日本の改革

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東京五輪のマラソン・競歩、札幌開催に伴う混乱は、森喜朗氏の責任。東京都は、反対なら、説得力ある暑さ対策を示すべき。

東京五輪のマラソン競歩の札幌開催問題、真夏の東京に自分で招致して混乱を招いた責任は森喜朗氏にあります。一方、東京開催が危険なのは事実。東京都は、反対なら説得力のある抜本的暑さ対策を示すべきです。

真夏の東京へ招致したのも、それをひっくり返したのも、森喜朗

IOCのトーマス・バッハ会長が、2020年東京五輪のマラソン競歩種目の開催会場について、「札幌に移すことを決めた」と発言しました。大会組織委員会森喜朗会長は「東京都は同意はしていないことはバッハ会長に申し上げた」としながら、「正直言って、相談してどうこう、ではない」と発言。東京都が何と言おうと、決定事項だ、と主張しています。

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最後に知らされた東京都知事は以下のように発言、不快感を示しています。

「なぜ札幌なのかということを、いつ誰がどのように検討してきたのか、開催都市の東京都に協議もございませんで、札幌という提案が突如なされたことにつきましては、大変疑問を感じざるを得ないというところでございます」

小池知事「知事の部屋」/記者会見(令和元年10月18日)|東京都

この大会のほとんどの費用を負担する自治体の長として、知事の怒りは当然です。一番の目玉競技が、自分の頭越しに、別の都市で開催されることになるのですから。

これから、札幌開催に伴う追加費用負担等、また醜い押し付け合いが、IOC、組織委、都、国の間で起きるでしょう。

そもそも東京でのマラソン競歩が無理と言うなら、今回の突然の決定に伴う混乱の責任は、第一義的には、招致の中心人物だった森喜朗氏にあります。

もともと、東京の夏の異常な暑さは分かっていた話です。にもかかわらず、あくまで東京オリンピックを招致しようとしたのが森氏です。森氏ご本人も、自分がいかに五輪誘致に功績があったかをアピールしてきました。五輪誘致の最大の功労者は石原慎太郎氏だ、その石原氏に、五輪誘致を掲げての出馬を決心させたのはオレだ、と言っていますし、

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何より、森氏は招致委員会の評議会で、招致活動での贈賄疑惑で辞任した竹田恒和氏とともに、副会長を務めていました。招致の実務活動は森氏が陰で担っていたと見ていいでしょう。その招致活動は現在、周知の通り、刑事事件になっており、フランス検察の捜査が森氏に及ぶ可能性もあるとの報道もあります。このあたりは、以前のブログでも書きました。

竹田JOC会長が辞意。招致に最大の責任があるのは森喜朗氏。森氏は、東京五輪組織委の会長を辞任せよ。 - 日本の改革

私はそのとき、竹田JOC会長が招致活動での贈賄疑惑で引責辞任した以上、森氏も組織委会長を辞任すべきだ、と主張しました。辞めずに会長を続けて、今回の決定も主導した以上、その決定に伴って都民、国民に生じる一切の不利益の責任は、森氏が負うべきです。

都知事も会見で言っている通り、日本が全国的に猛暑だった2013年に、「8月の東京は温暖で理想的な気候だ」という大嘘をついて、真夏の東京に招致をしたのは、オリンピック・パラリンピック招致委員会です。その評議員会の副会長というポジションで、実質的に招致活動の中心となったのは、森氏です。

東京五輪のマラソン競歩の札幌開催に伴う追加的費用負担の発生や混乱の責任は、第一義的には、真夏の東京に招致を行い、組織委会長として開催場所変更を決定した森喜朗氏にあります。

あくまで東京開催を主張するなら、説得力ある暑さ対策が必要

では、札幌への会場変更には、断固反対して、あくまで東京開催に向けて努力すべきでしょうか?

