日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

枝野代表質問、憲法改正を徹底して逃げる方向でも、安倍自民党のリベラル取り込み作戦に「大歓迎」と応じる。

枝野議員の代表質問、全体として、憲法改正の議論を避ける方向でしたが、同性婚に関する下村発言や総理の多様性重視演説は評価せざるを得ませんでした。安倍自民党は支持層拡大のためにも、リベラルな政策を更に進め、憲法改正を実現すべきです。

枝野質問、言いたいことはただ一つ、「憲法改正の議論は簡単には乗らない」

昨日の枝野幸男議員の代表質問、全体として言いたいことは、憲法改正の議論にはそう簡単に乗らない、ということでした。

まず、大島衆院議長の国民投票法に関する発言の揚げ足取りで、代表質問の時間まで遅らせ、冒頭にこの問題で騒ぎ立てました。

その後、国政全般にわたり、なんと32問にも及ぶ質問を行いました。

総理周辺は「枝野氏の質問は的がどこにあるのか絞り切れていない」と言っていたそうですが、私は、実は「的」は明確だったと思います。枝野氏の意図は、「国政でこんなに議論すべきことがあるから憲法改正は後回しだ」ということでしょう。朝日は、「関電、トリエンナーレNHK」が三点セットと書いていますが、そんなメリハリはついていません。この三つにふれたときに、ちょっと声が大きかったくらいでしょうか。

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更に、質問の最後で、下村氏の同性婚に前向きな発言にふれ、議論は歓迎しつつ、憲法審査会ではなく、法務委員会で民法改正でやるべき、と、とにかく憲法審査会だけは動かしたくない、という姿勢を見せました。

そもそも、最初から最後まで、憲法改正についてふれない作戦です。憲法改正のために議論するのは国会の責務だとの趣旨を訴えた、安倍総理所信表明演説の正面からの訴えにちゃんと答えず、一番最後に、同性婚について憲法審査会の議論はやらない、と言っただけです。

これはいただけません。統一会派を組んだ国民民主党憲法審査会での議論に積極的で、会派内が一枚岩ではないので、憲法改正の問題を避けた面もあるでしょうが、それにしても逃げの一手の代表質問でした。

一方で、下村氏の同性婚発言や総理の多様性重視演説に対し、議論は「大歓迎」として、一定の評価もした形です。

国政全般にわたる質問

国政全般にわたる数多くの質問を連発したことは、良い面もあります。

以前、維新がおおさか維新の会を名乗っていた頃、橋下徹氏が、維新議員の国会質問に苦言を呈されたことがありました。とにかく自分の関心のあるテーマばかり、内容は自説の披露ばかりで、質問は「どう思うか」でおしまい。これでは政府にスルーされておしまい、政府与党は楽ちんでしょうがない、とのことでした。

そんなやり方ではダメで、国民が感じている問題意識に刺さるようなテーマで、法律について立法事実の有無を具体的に聞いて、社会的な実態に制度が合っていない現実を政府に次々と突き付け、政府が「うっ」となる厳しい質問を畳みかけるべきだ、という趣旨のことを橋下氏は言われていました。

この見方からすれば、各政党の立ち位置を延々と披露しがちな代表質問の場で、枝野氏が国政全般について短い質問を次々に行ったのは、それなりに評価できる面があります。もちろん、質問の数が多い分、どの質問も概括的にすぎました。が、国会冒頭の代表質問では、委員会質問ほどには細かく突っ込めないので、とりあえず、政府の立場を確認した意味はあった、ということでしょう。

ただ、今回は、質問がふわっとしていたものが多く、政府答弁も暖簾に腕押しで、質疑としてはつまらなかったのは確かです。

絶好の見せ場の関電問題については、関電の委員会による検証では第三者性が乏しいというだけで、総理からは、まずはその議論を見守ると言われておしまい。

原発については、原発ゼロを主張する立憲民主党とそこまでいかない国民民主党で政策が一致していませんが、今回は電力会社の調達が問題になっているのですから、どちらの党も厳しく追及できる立場のはずが、どうも迫力が足りません。与野党ともに政治家が関わっているのでは、という見方が正しいかもしれないと勘繰らせてしまいます。

台風15号による千葉県の大停電の対応については、なぜか、政府の対応に遅れがあったかどうか「まだ分からない」と腰の引けた態度。産経でさえ政府の危機管理体制に厳しい論調のこの問題に対して、ぬるい質問になったのは、立憲民主党も発災3日後に軽井沢で幹部出席の新人研修会を開いてブーメランになるのを恐れたからか、とも言われていますが、ここはもっと厳しく、災害対策基本法でのプッシュ型支援等の決定が遅い、と攻め込むべきでした。

