日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

安倍総理所信表明演説:保守派のリアリスト総理だからこそ出来る保守派抑え込みと、憲法改正に期待。

昨日の安倍総理所信表明演説、批判すべき点も多々ありますが、聞きどころは、多様性を重視した点と、日本社会の改革への呼びかけ、その延長としての憲法改正へのこだわりでした。この二点については、安倍総理のリーダーシップに期待します。

臨時国会開幕

昨日10月4日、安倍総理が第200回国会にあたっての所信表明演説を行いました。

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今回の臨時国会、会期は12月9日までの67日間ありますが、外交や即位行事のため、実質的には審議時間は短く、提出法案も少なくなります。これを反映して、総理の所信表明演説も、割にさらっとした感じでした。中身については、貿易交渉や外交など、色々批判すべきところはありますが、多様性を重視する姿勢を見せたことと、憲法改正を日本社会全体の改革の延長線上に位置づけた結びの言葉は、立派でした。

女性・女系天皇の実現と社会の多様性の実現:保守派の安倍総理だからこそ出来ること

総理は所信表明演説の冒頭、「即位礼正殿の儀をはじめとする各式典がつつがなく、国民がこぞって寿(ことほ)ぐ中で行われるよう、内閣を挙げて準備」する、と述べました。

10月22日に天皇陛下の即位を内外に宣言する即位礼が行われた後、政府は、皇位継承に関する議論を始めます。果たして、政府は、女性・女系天皇を認めるのか否か。圧倒的な世論が賛成の現在、安倍政権も結局は認める方向だろうと書いてきましたし、今もそう思っています。

Yahoo!トップ「女性天皇認める79% 共同」:女系・女性天皇容認は、圧倒的な世論で、静かに実現する。 - 日本の改革

伝統は、国民一人一人の心の中にある。女系・女性継承を望む民意に体現された伝統を畏れよ。 - 日本の改革

その後、読売新聞が7月27日に、政府は安定的な皇位継承策の検討にあたり、「現在の皇位継承順位を変更しないことを前提とする方向だ」と報じました。小泉政権での報告書や立憲民主党の言うような、性別によらず天皇の直系が皇位承継順位一位だとしたら、現状では、愛子様が一位となります。が、そうはしないで、秋篠宮様が第一位、悠仁様が第二位であることは変えない、ということです。

皇位継承順位を維持へ…政府、秋にも議論着手 : 政治 : ニュース : 読売新聞オンライン

これをもって、女系・女性天皇への道が断たれたわけではありません。仮に、政府が本当に「現在の」皇位継承順位は変えないつもりだとしても、今後についての議論まで否定していないからです。本ブログでも繰り返し指摘した通り、安倍総理は、旧皇族の男系男子の復帰を国会で明確に否定しました。今後の皇族の減少に対して保守派が持っている唯一の「対案」は、安倍総理によって否定されているのですから、もう女系・女性天皇を認める形の制度改正は避けられません。

問題はいつになるか、です。朝日は8月になって、「官邸幹部」が、現在の皇位継承順位は変えないで、制度については今後30~40年後にでも考えればいい、と発言した、と書いています。要するに先送りです。

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こんな無責任な先送りを許してはいけません。30~40年後とは、天皇陛下秋篠宮殿下から悠仁様に代替わりをする頃、ということでしょうが、そのときまでに皇族がどんどん減ってしまいます。上皇陛下が譲位されたことでまた皇位継承の議論が始まったのですから、必ず今のタイミングで結論を出すべきです。

保守派はもちろん反対しますが、ここは、保守派でリアリストの安倍総理が、強いリーダーシップを発揮するべきです。保守派の議員も国民も、憲法改正をしようとする安倍総理を引きずりおろしてまで男系男子にこだわるつもりはないはずです。圧倒的多数の世論を前に、男系男子か女系女性も認めるか、という言い方を避けて、「現在の」皇位継承順位の問題、と表現だけ言い換えて、先延ばしするうちに国民が忘れるのを待つ、というやり方は、皇位の安定継承を危うくします。保守派の安倍総理だからこそ、保守派を抑えて、性別によらず直系が継承するという皇室典範への改正を実現すべきです。

