日本の改革

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中国主導のRCEPから、インドがめでたく離脱?日本も離脱して、中国に「唯一の逃げ道」TPPへの加盟と経済改革を迫るべき!

RCEPからインドが離脱の方向。日本がこだわったインド残留がなくなり、我が国が中国主導のRCEPに残る理由はなくなりました。日本も離脱して、中国にTPP加盟を迫り、中国の経済改革を迫るべきです。

インドが離脱すれば、中国主導のRCEPは崩壊

日中韓など16カ国は昨日、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を巡り、目標としていた年内妥結を断念しました。貿易赤字の拡大を懸念するインドが関税撤廃などで慎重姿勢を崩さなかったからです。インドは会合後に「RCEPに今後参加しないと各国に伝えた」と交渉からの離脱も示唆しました。

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これは歓迎すべきニュースです。インドが抜ければ、中国主導のRCEPの枠組みが崩壊し、中国はTPPに入らざるを得なくなる可能性があるからです。

中国はRCEPから、「自由で開かれたインド太平洋構想」で連携するインド、オーストラリア、ニュージーランドを外そうとしてきました。もともとインドは、関税引き下げによる国内経済への影響を理由に自由化には終始消極的でした。が、RCEPで中国色が強くなりすぎるのを嫌った日本が、インドを引き止めてきた経緯があります。

RCEPでは、インド以外の15カ国が既に多くの分野で合意していますが、日経によると、「巨大市場のインドが抜けると交渉の前提が変わり、いったん容認した関税自由化を撤回する国・地域が出るなど」これまでの交渉自体が無に帰する可能性があります。

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もっとも、今回の交渉の経緯を見ると、交渉がほぼ終わった後にインドが要求を高めてきて、声明案をまとめあげた後に交渉を離脱すると言ったようです。インドが結局はRCEPに戻る可能性もまだあるようで、まだ完全に安心はできません。

しかし、年内の妥結はもう断念され、来年の合意を目指すと言っていますが、見通しは現時点ではありません。RCEPは大きくつまずきました。

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もともと、日本は中国主導の枠組みであるRCEPに入るのではなく、TPP拡大をこそ目指すべきです。RCEPは中国主導というだけではなく、自由化の程度が低く、うまくいったとしても、経済的なメリットは限られます。

TPPはもともと日米で中国に対抗して自由貿易圏を広げ、中国に自由化と経済改革を迫るという意味がありました。いま、アメリカが抜けたTPP11になっても、日米貿易協定では交渉のスタート地点として機能しました。何より、TPPは、自由で透明性の高い公平なルールを各国に求めています。中国に対しても、TPP加盟を迫ることで中国国内の経済改革を要求し、実現させられます。

このため、本ブログでは、日本はRCEPは無視して、タイ等のASEAN内TPP非加盟国、インド、韓国に、TPPの拡大を目指すべき、と主張してきました。

中国主導の経済連携協定RCEPはいらない!TPP加盟国拡大こそ最優先、ASEAN全体、インド、韓国のTPP加盟促進を! - 日本の改革

今回、日本がこだわり続けていたインド加盟がなくなりつつある以上、日本は、RCEPから離脱すべきです。

中国はTPPしか逃げ道がなくなる

中国経済の減速はロイターによれば「懸念すべき段階」で、第3・四半期の経済成長率は6%に低下し、中国の当局者は見通しを引き下げています。 

コラム:中国経済は「懸念水域」に、減速ペースが予想上回る - ロイター

もし、RCEPが機能しなくなれば、米中貿易戦争で経済低迷に苦しむ中国は、何でもいいから自由貿易協定に入りたいと言わざるを得ず、TPPに加盟する可能性が高くなります。

中国の自由貿易協定への参加は、単なる経済問題ではありません。中国の民主化を実現するための重要なステップです。もともと、中国のWTO加盟を許したのも、経済的な自由化が言論の自由や政治的自由の確立につながることも期待してのことでした。

しかし、この期待は完全に裏切られました。それどころか、「改革開放」路線で約束したはずの自由化さえ達成されていないとEUも批判しています。中国は反論していますが、誰も信用はしません。アメリカが求めている、輸出補助金・強制技術移転・著作権侵害の中止という当たり前の要求さえ拒否しているからです。

中国、経済開放巡り「約束倒れ」ないと反論 - ロイター

中国にまともな経済改革をさせて、共産党の指導や強制にしたがわなくても成功できる中国企業を育てて、今後の中国民主化の核となる層を作る必要があります。

そのためには、米中貿易戦争による成長率低下に苦しむ中国に対して、RCEPも拒否、日中韓のみの自由貿易協定も拒否して、TPPを唯一の逃げ道として中国に示すべきです。

中国世界貿易機関WTO)研究会副会長の霍建国氏は、RCEPについて、「域内貿易が活性化し、米国の圧力を緩和できる」という期待を示していました。

同氏は、TPPについて、中国政府の国務院から研究を求められたそうです。TPPの議論が始まったころ、米国は「最初から高水準の自由化」を掲げて中国を排除しようとしたけれど、米国が離れ、日本が主導してできたTPP11は「徐々に高水準を目指すもの」だから、中国も加盟を検討してよい、と発言しています。

要は、あまり高度の自由化はいやだ、そうでなければ検討したい、ということです。その一方で、こうも言っています。

 「いずれにせよTPP11に入るには中国は改革を加速させなければならない。輸入関税は大幅に下げる必要がある。知的財産権の保護や補助金政策も見直さなければいけない」

出所:朝日新聞2019年10月29日

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中国のシンクタンク副会長が言うということは、中国政府も同じ考えでしょう。

つまりは、TPP11の高度な中身全部を丸呑みしたくはない、輸入関税は「大幅に」下げる必要がある、逆に、いきなりゼロにはできない、ただし、アメリカに批判されている知的財産権の保護、産業補助金については見直す用意がある、ということです。

これなら、TPP11で現実的な交渉が出来ます。関税については、TPPは従来からある程度の例外を認めており、日本に至っては、農産品で「聖域」まで作って、関税どころか国家貿易の仕組みさえ残しているのだから、TPP加盟国も中国が多少の関税を残すことは認めるでしょう。

一方で、米中貿易戦争の最大の懸案である知的財産権の保護、産業補助金を見直す、と言っているのは、大きなチャンスです。日本はここについては絶対に譲らずに中国に認めさせれば、米中貿易戦争でも、中国はアメリカに同様のことを認めざるを得なくなります。アメリカに対しては絶対に譲れない中国も、日本への譲歩を最初のステップとして、態度を軟化させる形なら、飲める可能性があります。そうなれば、日本は米中貿易戦争でアメリカの勝利に貢献することになり、トランプ政権にTPPの有用性を示して、アメリカの再加入を促しやすくなります。

中国のTPP加盟は、中長期的には、中国の資本主義を国家主導から民間主導に変えて、政府に頼らない、怯えない資本家を中国内に育てて、中国民主化の核とすることにもつながります。

インドがRCEPから抜ける、というのは、日本が中国主導のRCEPから抜けて、そのうえ中国をTPPに参加させる大チャンスです。このチャンスを生かし切れば、日本はアメリカにも中国にも感謝される、東アジアの自由貿易のリーダーになれるでしょうし、将来的な中国民主化にも大きく貢献するでしょう。安倍政権に賢明な判断を期待したいところです。