東京都の立場では、そうするのは当然だろうと思います。が、それなら、説得力のある、抜本的な暑さ対策を示す必要があります。

今回、「突然の決定」となったことには、立派な理由があります。9月下旬のドーハ世界陸上のマラソン競歩で、暑さと湿度で棄権者が続出したからです。

女子マラソンは出走68人のうち28人が途中棄権。優勝者の記録ももちろん歴代大会で最悪。真夜中のレースだったにも関わらず、選手の健康を大きく害したうえ、大会自体の正当性が疑われかねないような、悲惨な大失敗でした。

選手は、レース実行に踏み切った国際陸連を批判、5位をとった選手が、「多くのお偉方がここで世界選手権をすることを決めたのだろうが、彼らはおそらく今、涼しい場所で寝ているんだろう」と、皮肉ったそうです。

酷暑で棄権続出の世界陸上 批判止まず「開催決めた人間は今ごろ涼しい部屋で寝てる」

「お偉方」のトップであるバッハ会長も、こんな批判はされたくなかったでしょう。それこそ責任問題だと思って怯えた可能性はあります。

もともと、夏のテスト大会でも、東京の暑さは問題視されていました。トライアスロンでは距離短縮まで検討されましたし、陸上男子20キロ競歩世界記録保持者の鈴木雄介氏は、「ほぼ日陰がなくて脱水になってもおかしくない。可能ならコースを再考してほしいと思った」と訴えていました。他の競技でも、危険が指摘されています。

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都民には実感としてよく分かる話ですが、招致決定した2013年と比べてもひどい暑さで、去年あたりからは、本当に災害レベルです。

そもそも、どこであれ、真夏という季節自体がマラソンには不向きだ、とも言われています。札幌でさえ暑すぎる、もう中止すべきだ、という極論さえあります。

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東京都はこれまで、色々な対策やアピールを行ってはきました。氷を配る、ミストを設置する、遮熱性の道路舗装を行う、等々。しかし、残念ですが、どれも決め手とは言えません。むしろ、色々やってみて、どれも不十分だという事実ばかりが積みあがっていました。

東京2020大会に向けた暑さ対策推進事業|東京都環境局

この夏のテスト大会で、「これならまあ何とかなるかな」と、選手もIOCも国民も感じられるような対策を実際に見せられれば、開催地変更などと言う案自体を検討させずにすんだでしょう。

今回の突然の決定、政治的な裏もあることでしょう。バッハ氏は森氏に抱き込まれてる感じもあります。菅官房長官と森氏も事前にすり合わせていたようですから、都知事選に向けて都知事にいやがらせをしよう、という面もあるでしょう。

裏事情が何であれ、真夏の東京開催が本当に危険だという事実は動きません。今回の件、もちろん政争としての一面はありますが、政争なら政争で、勝たないといけません。相手は、ドーハの惨状で「暑さ対策」という大義名分を得たうえで水面下で根回しをして、反対するに決まっている都知事には一番最後に、公表直前に話をしました。ひどいと言えばひどいですが、政治の世界では通常運転の範疇です。巻き返しを図るなら、相手の大義名分をつぶせるような抜本的な暑さ対策を示して、都民の応援を得る必要があります。

東京都は、あくまで東京開催を実現しようとするなら、今月末のIOCとの調整会議までに、何が何でも、説得力のある抜本的な暑さ対策を示すべきです。交渉の余地があるなら、実証も含めて来月まで猶予だけ得て、それまでに、対策を発表すべきです。

その際には、沿道の自治体や関係団体、更には都民に対して、これまでの対策の不十分さを詫びるなら詫びたうえで、今回の決定の不当性を訴えて、ドーハ大会で生じた新たな事態に緊急に対応する必要があるから、なんとか知恵を貸してほしい、と、都民を巻き込む形で、案を決定していってはどうでしょうか。

突然の札幌開催、納得できない都民が多いはずです。一方、これまでの暑さ対策ではとても不十分だ、と思っている都民も多いはずです。同じ都民が、札幌開催に納得できず、しかも暑さを心配しているはずです。東京都は、こうした都民の懸念に答えるべきです。都は、あくまで東京開催を主張するなら、これまでの対策の不備を率直に認めたうえで、迅速に真摯に暑さ対策を行う姿勢を見せるべきです。