日本の改革

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民間企業がクールジャパン機構に投資すると、2倍~22倍もキックバック:蓮舫氏が暴いた官民ファンドのデタラメ

参議院予算委、蓮舫議員が、官民ファンドについて安倍政権を追及。クールジャパン機構、農水ファンド等につき、鋭い質問で行政のムダを指摘していました。更に色々な面から批判し、官民ファンドを全廃に追い込むべきです。

蓮舫議員の官民ファンド追及:クールジャパン機構、農水ファンド等、総理との質疑

今日の参議院予算委員会で、蓮舫議員が、官民ファンドについて質問しました。各大臣も、総理も、一部の官民ファンドの問題点は認めざるを得ず、野党として良い追及でした。私は蓮舫氏の所属する立憲民主党は支持していませんし、蓮舫氏にも注文したいことはありますが、行政改革についての実績と政治姿勢は支持しています。

 蓮舫氏はまず、官民ファンドが本当に民間資金の呼び水となっているかを質問しました。岡田内閣官房副長官の答弁は、平成31年3月末の残高で、政府が9200億円、民間が3500億円の投資だということです。これで、官民ファンドの資金の7、8割が官の出資だという実態を示しました。

次いで、個々のファンドの追及です。

クールジャパン機構

 まず、クールジャパン機構です。この官民ファンドについて、本ブログでは、吉本興業という問題企業と共同出資事業をしていることや、民間企業はわずかな投資しかせずに、ほとんどが機構の出資になっていること等を批判してきました。

エージェント契約でも、クールジャパンの映像ファンドでも利益相反の吉本興業。テレビ・芸能事務所は独禁法で分離を! - 日本の改革

蓮舫氏は、クールジャパン機構につき、そもそも投資実績も収益も計画を大幅に下回っていること(年平均385億円の計画・予算要求に対し、投資実績は年平均85億円、累積損失179億円)を指摘します。

更に、クールジャパン機構に民間企業が投資すると、関連会社に2倍~22倍もの金額が投資される実態について批判しています。投資決定を行う委員会に出資企業等の関係者が入って、利益相反取引が常態化しており、簡単に言えば、1億円を投資すれば、2億~22億円がクールジャパン機構からキックバックしてもらえるようになっています。その原資は財政投融資の資金であり、公金です。以下のように、蓮舫氏が委員会で使ったパネルで示されています。

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出所:蓮舫議員HP

https://renho.jp/wp-content/uploads/2019/10/67d20157cffa696b2ae16a851cccefe2.pdf

クールジャパン機構でのこうした利益相反取引については、以前から指摘されてきたことではありますが、あらためて全体像をまとめられると、いかにひどいかがよく分かります。

一応、投資先については、海外需要開拓委員会が中立的に決定する建前ですが、その委員に投資先の関係者が入っているのだから、何の意味もありません。以下のパネルの通りです。しかも、10億円を投じて失敗したマレーシアのショッピングモールにつき、3、4年で早々に事業売却、売却金額は非公開という無茶苦茶さです。

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出所:蓮舫議員HP

https://renho.jp/wp-content/uploads/2019/10/67d20157cffa696b2ae16a851cccefe2.pdf

菅原大臣は、国民の予算が投入されているので改革を断行していきたい、可能な限り情報開示したいと殊勝に答えてはいましたが、やる気は感じられないし、そもそも総理が言わないと変わらない話でしょう。

個別の事業については、シンガポールでライブハウスに出資する事業について、この事業への投資がどう日本の内需に資するのかを質問しました。

16 | 投資中の案件一覧 | 活動について | クールジャパン機構

菅原経産相から、「日本のアーティストが公演して日本の魅力を発信し、国内のツアーの延長上で海外のツアーに客が参加できるようにする」等の答弁を引き出したうえで、蓮舫氏は返す刀で、このライブハウスでの日本人のアーティストの出演比率はたった7%で稼働率は3割にすぎず、所在地のショッピングモールが今年8月に倒産、ライブハウスも閉鎖中だという実態を突き付けました。

これにつき、クールジャパン担当大臣の竹本氏が、失敗もすることはあると開き直ったのに対して、不必要にしつこく噛みついたのはいまひとつでしたが、クールジャパン機構のデタラメぶりを国民に分かりやすく示していました。

農水ファンド

 次に、A-FIVEと呼ばれる農水ファンドです。このファンドは投資実績も収益も特に低いのが問題になっていました。

個別の案件では、メディアが既に、ファンドのある役員が自分の関連企業に投資させて投資先が破産、にもかかわらず、この役員が1400万円も退職金を得ていたことを報じていました。しかも、投資先企業の社長に、個人責任を追及しないという覚書を勝手に出していたことも問題になっていました。

www.nikkei.com

 蓮舫氏によると、6.5億円を投資して、破産した投資先からは700万円しか回収できなかったということです。

この役員への指導も処分もされていない、それどころか、退職金が支払われているのはおかしい、と蓮舫氏が質したところ、農水大臣からは、「委員の御指摘は国民の気持ちを代弁している、私も色々思うところもある、しかし第三者的な弁護士事務所の判断したがった」と答えて、「思うところあれば実行しろ」と返されていました。