安倍総理所信表明演説の「はじめに」の締めに述べた通りです。

新しい令和の時代にふさわしい、希望にあふれ、誇りある日本を創り上げ、次の世代へと引き渡していく。その責任を、皆さん、共に、果たしていこうではありませんか。

一億総活躍社会と「みんなちがって、みんないい」:社会の多様性実現に、安倍総理に出来ること

 政策の中身について、総理は、教育無償化にふれた後、一億総活躍社会について述べて、15年前から知っていた舩後靖彦氏がALS患者でありながら「人間どんな姿になろうとも、人生をエンジョイ出来る」さと言って、自分用のギターの自作やバンド活動、更には介護サービス事業の経営までしていることに言及。船後氏の当選を「友人として、心よりお祝い申し上げます」と祝福しました。

そして、 「障害や難病のある方々が、仕事でも、地域でも、その個性を発揮して、いきいきと活躍できる、令和の時代を創り上げるため、国政の場で、共に、力を合わせていきたい」と呼びかけました。

わざわざ所信表明演説で、しかも、れいわ新選組のような共産党寄りに見える政党の議員に対して、このような形で心のこもった言葉を述べるのは、さすがの貫禄で、大変立派なことです。

障がい者政策について関心の乏しい政治家の中には、介助者についての費用を参議院が当面負担することまで批判するというトンチンカンな人達がいましたが、やはり安倍総理とは、政治家としての見識・所作の点で、雲泥の差です。

以前、ブログで書きましたが、この問題は、まずは障がい者が国会や地方議会、行政庁等の中に入ること自体に非常に大きな価値があります。「私達のことは私達抜きで決めないで」という理念の実現のためには、少なくとも当面の間、費用負担を含めて、他の議員はもちろん、障がい者である国民・住民より優遇される形になるのもやむを得ません。障害者が入った形でないと、どうせ障がい者である国民・住民のための政策など、進みはしないからです。

(なお、この問題に限って言えば、私は国会議員を個人事業主と同様の立場と見るべきではないと思います。議員というのは、決まった会期に議場に行かなければならず、国会・院・政党等のルールにしたがわなければならず、それら一つ一つが、重度障害者のような人達にとっては、普通の労働者同様に、指揮命令下に入るのと同様の負担となるのであり、その負担についてこそ手当が必要だからです。)

“Nothing about us without us”(私たち抜きに私たちのことを決めるな) :重度障害議員の介助、参議院の当面負担は問題なし。 - 日本の改革

総理は更に、金子みすずの「みんなちがって、みんないい」という言葉を引用して、以下のように、多様性の重要さにふれました。

新しい時代の日本に求められるのは、多様性であります。みんなが横並び、画一的な社会システムの在り方を、根本から見直していく必要があります。多様性を認め合い、全ての人がその個性を活かすことができる。そうした社会を創ることで、少子高齢化という大きな壁も、必ずや克服できるはずです。

若者もお年寄りも、女性や男性も、障害や難病のある方も、更には、一度失敗した方も、誰もが、思う存分その能力を発揮できる、一億総活躍社会を、皆さん、共に、創り上げようではありませんか。

 一億総活躍社会という言葉は、このように、高齢社会克服のために、あらゆる人々の労働参加率を高めることが主たる内容ですが、一方で、多様性や個性を尊重し、

「家庭で、地域で、職場で、それぞれの希望がかない、それぞれの能力を発揮でき、それぞれが生きがいを感じることができる」

ということも、重要な柱になっています。今回の総理演説は、この多様性の部分を強調した形です。

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安倍総理にはこれから、多様性を認める社会の実現という点に、本気で取り組んでいただきたいと思います。それが広範な国民の支持につながり、憲法改正の実現に資するからです。

特に、選択的夫婦別姓制度の実現のような、立憲民主党が重視するような政策についても、まるまる認めるべきです。既に、その兆候は見せ始めて居ます。自民党下村博文選挙対策委員長が、憲法改正の対象となり得る議論のテーマとして、同性婚を挙げました。自民党内からは反発があるようですが、野党の反発で憲法審査会が動かないより、最後は安倍総理・総裁の言うことを聞く自民党内の反発の方が、憲法改正を目指す安倍総理にとってはまだマシなはずです。

枝野氏は、安倍総理は保守派で、夫婦別姓には絶対賛成できないから、対抗軸としてちょうどいい、というこざかしい計算で、参院選でも夫婦別姓を争点の一つに挙げたりしたのでしょう。

