日本の改革

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首都圏の皆さん、洪水・高潮時の避難先は自分で見つけましょう:現状では、圧倒的に足りない避難所

台風19号が日本に接近。政府・首都圏自治体の「首都圏における大規模水害広域避難検討会」を見ると、首都圏での大規模水害時の広域避難場所は圧倒的に不足しており、対策もまだ詰め切れていません。現状では、自分であらかじめ避難先を決めて早めに避難するしかありません。政府は、検討会を早期に再開し、東京都だけでなく千葉県等も含めた首都圏全体の大規模水害時の広域避難対策を作るべきです。

大規模水害への備えは未定の部分が多い首都圏:政府は、検討会の早期再開を

史上稀な規模と強さの台風19号が首都圏を直撃しそうです。

千葉県に大きな被害をもたらした台風15号時の反省に立ってのこともあると思いますが、政府は事前に「令和元年台風第19号に係る関係省庁災害警戒会議」を開催しました。安倍総理の国会答弁によると、「自治体への情報連絡員の派遣や電源車の確保、それに自家発電設備の燃料補給など、台風15号の経験も踏まえて具体的な対策を確認した。そのうえで、関係省庁に十分な事前の備えを指示し、台風の暴風域に入る可能性がある都道府県にも同じ内容を周知した」とのことです。

令和元年台風第19号に係る関係省庁災害警戒会議 - 内閣府

www3.nhk.or.jp

また、東京都は、「東京都応急対策本部会議」を開催、東京都各局の今後の対策を共有しました。小池知事は、住民への適切な情報提供を行うとともに、「区市町村と連携して早期の被害の把握に努め、近隣の県の状況も確認をしながら、積極的な支援を行ってほしい」との指示を出しました。

知事「住民に適切な情報提供を」|NHK 首都圏のニュース

政府も、東京都はじめ関係自治体もしっかり準備しているように見えますが、まだまだ心配なことはあります。たとえば、大規模水害のときの避難についてです。

前回首都圏に上陸した台風15号については、強風での電柱倒壊による大規模停電が問題となりましたが、今回の台風については、洪水・高潮という水害についても、懸念する報道が出ています。

www.nikkan-gendai.com

この問題につき、政府の中央防災会議は、昨年2018年3月に、「洪水・高潮氾濫からの大規模・広域避難検討ワーキンググループ」で、「洪水・高潮氾濫から の大規模・広域避難に関する基本的な考え方(報告)」という報告を取りまとめていました。その報告では、海抜ゼロメートル地帯が広がる江東5区(江東区江戸川区墨田区葛飾区、足立区)のかなりの部分が水没するので、100万人を超える域外避難者が出るとの試算が示されました。これを前提に、避難先の確保や救助可能性、避難に要する時間、避難勧告の判断基準等につき、基本的な方向が示されました。

http://www.bousai.go.jp/fusuigai/kozuiworking/pdf/suigai/sankousiryo1.pdf

そこで、更に具体策を詰めるべく、行政機関等の役割分担を検討するため、去年6月、内閣府が「首都圏における大規模水害広域避難検討会」を設置しました。この検討会には、政府の関係省庁のほか、東京都、千葉県、埼玉県、江戸川区等の区市、鉄道会社やバス会社等が入っています。

首都圏における大規模水害広域避難検討会 : 防災情報のページ - 内閣府

これまでに、この検討会は、3回開催され、 今年3月に、基本的な考え方の整理までは終わったところです。

ここで分かったことは、江東5区が大規模な洪水・高潮で浸水するような事態になれば、避難所が全く足りなくなるので、都民は自衛するしかない、という実態です。

まず、この検討会では、あらためて、避難者の概数を予測しています。それによると、江東5区の浸水だけでなく、その他中小河川の氾濫等の分を合わせると、行政区域を超えた区域避難者の概数は、255万人です。

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出所:内閣府

http://www.bousai.go.jp/fusuigai/suigaiworking/pdf/suigaiworking/dai3kai/shiryo02.pdf

