄条約が8月2日に破棄された翌日、エスパー米国防長官が、地上配備型の中距離ミサイルについて、アジアへの配備に前向きな姿勢を示し、数カ月以内が望ましいが、実現にはまだ時間がかかるとの認識を示していました。

アメリカは、数か月以内に日本に中距離ミサイル配備を希望?日本は核抑止論の合理性も限界も認識して対応を! - 日本の改革

先月10月3日には、琉球新報のスクープで、アメリカが中距離弾道ミサイルを、今後2年以内に、沖縄はじめ北海道を含む日本本土に大量配備する計画がある、と報じられました。琉球新報の取材に対し、ロシア大統領府関係者が水面下の情報交換で米政府関係者から伝えられた、ということです。

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官房長官は、「(米国から)【ただちに】配備する状況にはなく、具体的な配備先も検討は行っていないと説明を受けている」と答えました。

「ただちに」ではなくとも、2年以内に配備させろ、と言われた可能性は否定していません。

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ロシアのプーチン大統領は10月11日に、アメリカが中距離核ミサイル配備につき、日本・韓国と交渉しているとして、「ロシアを喜ばせるものではない」と批判。

10月18日には、アメリカを訪問中の玉城デニー沖縄県知事に、米国防総省の担当者が「沖縄への配備計画は【今のところ】ない」と否定しました。ミサイル開発に時間がかかることが予想され、配備先を発表できる段階ではないとの説明だったそうです。

ここでも、「今のところ」はないが、今後は配備計画を作ることはもちろん否定していません。

米ミサイル配備計画で露大統領が日本を牽制 - 産経ニュース

www.sankei.com

10月18日に、「今のところ」計画はないとの答えだったようですが、10月22日の朝日新聞は、アメリカが、中距離ミサイル配備について、日本政府側と協議を始めたと報じました。21日に米軍幹部が朝日等の取材に応じ、18日に米政府高官が来日して防衛省、外務省、国家安全保障局(NSS)の幹部と会い、新型ミサイル配備の今後が議題に上った、とのことです。

日米、新ミサイル配備協議 米のINF条約離脱受け:朝日新聞デジタル

以上の報道を見ると、『選択』11月号記事が言うように、日米当局が明言はしないものの、恐らく、アメリカは既に、日本に中距離核ミサイルを配備させるよう、日本政府に要求しているのでしょう。

だとすれば、日本政府は既に、重大な決断を迫られている状態です。

日米同盟のリアリズムを、国内世論のリアリズムに優先せざるを得ない

日本はこの要求に対して、どう答えればよいでしょうか。

私は、核弾頭を外した形での中距離ミサイルの配備には賛成し、核ミサイル配備は、非核三原則を理由に反対すべきだと思います。しかし、それでもアメリカが「核ミサイル」の配備を強く要求し、日本が徹底的に拒否すれば日米同盟自体が危うくなるならば、受け入れざるを得ない、と考えます。

本ブログでは、国民の支持がある国防政策こそが、国を守るうえで一番効果的だと主張してきました。核ミサイル持ち込みどころか、中距離核ミサイルを沖縄はじめ日本各地に配備することは、とても日本国民の賛成は得られません。日本政府がこの民意に反して非核三原則の「持ち込ませず」を最初から否定することは出来ません。現に、安倍総理も、北朝鮮がどれほど核ミサイル能力を開発し続けても、この原則は堅持すると言い続けています。

このため、本ブログでは、レールガンや高出力レーザー等の指向性エネルギー兵器等により、核ミサイルを無力化するべきだ、と主張してきました。1980年代のヨーロッパでの中距離核ミサイルの配備合戦が、かえってINF全廃条約が可能になった事実は成功例として参照すべきだが、日本は核弾頭のない中距離ミサイルのみを配備すべきだと主張しました。核兵器ほどの脅しが効かない部分については、レールガンやレーザー等の新技術や敵のミサイル発射時の敵基地攻撃能力の取得等で補うべきです。これは、国内政治のリアリズムを考えれば、中距離「核」ミサイル配備など、とても無理だ、という認識に基づいたものです。また、国防政策は、国民の意思に基づくべきだ、という基本的な哲学によるものです。

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一方、8月から10月まで、アメリカが既に中距離核ミサイル配備を要求していると見られることについて言えば、日米関係のリアリズムを考えざるを得ません。日本の防衛は、現状ではアメリカによる「拡大抑止」、いわゆる核の傘に依存していますし、通常兵力でも、当否はともかく、駐留米軍に依存しています。中距離核ミサイル配備を拒否することで、こうした全ての安全弁を外すわけにはいきません。

日本政府は、国内政治・国内世論上のリアリズムと、日米関係のリアリズムとの狭間に立ったとき、日米関係のリアリズムを優先させざるを得ません。

現実を見れば、非核三原則のうち、「持ち込ませず」という点については、既に空文化している実態はあります。

沖縄の日本復帰前、辺野古弾薬庫や嘉手納弾薬庫には、1300発もの核兵器が貯蔵されていました。沖縄の核兵器は日本復帰の際に撤去したとされますが、実態は分かりません。よく知られている通り、当時の佐藤栄作首相はニクソン米大統領との間で、有事の際には沖縄に核を持ち込めるという密約を結んでいました。

民主党政権は、核密約は失効したとの認識を示しましたが、米国防総省の歴史記録書は「米国は危機の際にそれら(核)を再持ち込みする権利を維持した」と明記しており、アメリカは核持ち込みを「権利」と認識しています。

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この歴史文書とは、国防総省が2015年に公表した歴代国防長官の歴史書第7巻で、「米国は(核)兵器を撤去するが、危機の際は再び持ち込む権利を維持する」と記しています。
 米国防総省の元上級担当官として沖縄施政権返還交渉を担当したモートン・ハルペリン氏は、ニクソン氏以降の政権は、密約の内容を把握していないし、「(沖縄に核を再持ち込みする)現実性は極めて低い」と述べてはいます。

www.okinawatimes.co.jp

が、本当に歴代米政権が核ミサイル持ち込みに抑制的だったとしても、先に書いた通り、INF撤廃条約破棄により、アメリカ政府の方針は大きく変わりました。状況から見れば、おそらくアメリカは既に日本に、中距離核ミサイルの配備を要求しています。

これに対し、日本政府は、まずは非核三原則から、核弾頭を搭載しない中距離ミサイル配備にのみ賛成すべきです。これに対し、アメリカが核の配備をさらに要求して、日本が拒否し続ければ、中距離核以外の核の傘全体がなくなる恐れまであるなら、中距離核ミサイル配備に賛成せざるを得ません。一方で、核抑止力に関する、こうした日米交渉の経緯につき、日本国民に全て公開すべきです。

繰り返しますが、国防政策は、国民の意思に基づいたものでなければ、かえって国をしっかり守れるものにはなりません。このため、核の傘に関する日米協議は全て公開すべきだ、と本ブログでは主張してきましたが、中距離核ミサイル配備という重大な決定についても、その過程は、たとえ事後的にでも、必ず日本国民に公開すべきです。

INF条約の廃棄を機に、政府は「核の傘」に関する日米拡大抑止協議(EDD)の議論を国民に公開せよ。 - 日本の改革

日本が国是としてきた非核三原則の一端を大きく変えざるを得ない事態になるなら、その理由が日本国民に少なくとも公開されるようにして、国民の理解を求めていくべきです。