そんな計算も、安倍総理が選択的夫婦別姓を丸飲みしてしまえば、無意味になります。憲法改正を進めるための、最も効果的な手段は、何をやっても保守派に支持される安倍総理が、選択的夫婦別姓のような制度に賛成して、立憲民主党の抵抗の口実を奪うことです。

総理が参院選前の党首討論で、賛成に挙手しなかったのは失敗でしたが、本気で憲法改正を実現しようと思うなら、選択的夫婦別姓制度の実現に動くべきです。

選択的夫婦別姓に限らず、ヘイトスピーチ禁止をより徹底したり、外国人子弟への教育を充実させたり、多様性の実現のためにやるべきことはいくらでもあります。こうした政策は、安倍総理では実現は難しいと見られていますが、だからこそ、やるべきです。安倍総理のやることなら、保守派は納得するか、少なくとも我慢します。

入管法改正や、北方領土の二党返還論等、保守派が絶対に認めないようなことが、安倍総理の下では簡単に通っています。これは安倍総理だからこそであり、保守派の信頼がある総理だからです。

安倍総理は国会と支持者を無視してレガシーを創る気か?(田中良紹) - 個人 - Yahoo!ニュース

 日本社会の改革の一環としての憲法改正

このように、保守派が反対するような多くの政策、女系・女性天皇を可能にする皇室典範改正、選択的夫婦別姓制度等をやって、それによって、国民の支持を更に広げることで、憲法改正実現を目指すべきです。保守派は、「憲法9条改正のためだから」と言われれば、何であろうと理解するはずです。

総理は、憲法改正について、所信表明演説の終わりに述べています。

まず、日本が第一次大戦後のパリ講和会議で人種平等の提案を掲げ、それが現在では国際人権規約等の基本原則になっていることについて、ふれました。

日本が戦前にこの提案を行っていたことは、保守派が好むテーマでもあります。が、人種差別撤廃というのは、リベラルの価値観から言っても、人種間の平等は絶対に実現すべき理念です。国際人権規約にふれたのも、保守派の好きな戦前日本の努力が、実はリベラリズムという普遍的な国際社会の原則実現の努力でもあった、と示すことになっています。保守派にも、リベラルにも呼びかける演説として、配慮がよくなされています。

総理は最後に、以下のように呼びかけています。

 現状に甘んずることなく、未来を見据えながら、教育、働き方、社会保障、我が国の社会システム全般を改革していく。令和の時代の新しい国創りを、皆さん、共に、進めていこうではありませんか。
 その道しるべは、憲法です。令和の時代に、日本がどのような国を目指すのか。その理想を議論すべき場こそ、憲法審査会ではないでしょうか。私たち国会議員が二百回に及ぶその歴史の上に、しっかりと議論していく。皆さん、国民への責任を果たそうではありませんか。

総理は、 障がい者に真面目に寄り添う姿勢を見せ、ハンセン病患者、元患者の家族への対応にもふれ、金子みすずを引用し、一億総活躍社会の実現には、多様性と個性の尊重に重点を置きました。保守派が大事にしたい戦前の日本が、実はリベラリズムの原則にそった努力をしてきたこと、現在では、国際社会の普遍的原則として、自由主義国際人権規約にしっかりと書かれていること、保守派も当然この規範にしたがうべきことを示唆しました。

そして、あらゆる分野での「我が国の社会システム全般」の改革の最重要の課題として、憲法改正を掲げました。

この姿勢を言葉だけに終わらせず、女性や外国人の人権保障を強化して、演説では言及はなかったものの、女系・女性天皇実現に道筋をつけ、更に、将来世代の人権を守るために脱原発・脱化石燃料にも踏み切る姿勢を見せれば、そして、自由主義と民主主義という普遍的価値を更に強化する方向の改憲案を作れば、9条を含めた憲法改正は、国民の圧倒的多数が賛成する形で実現するでしょう。

私は、そのような憲法改正を見たいと思いますし、安倍総理には是非、昨日の所信表明演説で言われたことを守って、国会内の党派的対立やイデオロギー上の対立を超えて、統合された存在である「国民」のための憲法改正を実現していただきたいと思います。