総理との質疑

その他に、クールジャパン機構と吉本との利益相反経産省のINCJ(産業革新投資機構100%子会社)のジャパンディスプレイ支援等、質問していましたが、総理に、官民ファンド全体について質問していました。

端的に、「そろそろ出口に向かうべきでは」、つまり、もう官民ファンド自体をやめるべきでは、という質問です。

 総理からは、新たな計画を策定したが、改善しなければ、事業見直し等、徹底してやる、ただ、官民ファンドは全体としては利益を上げているので、引き続きリスクマネーの提供をしたい、という答えでした。

 

更に突っ込むべきポイントは?

今日の蓮舫氏の質問、なかなか良かったと思います。政治家としての蓮舫氏については、政府批判を説得力ある対案にもっとつなげてほしいと感じています。

しかし、民主党政権時代も、第二次安倍政権になってからも、行政改革については、立派な実績を上げている人だと考えており、評価どころか尊敬もしています。

最大の業績は、民主党政権時代に事業仕分けをした後、各省による行政事業レビューシートを制度として残したことです。まだまだ改善の余地があるとは言え、国の事業について、補助金交付金が結局、誰に、どこを経由して流れているのか、一応は調べられるようになりました。これをきちんと引き継いだ、自民党の稲田担当大臣(当時)も立派でした。

政府の行政改革 - 行政事業レビュー

第二次安倍政権になってからも、行政改革については、実は驚くような素晴らしい質問をしている人だと思っています。これについては、また別の機会に具体的にふれたいと思います。

そのうえで、今日の質問について一国民として今後への注文をするなら、蓮舫氏なら更に切り込み鋭く、政府が右往左往するような質問が本当は出来たんでは、と感じます。

蓮舫氏には釈迦に説法でしょうが、私が維新の仕事をしていたとき、松野頼久氏に教わったのは、追及型の質問は、とにかく、何か法令・規則に違反している事実を突きつけろ、ということでした。政府は法律による行政が建前なのだから、何かルールに違反していると言われるのが一番痛い、だから、ルール違反を立証する事実を、これでもかと沢山つきつけて、ギリギリ締め上げてぐうの音も出ないようにしなくちゃダメだ、ということでした。

今日の質疑では、特別会計法50条で、財投特別会計の目的規定で攻めようとしていましたが、正直、ちょっと一般的な規定にすぎて、効いていませんでした。それより、官民ファンドに係るもっと具体的なルールを挙げてやった方が良いはずです。これも、蓮舫氏なら当然検討はしたことでしょうから、今後の質疑をまた見てみたいところです。

より実質的な政策論の話で言えば、総理は個々の官民ファンドに問題点があることは認めつつ、官民ファンド全体で言えば収益が上がっている、という返答でしたが、今後はこれが逆に攻めどころでしょう。収益が上がっているのは「日の丸半導体」企業のルネサスの株の売却益と含み益がほとんどのはずで、あとはほぼ100%全然ダメだからです。

あとは、ルネサスを官民ファンドで支えたことへの評価になりますが、こんなことは、最初から必要ないと言われ続けてきました。日経も、既に2014年時点で、リーマンショック直後ならともかく、もう不要だと言っていましたし、利益が上がる事業なら、民間にやらせればよい話なのだから、民業圧迫です。ルネサスの株はさっさと全部売却すべきです。

産業再編を官任せにさせるな :日本経済新聞

style.nikkei.com

と言うわけで、唯一利益の上がっているような投資はさっさと政府は民間に渡すべきですし、損ばかりの事業は全部やめるべきですから、官民ファンドは全廃すべきことになります。本ブログで主張し続けてきたことを蓮舫氏が予算委員会で言ってくれたのは、心強いことです。

こんなひどい状態の官民ファンドにつき、来年度の概算要求では、なんと増額要求です。農林、交通、通信、コンテンツ関連の4分野で19年度計画と比べ52%増の2659億円にもなっています。

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蓮舫氏も、こんな要求蹴るべきだ、と財務大臣に質問していましたが、こんなバカげた概算要求が通るかどうかは、野党が臨時国会でどれくらい官民ファンドをしつこく取り上げて、政府を困らせる質問を出来るかにかかっています。

蓮舫氏には引き続き期待したいですし、旧民主の他の議員も、もちろん行革が命の維新も、あらゆる側面から官民ファンドの問題点を指摘して、このバカげた制度の全廃を実現してほしいものです。