これに対し、行政が用意できる避難所は、156万人分ですが、中小河川氾濫等による避難者等を考慮すると、 「広域避難者の受入れが期待できる容量は、想定される広域避難者数の1/3程度」、つまり、先ほどの255万人の3分の1で、85万人分しかないことになります。すると、残り170万人が避難先がありません。

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出所:内閣府

http://www.bousai.go.jp/fusuigai/suigaiworking/pdf/suigaiworking/dai3kai/shiryo02.pdf

そこで、残る不足分の解消に向けて、指定緊急避難場所等以外の公共施設、民間施設などの確保に向けた検討をする、としています。また、近隣県への避難も検討したい、としています。それでもやはり足りないだろうから、結局は、親戚・知人等を頼った自主避難を呼びかけ、企業にも協力を求めていく、ということです。

(これらは、検討会の第3回の資料2と議事録に出ています。上にスクリーンショットで引用した画像は資料2の一部です)

http://www.bousai.go.jp/fusuigai/suigaiworking/pdf/suigaiworking/dai3kai/shiryo02.pdf

http://www.bousai.go.jp/fusuigai/suigaiworking/pdf/suigaiworking/dai3kai/gijiroku1.pdf

が、最終的な検討会報告取りまとめはまだで、年度末を予定しています。最終的な取りまとめを行う第5回は年度末なのでまだ先で構わないのですが、心配なのは、当初のスケジュールでは、第4回検討会を今年夏から秋頃に開くとしながら、まだやっていないことです。

http://www.bousai.go.jp/fusuigai/suigaiworking/pdf/suigaiworking/dai3kai/shiryo04.pdf

ということは、仮に江東5区が水没し、その他の中小河川も氾濫するような大規模広域水害の際には、避難所が170万人分足りないままですし、見たところ、政府も自治体も、そうした事実を国民・住民に積極的には伝えておらず、自主避難、事前避難の広報も目立ちません。そうこうするうちに、大規模な台風が2回、首都圏を直撃することになりました。

台風19号についてはもう間に合いませんが、政府は早急にこの検討会を再開して、大規模水害時の避難の詳細を詰めるべきです。今年はさすがに台風も終わりだろうと思いますが、10月半ばにこれほどの規模・強さの台風が来るくらいですから、何が起きるか分かりません。

第3回の検討会の議事録の終わりあたりを見ると、現時点で未定の重要な事項が何か、ある程度分かります。

http://www.bousai.go.jp/fusuigai/suigaiworking/pdf/suigaiworking/dai3kai/gijiroku1.pdf

次回第4回で検討すべき事項として、広域避難場所の確保については、幾つかの自治体が集まったブロック単位等を活用することになっていますが、その広域避難自治体と受入れ自治体の組み合わせはこれから決めることになります。

もう一点が、受入れが期待をされる施設について、今の指定の場所だけでは結局足りないので、「その他の公共施設、民間施設等の絞り込み、概数の把握、確保に向けた検討」もこれからです。

さらに、避難手段の確保・避難誘導について、鉄道会社が対応可能な輸送力のシミュレーションも、具体的にどの避難方面、避難手段がいいのかという点も、 避難者が集中する駅や橋梁での避難誘導方策も未定です。

第3回の検討会では、東京都から、このような大規模水害のケースでは、当然、千葉県でも同様の被害が生じていることが考えられるので、千葉県の計画との整合性も図る必要性がある、との指摘もあります。都と県をまたぐ話ですから、内閣府の検討会で調整すべきことですが、これもどうするのか、まだ決まっていないようです。

台風19号の首都圏上陸は、明日、明後日です。江東5区や、近くに氾濫しそうな川のある住民は、もしものことを考えて、早めに避難場所の候補を考えて、頼めるところには頼んでおくしかありません。政府は、台風19号が通過したら、被害からの復旧を進めつつ、早速、次の大規模水害に向けた検討を開始すべきです。