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日米貿易協定については、相変わらずの農家保護姿勢で、民主党政権時代同様の戸別補償制度を訴えましたが、安倍総理から、その制度は全ての農家へのバラマキでメリハリがなかったし、コメ農家偏重の課題があるので、需要のある作品の生産振興が必要と、正論で返り討ち。政府自民党も農業改革は全然足りませんが、それでも、旧民主よりは、はるかに改革派であることを改めて見せつけられました。

もっとも、評価できる質問もありました。

所得税について、金融所得が分離課税の低税率となっているのを見直して、再分配機能を強化すべき、との質問に対し、麻生財務大臣から、従来通りとは言え、それなりに前向きな答弁がありました。本ブログでも繰り返し取り上げた論点を、ちゃんと聞いてくれました。

所得再分配のため、米国民主党議員は大金持ちに課税しろと言い、日本の旧民主党議員は消費税率を上げろと言う。 - 日本の改革

旧民主・民進党はこの税制についてこだわってきたし、財務省も本音では増税したいところでしょうから、金融所得課税については、建設的な議論が出来そうに見えました。 

憲法改正に関する対話を成立させるべき

 他に、立憲民主党がこだわるリベラルな価値観の問題については、あいちトリエンナーレへの補助金全額不交付がおかしい、とのもっともな指摘がありましたが、総理も文科相も従来の答弁の繰り返し。ここはもっと、新たな答えを引き出せるよう、具体的で厳しい質問がほしかったところです。

本ブログでは、そもそも、この「文化資源活用推進事業」の補助金制度自体が、地域振興的な色彩が強すぎて、専門的な芸術家によるチェック体制が足りないのが問題、と主張してきましたが、政府の事業自体の問題点を指摘すれば、少しは今までと違う答えも得られたのではないかと思います。委員会での議論に期待します。

 「表現の不自由展・その後」の中止:芸術に政治性はつきもの。展覧会を脅迫で潰す歪んだ醜い憎悪は、自由と民主主義の敵。 - 日本の改革

あいちトリエンナーレへの補助金不交付決定、検証委員会の立派な中間報告に水を差す。地方も国も、芸術支援の改革を! - 日本の改革

 

最後に、枝野氏は、下村博文氏が、憲法審査会で同性婚の議論進めてもいいと発言したことについては、安倍総理所信表明演説で多様性を重視したのとも「平仄が合っている」として、議論進めるなら「大歓迎」と発言していました。

最初に書いた通り、枝野氏は全体として、憲法改正の議論は避けるという姿勢を示していましたが、リベラルな政策に歩み寄りを示した自民党安倍総理に対し、さすがに「大歓迎」と言わざるを得なくなっています。結論としては、憲法審査会ではなく法務委員会で議論したい、ということでしたが、いくら議論を避けようとしても、もう悪口や批判だけでかわせなくなっています。

実際、とうとう公明党憲法改正の議論について国会での対応を検討すべきと言い出しました。国民民主党も議論には乗り気となれば、立憲民主党もいつまでも突っ張ってはいられないはずです。

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安倍自民党は、もう一押しするべきです。立憲民主党がこだわる「立憲的憲法論議」で例示されている「知る権利」の明記など、リベラルな価値観を大事にしている国民が心から賛成できるような提案も、次々に立民に対して行うべきです。

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そもそも、下村氏が同性婚について前向きな姿勢を見せたのは、必ずしも憲法改正のためだけではない、とも言われています。日経の大石格上級論説委員は、自民党は、もう世論が変わっているから、積極的に票を取りにいっている、としています。

日経から引用します。

ある自民党議員に聞くと「わが党は選挙で票になると思えば、豹変(ひょうへん)することをためらわない党だ」との返事でした。
具体例として、長らく反対していた選挙権年齢の18歳への引き下げに突然、賛成したことを挙げていました。若者は左翼だ、との通念から反対していたが、世論調査を分析したら若年層ほど自民党支持率が高いことに気付いて方向転換したのだそうです。

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これが事実だとしたら、さすが自民党、さすが政権与党です。いま、安倍政権は、小泉内閣のように、自民党政権でありながら改革が実現できるか、日本社会と国民意識の変化にきちんと対応できる政権になれるかどうかが問われています。

まだまだ選択的夫婦別姓制度にしても、エネルギー政策にしても、変化に対応しきれていない部分が多々あります。憲法改正実現のために、まずは同性婚や選択的夫婦別姓について、更に旗幟鮮明に、リベラルな政策の実現に動くべきです。公明党が何十年も言い続けている、環境権も国民投票で問うたらよいでしょう。

こうして、知る権利や環境権といった新しい人権を正面から認め、教育無償化も書き込み、更に9条も改正するという形で、ほとんどの政党が賛成する憲法改正案を作るよう、安倍自民党は呼びかけるべきです。憲法改正は、国民の分断ではなく、国民の統合によって実現すべきですし、それが憲法改正を実現するための一番確実な方法です。